こんにちは、エアコンラボのアキです。
エアコンのリモコンに「しずか」というボタンや表示があると、なんとなく「静かで、しかも電気代も安そう」と感じませんか。似たところで「無風感」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。どちらも穏やかな運転をしてくれそうな響きですよね。
ただ、この2つはまったく別の機能です。しかもメーカーごとに名前が違うので、調べれば調べるほど分からなくなってしまいます。そこでこの記事では、ダイキン・パナソニック・三菱電機・日立の公式ページと取扱説明書を実際に読み比べて、それぞれの機能が何をしているのか、そして電気代についてメーカーが何を書いていて何を書いていないのかを整理しました。
- 各社の「しずか」系モードが実際に何を制御しているのか
- 「無風感」と「しずかモード」はどう違うのか
- しずかモードの電気代について、メーカーが数値を出しているのかどうか
- 電気代を決めている本当の要因と、公的機関が示している節約の目安

エアコンの「しずかモード」は何をしている機能なのか
まず、電気代の話に入る前に「しずかモード」の中身を確認しておきましょう。名前は各社バラバラですが、やっていることには共通点があります。
パナソニックは「しずかモード」という名前で搭載
「しずかモード」という呼び方をそのまま製品機能名にしているのはパナソニックです。エオリアの特長ページには、しずかモードの説明として「風量を抑えて静かに運転します」とだけ書かれています。搭載されているのはXシリーズ・EXシリーズ・GXシリーズ・Jシリーズ・LVシリーズ・Cシリーズの6シリーズです。
ポイントは、説明が「風量」の話だけで終わっている点です。冷やす力や暖める力そのものを変える、という書き方はされていません。
日立は風速の一段、ダイキンは風量の一段として持っている
日立の白くまくんの場合、「しずか」は独立したモードではなく風速の段階のひとつです。公式サポートによると、リモコンの[風速]ボタンを押すたびに[風速自動]→[風速(しずか)]→[風速(微風)]→[風速(弱風)]→[風速(強風)]→[急速パワフル]の順に切り替わると説明されています。「しずか」は微風よりもさらに手前、つまりいちばん弱い側にある設定なんですね。同じページには「みはっておやすみ設定中は『風速(しずか)』に設定され、変更ができません」という記載もあります。
ダイキンも風量の段階として「しずか」を持っています。同社が公開している節電の検証記事では、比較条件が「風量:弱(風量しずか)」と表記されており、風量の最弱側を指す名称として使われていることが分かります。
三菱電機は本体スイッチで切り替える「静音設定」
三菱電機のルームエアコン(MSZ-ZWシリーズ)の取扱説明書には「静音設定」という名前で載っています。「冷房・暖房運転時に、室内機から出る風の音が気になるときは、風量を抑えた静音設定にすることができます」という説明で、リモコンではなく室内機の「応急運転」スイッチを約5秒間長押しして切り替える方式です。
そして、ここが今回いちばん重要な一文なのですが、同じ取扱説明書には「風量を抑えた運転を行うため、『標準設定』よりお部屋の冷えや暖まりが遅くなる場合があります」と明記されています。静かにする代わりに効きが遅くなる、とメーカー自身が書いているわけです。
4社を並べてみると、名前は「しずかモード」「風速(しずか)」「風量しずか」「静音設定」とバラバラですが、説明はどれも「風量を抑える」で一致しています。ここが出発点になります。
「無風感」はしずかモードとは別物です
では「無風感」はどうでしょうか。こちらは風量ではなく風の向きを扱う機能で、しずか系とは仕組みがまったく違います。
ダイキンの「風ないス運転」は風向を変える機能
ダイキンのルームエアコンには「風ないス運転」があります。公式のよくあるご質問では「風量と上下風向を自動で調節して、風が直接体に当たりにくくする運転です」と説明されています。冷房・除湿冷房・美肌冷房除湿のときはフラップを上向きに、暖房・加湿暖房・美肌暖房のときは下向きにする、という動きです。
そして注目したいのが、同じページにある2つの注意書きです。
- 風量設定は「自動」になり、風量は変更できない
- 送風・おやすみ・ランドリー運転中は設定できない
つまり風ないス運転は、風量を弱くする機能ではなく、風量は自動に任せたまま、当たり方だけを変える機能です。しずかモードとは狙いも制御対象も違います。なお別ページでは、体に風を当てたくないときの選択肢として風ないス運転と「エリア運転」の2つが案内されており、エリア運転は人感センサーで空調したい空間を選ぶ気流設定だと説明されています。
パナソニックは天井シャワー気流、日立はエリア風よけ
同じ「風を当てない」方向の機能は他社にもありますが、名前も動きも違います。パナソニックの用語集によると、天井シャワー気流は「冷房時にエアコンから吹き出す涼風を天井方向へ送って、上からシャワーのようにふりそそがせる気流制御」で、同ページでは「冷風の向きを工夫して、体に直接風が当たりにくくする」機能だと整理されています。
日立は「エリア風よけ」という名前で、「選択したエリアを避けて風を送ります」と説明されています。リモコンの[エリア選択]ボタンで、風を当てたくない場所を指定する方式です。上下の向きを変えるダイキンやパナソニックとは、そもそも避け方の考え方が違いますね。
今回確認した範囲では、「無風感」という言葉をそのまま機能名にしているメーカーは見つかりませんでした。検索で使われる総称と考えて、実際の機能名で調べ直すのが確実です。
しずか系と風よけ系の違い早見表
| 分類 | 各社の名称 | 公式説明で制御しているもの |
|---|---|---|
| しずか系 | しずかモード(パナソニック)/風速(しずか)(日立)/風量しずか(ダイキン)/静音設定(三菱電機) | 風量を抑える(風量は弱いまま固定) |
| 風よけ系(いわゆる無風感) | 風ないス運転(ダイキン)/天井シャワー気流(パナソニック)/エリア風よけ(日立) | 風の向き。ダイキンは風量を「自動」に固定する |
しずかモードの電気代は安いのか|メーカーの記載を確認しました
ここからが本題です。結論から書くと、「しずかモードにすると電気代がいくらになる」という数値を公表しているメーカーは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
省エネをうたう機能には数値があるのに、しずかモードには無い
これは「調べ方が足りない」という話ではないと考えています。というのも、各社は省エネを目的とした機能については、条件付きできちんと数値を出しているからです。
たとえばパナソニックは、しっとり冷房についてCS-X406D2で運転安定時約1時間の積算消費電力量が通常の冷房モード時269Wh、しっとり冷房モード時229Whという自社評価値を注記付きで載せています。AI快適エコナビについても、環境試験室(約14畳)・外気温2℃・設定温度25℃・風量自動という条件で、暖房の積算消費電力量が設定なし時517Wh、設定時414Whと公表されています。
省エネ機能なら数値を出す。しずかモードには出さない。この差は、しずかモードが省エネ機能として設計されていないことの表れだと読むのが自然です。
ダイキンの検証では、風量「弱(しずか)」のほうが消費電力量が多かった
では実際どうなのか。ダイキンが公開している検証記事に、まさにこの比較があります。冷房で日中11時間(8:00〜19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測したところ、風量「弱」が3.85kWh、風量「自動」が2.79kWhとなり、自動のほうが約3割少なかったと報告されています。この記事の設定表では、弱側の条件が「風量:弱(風量しずか)」と書かれています。
ただし、この検証は同じ日の同時比較ではありません。同ページの設定表によると、風量「弱」は2023年7月24日・設定温度26℃、風量「自動」は2023年7月27日・設定温度27℃で、設定温度は当日の予想最高気温からマイナス8℃としたとあります。日も設定温度も違うので、差の全部が風量のせいだとは言い切れません。そこは正直に受け止めるべきところです。
とはいえ、理由の説明には納得感があります。同ページでは、風量を弱くすると室内機の冷えた熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋を涼しくするのに時間がかかるため、圧縮機の運転にかかる負荷が増えると解説されています。そして圧縮機はエアコンの消費電力の約8割を占めるとも明記されています。
同じ検証記事の別項目では、暑く感じたときに設定温度を1℃下げた場合が1.13kWh、風量を「強」にした場合が0.52kWhという結果(13:00〜15:00の計測)も出ています。ファンが使う電力は圧縮機に比べればわずかだ、という説明とセットで読むと筋が通りますね。
三菱電機の「効きが遅くなる」という記載と同じ話
先ほど引用した三菱電機の「標準設定よりお部屋の冷えや暖まりが遅くなる場合があります」という一文は、電気代の話としては書かれていません。ですが、効きが遅れるということは、設定温度に届くまで圧縮機が働き続ける時間が延びるということです。消費電力の約8割を占める部分が長く動けば、電気代の側にも出てきます。
◆アキのワンポイントアドバイス
エアコンの運転モードは「送風ファンをどうするか」と「圧縮機をどうするか」で読み解くと、だいたい正体が分かります。しずか系はファン側だけをいじる機能なので、電気代の主役である圧縮機には手を入れていません。それどころか、部屋の空気が動きにくくなって圧縮機の仕事を長引かせる方向に働きます。
「静かにする」と「早く効かせる」は、制御としては引っぱり合う関係です。どちらを優先したいのかを決めてからボタンを押すと、期待外れになりにくいと思いますよ。
電気代を決めているのはモード名ではなく圧縮機の働き方

ここで、そもそもエアコンの電気代がどう決まるのかを数字で確認しておきましょう。モード名にとらわれなくなります。
1時間あたりの電気代は「消費電力×単価」で大きく振れる
ダイキンのよくあるご質問では、1時間あたりの電気代は「消費電力kW×電力料金×1時間」で計算し、電力料金単価は一般的に31円/kWh(税込・令和4年7月改訂)で算出すると案内されています。同ページはS25TTRXS-Wを例に、冷房の定格0.5kWで15.5円、最小0.105kWで3.3円、最大0.92kWで28.5円と示し、「エアコンはお部屋の状況により能力を変化させるため電気代も変動し、約3.3円〜28.5円の間で運転します」と説明しています。
日立も同じ考え方で、電気代単価31円/kWh(税込)を全国家庭電気製品公正取引協議会が示した主要電力会社10社の平均単価・2024年9月現在として、RAS-X22Mの例を挙げています。
| 出典・機種 | 冷房時の消費電力 | 1時間あたりの電気代の目安 |
|---|---|---|
| ダイキン S25TTRXS-W | 最小0.105kW〜最大0.92kW(定格0.5kW) | 約3.3円〜28.5円(定格15.5円) |
| 日立 RAS-X22M | 115W〜900W | 約5円〜約28円 |
| 日立 RAS-X22M(暖房) | 110W〜1,490W | 約3円〜約46円 |
いずれも単価31円/kWhでの計算です。注目してほしいのは幅の広さで、同じ1台でも1時間あたり約3円のときもあれば約28円のときもあります。この振れ幅を作っているのが圧縮機です。モードの名前ではありません。
カタログの期間消費電力量はJISで決まった条件の値
年間の電気代の目安によく使われる「期間消費電力量」も、条件が決まった試算値です。日本冷凍空調工業会によると、これはJIS C 9612:2013に基づく次の条件での値とされています。
- 外気温度:東京をモデルとする
- 設定温度:冷房時27℃/暖房時20℃
- 期間:冷房5月23日〜10月4日、暖房11月8日〜4月16日
- 時間:6:00〜24:00の18時間
- 住宅:平均的な木造住宅(南向)
同ページには「1日の外気温度変化により室外機(圧縮機)は自動的に停止したり、能力・消費電力が大きくセーブされる時間帯もあります」という注意書きもあります。18時間つけていても、その間ずっと同じ電力を使っているわけではないんですね。日立の例では、RAS-X22Mの期間消費電力量555kWhに31円をかけて年間17,205円という計算が示されています。
ちなみに資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトでは、カタログの目安電気料金は27円/kWhで計算されています。単価が違えば金額も変わりますので、比べるときは単価をそろえてください。買い替えと省エネ性能の話は古いエアコンの記事で条件ごと詳しく整理しています。
しずかモードと無風感、電気代を意識した使い分け
ここまでの内容を、実際のリモコン操作に落とし込みます。
しずかモードは「部屋が落ち着いてから」使う
しずかモードは風量を抑える機能で、メーカー自身が効きの遅れを注記しています。ですから、帰宅直後や猛暑日の午後など、これから一気に冷やしたい場面には向きません。まず自動で室温を整えて、落ち着いてから静かさに切り替える。この順番なら、圧縮機が長時間フル稼働する時間帯を静音運転で引き延ばさずに済みます。風量設定そのものの話は風量自動の記事と強風運転の記事で掘り下げています。
風ないス系は風量が自動のままという点が効いてくる
一方、ダイキンの風ないス運転は風量設定が「自動」に固定されます。ダイキンの検証で消費電力量が少なかったのはまさにその「自動」ですから、風を避けたい目的なら、風量を手で弱くするより風ないス運転を使うほうが理屈に合っています。風が苦手だから「しずか」にする、という選び方は遠回りになりやすいということです。
なお、風ないス運転は送風・おやすみ・ランドリー運転中には設定できません。日立の場合は逆に、みはっておやすみ設定中は風速が「しずか」に固定されます。就寝時の運転は機種ごとの決まりが強く出る部分なので、取扱説明書での確認をおすすめします。おやすみ系の運転についてはみはっておやすみの記事もあわせてどうぞ。
電気代を下げたいなら、モードより設定温度と運転時間
ダイキンは、冷房で設定温度を1℃上げると約10%、暖房で1℃下げると約10%の節電効果があるとされると案内しています。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトも、条件を明示したうえで次の目安を出しています(いずれも電気31円/kWh・令和4年7月の全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価で換算)。
- 外気温度31℃のとき、2.2kWのエアコンの冷房設定温度を27℃から1℃上げる(使用時間9時間/日)→年間30.24kWh・約940円の節約
- 冷房を1日1時間短縮する(設定温度28℃)→年間18.78kWh・約580円の節約
- 暖房を1日1時間短縮する(設定温度20℃)→年間40.73kWh・約1,260円の節約
- フィルターを月に1回か2回清掃する→年間31.95kWh・約990円の節約
しずかモードの電気代を気にするより、こちらのほうが効果の裏付けがはっきりしています。静かさは静かさとして遠慮なく使い、節約は設定温度・運転時間・フィルターで取りにいく。この切り分けがいちばん納得感があると思います。
エアコン しずかモード 電気代に関するよくある質問(FAQ)
Q1. しずかモードにすると電気代は安くなりますか?
A. 「安くなる」と書いているメーカーは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。逆にダイキンの検証では、風量「弱(風量しずか)」の3.85kWhに対して風量「自動」が2.79kWhと、自動のほうが少ない結果が出ています(冷房・8:00〜19:00の11時間、日と設定温度が異なる条件での比較)。安くなることを期待して使う機能ではない、と考えるのが安全です。
Q2. しずかモードと無風感は同じものですか?
A. 違います。しずか系は風量を抑える機能で、ダイキンの風ないス運転に代表される風よけ系は風の向きを変える機能です。風ないス運転は風量設定が「自動」になり、変更できません。制御している場所が別なので、効果も別と考えてください。
Q3. うちのリモコンに「しずか」ボタンが見当たりません。
A. 名前と場所がメーカーで違います。パナソニックは「しずかモード」、日立は風速の段階のひとつ、ダイキンは風量の段階、三菱電機のMSZ-ZWシリーズは室内機の「応急運転」スイッチを約5秒間長押しして切り替える「静音設定」です。リモコンだけ見て無いと判断せず、取扱説明書を確認してみてください。
Q4. 無風感(風ないス)を使うと電気代が上がりますか?
A. 風ないス運転の電気代について、ダイキンは数値を公表していません。分かっているのは、この運転中は風量が「自動」になるということです。ダイキンの検証で消費電力量が少なかった側の設定と同じですので、風量を手で弱くする使い方と比べれば不利にはなりにくいと読めます。ただし機種や部屋の条件で変わるため、断定はできません。
Q5. カタログの年間電気代と、実際の請求額が合わないのはなぜですか?
A. カタログの期間消費電力量がJIS C 9612:2013の決まった条件(東京の外気温度、冷房27℃/暖房20℃、6:00〜24:00の18時間、平均的な木造住宅など)での試算値だからです。単価も出典によって27円/kWhと31円/kWhが使われています。地域・断熱性能・使い方・契約単価が違えば、金額はずれて当然です。
まとめ・エアコンのしずかモードと電気代
今回は、各社の公式ページと取扱説明書をあたって「しずかモード」と「無風感」を整理しました。しずか系は風量を抑える機能で、パナソニックは「しずかモード」、日立は風速(しずか)、ダイキンは風量しずか、三菱電機は静音設定という名前で持っています。一方の無風感は総称で、実際にはダイキンの風ないス運転、パナソニックの天井シャワー気流、日立のエリア風よけといった、風の向きを扱う別系統の機能でした。
電気代については、しずかモードの金額を公表しているメーカーは見つかりませんでした。分かっているのは、圧縮機が消費電力の約8割を占めること、風量を弱めると効きが遅れるとメーカー自身が書いていること、そしてダイキンの検証では風量「自動」のほうが消費電力量が少なかったことです。
静かさが欲しい時間帯には遠慮なくしずかモードを使い、節約は設定温度1℃・運転時間・フィルター掃除で取りにいく。この使い分けなら、どちらも我慢せずに済みます。ご自宅のリモコンの表示を、この記事の分類で一度見直してみてください。

