エアコンの音は空気圧が原因?気圧で説明できる音は1種類だけです

気密性の高い部屋のドアとエアコン室内機、空気圧による音のイメージ 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

「エアコンから変な音がする。もしかして部屋の空気圧のせいでは?」と考えて、このページにたどり着いた方が多いと思います。先に結論をお伝えします。メーカーが公開している音の一覧を読むかぎり、空気圧(室内と屋外の気圧の差)で説明されている音は「ポコポコ」系の1種類だけです。ほかの音は、温度変化・冷媒・風・部品の動作など、気圧とは別の理由で説明されています。

そしてもう一つ。その気圧差を作っているのは、エアコンではありません。レンジフードや換気扇といった、家の換気設備のほうです。この記事では、どこまでを空気圧のせいにしてよいのかを、エアコンメーカーと換気設備メーカーの公式資料の両方から線引きします。

  • メーカーが挙げる音のうち、気密性・換気扇に触れているのはどれか
  • 室内の気圧を下げているのは何なのか(レンジフード側の資料で確認)
  • エアコン以外にも出る「気圧が下がっているサイン」
  • 24時間換気の家が、そもそも空気を出し続けている理由

気密性の高い部屋のドアとエアコン室内機、空気圧による音のイメージ

空気圧が原因とされているエアコンの音は1種類だけです

ダイキンの「室内機から変わった音がする(ルームエアコン)」というFAQは、室内機から出る音を12種類に分けて説明しています。このうち、気密性や換気扇という言葉が出てくるのは「ポコポコ」「ポンポン」「ボコボコ」の欄だけです。

まぎらわしい音を4種類ならべると、線引きがはっきりします。

ダイキンの説明 原因の系統
「ポコポコ」「ポンポン」「ボコボコ」 気密性の高いお部屋では空気の通る場所が少なく、ドレンホースが空気の通り道になる。換気扇を使用するとドレンホースから屋外の空気が入る 気圧差
「ピシッ」「パキ」 運転開始や停止時などの温度変化で、樹脂部品がわずかに伸び縮みしたときの音 温度変化
「プシュー」 霜取運転時や運転停止時に、エアコン内部の冷媒の流れが切り替わるときの音 冷媒
「ゴー」「ボー」「サー」「ヒューヒュー」 フィルターの汚れや目詰まりで風の通りが悪くなると、吹出口から出る風の音が大きくなる 送風とフィルター

出典はダイキン よくあるご質問「室内機から変わった音がする(ルームエアコン)」です。「ドアを閉めたらミシッと鳴った」という体験は誰にでもありますが、樹脂がきしむ音を気圧のせいだと書いているメーカーはありません。この点はエアコンのチリチリ・パチパチ音の記事で、冷媒の音はエアコンのプシュー音で整理しています。音の一覧そのものを見比べたい方はエアコンの音は正常?もどうぞ。

パナソニックのルームエアコン(家庭用)の取扱説明書も同じ立場です。「ポコポコ」という音について「ドレンホース内の水が逆流している音です。特に、高層マンションなど、気密性の高い部屋で、換気扇を回しているときや、屋外に強い風が吹いているときに発生します」と書き、対処として「お部屋の吸気口を開けることで解消されることもあります」と案内しています(参照:パナソニック ルームエアコン(家庭用)取扱説明書 CS-X221C・CS-221CXほか)。

室内の気圧を下げているのはエアコンではなく換気設備です

屋外に出たエアコンのドレンホース先端のイメージ

ここからがこの記事の本題です。エアコン側の説明だけを読んでいると「気密性の高い部屋だから仕方ない」で終わってしまいますが、レンジフードを作っている換気設備メーカーの資料には、気圧が下がる側の事情が書かれています。

富士工業(FUJIOH)は同時給排レンジフードの説明ページで、こう書いています。「給気をおこなわずに、高気密住宅でレンジフードを運転すると、室内の気圧が下がりドアがあけづらくなったり、レンジフードの吸い込みが弱くなったりなることがあります」(参照:FUJIOH 同時給排)。

さらに同社のよくあるご質問には、エアコンを名指しした一文があります。「給気不足の環境下でレンジフードをご使用になると、多少の隙間からでも外気を吸い込もうとします。特にエアコンのドレンホースやシンクの排水口では、吸い込もうとして水が逆流しポンポンと音がする場合があります。レンジフードご使用時は必ず給気口や窓を開けてください」(参照:FUJIOH よくあるご質問)。

エアコンメーカーは「換気扇を止めてください」と書き、換気設備メーカーは「給気口を開けてから使ってください」と書いています。両者は同じ現象を、出口の側と入口の側から説明しているわけです。エアコンが壊れているという話は、どちらにも出てきません。

ノーリツも「レンジフードの吸い込みが悪い」の項目で、最初の確認事項に「外からの給気が十分ありますか?」を挙げ、「窓・給気口を開け、十分な給気を確保してください」と案内しています(参照:ノーリツ よくあるご質問「レンジフードの吸い込みが悪い」)。

気圧が下がっているときは、エアコン以外にもサインが出ます

「本当に空気圧の問題なのか」を確かめたいとき、エアコンだけを見ていても分かりません。次のサインが同時に出ていれば、原因は1台の家電ではなく家全体の空気の出入りです。

  • ドアが開けづらい・重い……FUJIOHが室内の気圧低下の症状として挙げています
  • レンジフードの吸い込みが弱い……FUJIOH・ノーリツがそろって給気不足の症状としています
  • シンクの排水口からもポンポン音がする……FUJIOHがドレンホースと並べて挙げています
  • 換気扇を止めると音が変わる……レンジフード、浴室、トイレの順に1台ずつ止めて確かめます

逆に、これらがまったく当てはまらないのに音だけが続いているなら、気圧以外の原因を探したほうが早いということになります。

なお、空気の入口の呼び方はメーカーによって違います。ダイキンは「換気口」、パナソニックは「吸気口」、FUJIOHとノーリツは「給気口」と書いています。どれも同じ、壁や窓枠にある空気の取り入れ口のことです。取扱説明書で言葉が見つからないときは、この3つで探してみてください。

24時間換気の家は、もともと空気を出し続けています

気密性の高い部屋のドアと給気口のイメージ

そもそも、なぜ現代の家はほうっておくと気圧が下がるのでしょうか。理由は、空気を出す設備が法律にもとづいて常時動いているからです。

国土交通省は、シックハウス対策に係る法令等が平成15年(2003年)7月1日に施行され、「居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付けられています」と説明しています(参照:国土交通省「建築基準法に基づくシックハウス対策について」)。いわゆる24時間換気です。

必要な換気量は建築基準法施行令第二十条の八に定められていて、必要有効換気量は Vr=nAh(Aは居室の床面積、hは天井の高さ)で計算します。このnが、住宅等の居室では0.5回、その他の居室では0.3回と決められています(参照:e-Gov法令検索 建築基準法施行令)。住宅なら1時間に部屋の空気の半分を入れ替える計算です。

つまり出口は24時間動き続ける前提で設計されています。入口である給気口が閉じていれば、空気は残ったすき間から入るしかありません。ドレンホースがその「すき間」に選ばれてしまう、というのが一連の話の正体です。

空気圧が原因だと分かったあとにやること

やることは一つで、空気の入口を増やすことです。ダイキンは「お部屋の換気口を開ける」、パナソニックは「お部屋の吸気口を開ける」、FUJIOHとノーリツは「給気口や窓を開ける」と、4社が同じ方向を案内しています。まずはエアコンと同じ部屋の給気口を全開にしてみてください。

レンジフードの側に手を入れる選択肢もあります。給気専用の経路を持つ同時給排タイプのレンジフードなら、排気と給気を同時におこなって室内の気圧低下を防げます。FUJIOHは排気と給気のダクトについて「あくまで目安ですが、排気と給気のダクトの芯位置で1m以上離していただければ良いかと思います」としています。ただしこれは新築や交換のタイミングで検討する話なので、いま鳴っている音の対処にはなりません。

ポコポコ音そのものを止める具体的な手順(給気口の掃除、換気扇の切り分け、ドレンホース先端の向き、別売の逆止弁とその注意点)は、エアコンのポコポコ音を窓を開けずに止める方法にメーカー各社の記載をまとめてあります。この記事は「その音を空気圧のせいにしてよいか」までを扱っています。

よくある質問

Q. ドアを閉めた瞬間の「ミシッ」も空気圧ですか?

A. メーカーの説明にはありません。ダイキンは「ピシッ」「パキ」を温度変化による樹脂部品の伸び縮みとしており、気圧には触れていません。空気圧と結びつけて書かれているのは、あくまでドレンホースから出るポコポコ系の音です。

Q. 24時間換気を止めれば解決しますか?

A. おすすめしません。機械換気設備の設置は建築基準法で原則義務とされており、住宅等の居室では1時間に0.5回の換気量が基準です。止めるのではなく、給気口を開けて入口をそろえるほうが筋の通った対処です。

Q. レンジフードの吸い込みも弱い気がします

A. 給気不足のサインとして両社が挙げている症状です。ただしFUJIOHはフィルターの目詰まりも原因に挙げ、1ヶ月に1回程度のお手入れをすすめています。給気口を開けても変わらないなら、フィルター側も確認してみてください。

まとめ

エアコンの音を空気圧で説明できる範囲は、思っているより狭いです。メーカーが気密性や換気扇と結びつけているのはポコポコ系の1種類だけで、きしむ音も冷媒の音も風の音も、別の理由で説明されています。そして気圧を下げているのはエアコンではなく、家の換気設備です。

だから対処もエアコン側ではなく、空気の入口の側にあります。今夜、エアコンと同じ部屋の給気口が開いているかだけ確かめてみてください。それで音が変わったなら、犯人はエアコンではなかったということです。

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