こんにちは、アキです。エアコンの冷気が真下のデスクや布団に直撃して、体が冷えてつらい。かといって設定温度は上げたくない。そんなときに「風よけカバーを自分で作れないか」と考える方は多いと思います。クリアファイル、段ボール、布、100均のプラ板と、材料の候補もいろいろ挙がりますよね。
ただ、この工作には一つ大きな前提があります。エアコンの吹出口に何かを取り付けることは、エアコンメーカーが想定している使い方ではありません。だからといってメーカーが「風よけを付けるな」と書いているわけでもありません。書いてあるのは、もっと具体的な条件です。
この記事では、メーカー公式のFAQ、風よけ製品メーカーの公式仕様、資源エネルギー庁の公表資料だけを根拠に、自作の前に必ず確認すべきことを整理します。私の作例や、根拠のない材料費・製作時間の目安は書きません。
- リモコンの機能だけで解決できるケースがある
- メーカーが「吹出口をふさぐ」ことについて実際に書いていること
- 風向板(フラップ)を手で動かしてよいのか
- 市販の風よけ製品が作り込んでいる結露対策
- それでも自作する場合に外してはいけない条件

材料を切り出す前に、確認しておきたいことがあります
自作する前に、まずリモコンでできることを試す
「風が直接当たらない運転」がすでに搭載されている機種があります
意外と見落とされているのが、本体側の機能です。ダイキンはFAQ「体に風を当てない運転はありますか?」で、「風ないス運転」と「エリア運転」を案内しています。風ないス運転は「風量と上下風向を自動で調節して、風が直接体に当たりにくくする運転です」と説明されており、冷房・除湿冷房などのときはフラップを上向きにする、と書かれています。エリア運転のほうは、人感センサーを使って「人を避けて風を周辺に送る機能」です(ダイキン工業「体に風を当てない運転はありますか?(ルームエアコン)」)。
同じFAQには「機種により機能がないものもあります」とも書かれているので、すべての機種にあるわけではありません。ただ、リモコンのフタを開けて確認するだけなら数分で済みます。工作を始める前の最初の一手としては、これがいちばん確実です。
冷房中は「風向を水平」がメーカーの推奨です
もう一つ、リモコンだけでできることがあります。ダイキンのFAQ「冷えない、冷たい風が出ない(ルームエアコン)」には、確認項目として「風向が下向きになっていませんか?」という項目があり、「冷たい空気は下に溜まりやすくなります」「部屋のすみずみまで風を送るため、風向を『自動』か『水平』でお試しください」と案内されています(ダイキン工業「冷えない、冷たい風が出ない(ルームエアコン)」)。
つまり冷房中に風向を下向きにするのは、直撃風の面でも冷え方の面でもメーカーが勧めていない設定だということです。風が直撃してつらいと感じている時点で、まず風向が下を向いていないか確認してみてください。これで解決するなら、吹出口に何も付けずに済みます。
メーカーは吹出口とルーバーについて何と書いているか
「ふさぐ」ことは冷えない原因として挙げられています
先ほどのダイキンのFAQには、症状が改善しない場合の確認項目として、こう書かれています。「吹出口や上部の吸込口がカーテンや家具などの障害物でふさがっていませんか?」「障害物があると風の循環の妨げになり、お部屋を充分に冷やせない原因になります」。
ここは正確に読む必要があります。メーカーは「風よけ製品を取り付けてはいけない」とは書いていません。書いてあるのは「吹出口や吸込口が障害物でふさがれると冷えなくなる」ということです。したがって自作の可否そのものより、「ふさいでいないか」「吸込口にかかっていないか」が判断の軸になります。エアコンの吸込口は本体上部にあり、ここをふさぐと本体が空気を取り込めなくなります。
風向板を手で動かすことについて、ダイキンは明確に書いています
自作の風よけをルーバーに固定する、という手順を紹介している情報を見かけますが、ここは注意が必要です。ダイキンのFAQ「風向操作のしかた(ルームエアコン)」には、冒頭にこう書かれています。「風向の調整はリモコンで行います。無理に手で操作すると破損することがあります」(ダイキン工業「風向操作のしかた(ルームエアコン)」)。
同じページには、エアコンの風向は「上下をフラップ、左右をルーバーで調整しています」という説明もあります。上下のフラップはモーターで駆動される部品なので、ここに物を固定して動きを妨げたり、手で角度を変えたりする使い方は、メーカーの説明とは食い違うことになります。
左右ルーバーだけは「つまみを持って動かす」機種があります
ただし、ここは一律ではありません。パナソニックのFAQ「エアコンのルーバーが動かない(スイングしない)ときは」には、「リモコンに『風左右』ボタンがない機種は、左右風向ルーバーは自動で動きません(スイング機能なし)。左右風向ルーバーの向きを変えたいときは、つまみを持って動かしてください」と書かれています(パナソニック「エアコンのルーバーが動かない(スイングしない)ときは」)。
ダイキンも同じFAQ内で、リモコンに[風向左右]ボタンのない機種について「ルーバーのツマミをもって左右に動かします」と手順を載せています。ただし同時に「ファンが高速で回転しているため、ツマミより奧に指を入れないでください」という注意も併記されています。吹出口の奥には高速回転するファンがあります。自作品を吹出口の内側に押し込む、内部にテープを貼るといった作業は、この注意に真正面からぶつかります。
見落とされがちなのが結露です
風よけを考えるときに、多くの人が想定していないのが結露です。日立はFAQ「エアコン(室内機)から水が飛んできます。」で、原因をこう説明しています。「エアコンの吹き出し口に水滴がついたり、水が飛んできたりするのは、エアコン内部に結露が発生していることが考えられます」。
そして対策の筆頭に「風向板を水平にする」を挙げ、理由をこう書いています。「風向板は冷房運転時に冷たい空気で冷やされているため、室内の暖かい空気と触れることで結露が発生し、水滴がつきやすくなります」「長時間風向板を下向きにしていると、風向板についた水滴が落ちてくることがある」(日立「エアコン(室内機)から水が飛んできます。」)。
冷たい風にさらされる面と、部屋の暖かい空気に触れる面。この温度差があるところに結露は出ます。自作の風よけを吹出口の前に立てるということは、まさにその条件の板を1枚増やすことになります。
本体側もこれを警戒しています。ダイキンの風向操作のFAQには「お部屋の湿度が高い状態で冷房・除湿冷房運転を続けると、水滴が付くことを防ぐために、自動でフラップや補助フラップ、ルーバーの角度を変更したり、制限したりする場合があります」と書かれています。エアコン自身が、結露を防ぐためにフラップを動かしているということです。フラップに何かを固定してその動きを妨げる作り方は、この制御の邪魔をすることになります。
市販の風よけ製品の仕様が、そのまま設計条件になります
結露対策が「構造」として作り込まれています
風よけ専用品を作っているダイアン・サービス(エアーウィング)の製品ページを読むと、結露が設計上の主要テーマになっていることがわかります。家庭用向けの「エアーウィング・かぜよけ」の説明には「ゆるやかなS字形状とスリット(細い窓穴)は表裏の温度差を緩和し結露を防止します」と書かれています(ダイアン・サービス「エアーウィング・かぜよけ」)。
「エアーウィング・スリム」はさらに踏み込んで「結露対策は、本体スリット及び波状板構造にて実現しました」とし、「波型加工は凸凹のすきまに空気の膜をつくり、表裏の温度差を緩和して結露を防止します」と説明しています(ダイアン・サービス「エアーウィング・スリム」)。業務用の「エアーウィング・プロ」に至っては、素材構成にポリエチレン樹脂製の断熱マットが含まれています。
つまり専用品は、平らな一枚板では結露が出ることを前提に、スリット・波型・S字形状・断熱材という4つの手段で対策しているわけです。クリアファイルや下敷き、段ボールを一枚そのまま立てる自作は、この対策がまるごと抜け落ちた構造だということになります。
サイズと重量の実際
「どれくらいの大きさが必要なのか」は、公式仕様が答えを持っています。
| 製品名 | サイズ | 重量 | 本体素材 |
|---|---|---|---|
| エアーウィング・かぜよけ(家庭用向け) | 縦12cm×横50cm(取付時最大高15cm) | 本体約175g | ポリプロピレン |
| エアーウィング・プロ | 縦16cm×横50cm(取付時最大高15cm) | 本体約285g | ポリプロピレン |
| エアーウィング・スリム | 縦12cm×横70cm(最小54cm) | 公表なし | ポリプロピレン |
出典はいずれもダイアン・サービスの各製品ページです。エアーウィング・プロは累計出荷台数430万台と公表されています。注目したいのは重量で、家庭用向けの製品でも本体約175gしかありません。吹出口まわりに貼り付けて支えるという条件では、この程度の軽さが前提になっているということです。合板やアクリル板で同じ面積のものを作れば、重量は簡単にこれを超えます。
取り付けの条件は公式FAQに細かく書かれています
ダイアン・サービスのFAQには、粘着アダプターを貼るときの条件が具体的に載っています(ダイアン・サービス「よくあるご質問」)。
- 取り付ける面が平面であることを確認する。「凹凸があったり極端に湾曲している面への貼り付けはお避けください」
- 取り付け面を十分清掃し、完全に乾いたことを確認する。「ほこりやゴミ・汚れや油分・水分などが残っていると、接着がうまくいかない場合がございます」
- まずアダプターだけを押し付けて貼り、「手を離して10分以上放置し、粘着が最大となってから本体を取り付けてください」
- 「万が一のために、落下防止のセキュリティキットをご使用いただくことをおすすめいたします」
また対応範囲について、FAQは「エアーウィングはメーカー問わずほぼ全てのエアコンにお使いいただけます」としつつ、条件として「粘着テープ付きアダプターが取り付けられれば問題ございません」と書いています。かぜよけなら34cm×4cm、スリムなら9cm×4cmのアダプターを2箇所貼るスペースが要る、という具体的な数字も公開されています。逆に言えば、その平らなスペースが確保できない吹出口では、貼り付け方式は成立しません。
吹出口が開閉しないブリーズライン型については、専用の「エアーウィング・スリット」を勧める、という案内もあります。天井埋め込み型や天井吊り下げ型も対応範囲に含まれていますが、いずれも「アダプターが貼れること」が条件です。
サイズが足りない場合についても記載があり、「エアコンの吹き出し口が大きい場合、エアーウィングを複数枚合わせてご使用いただければ問題ありません」「エアコンの吹き出し口に対してエアーウィング本体の横幅が足りないままご使用されますと、(中略)風よけの効果が十分に得られない場合がございます」とされています。1枚で足りなければ2枚並べる、という考え方です。
それでも自作するなら、外してはいけない条件
ここまでの一次情報から導ける条件
以上を踏まえると、自作する場合に守るべき条件は次のように整理できます。いずれもメーカーや製品メーカーが公表している内容から導いたものです。
- 本体上部の吸込口にかからないこと。ふさぐと冷えない原因になるとダイキンが明記しています
- 吹出口を全面的にふさがず、風を「そらす」形にすること。専用品はいずれも風を上方向へ流す形状です
- 上下フラップの動きを妨げないこと。結露を防ぐために本体が自動でフラップ角度を変えることがあります
- 結露を前提に考えること。平らな一枚板は、専用品が対策しているスリット・波型・断熱をすべて欠いています
- 軽く作ること。家庭用向け専用品の本体重量は約175gです
- 貼り付け面は平らで清潔に。粘着は10分以上置いてから荷重をかける、と製品メーカーが案内しています
- 落下対策をすること。専用品ですら落下防止キットの併用が推奨されています
やってはいけない作り方
逆に、次のような作り方は避けてください。
- 吹出口の内側にビスを打つ、内部に粘着テープを貼るなど、本体内部に手を入れる加工。奥には高速回転するファンがあり、ダイキンは「ツマミより奧に指を入れないでください」と注意しています
- 上下フラップに直接固定して、角度を手で変える使い方。「無理に手で操作すると破損することがあります」(ダイキン)
- 本体上部の吸込口まで覆ってしまう大きさで作ること
- 運転中に脚立の上で作業すること。取り付け・調整は必ず運転を止めてから行ってください
なお、自作品の取り付けが原因で本体を破損させた場合、メーカー保証の対象になるとは限りません。賃貸住宅では、退去時の原状回復の観点からも、粘着材を本体に直接貼る方法は慎重に検討したほうが無難です。
室外機の風よけとは別の話です

室外機の風よけは、室内機の風よけとはまったく別の話になります
「風よけカバー」で検索すると、室外機の前に立てるタイプの情報も混ざってきますが、これは別テーマです。資源エネルギー庁は省エネの解説ページで「室外機のまわりに物を置かない」とし、「室外機の吹出口にものを置くと、冷暖房の効果が下がります」と明記しています(資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約 エアコン」)。室外機の前をふさぐ工作は、省エネの観点からは推奨されていません。設置の高さや向きが気になる場合は、室外機をブロックに乗せる記事を参考にしてください。
ちなみに同じページには、冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合、年間で電気30.24kWhの省エネ、約940円の節約になる(外気温度31℃、2.2kWのエアコン、使用時間9時間/日)という試算も載っています。フィルターを月に1回か2回清掃するだけでも、年間で電気31.95kWh、約990円の節約と示されています。風よけを工作するより先に、フィルター掃除と設定温度の見直しのほうが効果が大きいこともあります。
エアコンの風よけカバー自作に関するよくある質問(FAQ)
Q1. クリアファイルや段ボールで作るのはダメですか?
A. メーカーが「ダメ」と書いているわけではありません。ただし専用品は、平らな板では表裏の温度差で結露が出ることを前提に、スリットや波型形状、断熱マットで対策しています。平らな一枚板にはその工夫がありません。段ボールは水分を吸うため、結露が出た場合の変形やカビも考慮に入れる必要があります。
Q2. 風よけを付けるとエアコンの効きは落ちますか?
A. 効き方が変わるかどうかを、私が数値で示せる根拠は持っていません。確実に言えるのは、ダイキンが「吹出口や上部の吸込口がカーテンや家具などの障害物でふさがっていませんか?」を冷えない原因の一つとして挙げていることです。ふさぐ形になれば冷えにくくなる可能性があります。風をそらす形にとどめ、吸込口にはかけないでください。
Q3. ルーバーに直接くくりつける方法は問題ありませんか?
A. 上下のフラップはモーターで駆動される部品で、ダイキンは「風向の調整はリモコンで行います。無理に手で操作すると破損することがあります」と案内しています。さらに、湿度が高いときは結露を防ぐために本体が自動でフラップ角度を変えることがあるとも書かれています。固定してその動きを妨げる方法は避けてください。なお左右ルーバーについては、リモコンに左右ボタンがない機種で「つまみを持って動かしてください」と案内しているメーカーもあります。
Q4. 天井埋め込み型のエアコンでも自作できますか?
A. 専用品のFAQでは、天井埋め込みタイプ・天井吊り下げタイプも「粘着テープ付きアダプターが取り付けられれば問題ございません」とされています。ただし吹出口が開閉しないブリーズライン型には専用モデルが必要、とも案内されています。天井面での落下は室内機より危険度が上がるため、自作品を頭上に取り付けることは特に慎重に判断してください。オフィスや店舗の設備であれば、まず管理者に相談するのが先です。
Q5. サイズはどれくらいで作ればいいですか?
A. 家庭用向けの専用品で縦12cm×横50cm、取付時の最大高が15cmです。専用品のFAQには「吹き出し口に対して本体の横幅が足りないままご使用されますと、風よけの効果が十分に得られない場合がございます」とあり、足りない場合は複数枚を並べる想定になっています。吹出口の横幅を実測したうえで、それを下回らない幅にするのが基本の考え方です。
まとめ
エアコンの風よけカバーの自作について、メーカーと製品メーカーの公表内容を軸に整理しました。要点は次の通りです。
- まずリモコンを確認する。「風ないス運転」など、風を体に当てない運転を持つ機種があります
- 冷房中の風向は「自動」か「水平」がメーカー推奨です。下向きは冷えにくく、結露で水滴も落ちやすくなります
- メーカーは風よけを禁止していませんが、「吹出口や吸込口をふさぐと冷えない」と明記しています
- 上下フラップを手で動かす操作は「破損することがあります」と案内されています
- 専用品はスリット・波型・断熱マットで結露に対策しています。平らな一枚板にはその工夫がありません
- 家庭用向け専用品の本体重量は約175g。軽く作り、落下対策をしてください
自作そのものを否定するつもりはありません。ただ「作れるか」より先に「本体側の機能で足りないか」「ふさいでいないか」「結露をどうするか」を確認する。この順番で考えるだけで、失敗の大半は避けられるはずです。まずはリモコンのフタを開けて、風向の設定から見直してみてください。

