エアコンの「キーン」という高音・モスキート音をメーカー資料で確かめる

エアコンから甲高い高音が聞こえるイメージ 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

エアコンをつけていると「キーン」という細い高い音が耳につく。テレビの音より先にその音を拾ってしまう。家族に言っても「そんな音、してる?」と返ってくる。そんな状態だと、故障なのか仕様なのか判断がつかず落ち着かないですよね。

検索すると「キーンは冷媒不足のサイン」「モスキート音はインバーターのコイル鳴き」といった説明がすぐ出てきます。ただ、私がエアコンメーカー5社の公式資料と公的機関の資料を実際に開いて確かめたところ、その説明はどの資料にも書かれていませんでした。この記事では、資料に書いてあったことだけを、書いてあった場所ごと並べます。

  • 各社の音の一覧に「キーン」があるのはどこか、どの欄に置かれているか
  • 「モスキート音」という言葉を使っている公式資料はあるか
  • 音の高さと聞こえ方について、公的機関が書いていること
  • 高い音が気になるとき、メーカーが案内している確認の順番

エアコンから細い高音が聞こえて気になっているイメージ

「キーン」を音の一覧に載せているメーカーは2つありました

まず結論から書きます。今回確認したのは日立・ダイキン・三菱電機・パナソニック・シャープの5社です。このうち、公式の音の一覧に「キーン」という表記がそのままあったのは日立と三菱電機でした。そして2つの資料は、同じ「キーン」を別の欄に置いています

日立は「正常に運転しているときに発生する音」に入れています

日立の室内機の音の原因を知りたいです。というページは、音を「エアコンが正常に運転しているときに発生する音」13種類と「エアコンに問題が発生している可能性がある音」2種類の、合計15種類に分けています。

「キーン」が出てくるのは前者です。「(機械が動いているような音)」という見出しの下に「シャー・キーン・ミーン」という項目があり、説明は「室内機ファンを掃除している音です。」の一文だけです。同じ正常側には「(吹き出し口から聞こえる音)ピー・ピュー・ヒュー・ザー」もあり、こちらは「吹き出し口から風が出るときの音です。風速が強いと音が大きくなります。音が気になる場合は、風速を自動にすることをおすすめします。」と書かれています。日立が高い音に対して案内している操作は、この風速の1つだけでした。

三菱電機は「故障かな?診断」の項目名として置いています

三菱電機の故障かな?診断:音関連は、ルームエアコンの「故障かな?」の下にあるページで、音の項目を9種類並べています。その9種類目が「“キーン”“ブーン”という音。」です。

ここで正直にお伝えしておきます。このページは「下記の各項目をクリックし、内容をご確認ください。」という作りで、クリックした先の回答文はページのデータに含まれていません。ですから私に確認できたのは項目名だけで、三菱電機が「キーン」をどう説明しているかまでは分かりませんでした。分からないことは分からないまま書きます。

ダイキンの一覧に「キーン」は無く、近いのは「キーキー」です

ダイキンの室内機から変わった音がする(ルームエアコン)は、音を3種類の見出しに分けた12種類の一覧です。内訳は「お手入れや使い方で改善できる音」4種類、「エアコンの動作上する音 (故障ではない音)」6種類、「故障の可能性のある音」2種類となっています。

この12種類に「キーン」はありません。高い音として近いのは「故障の可能性のある音」に入っている「キュルキュル」「キーキー」(こすれるような音)で、「ファンなどの動作部品がハウジングにあたるなど、こすれて音が出ている可能性があります。」と説明されています。同じ欄のもう1種類が「ピーピー」(警報のような音)で、こちらは「ピーピーという音が鳴り続ける場合は、エラー状態です。」です。

資料 高めの音として載っている表記 置かれている欄 資料の説明
日立(室内機の音の一覧・15種類) シャー・キーン・ミーン 正常に運転しているときに発生する音 室内機ファンを掃除している音
日立(同上) ピー・ピュー・ヒュー・ザー 正常に運転しているときに発生する音 吹き出し口から風が出るときの音。風速が強いと音が大きくなる
三菱電機(故障かな?診断・9種類) “キーン”“ブーン” 区分なしの診断項目 回答文はページに表示されず、確認できず
ダイキン(室内機の音の一覧・12種類) キュルキュル・キーキー 故障の可能性のある音 動作部品がハウジングにあたるなど、こすれて音が出ている可能性
ダイキン(同上) ピーピー 故障の可能性のある音 鳴り続ける場合はエラー状態
パナソニック(取扱説明書の音の欄・10種類) 該当する表記なし
シャープ(取扱説明書の音の欄・6種類) 該当する表記なし

この表は「どの音なら故障か」を判定するための表ではありません。同じ「キーン」が、ある会社では正常な動作音の欄に、別の会社では故障かな?診断の項目に置かれているという事実の一覧です。擬音語だけで原因が決まらないことが、そのまま表れています。

あわせて確認しておきます。「キーンという音は冷媒不足のサイン」という説明は、今回調べた5社の資料のどこにも出てきませんでした。「冷媒不足」「ガス不足」という語自体が1度も登場しません。当ブログでも過去に同じ記述をしていましたが、根拠が確認できなかったため削除しています。

「モスキート音」という言葉を使っている公式資料はありませんでした

「エアコン モスキート音」で検索して、この記事にたどり着いた方もいると思います。以前は別記事として扱っていた内容ですが、答えるべき中身が同じだったのでこの記事にまとめました。

メーカー5社の資料にも、公的機関の資料にも出てきません

エアコンの室外機と室内機の構造のイメージ

今回、日立とダイキンのサポートページ、三菱電機のFAQ、パナソニックの取扱説明書シャープの取扱説明書を全文で検索しました。さらに環境省と厚生労働省の資料も同じように調べています。「モスキート音」という語は、どの資料にも1度も出てきませんでした。

つまりモスキート音は、若い人に聞こえやすい高い音を指すときに世の中で使われている呼び名であって、メーカーが機能や症状の名前として使っている用語ではない、ということになります。サポート窓口に相談するときも「モスキート音がします」ではなく、「運転中ずっと細い高い音が続きます」のように、聞こえたままを伝えたほうが話が通じやすいはずです。

「インバーターのコイル鳴き」という説明も見つかりませんでした

もう1つよく見かけるのが「インバーター回路のコイル鳴きが原因」という説明です。これも探しましたが、音の原因としてインバーターに触れているメーカー資料は見つかりませんでした

取扱説明書に「インバーター」という語自体は載っています。ただし出てくるのは次の2つの文脈だけでした。

  • 製品の種類の表記…仕様表の「冷房・暖房兼用セパレート形(インバーター)」という記載(パナソニック・シャープとも仕様欄)
  • リモコン信号の混信…「インバーター照明があるお部屋では信号を受け付けないことがあります。」(パナソニック)、「電子瞬時点灯方式の蛍光灯(インバーター方式、ラピッドスタート方式など)がある部屋では、信号を受け付けないことがあります。」(シャープ)

どちらも音の説明ではありません。私はエアコンの制御ソフトを扱う仕事をしているので、圧縮機の回転数を細かく変える制御そのものは身近です。ただ、それと「あなたのエアコンのキーンがインバーター由来だ」と言い切ることの間には距離があります。裏づけのない断定はしないでおきます。

音の高さと聞こえ方について、公的資料が書いていること

ここまでメーカー資料を見てきましたが、「そもそも高い音とは何Hzなのか」「なぜ自分にだけ聞こえるのか」は、メーカー資料では扱われていません。この部分は環境省と厚生労働省の資料に記載がありました。

環境省の資料にある、周波数と感度の話

環境省の「よくわかる低周波音」1. 低周波音とはには、音の高さについて次のように書かれています。

  • 「1秒間に振動する回数を周波数といい、回数が多ければ高い音、少なければ低い音として聞こえます。」音の高さの単位はHz(ヘルツ)
  • 「人は周波数によって音の感度が異なります。人の耳は2000Hz〜5000Hz付近が最も感度がよく」
  • 身近な例として「NHKラジオの時報の『ポッポッポ・ポーン!』という音は、440Hzと880Hzの音です」
  • 周波数の帯は「超低周波音」「低周波音」「可聴音」「超音波」の4種類に分けて図示されている(日本では概ね1Hz〜100Hzが低周波音、うち1〜20Hzが超低周波音)

ここで押さえておきたいのは、人の耳は2000Hz〜5000Hz付近がいちばん敏感だという点です。エアコンの「キーン」が実際に何Hzなのかは公表されていないので私には分かりません。ただ、高めの音がとりわけ耳につきやすいこと自体は、この資料で説明がついています。低い音の話はまた別の性質になるので、ここでは踏み込みません。

厚生労働省が「高い音から」と書いているのは、騒音の話です

「若い人にしか聞こえない」という説明の根拠になりそうな記述も探しました。厚生労働省の「聞こえにくさ」感じていませんか?(環境との関係)には、騒音性難聴について「長時間大きな音を聞き続けることで、音を伝える役割をしている有毛細胞がダメージを受け、高い音から徐々に聞こえにくくなっていきます。」とあります。

一方、同じサイトの年齢との関係のページには、「一般的に40歳代から聴力が低下する傾向があると言われており、65歳を超えると、聞こえにくさを感じる人が急激に増え、75歳以上では約半数の方が聞こえにくさを感じているとも言われています。」と書かれていますが、こちらには周波数の記載がありません

つまり「高い音から聞こえにくくなる」と公的資料が書いているのは、年齢の説明ではなく騒音の説明のほうでした。よく語られる「年齢差」の話が、そのままの形で公的資料に載っているわけではない、というのが調べた結果です。

私に判断できないこと

大事なところなので、はっきり書いておきます。私はエアコンの記事を書いている人間であって、耳のことは完全に専門外です。家族に聞こえないからあなたの聞こえがおかしい、とも、若いから聞こえるだけだ、とも判断できません。資料に書いてあることをそのまま並べることしかできません。

厚生労働省のサイト自身も、「聞こえにくさ」を感じたら耳鼻咽喉科の受診をすすめる案内で締めくくられています。エアコンを止めても同じ音が続くようなら、それはエアコンの話ではなくなります。心配なときは、そちらに相談してください。

高い音が気になるときに、メーカーが案内している確認の順番

最後に、実際に何をすればいいかです。ここも私の考えではなく、各社が資料に書いている内容だけを並べます。

まず「いつから・どこから・どう変わったか」を書き留める

エアコンの状態を確認して記録しておくイメージ

各社が点検の相談をすすめる条件を読むと、判断の軸が擬音語ではなく「変化」であることが分かります。原文はこうです。

  • ダイキン(室内機)…「以前よりも音が大きくなったり、以前しなかった音が突然するようになったりした場合など音が気になる場合は、お買い上げの販売店または当社に点検をご依頼ください」
  • ダイキン(キュルキュル・キーキーの欄)…「以前よりも音が大きくなったり、ガリガリと削りあうような音が出た場合は」点検を依頼
  • 日立(室内機)…「該当する音がない、音が大きくなって気になる、または生活に支障が出てお困りの場合は、お買い上げの販売店または修理相談窓口に点検のご相談をしてください」
  • 日立(室外機…「以下に該当しない異音や、運転音が急に大きくなり止まらなくなった場合は…運転を停止し」点検を相談。5社の資料のうち、運転を止めるよう書いているのはこの1つだけでした

ですから、音の高さを測ろうとするより、いつから鳴り出したのか、室内機と室外機のどちらから聞こえるのか、運転を始めた直後だけなのかずっとなのか、以前と比べてどう変わったのかを書き留めておくほうが、相談したときにそのまま役に立ちます。

日立の一覧なら、まず風速を自動にして変化を見る

日立は「(吹き出し口から聞こえる音)ピー・ピュー・ヒュー・ザー」に対して「風速が強いと音が大きくなります。音が気になる場合は、風速を自動にすることをおすすめします。」と案内しています。高い音に対してメーカーが具体的な操作を書いていたのは、今回確認した範囲ではここだけでした。風の音か、それ以外かの切り分けにもなります。

なお、日立のエアコンのよくあるご質問には「運転音・異音」というカテゴリがあり、公開されているページは6本です。「キーン」だけを扱った単独のページは、その6本の中にはありませんでした。

ダイキンがリセットを案内しているのは「ピーピー」の場合です

「ブレーカーを落として入れ直すと直る」という対処もよく見かけますが、ダイキンがリセット手順を書いているのは12種類のうち「ピーピー」(警報のような音)の欄だけです。手順は「エアコンの運転を停止する」「エアコンの電源プラグを抜くか、エアコン専用のブレーカーをOFFにして1分ほど待つ」「電源プラグを挿し直すか、ブレーカーをONにする」「もう一度エアコンを運転してください」の4手順で、音が止まれば正常、再び鳴るなら点検依頼、と続きます。

裏を返すと、「キーン」に対してリセットを案内しているメーカーの資料は見つかりませんでした。試してはいけないという意味ではありませんが、「リセットすれば高音が消える」という前提で書かれた資料は無い、ということです。似た音でも原因の見当がつくものは、キュルキュルという音が鳴る原因モーター音がうるさいときの原因と対処法もあわせて確認してみてください。

よくある質問とまとめ

エアコンの高音・モスキート音に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 「キーン」という音がしたら故障ですか?

A. 擬音語だけでは決まりません。日立は「シャー・キーン・ミーン」を正常に運転しているときの音(室内機ファンを掃除している音)として15種類の一覧に載せ、三菱電機は「“キーン”“ブーン”という音。」を故障かな?診断の9種類の項目の1つとして載せています。同じ表記でも置かれている欄が違うので、資料の側でも1対1では決まっていません。

Q2. モスキート音はエアコンの故障の名前ですか?

A. いいえ。今回調べたメーカー5社の資料と、環境省・厚生労働省の資料には「モスキート音」という語が1度も出てきませんでした。症状名でも機能名でもないので、メーカーに相談するときは実際に聞こえている状態(いつから、どこから、どんな音が、どのくらい続くか)で伝えるほうが確実です。

Q3. 家族には聞こえないのに自分だけ聞こえます。おかしいのでしょうか?

A. 私に判断はできません。公的資料で確認できたのは、環境省が「人の耳は2000Hz〜5000Hz付近が最も感度がよく」と書いていること、厚生労働省が騒音性難聴の説明として「高い音から徐々に聞こえにくくなっていきます」と書いていることまでです。加齢との関係のページには周波数の記載がありません。気になる場合は、厚生労働省のサイトが案内しているとおり耳鼻咽喉科にご相談ください。

Q4. 新品なのに高い音がします。初期不良でしょうか?

A. 新品かどうかで線を引いている資料はありませんでした。各社が点検の相談をすすめている条件は「以前しなかった音が突然するようになった」「音が大きくなって気になる」「生活に支障が出てお困りの場合」といった内容です。買ったばかりで判断材料が無いときこそ、保証期間のうちに販売店やメーカーの窓口に状態を伝えておくのが早いと思います。

Q5. 高い音がしたら、すぐ運転を止めるべきですか?

A. 今回確認した5社の資料のうち、運転を止めるよう書いているのは日立の室外機のページだけで、条件は「以下に該当しない異音や、運転音が急に大きくなり止まらなくなった場合」です。室内機側の資料には運転停止の指示はありませんでした。急に大きくなって止まらない場合はこの条件に当てはまるので、止めたうえで相談してください。

まとめ 高い音は「擬音語」ではなく「どう変わったか」で伝える

エアコンの「キーン」という高音について、メーカー5社の資料で確認できたことを整理します。「キーン」の表記があるのは日立と三菱電機で、日立は正常に運転しているときの音(室内機ファンの掃除音)、三菱電機は故障かな?診断の9種類の項目の1つとして扱っていました。ダイキンの12種類に「キーン」は無く、近いのは「キーキー」(こすれるような音)でした。パナソニックとシャープの取扱説明書の音の欄にも該当する表記はありません。

そして「モスキート音」も「キーン=冷媒不足」も「インバーターのコイル鳴き」も、公式資料の中には見つかりませんでした。だからこそ、判断の軸は各社が共通して書いている「以前と比べてどう変わったか」に置くのがいちばん確実です。いつから、どこから、どんなときに、以前とどう違うのか。この4点をメモして販売店やメーカーの窓口に伝えれば、あなたのエアコンについて答えられる人につながります。焦って結論を決めなくて大丈夫ですよ。

その音がメーカーの一覧でどう扱われているかは、メーカー5社の音の一覧を並べて正常か確認した記事にまとめています。あわせてどうぞ。

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