エアコンの処分はお金になる?売れる条件と業者の見分け方

壁際に置かれた家庭用エアコンの室外機の背面 購入・選び方

こんにちは、エアコンラボのアキです。

買い替えで古いエアコンが浮いたとき、真っ先に出てくるのが「リサイクル料金がかかります」という案内。ところが少し検索すると、今度は「室外機は売れる」「鉄くずとして値段がつく」という話が出てきます。払う側なのか、もらう側なのか。真逆の情報が並んでいたら、そりゃ混乱しますよね。

実はこの分かれ目、業者の気分でも相場でもなく、家電リサイクル法の中にはっきり線が引かれています。この記事では、経済産業省・環境省が出している資料の原文をたどりながら、あなたのエアコンがどちら側なのかを自分で判定できるところまで持っていきます。

  • エアコンの処分でお金がもらえる側と払う側を分ける法律上の線
  • 室外機を鉄くず・スクラップとして売る話が法律上どう扱われるか
  • 「買い取ります」と言う業者が信用できるかを見分ける基準
  • 払う側だったときに何と何にお金がかかるのか

壁際に置かれた家庭用エアコンの室外機の背面

エアコンの処分がお金になるかの分かれ目

まずは、この記事でいちばん大事なところから。「売れるかどうか」は感覚の問題ではなく、法律の条文と国の解説資料で線引きされています。ここを押さえると、ネットに転がっている情報のどれが正しいのかを自分で仕分けできるようになりますよ。

払う側と受け取る側を分ける法律上の線

家庭用のエアコンは、テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機とあわせた4品目として、家電リサイクル法の対象に指定されています。消費者側の義務は2つ。適正な引き渡しをすることと、収集運搬とリサイクルにかかる料金を払うことです。ここだけ見ると、エアコンの処分はお金が出ていく話に見えます。

ところが、この法律には例外があります。エアコンを引き取った小売業者は、原則として製造業者等に引き渡さなければなりません。ただし、経済産業省と環境省の説明会資料「家電リサイクル法における小売業者の義務等について」(平成29年3月)には、その例外が3つ書かれています。

  • ①自ら製品としてリユースする場合
  • ②その廃家電を製品としてリユースする者(たとえば消費者)に有償または無償で譲渡する場合
  • ③製品としてリユース販売する者(リユース業者)に有償または無償で譲渡する場合

この3つに当たるときだけ、引き渡し義務から外れます。

つまり、お金がもらえる側に回れるのは、あなたのエアコンが「まだ製品として使われる」と判断されたときだけということ。法律の条文そのものはe-Gov法令検索の特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)で読めます。

製品として使われるかどうかがすべて

ここで注目してほしいのが、除外の条件がどれも「製品としてリユース」と書かれていることです。同じ資料の解説部分には、この「製品として」という言葉についての念押しがあります。いわゆる製品リユースを指していて、いわゆる部品リユース(部品取り)は含まれない、と明記されているんです。

この一文が、混乱をほぼ解いてくれます。中古エアコンとしてもう一度取り付けられて動くなら、それは製品リユース。逆に、使える基板やコンプレッサーだけ抜き取る、金属として溶かす、といった扱いは製品リユースではありません。同じ「引き取ってもらう」でも、法律から見ると別の行為です。

引き渡し義務から外れるかどうかの早見表

引き取られた後の扱い 製品としてのリユースか 引き渡し義務の除外
そのまま中古エアコンとして販売・使用される 該当する 除外される(①〜③)
リユース業者が修理して中古品として売る 該当する 除外される(③)
使える部品だけ抜き取る(部品取り) 該当しない 除外されない
金属として破砕・溶解する 該当しない 除外されない

室外機を鉄くずとして売る話の位置づけ

さて、いちばん気になっているであろう「室外機は銅が入っているから売れる」という話。金属としての価値に着目した引き取りは、部品取り・素材回収であって製品リユースではありません。したがって、引き渡し義務の除外事由には当たらないわけです。

さらに先ほどの資料は、引き渡し義務違反の可能性が高い例も挙げています。「リユース業者以外の主体(産業廃棄物処理業者、ヤード・スクラップ業者等)に引き渡した場合」です。つまりスクラップ業者への引き渡しは、国の資料が名指しで注意を促している経路ということ。ここは知らずに踏むと後味が悪いので、覚えておいて損はありません。

では、室外機の銅は実際いくらになるのか。正直に書きます。今回確認した環境省の家電リサイクル関連ページ、経済産業省・環境省の平成29年の説明会資料、環境省・経済産業省のリユース・リサイクル仕分け基準ガイドラインの3つの範囲では、室外機の金属としての相場を示した記載を見つけられませんでした。

買取業者のページには金額が並んでいますが、公的な裏づけのある数字ではないので、この記事では相場を書きません。かといって「値段はつかない」と言い切る材料もない、というのが正確なところです。

売れる可能性があるエアコンの条件

壁から外されて床に置かれたエアコンの室内機

ここからは、あなたのエアコンが「製品としてリユースされる側」に入りそうかを見ていきます。判断材料になる基準は、実は国の文書に書かれています。上位に出てくる記事でよく見る「5〜10年」という幅とは、少し違う数字ですよ。

国が推奨する基準は製造後7年以内

環境省と経済産業省は、偽装リユースを防ぐ目的で「リユース・リサイクル仕分け基準作成のためのガイドライン」を作っています。この中で、製造から約7年以内の使用済家電については、リサイクルに引き渡すよりむしろリユース品市場での流通をまずは検討することが適当だと書かれています。

根拠になっているのは業者へのヒアリングで、製造年が7年前までの製品ならほぼ全て修理・リユース販売が可能と答えた小売業者がいる、という調査結果です。

一方で、製造年が5年前以内なら基本的に買取可能と答えるリユース品取扱業者もいます。2000年以前(当時で8年前以上)は不可という自主基準を持つ業者も多い、とも書かれています。おおむね製造から5〜8年あたりが、中古市場が成立するかどうかの境目という整理です。原文は環境省が公開しているリユース・リサイクル仕分け基準作成のためのガイドライン(PDF)で読めます。

ですので、最初のチェックは製造年です。室内機の側面や下面、室外機の側面にある銘板シールに書かれています。7年以内なら、買い取ってもらえる可能性は十分あると考えていいでしょう。

7年を超えたら売れないわけではない

ただ、ここは誤解しないでほしいところ。このガイドラインは小売業者が仕分けをするときの推奨基準であって、消費者に対する義務でも、買取可否の保証でもありません。7年を1日でも過ぎたら値段がつかない、という決まりではないんです。

同じガイドラインには、製造年が約8年以上前の製品についての記載もあります。「国内においてリユースされない、及び省エネルギー性能が改善される前の製品である可能性がある」です。ただし続けて、海外で適正にリユースされる場合や、古くても省エネ性能の高い製品が存在する可能性にも触れています。要は、年数はあくまで目安ということ。

買取業者も法律上は小売業者に当たる

もうひとつ、意外と知られていない話を。「買取業者は中古品を扱っているだけだから、家電リサイクル法とは関係ない」と思っていませんか。これ、違います。

先ほどの平成29年の資料は、家電リサイクル法上の「小売業者」を、いわゆる家電販売店等や新品の販売に限られないと説明しています。そのうえで、インターネット販売・通信販売、さらにリユース品を販売する古物営業や質屋営業も含まれると明記しています。

買取業者を名乗っていても、あなたのエアコンを廃家電として引き取ったのなら引き渡し義務が生じる、ということです。なお環境省も、環境省「いらなくなった家電製品は正しくリユース・リサイクル!」で案内しています。まだ新しく十分使える家電製品は信用できるリユース(中古)ショップに買い取ってもらいましょう、という内容です。売ること自体は、国が勧めているルートなんですよ。

買い取りますという業者の見分け方

「売れる」と分かっても、次に来るのは「この業者を信じていいのか」という不安だと思います。ここには、原典に基づいた具体的な判定基準があります。相場を知らなくても使える基準なので、ぜひ持ち帰ってください。

リサイクル料金を取る買取は要注意

平成29年の資料には、引き渡し義務違反等の可能性が高い場合として、こう書かれています。引渡義務が除外される①〜③の場合であっても、排出者から収集運搬料金、リサイクル料金を徴収した場合。そして注記で、この場合は民法上の債務不履行又は不当利得に該当するとともに、詐欺罪に該当する可能性があるとまで踏み込んでいます。

製品としてリユースするなら、その業者は製造業者等に引き渡す義務を負いません。義務がないのだから、リサイクル料金を国のルートに納める必要もない。それなのにあなたから徴収したら、受け取った理由が消えてしまいます。

ここが判定基準です。「買い取ります」「無料で引き取ります」と言いながら、同じ取引の中でリサイクル料金や収集運搬料金を請求してくる業者。これは国の資料が問題として名指ししている形そのものです。金額の大小ではなく、買取と料金徴収が同時に出てくること自体が黄色信号だと考えてください。

同じ資料は、リユース業者に渡す場合でも処理費等を支払って引き渡したときは引き渡し義務違反に該当する可能性がある、としています。お金の流れが「業者からあなたへ」なのか「あなたから業者へ」なのか。あなたの手元の見積書は、どちら向きになっていますか。

古物商の許可では回収はできない

もうひとつ、環境省がはっきり書いていることがあります。環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」は、ご家庭の廃棄物を回収できるのは「一般廃棄物処理業の許可」を持つ業者ですと明記されています。そして続けて、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できませんと書かれています。

ここ、非常に大事です。買取(=まだ製品として使えるものを買う)と、回収(=廃棄物を引き取る)は、まったく別の行為なんです。「古物商許可を取得しています」という表示は、中古品を売買する資格があることの証明にはなりますが、あなたの家から廃家電を回収する資格の証明にはなりません。

ですから、業者のページで許可番号を見つけたときは、それが何の許可なのかまで確認してください。回収を頼むなら、見るべきは一般廃棄物処理業の許可です。市区町村が許可業者を案内していますので、そこで照らし合わせるのが確実ですよ。

環境省が挙げる無許可業者の特徴

同じ環境省のページには、無許可業者にありがちな形態が挙げられています。次の4つです。

  • 町中を大音量で巡回している
  • 空き地で回収を行っている
  • チラシを配布している
  • インターネットで広告を出している

4つ目を見て、少しドキッとしませんでしたか。ネット広告に出ているというだけで違法と決まるわけではありません。ただ広告の見た目や料金の安さは、許可の有無とは何の関係もないということです。

払う側だったとき何にいくらかかるのか

製造年が古い、あるいは動かない。そうなると払う側です。ここで多いのが「リサイクル料金だけ払えば終わり」という誤解。実際には性質の違うお金が並びます。総額の相場ではなく、内訳の構造をつかんでおくと、見積書を見たときに迷いません。

リサイクル料金はメーカーごとに違う

再商品化等料金、いわゆるリサイクル料金はメーカーごとに決まっています。家電リサイクル券センター(RKC)の再商品化等料金一覧で公表されていて、同ページには「※料金表記はすべて税込み表記です。」と書かれています。本記事の執筆時点で同ページに掲載されていたエアコンの金額を、一部だけ挙げるとこんな具合です。

金額 メーカーの例
550円 パナソニック、ダイキン工業、東芝ライフスタイル、コロナ
990円 シャープ、日立グローバルライフソリューションズ、三菱電機、三菱重工冷熱
1,034円 アクア
2,000円 アイリスオーヤマ

よく「エアコンは990円か2,000円」と2択で説明されているのを見かけますが、実際には550円・990円・1,034円・2,000円と分かれます。自分のメーカーを一覧で引く以外に正解はありません。メーカー別の一覧はエアコンの外し方と処分の流れをまとめた記事でも表にしていますので、そちらもどうぞ。

収集運搬料金は事前公表が義務

2つ目が収集運搬料金です。これはリサイクル料金とは別物で、指定引取場所まで運ぶ手間に対して小売業者が請求できるお金。平成29年の資料によれば、小売業者は指定引取場所までの収集運搬に要する料金を排出者に請求することができます。

ただしその料金は事前に公表しなければならず、適正な原価を勘案して設定しなければならないとされています(家電リサイクル法第11条、第13条第1項〜第3項)。リサイクル料金のほうは第12条・第19条で請求と支払いの関係が定められています。

この「事前公表が義務」というのが、読者にとってはかなり使える事実です。見積もりを取らないと分からない、ではなく、依頼する前に各社の公表額を確認できるということですから。ヤマダ電機、ジョーシン、ヨドバシカメラ、ノジマといった量販店で買い替えるときも、まずは各社が公表している収集運搬料金を見てから比べるのが筋道です。

この記事では各社の金額を書きません。今回の調査では各社の公式ページに到達できず、金額を確認できなかったからです。検索結果に出てくる金額の多くは回収業者や比較サイトが書いたもので、いつ時点のものか分かりません。公表義務があるのですから、公式で見るのが確実ですよ。

取り外し工事費はさらに別にかかる

3つ目が取り外しの工事費です。壁に付いたままのエアコンは誰かが外さないと運べません。これはリサイクル料金にも収集運搬料金にも含まれない、別枠の費用になります。

費用の種類 誰に払うか 性質
リサイクル料金(再商品化等料金) 製造業者等(小売業者経由) メーカーごとに公表された定額
収集運搬料金 小売業者・回収を行う業者 事前公表が義務。各社で異なる
取り外し工事費 工事を行う業者 現場の状況で変わる

ここで「自分で外せば工事費が浮くのでは」と考える方は多いと思います。気持ちは分かるのですが、私はおすすめしません。理由は3つです。コンセントの増設や交換といった電気工事は電気工事士法第3条で資格者に限られること。冷媒を室外機に閉じ込めるポンプダウンや、付け直すときの真空引きには専用の器具と技術が要ること。そして外した本体は結局、家電リサイクル法のルートに乗せる義務があることです。

なお、ここで持ち出されがちなフロン排出抑制法については、はっきりさせておきます。日立グローバルライフソリューションズのFAQによれば、フロン排出抑制法の対象となるエアコンは業務用のエアコンです。冷媒にフロン類が使用されているもの(第一種特定製品)を指し、家庭用のエアコンは対象外ですと説明しています。家庭用の冷媒は、家電リサイクル法のルートで回収される仕組みです。

エアコンの処分をお金になる形で進める手順

最後に、ここまでの内容を実際の動き方に落とし込みます。順番を守るだけで、余計な出費も、あやしい業者に当たる確率もかなり下がりますよ。

引っ越しや付け替えのときの考え方

やることは多くありません。次の順で進めてください。

  1. 室内機・室外機の銘板シールでメーカーと製造年を確認する
  2. 製造から7年以内で正常に動くなら、まず中古買取・リユースの道を検討する
  3. 7年を超えている、または動作に不具合があるなら、リサイクルのルートで考える
  4. 買い替えなら購入先の量販店に、処分だけなら過去に買った販売店に相談する
  5. 収集運搬料金の公表額を、依頼する前に確認する
  6. 回収を頼む業者は、一般廃棄物処理業の許可を市区町村の案内で照合する

引っ越しで持っていく場合や、新しい機種への付け替えでも、判断の軸は同じです。持っていくなら取り外しと再設置の工事費がかかり、置いていくなら処分の話になります。製造から7年を大きく超えた機種なら、運んで付け直す費用と新品との差を考えたほうが得をすることも多いはずです。

それから、電気屋さんや量販店に頼むときのひと言。「引き取りもお願いしたい」と最初に伝えると、収集運搬料金を含めた見積もりが最初から出てきます。あなたの見積書に、リサイクル料金と収集運搬料金が分けて書かれているかも、ぜひ見てみてください。

エアコンの処分とお金に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 室外機だけをスクラップ業者に売るのは問題ありませんか?

A. おすすめしません。経済産業省・環境省の資料は、引き渡し義務が除外されるのは製品としてリユースされる場合に限られ、部品リユース(部品取り)は含まれないとしています。さらに、産業廃棄物処理業者やヤード・スクラップ業者等に引き渡した場合を、引き渡し義務違反等の可能性が高い例として挙げています。

Q2. 製造から10年経ったエアコンでも買い取ってもらえますか?

A. 可能性はゼロではありません。国のガイドラインが推奨しているのは製造後7年以内という仕分けの目安で、消費者への義務でも買取可否の決まりでもないからです。ただ同ガイドラインは、製造年が約8年以上前の製品が国内でリユースされない可能性にも触れています。10年ものなら、リサイクルのルートを軸に考えたほうが現実的でしょう。

Q3. ネットで見つけた買取業者が信用できるか、どこを見れば分かりますか?

A. 社名や口コミより先に、2つ確認してください。1つは、買い取ると言いながらリサイクル料金や収集運搬料金を請求していないか。国の資料はこの形を、詐欺罪に該当する可能性があると書いています。もう1つは、廃家電の回収も頼むなら一般廃棄物処理業の許可があるかどうか。環境省は、古物商の許可では回収できないと明記しています。

Q4. リサイクル料金は買い替え先の店で払うのですか?

A. 買い替えの際に引き取りを求めた場合、その小売業者に引取義務が生じます。資料によれば、小売業者は製造業者等が定めるリサイクル料金を排出者に請求でき、製造業者等からの請求に応じて支払う仕組みです(家電リサイクル法第12条、第19条)。金額はメーカーごとに公表されているので、支払う前に家電リサイクル券センターの一覧で照らし合わせておくと安心ですね。

エアコンの処分がお金になるかのまとめ

最後にもう一度、要点を並べておきます。エアコンの処分がお金になるかどうかは、製品としてもう一度使われるかどうかで決まります。中古品として動くなら売れる可能性があり、部品取りや金属回収は法律上の除外に当たりません。目安になるのは製造後7年以内という国の推奨基準ですが、これは義務ではなく仕分けの基準です。

業者選びで迷ったら、買取と言いながらリサイクル料金や収集運搬料金を取っていないか、回収を頼むなら一般廃棄物処理業の許可があるかどうか。この2点で危ない相手はかなり避けられます。払う側だったときは、リサイクル料金・収集運搬料金・取り外し工事費という3つのお金が並ぶこと、そのうち収集運搬料金は事前公表が義務であることを思い出してください。

相場に振り回されるより、法律が引いている線を1本知っておくほうがずっと役に立ちます。

タイトルとURLをコピーしました