エアコンの風切り音とは?メーカーが公表する「風の音」の説明を確認

エアコンの吹き出し口のルーバーが歪んで隙間ができている様子 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

エアコンをつけると「ヒュー」「ゴー」といった風の音がして、故障なのか気になっていませんか。「風切り音」で検索すると、擬音語ごとに原因を割り当てた早見表がたくさん出てきます。ただ、その表がどこから来た情報なのかは、たいてい書かれていません。

そこでこの記事では、エアコンメーカーが自社のFAQや取扱説明書で実際に公表している「風の音」の説明だけを集めました。私が音を聞き分けて原因を当てるのではなく、メーカーが何と書いているかをそのまま示します。逆に、メーカーが説明していない音について原因を推測することはしません。

  • 「風切り音」という言葉をメーカーが使っているのかどうか
  • 各社が公表している「風の音」の説明(擬音語ごと)
  • 風量の設定と、カタログの運転音(dB)の関係
  • フィルターの汚れについてメーカーが書いていること
  • 点検を依頼する目安としてメーカーが示している条件

エアコンの吹き出し口から風が出ている様子

「風切り音」という言葉をメーカーはどう使っているか

最初に、いちばん確かめたかったことからお伝えします。「風切り音」はメーカーが使っている言葉なのか、それとも読者やネット記事だけが使っている言葉なのか、という点です。

ダイキンはFAQの項目名として「風切り音」を使っている

ダイキンのルームエアコン向けFAQ「室内機から変わった音がする(ルームエアコン)」には、音の種類ごとの項目が並んでいます。そのなかに「ゴー」「ゴーゴー」「ボー」「ボーボー」(吹出口から出る風の音が大きい、風切り音がする)という項目があります。項目名のなかで「風切り音がする」と書かれているので、メーカーが使っている言葉だと確認できました。

ダイキンはこの項目に対して、(1)エアフィルターの汚れや目詰まりで風の通りが悪くなると吹出口から出る風の音が大きくなることがある、(2)換気機能を使用している場合は換気用のファンが回るため音が大きくなることがある、という2つの可能性を挙げています。

他社は「吹き出し口から風が出るときの音」と呼んでいる

一方、日立は「室内機の音の原因を知りたいです。」のなかで、「(吹き出し口から聞こえる音)ピー・ピュー・ヒュー・ザー」という項目を立てています。説明は「吹き出し口から風が出るときの音です。風速が強いと音が大きくなります。音が気になる場合は、風速を自動にすることをおすすめします。」で、「風切り音」という語は使っていません。

シャープ・富士通ゼネラル・パナソニックの家庭用ルームエアコンの取扱説明書にある「故障ではありません」の音の一覧を確認しましたが、風の音そのものを項目として立てているメーカーはありませんでした。三菱電機のルームエアコン「故障かな?診断:音関連」にも風の音の項目はなく、別のFAQで音量の変化として扱っています。

だから「ヒュー=この故障」という早見表は作れません

つまり「風切り音」は、ダイキンが1社だけ使っている表記であり、他社では「吹き出し口から風が出るときの音」という、原因ではなく発生場所で説明される音です。読者が「風切り音」と呼んでいる音は、この吹き出し口の風の音とほぼ重なると考えてよさそうです。

そして重要なのは、今回確認できた範囲では、擬音語から故障箇所を特定する表を出しているメーカーは1社もなかったことです。この記事でも、聞こえ方だけで原因を断定する表は作りません。

メーカーが公表している「風の音」の説明一覧

各社が公表している内容を、そのまま並べたのが次の表です。私の解釈を足さず、原典の表現と分類をそのまま載せています。

メーカー 挙げている音 メーカー自身の説明 メーカーの分類
ダイキン ゴー、ゴーゴー、ボー、ボーボー(風切り音) エアフィルターの汚れ・目詰まり/換気機能の作動 お手入れや使い方で改善できる音
ダイキン サー、ザー、バサバサ、ヒューヒュー フィルターの汚れ・目詰まりで風の音が大きくなったり波打って聞こえたりする お手入れや使い方で改善できる音
日立 ピー、ピュー、ヒュー、ザー 吹き出し口から風が出るときの音。風速が強いと音が大きくなる 正常に運転しているときに発生する音
日立 ギィー、コクッ、カタッ、コッ 風向板が動くときの音 正常に運転しているときに発生する音
三菱電機 擬音語の指定なし(音が大きくなった) フィルターの目詰まり/風の強さが「強」「ロング」 「故障かな?」の確認項目
パナソニック ゴー フィルターおそうじ運転開始時や本体内部おそうじ運転中に換気運転している音 故障ではない音の一覧
シャープ/富士通ゼネラル 風の音の項目なし

ダイキンの3分類のどこに入るか

ダイキンは音を「エアコンの動作上する音(故障ではない音)」「お手入れや使い方で改善できる音」「故障の可能性のある音」の3種類に分けています。同じページで「シュルシュル」「プシュー」「ポタポタ」などは1つ目の故障ではない音に、「キュルキュル」「キーキー」は3つ目の故障の可能性のある音に振り分けられています。

風の音はそのどちらでもなく、真ん中の「お手入れや使い方で改善できる音」です。つまりダイキンは、風の音について「故障ではない」とも「故障だ」とも言っておらず、まず使い方とお手入れを確認してくださいという立場を取っています。

日立は「正常に運転しているときに発生する音」に入れている

日立は室内機の音を「エアコンが正常に運転しているときに発生する音」と「エアコンに問題が発生している可能性がある音」の2種類に分けています。吹き出し口のピー・ピュー・ヒュー・ザーは前者、つまり正常側です。後者に入っているのは「カタカタ・ガガガ・ガタン・ジー」(パネルやフィルターの取り付け不良の可能性)と「コトコト・カサカサ・カッカッ・チッチッチッ」(ファンが周辺部品に接触、内部に異物の可能性)の2種類だけでした。

メーカーが挙げていない音は、この記事では扱いません

「キーン」という音を冷媒不足のサインだと説明する記事をよく見かけます。ただ、今回確認できた範囲では、その対応づけを書いているメーカーの公表資料は見つかりませんでした。三菱電機の音の診断ページには「キーン」「ブーン」という項目がありますが、回答本文はページ上で項目を選ばないと表示されない作りで、原文を確かめられていません。確認できていないことを断定するわけにはいかないので、この記事では風の音以外の擬音語について原因を書きません。聞こえ方から緊急度を点数化するような表も作りません。

風量の設定と風の音の関係

各社の説明を並べると、風の音について共通して出てくるのは「フィルター」と「風量」の2つでした。ここでは風量のほうを詳しく見ていきます。

カタログの運転音は「強風運転」で測った値です

意外と知られていないのですが、仕様表に載っている運転音(dB)は、風量を絞った状態の値ではありません。富士通ゼネラルの2025年モデル「ノクリア」Cシリーズ仕様一覧には「運転音はJIS測定条件に基づき、無響室で室内機を強風運転した場合と室外機を定格能力で運転した場合の数値です。実際に据え付けした状態で測定すると、周囲の騒音や反響等の影響をうけ、表示数値より大きくなるのが普通です。」と明記されています。

形名 冷房能力 冷房時の運転音(室内) 冷房時の運転音(室外)
AS-C225S 2.2kW 56dB 57dB
AS-C255S 2.5kW 59dB 58dB
AS-C285S 2.8kW 60dB 58dB
AS-C405S 4.0kW 62dB 61dB
AS-C565S2 5.6kW 66dB 65dB

いずれも音響パワーレベルの表記で、同じシリーズでも能力が大きい機種ほど数値が大きくなっています。同じ仕様表では暖房時の室内側も示されていて、AS-C225Sが58dB、AS-C565S2が66dBと、冷房時とは別の値になっています。シャープも取扱説明書の仕様欄で運転音を音響パワーレベルで示し、J-Sシリーズ(AY-J22S〜AY-J40S)の取扱説明書に「運転音の表示は、試験室での測定値です。実際に据え付けた状態での運転音は周囲環境により異なります。」と書いています。カタログ値と自宅で聞こえる音は同じ条件ではない、というのが各社共通の但し書きです。

風量には段階があり、「自動」が用意されています

同じシャープの取扱説明書では、風量が「微」「弱」「強」「急速」の4段階で、「急速」は最大風量で運転するため、運転音が大きくなりますと説明されています。三菱電機も「以前より、室内機の音が大きくなった(うるさくなった)気がします」で、確認する点として「フィルターの目詰まり」と「風の強さ・風速が『強』や『ロング』に設定されていないか」の2点だけを挙げ、「『ロング』に設定すると、最大風量になり、送風音が大きくなります」と書いています。

そして日立は、吹き出し口の音が気になる場合の対処として風速を自動にすることをすすめています。3社とも、風の音に対して最初に案内しているのは分解でも部品交換でもなく、風量設定の見直しでした。風量を自動にしたときの動きについてはエアコンの自動運転とファンの関係でも整理しています。

換気機能つきの機種は、別のファンが回っています

加湿や換気の機能がある機種では、冷暖房用の送風ファンとは別に換気用のファンが回ります。ダイキンは換気機能つきの機種について、換気設定を「強」「自動」「切」の3種類に変更できると案内しています。パナソニックの家庭用ルームエアコン取扱説明書(CS-X221C ほか)でも「ゴー」という音を換気運転の音として挙げ、「換気静」を選ぶと「換気標準」より静かな音になると書かれています。心当たりのある機種なら、まず設定を確認する価値があります。

フィルターの汚れと風の音について書かれていること

ホコリが詰まったエアコンのフィルター

各社が最初に挙げるのがフィルターです

ダイキンは風切り音の項目でも、波打つ風の音の項目でも、最初にエアフィルターの汚れや目詰まりを挙げています。三菱電機の確認項目も1番目がフィルターです。風の音に関しては、メーカーの案内がここまで一致している項目は他にありません。

お手入れの目安として公表されている値

日立の「エアフィルターのお手入れ方法を知りたいです。」には、次のように書かれています。

  • フィルターサインがない機種は、2週間に1回程度が目安
  • フィルターサインがある機種は、サインが表示されたときが目安
  • 自動フィルター掃除つきの機種は、数シーズン使うと汚れが取れなくなることがあるので定期的に汚れ具合を確認する
  • ゴミやホコリを取り除くことで約5〜10%の省エネ効果が期待できる

お手入れの前には運転を停止して電源プラグを抜くこと、内部でファンが高速回転しているのでけがや故障の原因になること、手袋を着用することも同じページに書かれています。フィルター掃除で実際に何が変わるかはエアコンのフィルター掃除の効果で詳しく扱っています。

ここから先は、メーカーが自分でやらないよう案内しています

エアコンの吹き出し口と風向板のクローズアップ

フィルターより奥については、次のようにメーカーの明確な案内があります。

風向板(ルーバー)が歪んでいるのではと考えて手で動かしてみたくなりますが、シャープが書いているとおり、手で動かす行為そのものが異音の原因として名指しされています。音を止めるつもりが逆になりかねないので、風向はリモコンから操作してください。

点検を依頼する目安としてメーカーが示している条件

各社が公表している相談の条件

  • ダイキン: 上記に当てはまらない場合や対処を試しても改善しない場合。また、以前よりも音が大きくなったり、以前しなかった音が突然するようになったりした場合
  • 日立: 該当する音がない、音が大きくなって気になる、または生活に支障が出てお困りの場合
  • 三菱電機: フィルターと風の強さを確認しても解決されない場合

3社に共通しているのは、判断の基準が「音の種類」ではなく「以前と比べた変化」と「対処しても直らないこと」だという点です。何dB以上なら故障、といった数値の線引きを公表しているメーカーは見つかりませんでした。

この記事で断定しないと決めたこと

擬音語から故障箇所を当てる表、聞こえ方から緊急度を決める基準、修理費用の相場。この3つは、家庭用ルームエアコンのメーカー公表資料からは裏づけが取れませんでした。書けば記事は読みやすくなりますが、根拠がないものを書くくらいなら、ないと正直に書くほうが役に立つと考えています。

なお、こすれるような「キュルキュル」音や、常時鳴り続ける機械音、室外機側の音は、風の音とは別の項目としてメーカーが説明を出しています。それぞれエアコンのキュルキュル音エアコンのモーター音室外機がうるさいときで扱っています。ドレンホースから空気が入る「ポコポコ」音はエアコンのポコポコ音が本題です。

エアコンの風切り音に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 「風切り音」はメーカーの用語ですか?

A. ダイキンはルームエアコンのFAQの項目名に「風切り音がする」と書いており、メーカーの表記として実在します。ただし他社は「吹き出し口から風が出るときの音」のように発生場所で呼んでおり、「風切り音」という語は使っていませんでした。

Q2. 「ヒュー」という音は故障ではないのですか?

A. 日立は吹き出し口から聞こえる「ピー・ピュー・ヒュー・ザー」を、正常に運転しているときに発生する音として挙げています。ダイキンは「ヒューヒュー」を、お手入れや使い方で改善できる音に分類しています。どちらも風速の設定とフィルターの確認を先に案内していますので、まずそこを見てください。

Q3. 風量を下げれば音は静かになりますか?

A. シャープは「急速」が最大風量で運転音が大きくなると、三菱電機は「ロング」が最大風量で送風音が大きくなると、それぞれ取扱説明書とFAQに明記しています。日立は音が気になる場合に風速を自動にすることをすすめています。風量と音の関係は各社が公表しているとおりです。

Q4. 仕様表の運転音(dB)より自宅のほうがうるさく感じます

A. 富士通ゼネラルは、運転音は無響室で室内機を強風運転して測った値であり、実際に据え付けた状態では周囲の騒音や反響の影響で表示数値より大きくなるのが普通だと書いています。シャープも試験室での測定値だと断っています。カタログ値と自宅の体感が違うのは想定内です。

まとめ

エアコンの風切り音について調べた結果、メーカーの説明はおおむね次の3点に収束していました。1つ目は、風の音を発生場所(吹き出し口)で説明していて、故障箇所には結びつけていないこと。2つ目は、対処としてまずフィルターと風量設定の2つを挙げていること。3つ目は、点検を依頼する目安を「以前と比べた変化」と「対処しても直らないこと」で示していて、音の種類や大きさでは線を引いていないことです。

ですので、まずは風量を自動に切り替えてみる、フィルターを外して汚れを確認する。この2つを試したうえで音が変わらない、あるいは以前より明らかに大きくなっているなら、そのときが販売店やメーカーに相談するタイミングです。分解や内部の洗浄はメーカー自身が止めているので、そこは無理をしないでくださいね。

その音がメーカーの一覧でどう扱われているかは、メーカー5社の音の一覧を並べて正常か確認した記事にまとめています。あわせてどうぞ。

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