エアコンに貼るフィルター|5つのデメリットと使えない機種

フィルター清掃 掃除・お手入れ・メンテナンス

こんにちは、エアコンラボのアキです。エアコンの上の吸込口に貼る「貼るだけホコリとりフィルター」。ドラッグストアでも100円ショップでも売っていて、掃除の手間が減りそうに見えます。でも「エアコンに悪いのでは」と気になって、貼るのをためらっている方も多いと思います。

この記事では、貼るフィルターのデメリットを製品を作っているメーカーの注意書きと、エアコンメーカー・公的機関が公開している資料に書いてあることだけで整理します。「貼ると電気代が何%上がる」といった数字は、今回調べた範囲では出典を確認できませんでした。そのため、この記事に出てくる数値は、記事内で示した出典(製品メーカーの商品情報、ダイキン・三菱電機・日立の公式資料、資源エネルギー庁、日本冷凍空調工業会)のいずれかに直接たどれるものだけにしています。

フィルター清掃

貼るフィルターは「何を」「どこに」貼るものなのか

正体は粘着つきの不織布シートです

まず、何を貼っているのかをはっきりさせておきます。代表的な製品である東洋アルミエコープロダクツの「パッと貼るだけホコリとりフィルターエアコン用」の商品情報には、仕様がこう書かれています。

  • サイズ:タテ約38cm×ヨコ約80cm
  • 入数:2枚
  • 材質:抗菌抗カビ消臭加工不織布
  • 使用目的:「エアコン・空気清浄機(背面吸気タイプ)の吸気部分に溜まるゴミやホコリを防ぎ、機器内部の備え付けフィルターの汚れを軽減するためのもの」

つまり粘着剤つきの不織布シートです。エアコン本体の上面にある吸込口をこのシートで覆い、空気が本体に入る前にホコリを受け止める、という道具になります。

本体のエアフィルターの代わりにはなりません

ここが誤解されやすい点です。貼るフィルターの使用目的は、上に引用したとおり「備え付けフィルターの汚れを軽減する」ことであって、備え付けフィルターの代わりをすることではありません。同じ商品ページには「この製品を取付けることで、すべてのホコリや花粉をとるわけではありません」という注意も明記されています。

ですから、貼るフィルターを貼っても本体のフィルター掃除はやめられません。ここを取り違えると、後で説明する「二重の目詰まり」という一番まずい状態になります。

エアコンに貼るフィルターの5つのデメリット

調べた資料から確認できたデメリットは、次の5つです。順番に見ていきます。

  • 吸込口をふさぐので、風の通り道をせまくする
  • 交換を忘れると、自分で目詰まりを作ることになる
  • 形状・表面加工によっては、そもそも貼れない機種がある
  • のり残りが出ることがあり、リモコン受信部をふさぐこともある
  • 異常が出たら使用を中止するよう、製品側が注意書きしている

デメリット1:吸込口をふさぐと風の通り道がせまくなる

エアコンは、上面の吸込口から空気を吸い、熱交換器を通して吹出口から出す機械です。ここが弱くなると、冷房も暖房も効きが落ちます。

ダイキンの「冷えない、冷たい風が出ない(ルームエアコン)」というよくあるご質問では、冷えないときに確認する項目として「吹出口や上部の吸込口がカーテンや家具などの障害物でふさがっていませんか?」が挙げられています。同じページには「エアフィルターにホコリ等が付着していると室内機に空気を取り込みにくくなり、風量が弱くなるため、お部屋全体が冷えにくくなります」とも書かれています。

貼るフィルターは、まさにこの吸込口の上に一枚シートを足す使い方です。新品できれいなうちは影響は小さいはずですが、汚れて目が詰まっていくと、メーカーが「冷えない原因」として挙げている状態に自分から近づいていくことになります。

デメリット2:交換を忘れると自分で目詰まりを作ります

これが実質的に一番大きなデメリットだと私は考えています。商品情報の「ご使用上の注意」には、こう書かれています。

交換お知らせサインが出ましたらお早めにお取替えください。汚れたままで使用されますとフィルターが目詰まりし、吸気能力が落ち機器性能に悪影響を及ぼすおそれがあります。交換お知らせサインが出ない場合でも1〜2ヶ月を目安に取替えてください。

作っている会社自身が、目詰まりして吸気能力が落ちることと、1〜2ヶ月での交換が必要なことをはっきり書いているわけです。「貼っておけば掃除がラクになる」と思って貼ったのに、1〜2ヶ月ごとに貼り替える手間が新しく増えます。しかも本体のフィルター掃除がなくなるわけではありません。

貼りっぱなしにした場合に起きるのは、本体のエアフィルターの手前にもう一段、汚れた不織布が乗っている状態です。目詰まりの原因が二重になるので、風量低下という意味では貼らない場合より不利になります。

デメリット3:そもそも貼れない機種があります

商品情報の「ご使用上の注意」には、使えないケースが具体的に列挙されています。買う前に自分のエアコンを見て確認したい項目です。

注意書きの内容 自分の機種で見るところ
「空気取入れ口が開閉するタイプには使用しないでください」 運転時に上面や前面のパネルが自動で開くか
「表面にエンボス加工を施した機種には貼り付けできません」 上面に細かい凹凸があるか(粘着がつかない)
「木目調等の塗装しているエアコンには使用しないでください。のり残りする場合があります」 本体色が白の樹脂そのままか、塗装仕上げか
「エアコンのサイズ・形状により取付けできない場合があります」 上面の平らな部分がタテ約38cm×ヨコ約80cmに収まるか

とくに1行目の「空気取入れ口が開閉するタイプ」は重要です。パネルが動く機種で吸込口をシートでふさげば、動く部品にシートが干渉する可能性があります。

デメリット4:のり残りとリモコン受信部

粘着で貼る以上、はがしたあとの跡は避けられない場合があります。商品情報には「フィルターを取外した際、まれにのり残りする場合があります。その際は固くしぼったフキンでふき取ってください」と書かれています。木目調などの塗装仕上げの機種が使用不可とされているのも、この、のり残りが理由です。

もう一つ、意外な注意書きがあります。「リモコンがうまく作動しない時は、リモコン受信パネル部分だけカットしてください」というものです。貼る位置によってはリモコンの信号が届かなくなるということで、貼ったあとリモコンの効きが悪くなったら、まずこれを疑うことになります。

デメリット5:異常が出たら使用中止、と製品側が明記しています

同じ「ご使用上の注意」には、次の記載があります。

この製品を取付けてエアコンや空気清浄機本体に次のような異常が発生した場合には使用をお止めください。①水滴や水漏れが発生した場合②異常な音が発生した場合③本体や室外機が止まった場合④機器の効果がなくなった場合

4つの症状がわざわざ書かれているということは、貼ったことでこれらが起こりうるという前提で作られているということです。水漏れ・異音・停止・効きの低下は、いずれもエアコンの不調としては軽くない部類に入ります。貼ったあとにこれらが出たら、原因の切り分けとして真っ先にシートをはがして様子を見るのが筋道です。

メーカーは貼るフィルターについて何と言っているのか

ダイキンは取扱説明書で「市販の外付けフィルター」に触れていました

この記事を書くにあたって、ダイキン・三菱電機・日立・パナソニック・シャープ・富士通ゼネラル・東芝の公式サポートページとよくあるご質問を調べ、さらにダイキン・三菱電機・日立のルームエアコン取扱説明書(PDF)にも当たりました。

ウェブのよくあるご質問には、貼るフィルターを名指しした記載は見つけられませんでした。ただし取扱説明書には書かれていました。ダイキンのルームエアコン取扱説明書(図番3P787847-3、AN225AEBKSW・AN255AEBKSW・AN285AEBKSW用。ダイキンのDT-NET 取扱説明書検索に機種名を入れると取り出せます)の「こんなときは/ご確認ください」には、「風が出ない」と「風が出ているのに効かない」の両方に「市販の外付けフィルターを使用していませんか?」という確認項目があり、後者には「風量が弱くなり能力が低下する場合があります。」と添えられています。

同じ取扱説明書の「室内・室外ユニット周辺の確認」には、「弊社カタログ記載の別売品以外の市販品を取り付けて運転することは避けてください。(設定温度にならない、結露、異音などの原因)」とも書かれています。貼るフィルターという商品名こそ出てきませんが、純正の別売品でない市販品を後付けすること自体を避けるようにというのがダイキンの案内です。

一方、同じように読んだ三菱電機(MSZ-GV223・MSZ-GV253用、MSZ-ZW225ほか用)と日立(RAS-AJ28Z2・RAS-AJ36Z2用)の取扱説明書には、外付けフィルターに触れた記載は見当たりませんでした。ですので「メーカー各社が禁止している」とは書きません。書けるのは、ダイキンは取扱説明書で外付けフィルターを効きが落ちる原因として挙げているということと、次の項で挙げる各社に共通する言い方までです。

各社が共通して言っているのは「吸込口をふさがない」

貼るフィルターそのものへの言及はなくても、吸込口については各社ともはっきりしています。ダイキンの冷えない・暖まらないときの案内では、確認項目に吸込口の障害物が入っています。日立の「エアフィルターのお手入れ方法を知りたいです。」というよくあるご質問でも、「エアフィルターが目詰まりすると冷暖房の効きが悪くなります」と説明されています。

要するに、各社が一貫して伝えているのは「空気の通り道をふさぐと効きが落ちる」ということです。貼るフィルターは通り道に物を足す行為ですから、この考え方の延長線上で判断するのが妥当だと思います。

自動お掃除機能つきの機種はとくに慎重に

自動お掃除機能つきの機種は、機構が定期的に動きます。ダイキンの「エアフィルターのお手入れ方法(フィルター自動お掃除機能ありの場合)」の案内によると、自動運転を「入」にしていると「運転時間に応じて(約1日に1度)フィルター掃除運転」が行われます。

日立の「フィルター掃除ユニットが動きません。」というよくあるご質問では、動かない原因として「エアフィルターなどの部品が正しく取り付けられていない可能性があります」と案内されています。掃除ユニットは、部品の位置が正しくないと止まる仕組みだということです。

先に挙げた「空気取入れ口が開閉するタイプには使用しないでください」という注意書きと合わせて考えると、自動お掃除機能つきの機種に貼るのは、少なくとも製品のパッケージ裏面にある適合機種欄を確認しないと判断できません。私としては、迷うなら貼らない方に倒すことをおすすめします。

貼るより確実なのは「2週間に1回」のフィルター掃除

公的機関とメーカーが公開している省エネの数字

ここが大事なところなのですが、世の中に出ている「フィルターで電気代が変わる」という数字は、すべて本体のエアフィルターの目詰まりについてのものです。貼るフィルターを貼ったときの数値ではありません。混同しないように、出典と条件をそのまま並べます。

出典 公開されている数値 条件
資源エネルギー庁 省エネポータルサイト 年間で電気31.95kWhの省エネ、原油換算8.05L、CO2削減量15.6kg、約990円の節約 フィルターが目詰まりしているエアコン(2.2kW)と、フィルターを月に1回か2回清掃した場合の比較
ダイキン工業 冷房時の消費電力が25%も高くなる フィルター掃除をしない場合のダイキンの試算
三菱電機 消費電力が約12%悪化 約半年間(1日8時間の使用を想定)お手入れしなかったフィルターと新品との比較(三菱電機調べ)
日立 約5〜10%の省エネ効果 エアフィルターのゴミやホコリを取り除いた場合

数値の出どころは、資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」の空調のページダイキン工業「シーズンの合間、今のうちにエアコンのお掃除を!」三菱電機 霧ヶ峰「かんたん節電アクション」、そして先ほどの日立のよくあるご質問です。

掃除の頻度についても各社そろっています。ダイキンは「お掃除機能が付いていない場合は2週に1回」、三菱電機は「2週間に1度」、日立はフィルターサインがない機種について「2週間に1回程度」を目安としています。資源エネルギー庁は月に1回か2回です。

安全にフィルターを掃除する手順

ダイキンが公開している手順にそって整理します。作業前の電源断は、ダイキン「エアコンのお手入れについて(ルームエアコン)」に「お手入れの前に必ず、運転を停止し、電源プラグを抜くか、エアコン専用ブレーカーを切ってください」と書かれているとおりです。

  1. 運転を停止し、電源プラグを抜くか、エアコン専用ブレーカーを切る
  2. 前面パネルを開けて、フィルターを引き出す
  3. 表面についたホコリを掃除機で丁寧に吸い取る
  4. 汚れがひどいときは、水を張ったバケツに液体の中性洗剤を少し入れ、やわらかい布などで軽くなでるように洗う
  5. 十分に水ですすいだあと軽く水を切り、日陰でよく乾かしてからセットする

やってはいけないことも公式に示されています。前掲のダイキンのお手入れページには「市販の洗浄スプレーは、ご使用しないでください」とあり、誤った洗浄は「部品の破損による水漏れや電気部品の故障などを引き起こし、最悪の場合は発煙発火につながる恐れがあります」と説明されています。

内部の洗浄についても同じです。日本冷凍空調工業会「エアコンクリーニングのご注意」は「エアコン内部の洗浄は高い専門知識が必要です」「エアコンの内部洗浄は、高い専門知識を有する業者に依頼をしてください」としています。フィルターの掃除まではご自身で、その先はプロに、という線引きになります。

それでも貼りたい人のためのチェックリスト

ペットがいる、道路に面していてホコリが多いなど、上面に積もるホコリを減らしたい事情はあると思います。貼ると決めたなら、次の点を守るかどうかで結果が変わります。

  • パッケージ裏面の適合機種欄を必ず読み、自分の機種が対象か確認する
  • 上面や前面のパネルが自動で開閉する機種には貼らない
  • エンボス加工・木目調塗装の機種には貼らない
  • リモコン受信部にかからない位置に貼る(かかる場合はその部分だけカットする)
  • 交換お知らせサインが出たら交換、出なくても1〜2ヶ月で貼り替える
  • 貼っても本体のエアフィルターの掃除は2週間に1回のペースで続ける
  • 水漏れ・異音・停止・効きの低下が出たら、すぐにはがして様子を見る

まとめ

最後に整理します。

  • 貼るフィルターは粘着つきの不織布シートで、本体フィルターの汚れを「軽減する」ための補助品です
  • 製品側が1〜2ヶ月での交換を求めており、放置すると吸気能力が落ちると明記しています
  • 空気取入れ口が開閉する機種、エンボス加工、木目調塗装の機種は使用不可とされています
  • 水漏れ・異音・停止・効きの低下が出たら使用中止、と製品側が注意書きしています
  • ダイキンは取扱説明書で「市販の外付けフィルターを使用していませんか?」を、風が出ない・効きが悪いときの確認項目に挙げています(三菱電機・日立の取扱説明書には該当する記載は見当たりませんでした)
  • 各社とも「吸込口をふさぐと効きが落ちる」という点では一致しています
  • 効果がはっきり数字で示されているのは、本体フィルターを2週間に1回掃除する方です

掃除の手間を減らしたいという動機はよく分かります。ただ、公開されている情報を並べてみると、貼るフィルターは手間を減らす道具というより、手間を1〜2ヶ月ごとの貼り替えに置き換える道具でした。2週間に1回、掃除機でフィルターのホコリを吸うだけなら数分で終わります。私としては、まずはそちらを習慣にすることをおすすめします。

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