こんにちは、エアコンラボのアキです。
「引っ越した部屋にエアコンがついてない」「電気代が怖くて、できればエアコンを使わないで暮らしたい」。一人暮らしだと、こういう悩みは意外と多いですよね。扇風機やこたつで何とかなるなら、それに越したことはない。そう考えるのはごく自然なことだと思います。
ただ、夏の暑さと冬の寒さは、我慢でどうにかなる範囲に限りがあります。この記事では、消防庁・環境省・WHO・NITE(製品評価技術基盤機構)・国土交通省の資料を原文で確認しました。そのうえで、エアコンなしで過ごすときにどこが限界になるのか、代わりの家電で気をつけることは何かをまとめました。
- 熱中症で救急搬送された人の発生場所で住居が最も多いという公的な数字
- 公的機関がエアコンのない部屋の人に勧めている行動
- ストーブ・こたつ・扇風機など代わりの家電の安全上の注意
- 賃貸でエアコンを付けたいとき・物件を選ぶときの確認先

一人暮らしでエアコンなしは夏に大丈夫?
まずは夏の話からです。エアコンがない部屋で一番気になるのは熱中症ですよね。ここでは、室内でどれくらい熱中症が起きているのか、そして公的機関がどう呼びかけているのかを見ていきます。
熱中症の搬送は住居が最も多い
消防庁の「令和8年7月の熱中症による救急搬送状況(消防庁)」によると、2026年7月の1か月だけで全国の救急搬送人員は41,174人でした。7月の調査を始めた平成20年以降で3番目に多い数字です。
注目したいのが発生場所です。住居が17,160人(41.7%)で最も多く、次いで道路が8,643人(21.0%)、仕事場が4,090人(9.9%)でした。前年の令和7年7月も、住居は16,110人(40.9%)で同じ傾向です。熱中症というと炎天下の屋外を想像しがちですが、家の中が最多なんですね。
年齢で見ると、65歳以上の高齢者が24,769人(60.2%)を占めます。ただ、18歳以上65歳未満の成人も13,116人(31.9%)いて、30代だから無関係とは言えません。傷病程度では、死亡が79人(0.2%)、重症が1,324人(3.2%)でした。
この統計には、搬送された人がエアコンを持っていたか・使っていたかは含まれていません(今回確認した令和8年7月分の資料の集計項目の範囲)。「住居で倒れた人はエアコンを使っていなかった」とまでは言えない点は押さえておいてください。
エアコンがない部屋に公的機関が勧めること
では、冷房がない部屋の人は何をすればいいのか。環境省の「熱中症環境保健マニュアル Ⅲ-1 日常生活での注意事項(環境省)」には、こう書かれています。
「厳しい暑さが続くときは、不要な外出や屋外での作業は控え、積極的に冷房(室温が28℃を超えないよう)を使いましょう。自宅に冷房装置がない場合は、空調の効いた公共施設や商業施設に避難しましょう。たとえ数時間でも涼しいところで体を休めることは有効です。」
つまり、公的機関の案内は「エアコンなしでも工夫すれば平気」ではなく、冷房を使うか、冷房のある場所へ移るかなんです。図書館やショッピングモールで数時間過ごすのも、立派な対策というわけ。同じ箇所では、水シャワーや水浴びも体温を下げるのに有効とされています。
消防庁の資料でも、予防の呼びかけとして「適切にエアコン等を使用する」「水や冷えたタオルを肌に当てて、体を冷やす」が挙がっています。熱中症警戒アラートが出るような日は、外出をできるだけ控えることも勧められていますよ。
28℃は設定温度ではなく室温の目安
よく聞く「28℃」という数字、実はエアコンの設定温度のことではありません。環境省マニュアルのコラムには「『クールビズ』で呼びかけている『室温28℃』は冷房の設定温度のことではありません」「『28℃』という数値はあくまで目安です」と書かれています。
なので、エアコンがない部屋で暮らすなら、まずは温湿度計を置いて今の室温を知ることから始めるのがおすすめです。体感だけだと「まだいける」と思ってしまいがちですからね。ちなみに同じマニュアルでは、冷やしすぎについても「室温を下げすぎると(24℃を下回る)、外気温との差が大きくなり」と注意しています。
もう一つ知っておきたいのが、体の熱の逃げ方です。マニュアルには、皮膚表面温の上昇には限り(せいぜい35℃まで)があり、「周囲の温度が35℃以上になると、逆に熱が体に入ってきます」とあります。室温が体温に近づくと、汗や風で熱を逃がす仕組みが働きにくくなる、ということです。
一方で、「エアコンなしで何℃まで耐えられるか」という目安は、今回読んだ環境省マニュアルⅢ-1の範囲では見つかりませんでした。示されているのは「28℃を超えないよう冷房を使う」「冷房がなければ避難する」という方向だけです。
夜にエアコンをつけないで寝る場合
「昼は外にいるから、夜だけ我慢すればいい」と考える人もいるかもしれません。でも、環境省マニュアルの睡眠のコラムには「快適に眠れる室温の上限は28℃と言われ、寝具での調節は困難なため、冷房を使用する必要があります」とあります。冷感シーツなどの寝具だけでは対応しにくい、という書き方ですね。
さらに、「夜間に気温があまり下がらない日には冷房をつけて寝ることも必要です」とも書かれています。タイマーを使う場合は「少なくとも3〜4時間は使用しましょう」とされていて、30分や1時間で切るのは短いと考えてよさそうです。
政府のリーフレット「熱中症は室内でも夜でも発生(環境省掲載の政府リーフレット)」にも、「熱中症は室内でも夜でも発生し、命に関わる問題です」「無理な節電をせず、夜もしっかり使用しましょう」とあります。電気代が気になる気持ちはよく分かります。ただ、金額の話は「エアコンの電気代の目安と計算方法」で詳しく扱っているので、そちらで具体的に確かめてから判断してみてください。
エアコンの代わりに扇風機で夏をしのぐ前に
エアコンがないとなると、扇風機や除湿機で何とかしようと考えますよね。ここでは、公的資料の中で扇風機がどんな位置づけなのか、部屋そのものを暑くしない工夫、そして古い家電の事故について見ていきます。
扇風機は併用と空気の循環という位置づけ
環境省マニュアルⅢ-1で扇風機が出てくるのは、「我慢せずに冷房を入れる、扇風機も併用する」「扇風機を使って室内の空気を循環させましょう」といった文脈です。「エアコンの風量を強くしたり、扇風機を一緒に使ったりすることで、同じ温度でもより涼しく感じます」という書き方もあります。
つまり、扇風機はエアコンと組み合わせる道具として登場していて、扇風機だけで熱中症を防げるかどうかについては、今回読んだ範囲では書かれていませんでした。この記事でも、扇風機単独の効果は断定しないでおきます。前の章の「周囲が35℃以上になると熱が体に入ってくる」という話と合わせて、室温が高い日は扇風機の風だけに頼らないほうが安心かなと思います。
除湿機についても同じで、湿気を取る家電ではありますが、冷房の代わりとしての効果を比べた公的資料は今回確認していません。なお、こまめな水分補給について、マニュアルでは飲料として摂る量は「1日あたり1.2ℓが目安」、汗をかいたときはスポーツ飲料などで塩分濃度0.1〜0.2%程度とされています。
日差しを遮って風通しをよくする

エアコンがなくても今日からできるのが、部屋を暑くしない工夫です。環境省マニュアルの住まいの工夫には、次のようなものが挙がっています。
- 窓から射し込む日光を遮る(ブラインド・すだれ・緑のカーテン・日射遮断フィルム)
- 風通しを利用する(向き合う窓を開ける)
- 空調設備を利用する(我慢せずに冷房を入れ、扇風機も併用する)
一人暮らしのワンルームだと、窓が1か所しかなくて向き合う窓を開けられないこともありますよね。その場合は、遮光カーテンやすだれで日差しを入れないことのほうが取り組みやすいかもしれません。
体の側の準備としては「暑熱順化」も紹介されています。毎日30分程度の運動で汗をかく習慣をつけると、2週間程度で暑さに慣れた体になるといわれているそうです。ただし、これは体を暑さに慣らす話で、エアコンを使わなくていい理由にはならない点には注意してください。
古い扇風機の事故にも注意
実家から譲ってもらった扇風機を使う一人暮らしの方も多いと思います。NITEの「古いエアコン・扇風機の事故に注意(NITE)」を見てみましょう。2019年度から2023年度の5年間で、エアコンと扇風機の事故は合計403件(エアコン340件、扇風機63件)でした。
NITEは「製造されてからの年数が経った製品ほど、何かしらの不具合を生じて火災に繋がるケースが増える傾向」と指摘しています。異音や異臭がする、意図せず止まるといった異常があれば、直ちに使用をやめること。そして、使っている製品がリコール対象でないかを確認することが勧められています。
冬にエアコンなしで寒い部屋はどうする?
次は冬の話です。エアコンがない部屋だと、ストーブやこたつ、ヒーターが暖房の代わりになります。ここでは室温の目安と、暖房器具を使うときの安全上の注意をまとめます。
冬の室温はWHOの18℃がひとつの目安
冬の室温について公的な目安を探すと、WHO(世界保健機関)の「Housing and health guidelines(WHO、2018年)」があります。ここでは、寒い季節に一般の人の健康を守る室内温度として18℃が提案されていて、推奨の強さは「Strong(強い推奨)」です。
ただ、WHOは同時に「健康への悪影響が起こりやすくなる正確な温度を決めるには、現時点の証拠は不十分」とも書いています。そのうえで、寒い家を暖める対策には大きな健康上の利益があることは確実性が高く、最低18℃が広く受け入れられている、という説明です。なので「18℃を1度でも下回ったら危険」という読み方はしないほうがいいですね。
参考までに、WHOのガイドラインには研究結果として、スコットランドの調査で室温16℃未満の住宅では高血圧のリスクが高かったこと(オッズ比4.92)が紹介されています。また、英国の研究で室温が1℃上がるごとに血圧が0.5mmHg下がったという結果も載っています。これらは個別の研究の結果で、WHOの勧告そのものではありません。また、高齢者や子ども、持病のある人には18℃より高い室温が必要な場合がある、とも書かれています。
ストーブとファンヒーターは換気と給油
エアコンの代わりに石油ストーブや石油ファンヒーターを使うなら、まず換気です。NITEのチラシ「一酸化炭素中毒の事故(NITE)」には、「換気が不十分だと、酸素が不足して不完全燃焼となり、一酸化炭素濃度が上昇して中毒に至るおそれがあります」とあります。閉め切った寝室で石油ストーブを長時間使っていた事例も載っています。
ワンルームは部屋が狭いぶん、閉め切りやすいですよね。定期的に換気することを習慣にしておくと安心です。給油についてもNITEは「燃料は新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油を使用しない」としています。2022年1月4日に青森県でガソリンを誤って給油した事故の事例も紹介されていて、灯油とガソリンの取り違えは他人事ではありません。
NITEの「暖房、点検、ヨシ!5つの点検(NITE、2024年10月31日)」によると、2019年から2023年までの5年間で、主な暖房器具の事故は582件起きています。ここでいう主な暖房器具は、石油・電気・ガスのストーブとファンヒーター、オイルヒーターです。
こたつやヒーターは周りの物との距離
こたつは、上の582件の集計には含まれていません。ただ、同じNITEの資料には、2021年12月19日に宮城県で起きた事故が載っています。暖房器具の吹き出し口とこたつが近くに置かれていたため、こたつ布団が過熱されて出火したと推定される事例です。狭い部屋に暖房器具を2つ置くときは、置き場所に気をつけたいところです。
電気ストーブや電気ファンヒーターなど電気暖房器具について、NITEが挙げている5つの点検を表にしました。シーズンの使い始めに一度チェックしてみてください。
| 点検項目 | 確認すること |
|---|---|
| 1. リコール | リコール対象品かどうか |
| 2. コード・プラグ | 変形・破損がないか、たこ足配線になっていないか |
| 3. 周囲との距離 | 壁や可燃物との距離が十分に取れているか |
| 4. 本体 | 変色や変形などの異常がないか |
| 5. 転倒時オフ | 転倒時オフ機能が正常に作動するか |
出典: NITE「暖房、点検、ヨシ!」(2024年10月31日)の電気暖房器具の点検項目をもとに作成
賃貸のエアコンなし物件でつけたいとき

「やっぱりエアコンを付けたい」「次はエアコン付きの物件にしたい」と思った方向けに、賃貸での確認先を短くまとめます。
賃貸で後から付けるなら管理会社に確認
賃貸の部屋に自分でエアコンを付けたいときは、まず管理会社か大家さんに確認しましょう。設置してよいかどうか、配管用の穴があるか、どの業者に頼むかは、契約や建物によって違うからです。
退去時の費用でよく気にされるのが壁のビス穴です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省、平成23年8月再改訂版)」では、賃貸人(大家)負担となる通常損耗の例として「エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡」が挙がっています。
ただし、ガイドラインは退去時の費用負担の考え方を示したもので、個別の契約で特約が付いていることもあります。また、今回ガイドライン中の「エアコン」を含む箇所を確認した範囲では、入居者がエアコンを付けてよいかどうかの記述は見つかりませんでした。設置の可否は、やはり管理会社か大家さんに聞くのがいちばん確かです。
エアコン付き物件を選ぶときの確認点
物件探しでは「エアコン付き」の表示があっても、それが建物の設備なのか、前の入居者が置いていったもの(残置物)なのかで扱いが変わることがあります。故障したときに誰が修理するのか、契約前に聞いておくと後で慌てずに済みますよ。
同じガイドラインには、入退去時のチェックリストに「エアコン 有・無」の欄があります。入居時に状態を記録しておくと、退去時の話し合いがスムーズです。なお、エアコンからの水漏れを放置して壁が腐食した場合は、賃借人負担の例として挙がっています。異常に気づいたら早めに管理会社へ連絡しましょう。
| 季節・場面 | 公的資料で確認できた目安・注意 | 出典 |
|---|---|---|
| 夏の室内 | 室温28℃を超えないよう冷房、冷房がなければ公共施設などへ避難 | 環境省 |
| 夏の夜 | 快適に眠れる室温の上限は28℃、タイマーは3〜4時間以上 | 環境省 |
| 冬の室内 | 寒い季節の室温は18℃が提案値(正確な閾値は証拠不十分) | WHO |
| 暖房器具 | 石油式は換気、電気式は5つの点検 | NITE |
| 賃貸 | 賃借人所有エアコンのビス穴は通常損耗の例 | 国土交通省 |
一人暮らしでエアコンなしを選ぶ前のまとめ
最後に、よくある質問と、この記事のポイントをまとめます。
一人暮らしのエアコンなしに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 一人暮らしで最低限必要な家電にエアコンは入りますか?
A. 何を必須とするかは人それぞれですが、環境省のマニュアルは暑い時期に「積極的に冷房(室温が28℃を超えないよう)を使いましょう」としています。エアコンを置かない場合は、暑い日に避難できる冷房の効いた場所を、前もって決めておくのがいいと思います。
Q2. 北海道や札幌ならエアコンなしでも平気ですか?
A. 地域ごとの公的な目安は今回確認できていません。ただ、環境省の「室温28℃を超えないよう」という目安は地域を問わない書き方です。寒冷地の冬は暖房設備が整った物件も多いので、入居前にどんな暖房器具が使えるか、管理会社に確認しておくと安心です。
Q3. 高齢の親がエアコンなしで暮らしています。気をつけることは?
A. 消防庁の2026年7月の集計では、熱中症で搬送された人の60.2%が65歳以上でした。WHOも、高齢者には18℃より高い最低室温が必要な場合があるとしています。室温を確認できる温湿度計を置き、暑い日・寒い日はこまめに連絡を取ってみてください。
Q4. 停電でエアコンが使えないときはどうすればいいですか?
A. 停電中の暑さ・寒さ対策は、「停電でエアコンが使えないときの代わり」でまとめています。この記事は平時にエアコンがない部屋で暮らす場合の話なので、停電時はそちらを参考にしてください。
一人暮らしのエアコンなし生活のまとめ
一人暮らしでエアコンなしを考えている方に向けて、公的資料で確認できたことをまとめました。
- 熱中症の救急搬送は住居が最多(2026年7月は41.7%)
- 環境省は室温28℃を超えないよう冷房を使い、冷房がなければ公共施設などへ避難するよう案内
- 扇風機は冷房との併用・空気の循環として紹介されている
- 冬の室温はWHOの18℃が目安だが、正確な閾値は証拠不十分とされている
- 石油暖房は換気、電気暖房は5つの点検、こたつは周りの暖房器具との距離に注意
- 賃貸でエアコンを付けたいときは管理会社・大家さんに確認
エアコンを使うか使わないかは、最終的にはあなたが決めることです。ただ、我慢で乗り切れるかどうかを決めるのは気合いではなく室温かなと思います。まずは温湿度計で部屋の温度を知るところから始めてみませんか。
