こんにちは、エアコンラボのアキです。
2階の部屋にエアコンを付けたいのに、ベランダが無い。あっても狭くて室外機が置けない。そんなとき工事の人から「室外機は1階に下ろしましょうか」「屋根に置く方法もありますよ」と言われて、どれがいいのか迷っていませんか?
室外機を1階に置くと配管が長くなるので、「効きが悪くならないの?」「電気代が上がるのでは?」と心配になりますよね。この記事では、メーカーの据付説明書に書かれている配管の長さ・高低差の上限を機種ごとに並べて、どこまでが「メーカーの想定内」なのかを確認していきます。
- 2階のエアコンの室外機を1階に置く「立ち下ろし」の仕組み
- メーカー5社の据付説明書にある配管長・高低差・追加充填の条件
- ベランダが無いときの1階置き・屋根置き・壁面設置の注意点
- 配管が長いときの効きや電気代について、原典で確かめられたこと

2階のエアコンで室外機を1階に置くのはアリ?
まずは、室外機を1階に置く設置がどんなものなのか、メーカーが何を条件にしているのかを押さえておきましょう。
立ち下ろしは2階から1階へ配管を下ろす設置
2階の部屋に室内機を付けて、室外機を1階の地面に置く方法は「立ち下ろし」と呼ばれることが多いです。室内機の裏から壁を貫通させた配管を、外壁に沿って下まで伸ばし、地面に置いた室外機につなぎます。ベランダが無い家や、ベランダが狭くて置けない家でよく選ばれる方法ですね。
室内機と室外機をつなぐ配管は、冷媒(熱を運ぶガス)が行き来する通り道です。立ち下ろしでは、この通り道が縦方向に長くなります。ベランダに置く場合と比べて違うのは、ほぼこの1点だけ。だからこそ、気にするべきは「配管の長さ」と「上下の距離」の2つに絞れます。
メーカーの条件は配管長と高低差の2つ
メーカーの据付説明書を見ると、室内機と室外機の位置関係について決まっているのは主に2つです。1つは配管の長さ(配管長)、もう1つは室内機と室外機の高さの差(高低差)。この上限の中に収まっていれば、2階に室内機、1階に室外機という組み合わせ自体はメーカーが想定している範囲と言えます。
例えば日立の据付説明書には「室内機と室外機の高低差は10m以内にしてください。」とあります(RAS-KD22Hほか)。一般的な住宅の2階から1階なら、この範囲に収まることが多いはずです。ただ、配管は壁の中や外壁を回り込むので、配管長は高さの差よりも長くなります。ここを見落とさないようにしたいですね。
立ち下ろしで確認するのは「配管長の上限」と「高低差の上限」の2つ。どちらも機種ごとに据付説明書に書かれています。
5社の据付説明書で見る配管の長さと高低差
ここがこの記事の中心です。メーカー5社の据付説明書・仕様ページから、配管長と高低差の上限、追加充填が必要になる長さを型番つきで並べました。
機種別の配管長と高低差の上限一覧
下の表は、各社の据付説明書に書かれている値をそのまま並べたものです。型番や能力区分を書いているのは、同じメーカーでも機種によって値が違うからです。
| メーカー・資料 | 能力区分など | 最大配管長 | 最大高低差 |
|---|---|---|---|
| 三菱電機 JG79Y784H01 | 2.2〜4.0kW | 12m | 10m |
| 三菱電機 JG79Y784H01 | 5.6kW | 15m | 10m |
| シャープ AY-C-VX | シリーズ共通 | 15m | 10m |
| 日立 RAS-EK25M2ほか | EK25M2〜EK56M2 | 20m(チャージレス) | 10m |
| 日立 RAS-AJ28H2 | 2.8kW | 30m | 15m |
| 日立 RAS-KD22Hほか | KD22Hほか | 今回は読み取れず | 10m |
| 富士通ゼネラル Zシリーズ AS-Z225S | 2.2kW | 15m(※) | 12m(※) |
※富士通ゼネラルZシリーズの据付説明書は、PDFから文字を取り出すと一部が文字化けしました。表の値は読み取れた範囲のものなので、実際に検討するときは原本で確かめてください。
出典は、三菱電機の据付工事説明書、シャープの工事説明書、日立RAS-EK25M2の据付説明書、日立RAS-AJ28H2の据付説明書、富士通ゼネラルZシリーズの据付説明書です。
三菱電機の資料には、配管の曲げは最大10か所までという条件も載っていました。立ち下ろしは外壁に沿って何度か曲げることがあるので、地味に効いてくる条件かもしれません。
追加充填が必要になる長さも社ごとに違う
配管が長くなると、中を流れる冷媒の量が足りなくなるため、工事のときに冷媒を足す「追加充填」が必要になる場合があります。どこから足すのか、どれだけ足すのかは、会社によってかなり書き方が違いました。
| メーカー・資料 | 追加充填が必要になる条件 | 追加する量 |
|---|---|---|
| 三菱電機 JG79Y784H01 | 内外接続配管長が10mを超える場合 | 20×(内外接続配管長−5)g |
| シャープ AY-C-VX | 冷媒配管が10mを超える場合 | 20g/m |
| 日立 RAS-AJ28H2 | 配管長さ20mを超える場合 | 15g/m |
| 富士通ゼネラル 9319221144-03 | 40・56タイプで15mを超えて20m以下 | 20g/m×(配管長さm−15m) |
| ダイキン Dシリーズ | 配管長さがチャージレス長さを超える場合 | 20g/m |
三菱電機の式は、しきい値が10mなのに式の中は「−5」になっています。一見食い違って見えますが、原文には「※内外接続配管長が11mの場合 追加冷媒質量は20×(11ー5)=120gとなります。」と例まで載っているので、そのまま引用しています。
富士通ゼネラルは据付説明書に「配管20mのときの追加チャージの計算:20g/m×(20m-15m)=100g」という例があります。ダイキンはDシリーズの仕様ページに注記がありましたが、チャージレス長さそのものの数値は今回のページからは読み取れませんでした。
逆に言うと、日立RAS-EK25M2の「最大20m(チャージレス)」のように、上限まで追加充填なしで済むと書かれた機種もあります。追加充填そのものは工事業者の作業なので、読者の方が覚えておくのは「自分の配管長で追加充填が要るのか」を見積もりで聞くことだけで十分です。
同じメーカーでも機種で値が違う
表を見て気づいた方もいると思いますが、日立は機種によって高低差の上限が10mのものと15mのものがあり、配管長の上限も20mと30mで違います。三菱電機も、2.2〜4.0kWは12m、5.6kWは15mと、能力によって変わっていました。
ネットでは「配管は10〜15mまで」のような一括りの説明も見かけますが、今回の原典では12m〜30mまで幅がありました。結論として、「何メートルまで延長できるか」は自分の機種の据付説明書で確かめるしかない、というのが私の答えです。据付説明書はメーカーのサポートページで型番から探せることが多いので、候補の機種が決まったら一度開いてみてください。
◆アキのワンポイントアドバイス
据付説明書は工事する人向けの資料ですが、「冷媒配管」や「配管長さ」という項目を探せば、表は1つだけのことが多いです。そこだけ見ればOKですよ。
ベランダなしの室外機の置き場所の選び方
ベランダが無い、またはバルコニーに置けない場合の選択肢は、主に1階の地面置き、屋根置き、壁面への取り付け(壁掛け)です。それぞれ据付説明書で何に注意するよう書かれているかを見ていきます。
1階の地面置きは周囲の空間を取りやすい

三菱電機の据付工事説明書は、室外機の据付場所として「強風に当たらない所」「風通しの良いほこりが少ない所」「雨や直射日光が当たりにくい所」「積雪により室外機が埋もれない所」「運転音や熱風・冷風がご近所の迷惑にならない所」「テレビ、ラジオのアンテナより3m以上離れた所」を挙げています。1階の地面は、こうした条件を満たす場所を探しやすい置き場所の一つです。
また日立RAS-KD22Hほかの据付説明書では、室外機のまわりについて「2.2〜4.0kWは2方向以上、5.6kWは3方向以上開放できるところ」とされています。ベランダのように壁に囲まれた場所では、吹出し側の壁の高さを1.2m以下にするといった条件も付いていました。地面置きなら、ブロックや据付台に載せて空間を確保しやすいですね。台の選び方は室外機をブロックに載せるときの注意点で詳しくまとめています。
ただ、1階置きなら必ず条件を満たすわけではありません。家と塀の間の狭い通路だったり、隣家の窓のすぐ近くだったりすると、風通しや音の面で問題が出ることがあります。運転音が気になる場合の考え方は室外機の音がうるさいときの対策も参考にしてみてください。
屋根置きは強風・落雪・規制に注意

屋根の上に架台を置いて室外機を載せる方法もあります。日立の据付説明書3冊には、どれも「強風の当たらない場所 特にビルの屋上では、風が強く室外ファンが破損することがあります。」と書かれていました。屋根の上は地面より風を受けやすいので、この注意は頭に入れておきたいところです。
雪の多い地域なら、日立RAS-EK25M2の据付説明書にある「積雪の深さおよび屋根落雪の影響を考慮して、置台と組み合わせてお使いください。」という一文も関係します。
さらに日立RAS-KD22Hほかには「消防法および都道府県の条例などを満足するところ」とあり、富士通ゼネラルZシリーズの据付説明書にも、地区によって屋根上などへの据え付けが規制される場合がある、と読める記述がありました(文字化け混じりのため原本で確認してください)。
一方で、屋根の勾配が何度までなら置けるか、屋根材ごとに可否が違うかといった具体的な条件は、今回確認した5社の据付説明書とFAQの範囲では見つかりませんでした。屋根置きを提案されたら、どんな架台をどう固定するのかを業者に確認しておくと安心です。
壁面設置や架台は業者に条件を確認
外壁に金具を付けて室外機を吊る「壁掛け」や、室外機を2台重ねる「二段置き」も選択肢に入ります。ダイキンの寒冷地向けの案内ページには「脚の高い高置台、二段置台、壁面置台、防雪フードなどの別売品もご用意しております」とあり、メーカー純正の架台も用意されています。
壁面の強度や金具の耐荷重といった条件は、今回調べたメーカー資料の範囲では具体的な値を見つけられませんでした。
三菱電機の据付工事説明書には、室外機を「M8」の固定ボルトでしっかり固定するよう書かれていますし、金属の外壁やメタルラス入りの壁に配管を取り付けるときは厚さ20mm以上の木材などで絶縁するよう指示もあります。壁の材質によって工事の手順が変わるということなので、壁面設置は現地を見た業者に判断してもらいましょう。
| 置き場所 | 据付説明書で見つかった注意 | 業者に確認したいこと |
|---|---|---|
| 1階の地面 | 風通し・直射日光・積雪・アンテナから3m以上 | 配管長と曲げの数、据付台の種類 |
| 屋根 | 強風で室外ファン破損、屋根落雪、地区の規制 | 架台の種類と固定方法、高所作業の有無 |
| 壁面 | ボルト固定、金属外壁での絶縁 | 壁の材質と強度、金具の種類 |
配管が長いと効きや電気代は悪くなる?
立ち下ろしで一番気になるのが、効きと電気代への影響だと思います。ここは、原典で確かめられたことと確かめられなかったことを分けてお伝えします。
能力低下や電気代の数値は見つからなかった
「配管が長いと効きが悪い」「電気代が上がる」という説明はよく見かけます。ところが、家庭用ルームエアコンで「配管長が何mだと能力が何%下がる」「電気代がいくら増える」という数値は、今回確認した三菱電機・シャープ・日立・富士通ゼネラルの据付説明書とダイキンの仕様ページの範囲では見つかりませんでした。
能力の補正表が出てくるのは業務用やビル用マルチの設計資料で、家庭用にそのまま当てはめることはできません。
確かめられたのは、メーカーが配管長と高低差の上限を決めていて、その範囲で使うよう求めているということです。なおダイキンの電気代に関するFAQでは、カタログの消費電力の算出条件を「連絡配管長さ5m」としています。カタログの数値は配管5mの条件で測ったものだ、という点は覚えておいて損はありません。だからといって、配管が長いと何円上がると言える根拠にはならない点に注意です。
数値つきで書かれているのは室外機の周りの空間
効きに関して数値つきで書かれていたのは、配管の長さではなく室外機の周りの空間でした。三菱電機の据付工事説明書には「風通しが悪くショートサイクルが起きやすい場合は、冷暖房能力および消費電力が10%程度悪化する場合があります。」とあります。ショートサイクルとは、室外機が吹き出した風をまた自分で吸い込んでしまう状態のことです。パナソニックのFAQにも、2方向しか開放できない場合に10%程度悪化する場合があるという案内があります。
つまり置き場所を選ぶときは、配管の長さだけでなく「室外機の前と横に空間を取れるか」も同じくらい大事、ということになります。ベランダが狭くて壁に囲まれてしまうなら、1階の開けた場所に置いた方が条件を満たしやすい場合もあるでしょう。あなたの家の候補地は、風が抜ける場所でしょうか?
「配管が長い=必ず効かない」とも「1階置きなら必ず効く」とも言えません。上限内の配管長で、室外機の周りに空間を取れるかを両方見て決めましょう。
2階のエアコンの室外機を1階に置く前の確認
最後に、立ち下ろしを依頼するときに見積もりで確認しておきたい項目と、よくある疑問をまとめます。工事費の相場はお住まいや業者で変わるので、ここでは金額ではなく確認する項目に絞ります。
見積もりで確認したい項目
家電量販店の標準工事は、エディオンやジョーシンのように配管4m以内を範囲にしているところがあります。2階から1階へ立ち下ろすと、多くの場合この範囲を超えて配管延長が必要になると考えておいた方がいいでしょう。見積もりでは次の点を聞いてみてください。
- 配管を何m延長するか、曲げは何か所になるか
- その配管長で追加充填が必要か(機種の据付説明書の条件と合っているか)
- はしごや足場などの高所作業が必要か
- 据付台・屋根置き架台・壁面金具など、使う架台の種類
- 配管を覆うカバーを付けるか、その長さ
配管の延長や冷媒の追加充填は、資格を持った工事業者が行う作業です。自分でできる部分はありませんが、「機種の上限は何mで、今回の配管は何mになるのか」を聞くだけで、話がかなり具体的になりますよ。2階の室内機からのドレン(排水)の流れが気になる方は、2階のエアコンの水漏れの記事も合わせてどうぞ。
2階のエアコンと1階の室外機に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 室外機が室内機より下にあると何か特別な条件はありますか?
A. 今回確認した据付説明書では、高低差の上限は上下の区別なく1つの値で書かれていました。シャープの工事説明書には「室外機が室内機より上にあるときは、室内引き込み口にトラップを設けてください。(雨水の浸入を防ぐため)」とあり、これは1階置きとは逆のケースの注意です。
Q2. 配管は何メートルまで延長できますか?
A. 機種によって違います。今回の表では三菱電機の2.2〜4.0kWが12m、シャープが15m、日立RAS-AJ28H2が30mでした。自分の機種の据付説明書で確認してください。
Q3. 立ち下ろしのデメリットは何ですか?
A. 配管が長くなるので、機種の上限に近づきやすく、長さによっては追加充填が必要になります。また標準工事の範囲を超えやすいので、見積もりの項目が増えます。効きや電気代への影響については、家庭用で数値を示したメーカー資料は今回の調査範囲では見つかりませんでした。
Q4. 屋根置きと1階置きはどちらがいいですか?
A. 一概には言えません。屋根は強風・落雪・地区の規制への注意が据付説明書にあり、1階は配管が長くなります。配管長が上限内に収まるか、室外機の周りに空間を取れるかで業者と相談して決めましょう。
2階のエアコンで室外機を1階に置くときのまとめ
- 2階の室内機と1階の室外機の組み合わせは、配管長と高低差が機種の上限内なら想定された設置
- 最大配管長は今回の原典で12m〜30m、最大高低差は10m〜15mと機種で違う
- 追加充填が始まる長さや量も社ごと・機種ごとに違う
- 配管長による能力低下・電気代の数値は家庭用の原典で見つからなかった
- 数値つきで書かれていたのは室外機周りの空間で、悪いと10%程度悪化する場合がある
- 屋根置き・壁面設置の具体的な条件は業者の現地確認で
2階のエアコンの室外機を1階に置くこと自体は、珍しい工事ではありません。大事なのは、自分の機種の据付説明書で配管長と高低差の上限を確かめて、見積もりの配管長がその範囲に収まっているかを聞くことです。この記事が、業者さんと話すときの手がかりになればうれしいです。

