
夜、静かになった部屋でエアコンから「ポコポコ」「ボコボコ」と鳴りはじめる。調べてみると「窓を開けてください」と書いてある。でも防犯が心配、虫が入る、外がうるさい、そもそも暑い――窓を開けたくない理由はいくらでもあります。
結論からお伝えします。窓は「空気の通り道をもう一つ作る」ための手段にすぎません。同じ役割は、部屋の給気口(換気口)を開ける、換気扇を止める、といった別の方法でも果たせます。実際、三菱電機の公式FAQは窓ではなく「お部屋の給気口を開ける」を対処法の筆頭に挙げています。そして恒久的に窓を閉めたままにしたいなら、各メーカーが用意している別売の「ドレンホース用逆止弁」という対策部品があります。
もう一つ、先に安心していただきたいことがあります。この音について、三菱電機も東芝も公式サイトで「故障ではありません」とはっきり書いています。修理を急ぐ必要はありません。私は今回、ダイキン・三菱電機・日立・富士通ゼネラル・東芝の各公式サポートと、逆止弁を作っている部材メーカーの仕様書・取扱説明書まで読み比べました。この記事はその原典だけで組み立てています。
- ポコポコ音が鳴るしくみと、メーカーが「故障ではない」と説明している根拠
- 窓を開けずに今日すぐ試せる3つの手当て(給気口・換気扇・ホース先端)
- 窓を閉めたまま止める恒久対策「ドレンホース用逆止弁」と、正しい相談先
- 逆止弁を付けても鳴るときに、メーカー自身が認めている限界と点検項目
エアコンのポコポコ音は故障ではありません
ドレンホースが「空気の通り道」になっている
エアコンの冷房・除湿運転では、室内機の内部で空気が冷やされて結露水が発生します。その水を屋外へ捨てるのがドレンホースです。ホースの先は屋外に開いていますから、ここは屋外と室内をつなぐ細い穴でもあります。
ダイキンの公式FAQは、この点をこう説明しています。「気密性の高いお部屋では空気の通る場所が少なく、エアコンのドレンホースが空気の通り道になることがあります」「このようなお部屋で換気扇を使用すると、ドレンホースから屋外の空気が入り、室内機で発生した結露水がスムーズに流れず、ポコポコと音がすることがあります」(参照:ダイキン よくあるご質問「室内機からポコポコと音がする(ルームエアコン)」)。
三菱電機はさらに音そのものの正体を書いています。「室外の空気がドレンホース内の水を通過して出てくることで発生する音です。故障ではありません」(参照:三菱電機 よくあるご質問「エアコンの室内機から、”ポコポコ”という音がするのですが」)。ホースの中にたまった水を、外から吸い込まれた空気が押しのけて通り抜ける。あの音はいわばストローで飲み物の底をすする音と同じ現象なのです。
ポイントは「換気扇を回すと室内の空気が外へ出ていく → その分の空気がどこかから入ってこようとする → 気密性が高い家では入口が少ないので、ドレンホースが入口にされてしまう」という流れです。犯人はエアコンではなく家の空気の出入りのバランスです。
メーカー5社が公式に説明している内容
主要メーカーの公式サポートを並べると、原因の説明も対処法もきれいに一致します。表現の違いはあっても、言っていることは同じです。
| メーカー | 公式サイトでの説明 | 案内している対処 |
|---|---|---|
| ダイキン | 気密性の高い部屋でドレンホースが空気の通り道になる。強い風がホース先端から逆流しても発生 | 換気口を開ける/少し窓を開ける/換気扇を止める/ホース先端の向きを変える/別売品「ドレンホース用逆止弁」 |
| 三菱電機 | 室外の空気がホース内の水を通過して出るときの音。故障ではありません | 給気口を開ける/ホース先端を風の当たらない方向へ/対策部品 MAC-852GB |
| 日立 | 気密性の高い集合住宅などで結露水がスムーズに流れなくなると発生。逆勾配があると停止中でも鳴る | 換気扇を止める/窓を少し開ける/逆止弁(因幡電機産業製 DHB-1416 を推奨) |
| 富士通ゼネラル | 高層住宅・高気密住宅で強風時やレンジフード等の使用時にホース内へ空気が流れる | 吸気口(窓)を開ける/自社での対応部品の取付工事(有償) |
| 東芝 | 室内と室外の気圧のバランスがくずれた場合に起きる現象。故障ではありません | 窓を少し開ける/換気扇を止める/別売品のルームエアコン用逆止弁 |
出典は順に、ダイキン、三菱電機、日立 よくあるご質問「エアコンの室内機から「ポコポコ」という音が出ます。」、富士通ゼネラル よくあるご質問「室内機からポコポコという音がする」、東芝ライフスタイル よくあるご質問「エアコンの使用中に変な音がしますが、故障ですか」です。5社とも修理ではなく「空気の通り道を作る」「逆止弁を付ける」という同じ方向の対処を案内しています。ちなみに三菱電機のこのFAQは2015年に公開され、直近では2023年に更新されています。長年にわたって同じ説明が維持されている、それだけ確立した現象だということです。
冬に鳴るときは霜取り運転の可能性もあります
1つだけ切り分けが必要なケースがあります。富士通ゼネラルは、ドレンホース由来の音とは別に「自動霜取り運転が作動した時にも『ポコポコ』という音が発生することがあります」と説明しています。暖房シーズンに、しかも定期的に十数分だけ鳴るような場合は、こちらの可能性があります。
暖房中の音は換気扇や給気口をいじっても止まりません。冷房・除湿で鳴るのか、暖房で鳴るのかを最初に確認してください。運転音の種類ごとの切り分けはエアコンのプシュー音の原因で整理していますので、そちらも参考にしてみてください。
窓を開けたくない人が最初に試す3つの手当て
ここからが本題です。窓を開けずに、道具も費用もゼロで今すぐ試せる手当てを、メーカーが案内している順に3つ紹介します。
①部屋の給気口(換気口)を開ける
これが最有力です。三菱電機の公式FAQで最初に挙げられている対処法は、窓ではなく「お部屋の給気口を開けることで改善されることがあります」です。ダイキンも「お部屋の換気口を開ける」を「少し窓を開ける」より先に書いています。
給気口とは、部屋の壁の上のほうや窓の脇に付いている、丸いカバーや細長いスリットの吸気口のことです。2003年以降に建てられた住宅なら、居室にはほぼ必ず設けられています(理由は後述します)。ここが閉じていると、換気扇が引っぱった分の空気の入口がなくなり、ドレンホースが代わりの入口にされてしまいます。
給気口は「開ける/閉じる」のレバーやダイヤルが付いているタイプが多く、冬に寒いからと閉め切ったままになっていることがよくあります。まずはエアコンと同じ部屋の給気口を全開にして、音が変わるか確かめてください。窓と違って防犯上のリスクがなく、フィルターも入っているので虫の心配も小さく済みます。
給気口のフィルターがホコリで目詰まりしていると、開けても空気が入ってきません。カバーを外して中のフィルターを掃除機で吸うか、水洗いして乾かしてから戻してください。これは窓を開けたくない人にとって、いちばん費用対効果の高い一手です。
②レンジフード・浴室換気扇を止める、または弱める
ダイキン・日立・東芝の3社がそろって「換気扇を止める」を挙げています。日立はその理由まで書いていて、「換気扇を止めると、室内と室外の気圧差が解消され、空気が排水ホース内を通らなくなるため、音が止まる場合があります」と説明しています。
富士通ゼネラルが「レンジフードなど」と具体名を挙げているとおり、影響が大きいのは風量の大きい換気扇です。次の順に疑ってみてください。
- キッチンのレンジフード(強で回していないか)
- 浴室の換気乾燥機(衣類乾燥モードで回りっぱなしになっていないか)
- トイレ・洗面所の換気扇
- 24時間換気の風量設定(強/弱の切り替えがあるか)
試す手順は簡単です。ポコポコ鳴っている状態で換気扇を1台ずつ止め、音が消えたらその換気扇が引き金だと分かります。犯人が特定できたら、その換気扇を使う時間帯だけ給気口を全開にする、レンジフードを「強」から「弱」に落とす、といった運用で回避できます。
ただし、24時間換気そのものを止めっぱなしにするのはおすすめしません。理由は法律にも関わるため、この記事の後半「24時間換気は止めてよいのか」で改めて説明します。
③ドレンホースの先端の向きと置き方を見直す
3つめは屋外側です。ダイキンは「また、強い風がドレンホースの先から逆流し音が発生することがあります」として「ドレンホースの先端の向きを変える」を挙げ、三菱電機も「ドレンホースに当たる風が強いときにも音が発生する場合がありますので、ドレンホースの先端を風があたらない方向へ向けてください」と案内しています。日立も「風が強い日や台風のときなど、排水ホースから空気が入り込みやすいとき」に同じ音が出るとしています。
ベランダや室外機まわりに出て、次の点を確認してみてください。
- ホースの先端が、風の吹き付ける方向に真正面を向いていないか
- 先端が水たまりや排水口の水に浸かっていないか(水没していると空気と水が交互に入ります)
- 先端が地面に押し付けられて、つぶれた状態になっていないか
- ホースが途中でU字にたるみ、水がたまる「トラップ」ができていないか
- ホースが途中で持ち上がる「逆勾配」になっていないか
最後の2つは重要です。日立は「エアコンを運転していないときでも、排水ホースの経路に逆勾配があり、ホース内に結露水が残っていると、音が出やすくなります」と明記しています。運転していないのに鳴る場合は、ホースの敷き方そのものを疑うサインです。ホースの向きを変えるだけなら自分でもできますが、たるみを直すためにホースを固定し直したり、切ったりつないだりする作業は屋外の高所になることもあります。ホース自体が古くて硬化している場合は、エアコンのドレンホース交換の費用と業者の選び方で費用感を確認したうえで、業者に頼むほうが確実です。
なぜ窓でなくてもいいのか
ここまでの3つに共通するのは、「ドレンホース以外の空気の入口を作る」か「空気を引っぱる力そのものを弱める」かのどちらかだということです。日立の説明が端的で、窓を開ける目的は「空気の通り道を別に確保することで、排水ホースに空気が入り込みにくくなる」ためだと書かれています。
つまり窓は目的ではなく手段です。給気口という専用の入口がすでにあるなら、そちらを開ければ同じ効果が得られます。窓を開けたくない人が最初に確認すべきは、自分の部屋の給気口がどこにあり、いま開いているか――この1点に尽きます。
窓を閉めたまま止める恒久対策「ドレンホース用逆止弁」
給気口を開ける、換気扇を止める、はあくまで運用でのしのぎ方です。「換気扇は使いたい」「給気口を開けても鳴る」という場合、メーカーが用意している本命の対策部品がドレンホース用の逆止弁です。
各メーカーが案内している対策部品
逆止弁は、ドレンホースの途中に割り込ませる小さな弁です。水は下へ落とし、空気の逆流は止めます。オーケー器材の製品ページには「スムーズにドレン水を排出しながら、空気が逆流するのを防止して、屋外から侵入してくる外気や臭いを防止すると同時に高気密住宅などでドレン排出口から発生するポコポコ音を防止する効果があります」と書かれています(参照:オーケー器材 ドレンホース用逆止弁・ドレンパイプ用逆止弁)。なおオーケー器材は資本金5,000万円をダイキン工業が全額出資する会社で、ダイキン工業の空調機用純正別売品の販売を事業内容としています(参照:オーケー器材 企業情報)。
| メーカー/部材メーカー | 名称・形名 | 公表されている価格・仕様 | 取り付けの相談先 |
|---|---|---|---|
| 三菱電機 | ドレンエア逆流防止部品 MAC-852GB | 1,200円(税別)/発売日 2015年10月30日 | お買上げの販売店 |
| 因幡電機産業(因幡電工) | 消音/防虫弁 音止ちゃん DHB-1416 | 標準価格1,360円/適合ホース DHQ-14・DHQ-16/梱包50個 | 販売店・施工業者(日立が推奨品として案内) |
| オーケー器材(ダイキン工業全額出資) | ドレンホース用逆止弁 K-HDT1416A | φ14・φ16 のどちらのホースでもアダプタなしで取付可 | お買い上げの販売店(ダイキンFAQの案内) |
| 東芝 | ルームエアコン用逆止弁(別売品) | 公式FAQでは形名・価格の記載なし | お買い上げの販売店/東芝生活家電ご相談センター |
| 富士通ゼネラル | 対応部品(形名の公表なし) | 公式FAQでは価格の記載なし | 自社で取付工事(有償)を受付 |
三菱電機の MAC-852GB の価格と発売日は同社の製品情報サイトで確認できます。ただし同ページには「この価格は事業者様向けの積算見積価格であり、一般消費者様向けの販売価格ではありません」という注記があるので、そのまま店頭価格になるわけではありません(参照:三菱電機 MAC-852GB 製品情報)。因幡電工の DHB-1416 の標準価格1,360円と適合ホースは製品ページの製品詳細表に記載があります(参照:因幡電工【DHB】音止ちゃん 製品情報)。
取り付けは販売店・施工業者に相談するのが公式の案内です
ここは記事の中でいちばん強調したいところです。どのメーカーも「自分で付けてください」とは言っていません。
- ダイキン:「※ 取り付けは、お買い上げの販売店にご相談ください。」
- 三菱電機:「取付けは『お買上げの販売店』へご相談ください。」
- 日立:「逆止弁のご購入や、取り付け方法および工事については、販売店や施工業者にご相談ください。」
- 東芝:「お買い上げの販売店、または東芝生活家電ご相談センターにご相談ください。」
- 富士通ゼネラル:「弊社にて対応部品の取付工事(有償)も可能です。」
部材メーカー側はもっとはっきりしています。因幡電機産業の取扱説明書は、冒頭の「お客様へ」で「施工は必ず専門業者へ依頼してください。」と書き、その次の項を「施工業者様へ」として設けています(参照:因幡電機産業「おとめちゃんDHB 取扱説明書」(2020年1月31日版・PDF))。読者向けではなく施工者向けの文書として書かれているのです。
同じ取扱説明書には「上記の注意事項をおこたりますと、弁が開かずにドレン排水が室内機から漏水する恐れがございます。」という記載があります。逆止弁は水の出口を狭くする部品ですから、付け方や手入れを間違えると、音の代わりに室内機からの水漏れという、はるかに厄介な問題を招きます。安価な部品だからと軽く考えないでください。
メーカーが公表している設置条件
業者に頼むにせよ、何が正しい取り付けなのかを知っておくと話が早くなります。因幡電機産業とオーケー器材が公表している条件を整理しました。
| 条件 | 公表されている内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 取付位置 | 室内機から1m以上低い位置。必ず屋外部で、地面に対し垂直方向に | 因幡電機産業 |
| 向き | 取付けは垂直に。傾けると弁が正常に動作しない場合がある。上面が空調機側 | オーケー器材 |
| 適合ホース | DHQ-14・DHQ-16 専用。他のホースではホースが外れて水漏れすることがある | 因幡電機産業 |
| 固定方法 | 接着剤による接続はできません。ビニル粘着テープで固定 | 因幡電機産業 |
| 使用環境 | 使用環境温度 0〜60℃。凍結のおそれのある環境では使用しない。屋外では直射日光が当たらないよう処置 | 因幡電機産業/オーケー器材 |
| 使ってはいけない場所 | 室内配管や隠蔽配管、配管化粧カバー内では使用しない | 因幡電機産業 |
| 施工前の確認 | ドレンホースに十分な水勾配があり、配管途中にトラップが無いこと | 因幡電機産業 |
| 施工後の確認 | 取付け後は必ず注水して水漏れ、弁の動作確認を行う | オーケー器材 |
ホースの太さについては、オーケー器材の K-HDT1416A が φ14・φ16 のどちらでもアダプタなしで付けられるとしており、因幡電機産業の DHB-1416 も自社の DHQ-14・DHQ-16 の2種類に対応します。一方で「室内機から1m以上低い位置」「垂直」「化粧カバーの中はNG」「使用環境温度0〜60℃」という条件を見ると、取り付けられる場所がかなり限られることが分かります。ベランダの床すれすれまでホースが下りている、配管がカバーで覆われている、といった住まいでは、そもそも設置場所の検討から必要になります。この点も、現物を見られる販売店・施工業者に相談すべき理由です。
ドレンホースの先端に付ける「防虫キャップ」と逆止弁は別物です。防虫キャップは虫の侵入を防ぐための部品で、音を止めることを目的にしていません。違いはエアコンの防虫キャップの選び方で整理しています。
逆止弁を付けても鳴るときに確かめること
逆止弁を付けても音が止まらないことがあります。これはネットの噂ではなく、部材メーカー自身が限界を明記している話です。
逆止弁は「完全密閉」ではないとメーカーが明記しています
因幡電機産業の製品ページと取扱説明書には、次の一文があります。
「本製品は気体を完全に密封するものではありません。使用状況により多少の外気が侵入する場合があります。また、極端な室内側負圧環境下では効力を発揮しません。」
オーケー器材も使用上の注意で「本製品は完全に空気を密閉できるものではありません。使用状態によって多少の外気が侵入する場合があります」としています。つまり、レンジフードを最大で回し続けるような、室内が強く引っぱられる状況では、逆止弁だけでは足りないことがある。これはメーカーが最初から認めていることなのです。
なお因幡電機産業は、弁の有無で通気の量がどう変わるかを実測した「気密性能試験報告書」も公開しています。マノメーターで管内外の気圧差を指定値に合わせ、風速計の値から風量を算出する方法で、負圧0〜200Pa、風量0〜20m3/h の範囲でグラフ化されたものです。報告書には「本データは実測値であり、保証値ではありません」という注記が添えられています。効果はあるが保証はされない――この位置づけを踏まえて期待値を設定してください。
弁の汚れと動作不良(定期的な点検・清掃が前提です)
逆止弁は「付けたら終わり」の部品ではありません。因幡電機産業の取扱説明書は「本製品は定期的な点検が必要です。夏季冷房運転開始時期及び、長時間使用しなかったり付着物などがある場合は、弁を点検・清掃してください」と指示しています。オーケー器材も「長期間使用しなかった場合や付着物などがある場合は弁の動作不良となる可能性があります。定期的に点検を行ってください」としています。
両社とも透明ケーシングを採用していて、外から中の状態が見えるようになっています。付けた覚えがあるなら、まず弁が汚れていないか目視で確認してください。因幡電機産業の分解清掃方法は、エアコンが停止していることを確認したうえで、フタ部の2箇所のツメを開いて本体からフタ部を外し、弁を水洗いする、という手順です。清掃しても弁が正常に動作しない場合は交換する、とも書かれています。
見落としがちなのがエアコン洗浄との関係です。因幡電機産業は「エアコン洗浄の際は、本製品を取り外してから行ってください。外さなかった場合、ドレンパンやドレンホース内部に溜まっていたゴミ等が、本製品の弁につまり逆流する恐れがあります」と注意しています。クリーニング業者に依頼した直後から急に音や水漏れが出た場合は、この可能性を業者に伝えてみてください。
運転していないのに鳴る/換気扇を止めても鳴る場合
逆止弁より前に、ホースの敷き方を疑うべきケースがあります。判断材料は次のとおりです。
- エアコンを運転していないのに鳴る:日立は「排水ホースの経路に逆勾配があり、ホース内に結露水が残っていると、音が出やすくなります」としています。ホースの中に水が残り続ける敷き方になっている可能性が高い状態です
- 換気扇を全部止めても鳴る:気圧差以外の要因、たとえば強風やホース先端の水没が疑われます
- 逆止弁が斜めに付いている:オーケー器材は「傾けると弁が正常に動作しない場合があります」としています。垂直に付いているか確認してください
- 逆止弁が化粧カバーの中にある:因幡電機産業は配管化粧カバー内での使用を禁止しています
- ホースがDHQ-14/DHQ-16以外:因幡電機産業の弁は他のホースへの取付けを想定しておらず、ホースが外れて水漏れすることがあるとしています
因幡電機産業は施工前の確認事項として「ドレンホースに十分な水勾配があり、かつ配管途中にトラップが無いことを確認してください」と求めています。勾配とトラップの問題は、逆止弁では解決しません。ここに当てはまりそうなら、部品を買い足すより先に、ホースの取り回しを直せる業者に見てもらうのが近道です。
そしてダイキンのFAQは最後にこう書いています。「上記内容をお試しいただいても改善しない場合は、その他の要因の可能性があります。お買い上げの販売店または当社に点検をご依頼ください」。ひととおり試して駄目なら、そこが撤退ラインです。
24時間換気は止めてよいのか
「換気扇を止めると音が消えた。じゃあ24時間換気も切っておこう」と考えたくなりますが、ここは慎重に扱う必要があります。24時間換気は、快適さのためではなく法律上の理由で設けられている設備だからです。
機械換気設備の設置は建築基準法で原則義務です
国土交通省は、シックハウス対策に係る法令等が平成15年(2003年)7月1日に施行されたこと、そして「内装の仕上げ等にホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない場合であっても、家具等からもホルムアルデヒドが発散されるため、居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付けられています」と説明しています(参照:国土交通省「建築基準法に基づくシックハウス対策について」)。
これが、2003年以降の住宅にほぼ必ず給気口が付いている理由であり、同時に室内が負圧になりやすい理由でもあります。空気を出す側の設備が常時動いていて、入る側の給気口が閉じていれば、ドレンホースが入口になるのは当然の帰結です。
基準は「換気回数0.5回/時」です
必要な換気量は建築基準法施行令第20条の8に定められており、必要有効換気量は Vr=nAh(A は居室の床面積、h は天井の高さ)で計算します。この n の値が、住宅等の居室では0.5、その他の居室では0.3と定められています(参照:e-Gov法令検索 建築基準法施行令 第二十条の八)。住宅の部屋なら1時間に部屋の空気の半分が入れ替わる計算です。
この量を確保するために設備が動いている以上、音がうるさいからと24時間換気を止めっぱなしにするのは筋が良くありません。私が勧めたいのは次の順番です。
- まず給気口を全開にし、給気口のフィルターを掃除する(空気の入口を確保する)
- レンジフードや浴室乾燥など、風量の大きい換気扇の使い方を見直す
- それでも鳴るなら、販売店・施工業者に逆止弁の取り付けを相談する
- 逆止弁でも鳴るなら、ホースの勾配・トラップ・敷き方の是正を相談する
賃貸・分譲マンションでの相談先
賃貸や分譲マンションの場合、ドレンホースは共用部に近い屋外を通っていることが多く、勝手に手を加えると原状回復の問題になります。順序としては、まず管理会社や大家さんに「エアコンのドレンホースからポコポコ音がする」と伝え、そのうえでメーカーの案内どおり販売店・施工業者に相談する流れが安全です。
備え付けエアコンなら管理側の設備ですから、対応してもらえる可能性があります。自分で購入したエアコンなら、購入した販売店が窓口です。富士通ゼネラルのようにメーカー自身が有償の取付工事を受け付けているケースもあります。
まとめ:窓を閉じたままポコポコ音を止める
最後に、この記事で確認したことを整理します。
- ポコポコ音はドレンホースから吸い込まれた外気が、ホース内の水を通り抜けるときの音である
- 三菱電機と東芝は公式に「故障ではありません」と説明している
- ダイキン・三菱電機・日立・富士通ゼネラル・東芝の5社が原因と対処法をほぼ同じ内容で公開している
- 窓を開ける目的は「空気の通り道を別に確保する」ことなので、給気口を開ければ代替できる
- 三菱電機は対処法の筆頭に「お部屋の給気口を開ける」を挙げている
- 換気扇、特にレンジフードや浴室乾燥機を止めると気圧差が解消され音が止まることがある
- ホース先端を風の当たらない方向へ向ける、水没やつぶれを直すのも公式の対処法である
- 恒久対策はドレンホース用逆止弁で、三菱電機は MAC-852GB(1,200円・税別)を用意している
- 日立は因幡電機産業の DHB-1416(標準価格1,360円)を推奨品として案内している
- 逆止弁の取り付けは、全社が販売店または施工業者への相談を案内している
- 因幡電機産業の取扱説明書は「施工は必ず専門業者へ依頼してください」と明記している
- 逆止弁は室内機から1m以上低い位置に垂直に設置し、化粧カバー内では使えない
- 逆止弁は完全密閉ではなく、極端な室内側負圧環境下では効力を発揮しないとされている
- 弁は定期的な点検・清掃が必要で、放置すると室内機からの漏水につながる恐れがある
- 運転していないのに鳴る場合は、ホースの逆勾配やトラップを疑う
- 24時間換気は建築基準法で原則義務であり、換気回数0.5回/時が基準なので止めっぱなしにはしない
窓を開けたくないという条件は、まったく無理な相談ではありません。メーカー自身が窓以外の選択肢を用意してくれています。まずは今夜、給気口を開けてみてください。それで静かになれば、この記事の役目はほぼ果たされたことになります。

