エアコン掃除グッズは何なら使える?メーカーが名指しした道具を原典で確かめた

木のテーブルに置いた掃除用のクロスと柔らかいブラシ 掃除・お手入れ・メンテナンス

こんにちは、エアコンラボのアキです。

「エアコン 掃除 グッズ」で探すと、100円ショップのブラシ、ドラッグストアの吹き出し口用ワイパー、貼るタイプのフィルターまで、候補はいくらでも出てきます。困るのは、どれもパッケージに「エアコン用」と書いてあることです。用途に書いてあるなら使ってよいのだろう、と考えたくなります。

そこで今回は、グッズを選ぶ前に順番を1つ入れ替えました。「どのグッズが優秀か」ではなく「その道具の名前が、原典のどちら側に書かれているか」を先に読むという順番です。エアコンメーカー8社の取扱説明書と公式FAQ、そして掃除グッズを作っている4社の製品ページを、同じ目で読み比べました。

結果は、想像よりずっとはっきりしていました。名前を出して認められている道具はごく少なく、名前を出して止められている道具があり、そして同じ道具なのにメーカーで答えが正反対になる箇所まで見つかりました。

  • 各社が名指しで認めている道具と、名指しで止めている道具
  • 綿棒の扱いが、1社だけ逆になっていたこと
  • 吹き出し口に差し込むグッズが、エアコン側の記述と食い違っていること
  • グッズのパッケージが、最後に何と書いているか

木のテーブルに置いた掃除用のクロスと柔らかいブラシ

  1. 名前を出して認められている道具は、数えるほどしかありません
    1. 8社の記述に出てくる道具を並べるとこうなる
    2. 三菱電機だけは、掃除機に付ける専用ブラシを別売部品として案内している
    3. 名指しで「使わない」と書かれている道具
  2. 「綿棒は使えない」の答えは、メーカーによって逆でした
    1. ダイキンは「使用しない」の一覧に綿棒を入れている
    2. シャープは、部品を限定して綿棒を指定している
    3. 読み取れるのは「道具の名前ではなく、どの部品か」で決まるということ
  3. 「吹き出し口に差し込む」グッズは、エアコン側の記述と食い違っています
    1. グッズ側は「吹出口から差し込む」と書いている
    2. エアコン側は「指や棒などを入れない」と書いている
    3. 両者が一致している点もある — 送風ファンです
    4. 自作した道具は、ダイキンがまとめて止めている
  4. グッズの表示は、最後に「機器の取扱説明書を読め」と書いています
    1. 100円ショップの商品ページにも、同じ一文があった
    2. メラミンスポンジは「電気製品」を使用に適さない面に挙げている
    3. 貼るタイプのフィルターは、貼れるかどうかが機種で決まる
    4. 雑誌やテスト媒体の順位を、この記事では再掲していません
  5. 原典で確認できなかったこと
    1. 「エアコン掃除グッズ○選」に当たる公式の一覧は見つからなかった
    2. 100円ショップの商品と専用品の性能差は、判断材料が見つからなかった
  6. よくある質問とまとめ
    1. エアコン掃除グッズに関するよくある質問(FAQ)
    2. まとめ

名前を出して認められている道具は、数えるほどしかありません

まず、各社が「これで手入れしてください」と道具の名前を書いている箇所だけを集めました。曖昧な言い回しは拾わず、道具の名前が出ている記述に限っています。

8社の記述に出てくる道具を並べるとこうなる

メーカー 名前を出して案内されている道具・洗剤
ダイキン 掃除機、柔らかい布、水または液体中性洗剤。「主な方法は、ほこりを掃除機で吸ったり、柔らかい布による拭き掃除が中心です」(出典出典)
三菱電機 やわらかい布、掃除機、台所用中性洗剤。加えて掃除機に付ける専用ブラシ(別売)(出典取扱説明書)
パナソニック 薄めた中性洗剤でのつけ置き洗い(エアフィルター)(取扱説明書)
日立 掃除機やスポンジ、やわらかい布、中性洗剤。「掃除機やスポンジなどを使って、強い力を加えないようにしながら」(出典出典)
シャープ 柔らかい布、掃除機、薄めた中性洗剤、柔らかいスポンジ。さらに部品を限定して付属のブラシと市販の綿棒(取扱説明書出典)
富士通ゼネラル 柔らかい布、掃除機(取扱説明書)
コロナ 中性洗剤を溶かした40℃以下のぬるま湯か水(出典)
東芝 道具の名前ではなく手入れの時期を提示。エアフィルターは自動で掃除されない機種で2週間から4週間に1回、集じんユニットは約6カ月に1回(出典)

名前が挙がる道具は、掃除機・柔らかい布・スポンジ・中性洗剤にほぼ集約されます。市販の「エアコン掃除グッズ」として売られている専用ブラシや隙間ワイパーは、この一覧にはほとんど登場しません。選択肢が多いのは売り場であって、原典の側ではありませんでした。

洗剤の条件も具体的です。コロナは40℃以下、三菱電機はエアフィルターについて「熱い湯(約50度以上)で洗わない。変形することがあります」、日立は掃除機について「吸引力が強すぎるとエアフィルターを傷めるおそれがありますので、弱めに設定してください」と書いています。道具そのものだけでなく、使い方の強さまで指定されているのがこの領域の特徴です。

三菱電機だけは、掃除機に付ける専用ブラシを別売部品として案内している

今回いちばん意外だったのがここです。三菱電機のルームエアコン取扱説明書には、お手入れのページに次の1行がありました。

掃除機の専用ブラシ(別売)を使うと、熱交換器やファンのおそうじがしやすくなります(三菱電機 ルームエアコン取扱説明書)

同じページに、その別売部品の中身まで書かれています。

  • 品名「専用おそうじカンタンセット」、形名MAC-103SS
  • 内容はカンタンブラシ、スミズミブラシ、接続ホース、万能アダプターの4種類
  • 万能アダプターは掃除機のパイプ内径29.542.5mmに対応。「掃除機の機種によっては、万能アダプターが取付けられない場合があります」
  • 希望小売価格3,850円(税別価格3,500円)。同ページに「希望小売価格は2021年4月現在の価格です」と注記あり

ただし、この記述だけを切り取ると読み違えます。まったく同じページに、次の警告が並んでいます。

室内機内部の洗浄はお客さまご自身では行わず、必ずお買上げの販売店または三菱電機修理窓口に相談してください。誤った洗浄剤の選定・使用方法で洗浄を行うと、樹脂部分が破損したり水漏れなどの原因になります

熱交換器のお手入れも、目安が「1年に1回」と書かれたうえで、動作は「掃除機のブラシでほこりを吸い取る」だけです。あわせて「手袋などを着用してください」「硬いブラシやたわしでこすらないでください」「消臭剤・抗菌剤などの液体を吹きつけないでください」と続きます。つまり乾いたまま吸うことは認められていても、液体を使う洗浄は同じページで止められているという構造です。適用される機種も取扱説明書ごとに違うので、この記述をお使いの機種に当てはめる前に、手元の取扱説明書の「お手入れ」のページを確認してください。

名指しで「使わない」と書かれている道具

逆側も具体的でした。ダイキンは、お掃除前の注意点として使ってはいけないものを6種類挙げています。理由は一覧の前に「変形や変色、傷や故障の原因」とまとめて書かれています。

  1. 40℃以上のお湯
  2. ベンジン、ガソリン、シンナーなどの揮発性のもの
  3. みがき粉
  4. 綿棒
  5. タワシなどの硬いもの
  6. 消臭剤などのスプレー

他社の取扱説明書にも、ほぼ同じ形式の一覧があります。

メーカー 「次のものは使わない」に並んでいるもの
パナソニック タワシのような堅いもの/シンナーやみがき粉/漂白剤/40℃以上のお湯。乾かす側でもドライヤー・ストーブ・直射日光を挙げている(出典)
シャープ シンナー・ベンジン/みがき粉/消臭剤/漂白剤・酸性・アルカリ性洗剤/タワシ・スポンジの硬い面/40℃以上のお湯(出典)
三菱電機 ブラシやたわしでこすらない/ガソリン・ベンジン・シンナー・磨き粉/たわしやスポンジの硬い面/漂白剤(出典)
富士通ゼネラル 「アルコール、ベンジン、シンナー、みがき粉などでふかないでください」「40℃以上の温水は使わないでください」(出典)

ここで注目したいのはシャープの書き方です。他社が「漂白剤」と商品の種類で書いているのに対し、シャープは「漂白剤・酸性・アルカリ性洗剤」と液性で線を引いています。商品名やパッケージの色ではなく、裏面の「液性」の欄を見れば判定できる、ということです。売り場に新しい商品が並んでも、この基準なら判断が変わりません。

「綿棒は使えない」の答えは、メーカーによって逆でした

ここが今回いちばんはっきりした発見です。掃除グッズの記事では、綿棒は「メーカーが名指しで禁止している道具」として扱われることが多く、私たちも過去にそう書いてきました。今回8社を読み直したところ、その断定が成り立たない社が1社ありました。

ダイキンは「使用しない」の一覧に綿棒を入れている

前章のとおり、ダイキンの一覧には綿棒が入っています。シンナーやタワシと同じ並びに置かれている、という点が読みどころです。拭き取り全般の道具についてはエアコン掃除にウェットティッシュと綿棒は使えるのかで詳しく扱っています。

シャープは、部品を限定して綿棒を指定している

一方、シャープのルームエアコン(家庭用)取扱説明書には、プラズマクラスターイオン発生ユニットのお手入れとして、次の記述がありました。

ユニットの電極部(針の先端部)に付いたホコリや付着物を、付属のユニット清掃ブラシ、または市販の綿棒でやさしく取り除く(シャープ ルームエアコン(家庭用)取扱説明書)

続けて「汚れが落ちにくい場合は、市販の綿棒を少し水で湿らせてから、お手入れしてください」とまで書かれています。市販の綿棒を、水で湿らせる条件まで添えて指定しているわけです。しかも同じ製品には「ユニット清掃ブラシ」が付属品として入っており、各部のなまえのページには「※ユニットの清掃以外に使わないでください」という但し書きが付いています。

電極部については「電極部が変形しないように注意してください」「接続端子には触れないでください」という注意も併記されています。つまり、この綿棒は1つの部品の、1つの箇所のための指定であって、エアコン全体に対する許可ではありません。

読み取れるのは「道具の名前ではなく、どの部品か」で決まるということ

ダイキンとシャープは、綿棒について正反対のことを書いています。けれど矛盾しているわけではありません。ダイキンが止めているのはフィルターや前面パネルなど外から見える部分のお手入れでの使用で、シャープが指定しているのは取り外した特定のユニットの電極部です。対象が違います。

この記事を書くために調べ直すまで、綿棒は「全社が止めている道具」だと考えていました。実際には、部品を限定して名指しで指定している社がありました。道具の名前で覚えると間違えます。自分の機種の取扱説明書に、その道具の名前がどの部品の欄に書かれているかを見るしかありません。

「吹き出し口に差し込む」グッズは、エアコン側の記述と食い違っています

市販の掃除グッズの中で、いちばん数が多いのが吹き出し口用の細いワイパーやブラシです。この種類については、グッズ側とエアコン側で書いてあることが噛み合っていませんでした。

グッズ側は「吹出口から差し込む」と書いている

アース製薬の「らくハピ エアコンの防カビスキマワイパー セット」の製品ページには、使用方法がこう書かれています。

電源を切った状態では吹出口にあるフラップ(上下風向ルーバー、風向板)が閉じた状態になっているので、手でゆっくりと開いてください。エアコンの吹出口から内壁に沿うようにワイパーを差し込んで、拭いてください(アース製薬 製品情報)

製品仕様も公開されています。品名は「エアコン吹出口用防カビウエットシート」、液性は中性、シート材質はポリエステルでサイズは約215mm×40mm、ワイパー材質はポリプロピレン、シートは4枚入りで、防カビ効果は最長2ヵ月(使用環境により異なる)とされています。

100円ショップの商品も同じ書き方でした。ダイソーの「エアコンクリーナー」(材質はクリーナーがポリエステル、柄がポリプロピレン、サイズ4.9cm×25cm×2cm)の商品ページには、「エアコンの電源を切り、必ずプラグをコンセントから抜いてください」「エアコン吹出口のフラップを開け、内壁に添わせながら拭いてください」とあります(ダイソーネットストア)。

念のため書いておくと、この記事はこの使い方を手順として案内しません。理由は次のとおりです。

エアコン側は「指や棒などを入れない」と書いている

同じ場所について、エアコンメーカーの取扱説明書はこう書いています。いずれも「安全上のご注意」の禁止項目です。

メーカー 吹き出し口についての記述
パナソニック 「吹出口の奥に、指や棒などを入れない」(ファンが高速回転しているため、けがの原因)(出典)
富士通ゼネラル 「室内・室外ユニットの吹出口や吸込口に指や棒などを入れない」(内部でファンが高速回転しているため、けがや故障の原因)(出典)
シャープ 「吸込口・吹出口に指や棒などを入れない」(高速回転するファンで、けがの原因)(出典)
ダイキン 「室内機の吹き出し口などエアコン内部は、お客様でお手入れすることができません」「室内機の吹き出し口に物や手を入れての清掃は、重大なケガや部品の破損を引き起こすおそれがあります」(出典)

「棒などを入れない」と書いている社が、今回読んだ範囲で3社ありました。細長い柄の先にシートを付けた道具は、この記述の対象から外れる根拠が見当たりません。

ただし、ここも一律ではありませんでした。三菱電機の取扱説明書には「吹出口・上下風向フラップ・左右風向フラップ・ファン(汚れが気になったら)」というお手入れの項目があり、「やわらかい布でから拭きや水拭きする」「ファンが停止していることを確認してください」と書かれています。そのうえで「奥にあるファンに強い力を掛けないでください。割れるおそれがあります」と続きます。吹き出し口の扱いは、メーカーと機種によって書き分けられているというのが今回の結論で、自分の機種の取扱説明書を見る以外に判定の方法はありませんでした。手が届かない場所の考え方はエアコン掃除で手が届かない場所はどうするかにまとめています。

両者が一致している点もある — 送風ファンです

食い違ってばかりではありません。グッズ側も、送風ファンと電装部は自分で対象外にしています。アース製薬の「使用上の注意」には次の項目が並んでいました。

  • 「エアコンフィン、送風ファン、室外機、エアコン電装部(センサーや電子基板、スイッチ、モーター部)には使用しない」
  • 「吹出口にあるフラップ(上下風向ルーバー)が開かないタイプのエアコンには使用できない」
  • 「使用する際、力を入れすぎない。風向ルーバー(風向板)が外れたり、送風ファン、及びワイパーが破損するおそれがある」
  • 「ワイパーのヘッド部が入らないすき間には無理に押し込まない」
  • 「エアコンのフラップ(上下風向ルーバー、風向板)を動かす際にはゆっくりと動かす。勢いよく動かすと折れるおそれがある」

三菱電機の「奥にあるファンに強い力を掛けないでください」と、ぴたりと重なります。売る側も使う側も、送風ファンだけは触らせないという点では一致していました。送風ファンそのものの線引きはエアコンのローラー掃除はどこまで自分でやってよいかで扱っています。

自作した道具は、ダイキンがまとめて止めている

ペットボトルや割り箸、針金ハンガーにタオルを巻いた「お掃除棒」も、グッズ探しの延長でよく出てきます。この点については、ダイキンが正面から答えていました。

市販や自作のほこり取り棒などを使ったエアコン内部のお手入れは、ケガの恐れや、ファンが破損する恐れがあるため、お控えください。運転停止中でファンが回転していない場合もファンが破損するリスクがあります。破損した状態でファンが再び回転すると、破片が吹き出す恐れもあります(ダイキン 自分で行うエアコンお掃除 Q&A)

ここで止められているのは「市販や自作の」ほこり取り棒です。手作りかどうかで扱いを分けていません。電源を切れば安全、という条件つきの許可にもなっていません。なお、ペットボトルをドレンホースの詰まりに使う話は道具の可否とは別の論点なので、エアコンの水漏れとペットボトルで扱います。

グッズの表示は、最後に「機器の取扱説明書を読め」と書いています

部屋の壁の高い位置に取り付けられた壁掛けエアコンの室内機

もう1つ、4社の製品ページを読んで共通していたことがあります。グッズ側は、最終判断を機器側に戻していました。

100円ショップの商品ページにも、同じ一文があった

ダイソーの「フィルター汚れスッキリスポンジ」(材質はポリエステルとポリウレタンフォーム、サイズ6.5cm×3.5cm×11.6cm)は、用途に「網戸・エアコンフィルター・空気清浄機」と書かれています。そのうえで、注意書きにこうありました。

エアコンや空気清浄機のお掃除をする際は、機器の説明書をよく読んでから使用してください(ダイソーネットストア)

用途欄に「エアコン」と書いてあることは、その機種に使ってよいという意味ではない、と商品ページ自身が述べているわけです。売り場の分類は用途の目安であって、可否の根拠ではありません。

メラミンスポンジは「電気製品」を使用に適さない面に挙げている

掃除グッズの定番であるメラミンスポンジについても、製造元の表示を確認しました。レックの製品ページには「使用に適さない面」として、次のものが列挙されています。

くもり止め加工などの表面加工された鏡、光沢のあるステンレス・プラスチック面、塗装面、コーティング面、車の外装面、吸水性のある面、凹凸のある面、漆器類、フローリング、防汚加工などの表面加工された面、液晶テレビの画面、パソコン、スマートフォン、電気製品、貴金属製品(レック 製品ページ)

エアコンは電気製品です。加えて「光沢のあるプラスチック面」「塗装面」も並んでいます。エアコンという単語こそ出てきませんが、当てはまる項目が3つあります。メラミンスポンジをエアコンに使ってよいと書いた記述は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。

貼るタイプのフィルターは、貼れるかどうかが機種で決まる

吸気口に貼るフィルターも、掃除グッズの棚では定番です。東洋アルミエコープロダクツの「パッと貼るだけホコリとりフィルターエアコン用」(タテ約38cm×ヨコ約80cm2枚入り、材質は抗菌抗カビ消臭加工不織布)の使用上の注意には、次の条件が並んでいます。

  • 「エアコンのサイズ・形状により取付けできない場合があります」「表面にエンボス加工を施した機種には貼り付けできません」
  • 「木目調等の塗装しているエアコンには使用しないでください。のり残りする場合があります」
  • 「空気取入れ口が開閉するタイプには使用しないでください」
  • 取付け後に水滴や水漏れ、異常な音、本体や室外機の停止、機器の効果が無くなるといった異常が出た場合は「使用をお止めください」
  • 「交換お知らせサインが出ない場合でも12ヶ月を目安に取替えてください」「水洗いできません」

一方エアコン側では、ダイキンが市販の不織布フィルターについて「エアコン風量の低下、ひいては冷房・暖房が効きにくくなるリスクがあります」「付属のエアフィルター以外に別途市販の不織布フィルターをつけると、目詰まりしているのと同じような状態になるため、風量や冷暖房の効きに影響が出る可能性があります」と述べています。この論点はエアコンに貼るフィルターのデメリットで詳しく扱っているので、ここでは深追いしません。

なお、貼るフィルターにはメーカー純正品もあります。三菱電機の取扱説明書には別売部品として「帯電ミクロフィルター」(形名MAC-334FT、希望小売価格2,200円/税別価格2,000円、交換の目安は約3年、こちらは水洗い不可)が載っていました。純正の消耗品があるかどうかも、取扱説明書を見れば分かります。

雑誌やテスト媒体の順位を、この記事では再掲していません

「どのグッズが評価されているか」を知りたい方には物足りない話に見えるかもしれません。それでも順位を並べなかったのには理由があります。

商品テストが判定できるのは、汚れの落ち具合や使い心地といった製品どうしの比較です。一方この記事の問いは「その道具を自分のエアコンに使ってよいか」で、これを決めているのは製品の優劣ではなく、機器側の取扱説明書と、製品側の使用上の注意です。上で見たとおり、両者が食い違うことすらあります。評価が高い商品でも、製造元自身が「送風ファンには使用しない」と書いていれば、その線は動きません。

ですのでこの記事では、評価や口コミではなく、製造元4社が自社の製品ページに書いている使用上の注意と、エアコンメーカー8社の取扱説明書だけを並べました。順位より、この2つを突き合わせるほうが判断に直結すると考えたためです。

原典で確認できなかったこと

調べた結果「書いていなかった」ことも、そのまま書いておきます。範囲を明示します。

「エアコン掃除グッズ○選」に当たる公式の一覧は見つからなかった

  • 市販の掃除グッズを名指しで推奨したエアコンメーカーの記述は、今回本文を確認した8社(ダイキン/三菱電機/パナソニック/日立/シャープ/富士通ゼネラル/コロナ/東芝)の公式FAQ・取扱説明書には見当たりませんでした。唯一の例外が三菱電機の自社別売部品で、これは他社製品の推奨ではありません
  • 「このグッズならどのメーカーでも使える」と書いた記述も、上記8社と掃除グッズ4社(アース製薬/大創産業/レック/東洋アルミエコープロダクツ)のいずれにも見当たりませんでした。グッズ側はむしろ、機器の取扱説明書に判断を戻しています
  • 掃除グッズを使う頻度の目安も、エアコンメーカーの資料には見当たりませんでした。頻度が書かれているのはエアフィルター(各社2週間〜4週間に1回)や集じんユニット(東芝、約6カ月に1回)といった純正部品についてで、市販グッズの使用間隔ではありません

100円ショップの商品と専用品の性能差は、判断材料が見つからなかった

  • 100円ショップの商品と専用品を比べた公的な試験結果は確認できませんでした。今回読んだ商品ページに載っているのは材質・サイズ・用途・注意書きで、比較試験の結果ではありません
  • 市販グッズの価格は、原典で確認できたもの以外は書いていません。三菱電機の別売部品の金額は取扱説明書に載っている希望小売価格(2021年4月現在)で、店頭価格ではありません
  • 「これを買えば足りる」という組み合わせを示した公式資料も見つかりませんでした。各社が書いているのは部品ごとのお手入れ方法であって、道具のセットではありません
  • なお、業界団体である日本冷凍空調工業会も「エアコン内部の洗浄は高い専門知識が必要です」「エアコンの内部洗浄は、高い専門知識を有する業者に依頼をしてください」としています(エアコンクリーニングのご注意)。東芝も「エアコン内部のクリーニングは、お客様ご自身で行わないでください」と明記しています(出典)

よくある質問とまとめ

エアコン掃除グッズに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 結局、最低限そろえるとしたら何になりますか?

A. 各社の記述に名前が出てくるのは、掃除機・柔らかい布・中性洗剤で、日立とシャープはスポンジも挙げています。いずれも掃除グッズ売り場に行かなくても手に入るものです。ただし機種によって手入れできる部品が違うため、そろえる前に手元の取扱説明書の「お手入れ」のページを開いてください。ダイキンも「基本は取扱説明書にそってお手入れを行ってください」、三菱電機も「各部のお手入れの方法は、機種によって異なりますので、取扱説明書を参照してください」と書いています。

Q2. パッケージに「エアコン用」と書いてあれば使ってよいのでは?

A. 用途欄の記載は、その機種で使えることの保証にはなっていません。ダイソーの商品ページは用途に「エアコンフィルター」と書いたうえで「機器の説明書をよく読んでから使用してください」と添えています。東洋アルミのフィルターも、エンボス加工の機種や木目調の塗装、空気取入れ口が開閉するタイプを対象外にしています。使える機種かどうかは、グッズ側ではなく機器側で決まります。

Q3. 綿棒はダイキンが禁止しているのに、シャープは使えと書いているのはなぜですか?

A. 対象の部品が違うためです。ダイキンが「使用しない」としているのはフィルター類や前面パネルなど、外から見える部分のお手入れです。シャープが綿棒を指定しているのは、取り外したプラズマクラスターイオン発生ユニットの電極部という限定された箇所で、しかも「電極部が変形しないように注意してください」「接続端子には触れないでください」という注意が付いています。道具の名前で覚えると誤解します。部品ごとに読むのが正しい読み方です。

Q4. 吹き出し口用のワイパーを、もう買ってしまいました。

A. まず、お使いの機種の取扱説明書で吹き出し口がお手入れの対象になっているかを確認してください。今回読んだ範囲では、パナソニック・富士通ゼネラル・シャープが「指や棒などを入れない」を安全上のご注意に置き、ダイキンは吹き出し口を「お客様でお手入れすることができません」としていました。一方、三菱電機のように吹出口とフラップをお手入れの項目に入れている取扱説明書もあります。この記事では、どちらか一方に当てはめた手順は書きません。判断に迷う場合は、購入した販売店かメーカーの相談窓口に、機種名を伝えて確認するのが確実です。

Q5. 洗剤は「エアコン用」と書かれた専用品を選ぶべきですか?

A. 各社が名前を出しているのは中性洗剤だけでした。パナソニックは「薄めた中性洗剤でつけ置き洗い」、シャープは「薄めた台所用合成洗剤(中性)」、三菱電機は「台所用中性洗剤を使用量の目安まで溶かしたぬるま湯」、コロナは「中性洗剤を溶かした40℃以下のぬるま湯か水」です。逆にシャープは使わないものとして「漂白剤・酸性・アルカリ性洗剤」を挙げています。商品名ではなく、裏面の「液性」の欄で判定できます。

Q6. 「書いていない」だけで、使ってはいけないと言い切れますか?

A. 言い切れないので、この記事では「書いてある」と「書いていない」を分けました。綿棒・タワシ・みがき粉・漂白剤・アルコールでの拭き取り、そして「棒などを入れる」行為は、社名を挙げたとおり書いてある側です。市販の隙間ワイパーやメラミンスポンジは名指しされていませんが、使う相手の指定が具体的にある以上、指定外のものを使う判断は利用者に残ります。判断の材料は、機器の取扱説明書と製品の使用上の注意の2つです。

まとめ

  • エアコンメーカー8社が名前を出して案内している道具は、掃除機・柔らかい布・スポンジ・中性洗剤にほぼ集約された。市販の専用グッズを名指しで推奨した記述は見当たらなかった
  • 三菱電機だけは、掃除機に付ける自社の別売ブラシ(MAC-103SS、掃除機のパイプ内径29.5〜42.5mm対応)を取扱説明書で案内している。ただし同じページに「室内機内部の洗浄はお客さまご自身では行わず」の警告があり、乾いたまま吸うことと液体での洗浄は分けて書かれている
  • 使ってはいけないものはダイキンが6種類、パナソニック・シャープ・三菱電機・富士通ゼネラルも同じ形式で列挙している。シャープだけは「漂白剤・酸性・アルカリ性洗剤」と液性で線を引いており、商品名を知らなくても裏面で判定できる
  • 綿棒はダイキンが「使用しない」に名指しし、シャープは特定ユニットの電極部について市販の綿棒を名指しで指定していた。道具の名前ではなく、どの部品かで答えが変わる
  • 吹き出し口用のワイパーは、グッズ側(アース製薬・ダイソー)が「吹出口から差し込んで拭く」と書き、エアコン側はパナソニック・富士通ゼネラル・シャープが「指や棒などを入れない」、ダイキンが「お客様でお手入れすることができません」と書いていた。三菱電機のように吹出口をお手入れの項目に入れている取扱説明書もあり、機種で分かれる
  • 両者が一致していたのは送風ファン。アース製薬は「エアコンフィン、送風ファン、室外機、エアコン電装部には使用しない」、三菱電機は「奥にあるファンに強い力を掛けないでください」としている
  • 自作の道具はダイキンが「市販や自作のほこり取り棒など」とまとめて止めており、運転停止中でも破損のリスクがあるとしている
  • グッズ側の表示は最後に機器側へ判断を戻す。ダイソーは「機器の説明書をよく読んでから使用してください」、レックはメラミンスポンジの使用に適さない面に「電気製品」を挙げている
  • 貼るフィルターは、東洋アルミがエンボス加工・木目調の塗装・開閉する空気取入れ口を対象外にし、1〜2ヶ月を目安に交換としている。純正の帯電ミクロフィルター(交換の目安 約3年)のような選択肢が取扱説明書に載っている機種もある
  • 結論として、道具は売り場ではなく取扱説明書で選ぶことになる。グッズを買う前に開くべきページは、商品ページではなく手元の取扱説明書の「お手入れ」だった

掃除の範囲そのものの線引きはエアコン掃除のDIYはどこからが越えた側か、ネット上で語られている手順の検証はエアコン掃除の説を原典で照合した記事、フィルター掃除の効果はフィルター掃除の効果を公表データで確かめた記事にまとめています。

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