こんにちは、エアコンラボのアキです。
「故障ではないと分かっているのに、エアコンの音が耳について離れない」「家族は平気そうなのに、自分だけが気になって眠れない」。エアコンの音についての悩みには、故障の切り分けだけでは終わらない種類のものがあります。
先にお断りしておきます。この記事は、音が苦手だという感覚に病名や特性の名前を当てはめるものではありません。私は医学や心理の専門家ではなく、記事が読者の状態を判定することもできません。ここで書けるのは、エアコンメーカーの取扱説明書・FAQと、環境省が公表している資料に実際に書かれていることだけです。出典が確認できなかった話は書きません。
調べてみると、次のことが分かりました。
- 「音が気になる」という言葉は、メーカーの資料にも実際に使われている
- 取扱説明書には「音が気になるとき」の設定項目が、風量の調節以外にも用意されている
- 就寝時向けのタイマーで各社が共通してやっているのは「風量を弱くする」こと
- 環境省は、音の感じ方には個人差があることを前提に文書を作っている

「音が気になる」は、メーカーの資料にも出てくる言葉です
まず確認したいのは、「気になるだけで、故障ではないなら相談してはいけないのでは」という遠慮が必要かどうかです。各社の記載を読むかぎり、その遠慮はしなくてよさそうでした。
日立は「生活に支障が出てお困りの場合」と書いています
日立は、室内機から出る音を電子音・きしみ音・水の音・風向板の音など種類ごとに整理したページを公開しています。そのページの末尾には、こう書かれています。「該当する音がない、音が大きくなって気になる、または生活に支障が出てお困りの場合は、お買い上げの販売店または修理相談窓口に点検のご相談をしてください」(日立「室内機の音の原因を知りたいです。」)。
「生活に支障が出てお困りの場合」という一文が、故障の判定基準とは別に置かれているのがポイントです。音の種類が一覧のどれにも当てはまらなくても、相談の対象から外れるわけではない、という書き方になっています。
ダイキンとシャープも「気になる場合」を入口にしています
ダイキンの室内機の音のFAQも、個別の音の説明をひととおり並べたあとで「以前よりも音が大きくなったり、以前しなかった音が突然するようになったりした場合など音が気になる場合は、お買い上げの販売店または当社に点検をご依頼ください」と締めています(ダイキン「室内機から変わった音がする(ルームエアコン)」)。
シャープにいたっては、取扱説明書の「故障かな?と思ったら」の項目そのものに「室外機の音が気になる」という見出しが立っています。答えは「暖房時は冷房時に比べてパワーを上げた運転をおこなうため、音が大きく感じる場合があります」というものでした(シャープ AY-J22S ほか 取扱説明書)。
故障の判定とは、別の入口になっています
音が正常か異常かという判断は、各社とも「以前と変わったか」を軸にしています。その考え方と、メーカー5社が公開している音の一覧についてはエアコンの音が正常か異常かを見分けるチェックリストにまとめました。この記事で扱うのは、そこを通過した後、「変わってはいないけれど、つらい」という段階の話です。
取扱説明書に載っている「音が気になるとき」の設定
各社のFAQで「静かにする方法」として案内されているのは、フィルターのお手入れと風量の調節が中心です。ところが取扱説明書まで読むと、それ以外の設定項目がいくつも見つかりました。パナソニックとシャープの取扱説明書から拾い出したものを表にします。
| 気になる音 | メーカー | 取扱説明書に書かれている操作 |
|---|---|---|
| フィルターおそうじ運転の音 | パナソニック | おそうじ運転の時刻をタイマー予約する(全面を一度で掃除して約40分間) |
| 「nanoe(ナノイー)」が発生している音 | パナソニック | 「就寝時など音が気になるときは、『nanoe(ナノイー)』を取り消してください」 |
| 「ジージージー」「チッチッチッ」という音 | シャープ | プラズマクラスターイオン発生時の音。「気になる場合は、プラズマクラスター『切』に設定してください」 |
| 換気の音 | パナソニック | 「換気静」を選ぶ(能力を抑えて静かに運転) |
| 暖房時の室外機の運転音 | パナソニック | 設定項目「室外音」を「低め」にする |
| 風の音 | パナソニック | 「風量静」を選ぶ(能力を抑えた静かな運転) |
出典はパナソニック CS-281CX ほか 取扱説明書と、前掲のシャープの取扱説明書です。
「音を小さくする」だけでなく「鳴らす時間をずらす」がある
表を作っていて印象的だったのは、パナソニックのフィルターおそうじ運転の扱いです。取扱説明書には「おやすみ時など音が気になる場合は、おそうじ運転のタイミングを変えることができます」とあり、時刻を予約する説明のところには「外出する時間帯を予約すると、おそうじの運転音が気になりません」と書かれています。
さらに、おやすみ切タイマーで停止したときは本体内部のおそうじ運転を行わない、という記載もありました。音そのものを小さくするのではなく、鳴る時間を自分がいない時間帯に移すという発想です。エアコンの音の対策というと音量を下げる方向ばかり考えがちですが、選べる手はそれだけではありませんでした。
「低め」にしても下がらない場合がある、とメーカー自身が書いている
パナソニックの「室外音 低め」には、はっきりした但し書きが添えられています。「『室外音 低め』に設定したときは、能力が制限されるため、暖まるまで時間がかかる場合があります」「室温が設定温度に近いときなどは、『室外音 低め』を選んでも、運転音が下がらない場合があります」。
効果を保証しない書き方をメーカー自身がしている以上、この記事でも「これで静かになります」とは書けません。試す価値はありますが、期待どおりにならないことがある前提で触ってみてください。なお、フィルターのお手入れと風量調節についてはエアコンの運転音を静かにする方法に、「しずかモード」など名前のついた運転についてはエアコンのしずかモードは電気代が安い?にまとめています。
就寝時の運転として、各社が案内していること

眠るときに音が気になる場合、各社が用意しているのは「おやすみ」を冠したタイマーです。中身を取扱説明書で確認しました。
| メーカー | 機能名 | 取扱説明書に書かれている動作 |
|---|---|---|
| パナソニック | おやすみ切タイマー | 0.5/1/2/3/5/7/9時間後の7通りから選ぶ。設定温度に近づいたとき、または設定から1時間たつと、冷房・冷房除湿時は設定温度が約1℃上がり、暖房時は約1℃下がる。風量は弱くなる |
| シャープ | おやすみ切タイマー | 「おやすみに適した運転をし、予約した時間後に停止します」。予約から1時間後に設定温度を徐々に変更し、冷房・除湿時は1℃高く、暖房時は3℃低くする。風量を「自動」にしている場合は弱い風量で運転する。本体ランプは暗くなる |
| 日立 | 切/入タイマー | リモコンに扉がある機種は時刻を10分単位で指定。切と入を組み合わせると24時間で10分単位の設定ができる。扉がない機種は経過時間の指定で、切タイマーは30分または1〜9時間、入タイマーは30分または1〜12時間。この場合は切と入を同時に設定できない |
日立の設定手順は日立「エアコンの切/入タイマーの設定方法を知りたいです。」に載っています。
共通しているのは「風量を弱くする」ことでした
3社を並べて分かったのは、おやすみ系のタイマーが音に対してやっていることは、結局のところ風量を落とすことだという点です。パナソニックは「風量は弱くなります」、シャープは「弱い風量で運転します」と、どちらも明記しています。特別な消音の仕組みが動いているわけではありません。
裏を返せば、おやすみタイマーを使わなくても風量を手で弱くすれば同じ方向の効果は得られる、ということでもあります。おやすみタイマーの利点は、設定温度の自動調節と停止までを一度に予約できることのほうにあります。
室温の側から見ると、話が変わる場合があります
ここで注意したいのが、切タイマーで止めるかどうかは音だけで決められない、という点です。夏の夜の室温については別の観点があり、エアコン一晩の電気代はいくら?で公的機関やメーカーの検証を整理しました。高温を検知して運転する機能についてはエアコンのみはっておやすみ機能にまとめています。音を優先して止めた結果、暑さの側で無理をすることのないようにしてください。
表示ランプの明るさも設定項目になっています
音とは別ですが、就寝時の気になりやすさという意味で共通する項目があったので触れておきます。シャープのおやすみ切タイマーは「本体ランプは暗くなります(プラズマクラスターランプは消灯します)」と説明されています。パナソニックには「本体ランプの明るさが気になるとき」という設定項目があり、「本体ランプ明」と「本体ランプ暗」を選べるほか、部屋の明るさに応じて2段階で自動調節する動作も書かれていました。
同じ音でも、部屋と耳の側で聞こえ方が変わります

「同じ機種なのに、前の家では気にならなかった」という感覚には、根拠のある説明がいくつか見つかりました。
仕様表の運転音は試験室での値です
シャープの取扱説明書の仕様欄には、「運転音の表示は、試験室での測定値です。実際に据え付けた状態での運転音は周囲環境により異なります」と注記されています。カタログのdB値をそのまま自宅で聞こえる音量として扱うことはできません。数値の意味についてはエアコンの運転音は比較できる?で詳しく整理しています。
環境省は「低い周波数の音が際立ってしまうことがある」と書いています
環境省が一般向けに作成した解説書「よくわかる低周波音」には、室内での音の聞こえ方について次の記述があります。「最近は建物の遮音性能が向上したことにより、室内では高い周波数の音が低減され、低い周波数の音が際立ってしまうことがあります」。加えて「室内では、音の干渉によって、ある特定の周波数で局所的に音が大きい場所と小さい場所が存在することがあります」とも書かれています(環境省「よくわかる低周波音」3. 低周波音かと思ったら)。
静かな部屋ほど低い音が目立ち、部屋の中でも場所によって聞こえ方が変わるという説明が、公的な資料として存在しているわけです。寝る位置を少し変えただけで印象が変わったとしても、不思議なことではありません。
人の耳は、低い音ほど鈍感だという説明もあります
同じ解説書の第1章には、周波数による感度の違いが数値で示されています。「人の耳は2000Hz〜5000Hz付近が最も感度がよく」、一方で「周波数が低くなるほど感度が鈍くなる傾向があります」。具体的には「200Hzの音では2000Hzの音に比べておよそ15dB、20Hzの音ではおよそ80dB大きな音でないと人は感じることができません」とのことでした(環境省「よくわかる低周波音」1. 低周波音とは)。
ここで気をつけたいのは、エアコンの音が低周波音だと自分で決めつけないことです。低周波音かどうかの判断は測定を伴うもので、環境省も自治体や専門機関が手引書に沿って行うものとしています。室外機の音と近隣との関係についてはベランダのエアコン室外機がうるさい原因と対策で扱っています。
据え付け場所には「振動が出ないところ」という条件がある
設置の条件にも、音や振動に関する記載がありました。日立は室内機の設置条件として「本体を十分支えられ、振動が出ない、強度のあるところに据え付けてください」と書いています。同じページには次のような具体的な寸法も示されています(日立「エアコン(室内機)の設置に必要な寸法や条件を教えてください。」)。
- 設置高さの目安は床面から1.8m以上
- 吹出し口が住宅用火災報知機(煙感知式)から1.5m以上離れている場所
- 室内機およびリモコンはテレビ・ラジオ・無線機器などから1m以上離す
シャープの取扱説明書にも「騒音にご配慮を」という項目があり、「エアコンの重量に十分に耐え、運転音や振動が大きく伝わらない所」を選ぶよう書かれています。ただし日立は同じページで「室内機の設置が可能かどうかは、ご自身で判断せず、お買い上げの販売店や設置業者へご相談ください」とも明記しています。位置の変更を検討する場合は、自分で動かさず販売店に相談してください。
「自分だけが気になる」と思ったときに確かめられること
最後に、感じ方の個人差について公的な資料が何と言っているかを確認します。
環境省は「感受性等に個人差がある」と書いています
環境省の「低周波音問題に関するQ&A」には、苦情の判断に使う『参照値』の説明の中で、次の一文があります。「ただし、感受性等に個人差があることもあり、『参照値』以下であっても低周波音が原因である場合も否定できません」(環境省「低周波音問題に関するQ&A」)。
その『参照値』がどう作られたかも書かれています。「一般被験者の90%の人が寝室で許容できるレベルとして設定したもの」であり、心身に係る苦情の参照値は「大部分の人があまり気にならないで許容できる最大音圧レベル」だとされています。つまり、はじめから全員が許容できる値としては設計されていません。同じ音を許容できない人がいることを織り込んだうえで、行政の文書が組み立てられているわけです。
この記事が言えるのはここまでです。個人差があるという記述から、読者一人ひとりに特定の特性や診断名を当てはめることはできませんし、してはいけないと考えています。
環境省の資料にある、確かめ方の観点
「よくわかる低周波音」には、原因を絞り込むための観点が並んでいます。エアコンに置き換えられる部分を抜き出すと、次のようになります。いずれも私が考えた基準ではなく、資料に書かれている項目です。
- 家の外でも同じ音が聞こえるか。家の中で聞こえて外で聞こえない場合、家の中に発生源がある場合や、ご自身の耳鳴りの場合等もあるとされています
- 家族や知人も同じように感じるか。「ご自身以外にご家族や知人が同様に感じれば、低周波音・騒音の可能性が高くなります」
- 発生源を止めると変わるか。「発生源と思われる施設の稼動・停止と、低周波音の感じ方…と対応していればその施設が発生源である可能性が高くなります」。エアコンなら、運転を止めたときに感じ方が変わるかどうかです
- 記録を残す。「日付・時間帯・発生状況などを記録にとっておくと、後に有効な資料になります」
この4点は、販売店やメーカーに相談するときの材料としてもそのまま使えます。「なんとなくうるさい」より、いつ・どの運転で・どこにいるときに気になるかを書き留めたメモのほうが、点検を頼むときに伝わりやすいはずです。
体調の心配があるときは医療機関に相談してください
環境省のQ&Aには、原因の切り分けが付かない場合についてこう書かれています。「発生源側との対応がない場合には、苦情者自身の問題(耳鳴り等)の可能性も考えられます」「苦情の内容を医学的・総合的に判断することが必要であり、最終的には専門家の判断が必要である」。
音が気になって眠れない、耳鳴りがする、頭痛が続くといった状態があるなら、エアコンの設定をいじる前に、医療機関に相談してください。私は医学の専門家ではなく、この記事に書けるのはエアコン側と行政資料側の事実だけです。体調の判断は、必ず専門家に委ねてください。
エアコンの音が苦手なときのよくある質問(FAQ)
Q1. 故障ではない音でも、メーカーに相談していいのでしょうか?
A. 日立は音の一覧ページの末尾で「該当する音がない、音が大きくなって気になる、または生活に支障が出てお困りの場合」に点検を相談するよう案内しています。ダイキンも「音が気になる場合は」点検を依頼するよう書いています。故障だと断定できなくても、相談の入口は用意されているという理解でよさそうです。
Q2. 「ジージー」「チッチッ」という細かい音は止められますか?
A. シャープはこの音をプラズマクラスターイオン発生時の音として説明し、「気になる場合は、プラズマクラスター『切』に設定してください」と案内しています。パナソニックも「nanoe(ナノイー)」の音について「就寝時など音が気になるときは取り消してください」と書いています。機能を止めれば音も止まる、という整理です。搭載機能はメーカー・機種によって違うので、お使いの機種の取扱説明書で確認してください。
Q3. おやすみタイマーを使うと運転音は静かになりますか?
A. パナソニックは「風量は弱くなります」、シャープは風量が「自動」の場合「弱い風量で運転します」と取扱説明書に書いています。音に関して行われているのは風量を落とすことなので、風量を手動で弱くした場合と方向は同じです。ただし何dB下がるといった数値はどちらのメーカーも公表していないため、この記事でも効果の数値は示せません。
Q4. 家族は気にならないと言います。自分の感じ方がおかしいのでしょうか?
A. 環境省は「感受性等に個人差があることもあり」と明記しており、苦情の判断に使う参照値も「一般被験者の90%の人が寝室で許容できるレベル」として設定されたものです。全員が同じように許容できる前提では作られていません。一方で、家族や知人も同じように感じるかどうかは、原因を絞り込むための観点として資料に挙げられています。感じ方の違いそのものを、良し悪しの話として扱う必要はないと思います。
Q5. エアコンの位置を変えれば静かになりますか?
A. 日立は室内機の設置条件として「振動が出ない、強度のあるところに据え付けてください」と書いており、シャープの取扱説明書にも「運転音や振動が大きく伝わらない所」を選ぶという記載があります。ただし日立は「室内機の設置が可能かどうかは、ご自身で判断せず、お買い上げの販売店や設置業者へご相談ください」とも明記しています。移設は冷媒の扱いを伴う工事なので、自分で判断せず販売店に相談してください。
まとめ:エアコンの音が苦手なときに、確認できること
この記事で確認できた事実を整理します。
- 「音が気になる」「生活に支障が出てお困りの場合」は、メーカーの資料に実際に書かれている相談の入口です
- 取扱説明書には、フィルターおそうじ運転の時刻変更、イオン発生機能の停止、換気の静音設定、暖房時の「室外音 低め」など、風量調節以外の設定項目が載っています
- おやすみ系タイマーが音に対して行っているのは、風量を弱くすることです
- 環境省は、室内では低い周波数の音が際立つこと、部屋の中でも場所により聞こえ方が変わることを解説しています
- 環境省は音の感じ方に個人差があることを前提に文書を作っています。ただし、そこから個人に診断名を当てはめることはできません
- 体調の心配があるときは、エアコンの設定より先に医療機関へ相談してください

まずやってみるとしたら、お使いの機種の取扱説明書を開いて「音」で探してみることをおすすめします。私が読んだ範囲では、どのメーカーの取扱説明書にも音に関する記載が想像より多く載っていました。自分の機種にどの設定があるかは、そこにしか書かれていません。

