こんにちは、エアコンラボのアキです。
部屋がジメジメするから除湿(ドライ)に切り替えたのに、湿度計の数字が下がらない。それどころか、しばらくするとさっきより高い数字を指している。これでは意味がないと思って冷房に戻す。そんな経験、ありませんか。
メーカー各社が公開している説明を原文で読んでいくと、この現象にははっきりした理由がありました。しかもその理由は「エアコンが壊れている」でも「あなたの使い方が下手」でもないんです。この記事では、湿度計の数字が上がる理由と、除湿が仕様として使える外気温の範囲を、取扱説明書やFAQの原文をたどりながら見ていきます。
- 湿度計の数字が上がっても除湿は進んでいることがある理由
- 除湿できているかを自分の目で確かめる方法
- 除湿運転に使える外気温がメーカーごとにまるで違うこと
- 効かないと感じたときにメーカーが案内している手順

エアコンの除湿は意味ないと感じる正体
結論から言うと、除湿運転そのものが無意味なわけではありません。問題は、成績表として見ている湿度計の数字が、思っているものを測っていないことにあります。ここを押さえると、あとの話が全部つながりますよ。
湿度計が表示しているのは相対湿度
家庭にある湿度計のほとんどは、相対湿度という値を%で表示しています。気象庁の予報用語のページでも、湿度について「普通は相対湿度のこと。相対湿度は水蒸気量とそのときの気温における飽和水蒸気量との比を百分率で表したもの」と定義されています。
大事なのは「そのときの気温における」という部分。相対湿度は、気温とセットでしか意味を持たない割合なんですね。
三菱電機のよくあるご質問でも、同じことがもう少し噛み砕いて書かれています。「相対湿度」とは、ある温度の空気における飽和水蒸気量(これ以上、その空気中に含むことができない水分量)を基準とした場合の、実際にその空気中に含まれる水分量を、比率(%)で示したものです、と。そして「この空気の飽和水蒸気量は、空気の温度が上がるほど多くなります」と続きます。
暖かい空気ほど水分をたくさん抱えられる。だから同じ量の水分が浮いていても、空気が冷えれば割合としての湿度は上がります。除湿運転は部屋を冷やしながら水分を抜くので、この2つが同時に起きるわけです。定義は気象庁の予報用語(温度・湿度に関する用語)で確認できます。
30℃60%を25℃に下げると約80%になる
三菱電機の同じFAQには、具体的な数値の例が書かれています。
「例えば、30℃湿度60%の空気を、一切除湿せずに温度だけ25℃まで下げると、湿度は約80%に上がります。つまり、除湿運転によって30℃湿度60%から25℃湿度60%になった場合、湿度の値は変わっていませんが、実際には部屋の湿度を取除いていることになります。」
一切除湿していないのに、温度を5℃下げただけで60%が約80%に化ける。逆に25℃で60%のままなら、それは相当な量の水分が外に出ているということです。
| 空気の状態 | 温度 | 湿度計の表示 | 部屋の水分 |
|---|---|---|---|
| もとの空気 | 30℃ | 60% | — |
| 一切除湿せず温度だけ下げた | 25℃ | 約80% | 減っていない |
| 除湿運転をした結果 | 25℃ | 60% | 取り除かれている |
3行目を見てください。湿度計は30℃のときと同じ60%で、まったく動いていません。それでも中身は別物。あなたが「動かないな」と眺めていた数字は、実はかなり頑張った結果の60%かもしれないんです。
水分の量と割合は別のものさし
パナソニックのFAQにも、この2つのものさしの違いが書かれています。「湿度の表示には、『絶対湿度』と『相対湿度』の二種類があります。絶対湿度は、空気中に含まれる水分量(g)を表します。相対湿度は、空気中に含むことができる最大の水分量に対して、実際に含まれている水分の割合(%)を示します」。そして「一般的な湿度計は、『相対湿度』を表示します」と明記されています。
つまり、水分が何g減ったかを教えてくれる湿度計は家庭にまず置かれていません。ここが体感とメーカーの説明がすれ違う地点です。ダイキンは同じことを4段階に分けて説明しています。
- 温度が高いと含むことができる水分の量が多く、温度が低いと少なくなる
- 部屋の水分の量が同じでも、温度が低いほうがしつど計の表示は高くなる
- 同じ温度なら、部屋の水分の量が少なければしつど計の表示も下がる
- 除湿運転は水分を取り除くときに温度を下げるので、水分が減っていても表示が上がったり変わらなかったりする
4つ目がまさに、あなたが目撃している現象そのもの。ダイキンのよくあるご質問「湿度が下がらないのですがどうすればよいですか?」に載っています。
除湿できているかはドレンホースで確かめる
では、湿度計が当てにならないなら何を見ればいいのか。ここでパナソニックが、はっきりした代替の判定基準を出しています。
「取り除いた水分はドレンホースから排出します。ドレンホースから水が出ていれば、正常に除湿できています。」
「実際には室内の水分量が減っていても、湿度計の表示(%)は変わらないことや、逆に上がることがあります。ジメジメ感が減っていれば除湿は効果的に行われています。」
三菱電機のFAQにも「(室外側にでているドレンホースから、除湿水が排出されているはずです。)」という一文があります。2社が同じ確認方法を案内しているということです。
やることは単純で、ベランダや壁沿いに垂れているドレンホースの先を見に行くだけ。除湿を30分ほど続けたあと、先端から水が落ちていれば、部屋の水分は確かに外へ運び出されています。
- ドレンホースの先端から水が出ているか
- 部屋に入った瞬間のジメジメ感が減っているか
- 洗濯物や布団に触れたときのべたつきが変わったか
逆に、何十分運転しても一滴も出てこないなら、湿度計の読み方ではなく別の何かが起きています。ただし水まわりの見分け方そのものは当ブログの別記事で扱う予定なので、ここでは「水が出ているかどうか」を見るところまでにしておきますね。
弱冷房除湿と再熱除湿は室温の扱いが違う
次に、除湿運転そのものの中身です。ひとくちに除湿と言っても、家庭用エアコンには大きく2つのやり方があります。この違いを知っておくと、後で出てくる「涼しい日に効かない」の話が腑に落ちます。
弱冷房除湿は弱い冷房で水分を抜く
富士通ゼネラルのFAQでは、弱冷房除湿(ソフトクール除湿)を「弱い冷房で除湿する方法です。再熱除湿に比べて除湿量(注1)は少なくお部屋の温度はやや下がります」と説明しています。さらに「※環境によっては湿度が低下しない場合があります。」という一文が添えられています。
メーカー自身が「湿度が低下しない場合がある」と書いている。ここ、けっこう重要だと思いませんか。そもそも仕様として下がらないことがある、と作った側が言っているわけです。
名前のとおり、中身は冷房です。熱交換器を冷やし、そこを通る空気から水分を結露させて外に出す。冷房と違うのは、部屋が冷えすぎないように運転の強さを加減している点になります。
再熱除湿は室温を下げずに湿気を取る
もう一方の再熱除湿について、富士通ゼネラルは「冷やして除湿した空気と暖めた空気を、エアコンの内部で混ぜて送風します。お部屋の温度の低下を防ぐため、湿気を取っても肌寒くなりにくい除湿方法です」と書いています。
三菱電機は同じ方式を「除湿運転開始時の室温からなるべく室温を下げずに湿気を取除こうとする方式です」と表現しています。日立も取扱説明書の中で、カラッと除湿について「再熱除湿方式で、室温を下げずに、ジメジメ感を抑えます。梅雨の季節の使用がおすすめです」と明記していました。
いったん冷やして水を抜いた空気を、送り出す前に温め直す。だから寒くなりにくい。ただ、この方式なら万能かというと、そうではないんです。
なお、再熱除湿の細かいしくみや電気代の並びは当ブログの別記事で正面から扱っています。ここでは「室温をどう扱うかが違う」という一点に絞りますね。
2つの分類はメーカーの説明として存在する
この2分類、どこかの規格で決まっているように語られることがあります。ただ、今回確認した範囲では業界団体の規格本文にたどり着けませんでした。日本冷凍空調工業会のJRA規格は一覧ページまでは見られるものの、本文は有償頒布だったためです。
ですので、この記事では「規格で定まっている」とは書きません。言えるのは、富士通ゼネラル・三菱電機・日立の3社が、それぞれの説明の中で同じ2分類を使っているところまでです。表にまとめると、こうなります。
| 項目 | 弱冷房除湿 | 再熱除湿 |
|---|---|---|
| 室温の扱い | やや下がる | 下げないようにする |
| メーカーの言葉 | 弱い冷房で除湿する方法 | 冷やした空気と暖めた空気を内部で混ぜる |
| 除湿量の比較 | 再熱除湿に比べて少ない | — |
| この呼び名を使う社の例 | 富士通ゼネラル・三菱電機 | 富士通ゼネラル・三菱電機・日立 |
ちなみに呼び名は各社バラバラで、日立は「カラッと除湿」、富士通ゼネラルは「ソフトクール除湿」といった商品名で呼びます。リモコンの表示だけを見て方式を判断するのは、正直むずかしいです。富士通ゼネラルの再熱除湿についてのFAQのように、各社が自社のFAQで説明しているので、そちらを当たるのが確実ですよ。
エアコンの除湿が使える外気温は取説にある

ここからが本題です。除湿運転には、使える外気温の範囲が数値で決められています。しかもその数値が、メーカーによって驚くほど違うんです。梅雨の涼しい日に効かないのは、この範囲を外れているのかもしれません。
4社の取扱説明書で確認できた範囲
取扱説明書のPDFを開いて数値を拾えたのは、富士通ゼネラル・三菱電機・シャープ・日立の4社です。
| メーカー | 確認した機種 | 冷房 | 除湿 | 暖房 |
|---|---|---|---|---|
| 富士通ゼネラル | AS-M22G 系(取扱説明書) | 外気温 約21〜43℃ | 冷房と同じ 約21〜43℃ | 外気温 約24℃以下 |
| 三菱電機 | 霧ヶ峰(取扱説明書) | 約21〜50℃ | 約1〜50℃ | 約-15〜24℃ |
| シャープ | AC-N22ATC 系(取扱説明書) | 外気温 約21〜45℃/室温 約21℃以上 | 外気温 約16℃以上/室温 約18℃以上 | 外気温 約24℃以下/室温 約28℃以下 |
| 日立 | 白くまくん RAS-VL63H2E 系(取扱説明書) | 22〜43℃ | カラッと除湿 1〜35℃ | -10〜21℃ |
除湿の下限だけ抜き出すと、富士通ゼネラル 約21℃、シャープ 約16℃、三菱電機 約1℃、日立 1℃。同じ「エアコンの除湿」なのに、20℃も開きがあります。
これが何を意味するか。「エアコンの除湿は外気温が何℃から使えますか」という質問に、単一の答えは存在しないということです。外気20℃の涼しい梅雨の日を考えると、富士通ゼネラルの当該機では範囲の外、シャープでは範囲の中、三菱電機と日立では余裕で範囲の中、ということになります。
数値が社ごとにばらけているぶん、ひとつの目安としては書きにくい情報です。でも読者からすれば、自分の機種はどうなのかこそ知りたいところですよね。
各社の原文は、富士通ゼネラルのルームエアコン取扱説明書(AS-M22G系)、三菱電機 霧ヶ峰の取扱説明書で確認できます。シャープのルームエアコン取扱説明書と日立 白くまくんの取扱説明書でも確認できます。
下限がある理由は熱交換器の凍結
ではなぜ、寒い日に使ってはいけないのか。理由もメーカー自身が書いています。富士通ゼネラルの取扱説明書、温度・湿度の範囲の欄に添えられた注記がこれです。
「※ 左記使用範囲より高い温度で運転すると、自動保護装置が働き、運転を停止することがあります。また、冷房・除湿・ランドリー運転の場合、左記使用範囲より低い温度で運転すると、熱交換器が凍り、水漏れなど故障の原因になることがあります。」
凍る、という言葉が出てきます。除湿は熱交換器を冷やして水分を結露させるしくみですから、もともと冷たい空気をさらに冷やせば、付いた水がそのまま氷になってしまうわけですね。
三菱電機の取扱説明書にも、同じ趣旨の注意が並んでいます。「表の屋外温度の環境以外で運転すると保護装置が働き、運転ができない場合があります」。「冷房・除湿運転時、表より低い屋外温度で運転すると室内機が凍結するおそれがあります」。シャープも「左記の条件以外で運転すると、保護装置が働き、運転できないことがあります」と書いています。
つまり、範囲外で除湿が進まないのは機械を守るための挙動です。リモコン操作が間違っているわけでも、エアコンがサボっているわけでもありません。
同じ室内機でもモードで下限が変わる
もうひとつ面白いのが、同じ室内機でも運転モードによって使える外気温が違うことです。3社の取扱説明書で、同じ形の実例が拾えました。
| メーカー | 冷房 | 除湿 | その他のモード |
|---|---|---|---|
| 富士通ゼネラル | 約21〜43℃ | 約21〜43℃(冷房と同じ) | ランドリー 外気温 約1℃以上 |
| 三菱電機 | 約21〜50℃ | 約1〜50℃ | 暖房 約-15〜24℃ |
| 日立 | 22〜43℃ | カラッと除湿 1〜35℃ | 暖房 -10〜21℃ |
ここで注目してほしいのが、富士通ゼネラルだけ冷房と除湿の下限が同じ約21℃で、三菱電機と日立は除湿のほうが冷房より低い外気温まで使えるという点です。1℃と21℃ですから、20℃差の逆転が起きています。
方式との対応を見ると、富士通ゼネラルの当該機の除湿はFAQでいう弱冷房除湿、日立のカラッと除湿は取扱説明書に再熱除湿方式と明記されています。方式の違いと下限の違いが並んでいるようには見えます。ただ、「弱冷房除湿だから下限が高い」と説明したメーカーの文章は、今回1つも見つけられませんでした。ですので、ここは相関の指摘までにとどめておきます。
ちなみに富士通ゼネラルのランドリー運転は外気温 約1℃以上と、冷房・除湿より20℃も低いところまで使えます。同じ部品でも制御が変われば使える環境が変わる、という分かりやすい例ですね。この運転モードについてはエアコンのランドリーモードとは何かを解説した記事で詳しく扱っています。
未確認の3社と自分の機種の調べ方
正直にお伝えしておくと、今回この数値を確認できたのは4社どまりです。パナソニック・東芝・ダイキンの3社については、使用できる外気温の範囲を今回確認できていません。ダイキンは2019年版の取扱説明書(AN22WFSK系)を全文検索しましたが、該当する表を見つけられませんでした。「公表していない」という意味ではなく、私が今回見た文書の中に見つけられなかった、という話です。
ですから、この記事の表を「業界の基準」として読まないでください。むしろ社ごとに違うからこそ、自分の機種の取扱説明書を見るしかないというのが結論になります。手順はこうです。
- 室内機の右下や前面パネル内側にあるシールで、形名(AS-〇〇、RAS-〇〇など)を控える
- メーカーのサポートサイトで「取扱説明書 ダウンロード」を開き、形名で検索する
- PDF内を「外気温」「屋外温度」「運転条件」「温度・湿度の範囲」で検索する
- 冷房と除湿の行が分かれているか、同じ欄にまとめられているかを確認する
4番目が地味に大事です。富士通ゼネラルのように冷房と除湿が同じ欄にまとまった説明書もあれば、三菱電機のようにモードごとに行が分かれた説明書もあります。同じ欄なら下限は同じ、分かれているなら別の数値と読めば大丈夫です。
説明書に該当の記載が見当たらなければ、メーカーの相談窓口に形名を伝えて「除湿運転が使える外気温の下限を知りたい」と具体的に尋ねるのが早いですよ。
除湿が効かないと感じるときに起きていること
外気温の範囲内なのに効かない。そんなときに何が起きているのかを、メーカーが説明している範囲で見ていきます。ここで挙げるのは、いずれも各社のFAQや取扱説明書に書かれている内容だけです。
設定温度が室温に近いと除湿量が下がる
富士通ゼネラルのFAQには、注釈としてこう書かれています。「注1 弱冷房除湿/冷房運転の除湿量について:お部屋の温度がエアコンの設定温度に近くなると除湿量は低下します。」
見出しに「弱冷房除湿/冷房運転」とあるとおり、これは除湿だけの話ではありません。冷房運転も同じです。設定温度と室温の差が縮まるほど、水分を抜く力は落ちていく。
パナソニックも同じ内容を別の言い方で書いています。「室温と設定温度の差が少ないと、冷房機能が十分に働かず、空気中の水分を水滴にして屋外へ排出できなくなります。水分を外へ出すためには、設定温度を下げてください。」
梅雨の涼しい日を思い浮かべてください。室温が26℃しかない日に設定温度を26℃や27℃にしていたら、差はほぼゼロ。エアコンからすれば「もう目標に届いている」状態です。この日に限って効かないのは、操作の問題というより条件のかみ合わせなんですね。
再熱除湿でも室温が下がると止まる
「じゃあ再熱除湿なら大丈夫では」と思うところですが、三菱電機はこれもはっきり否定しています。原文を引きます。
「ただ、運転開始時の室温があまり高くなかったり、部屋の断熱性能が高い場合には、湿度を下げるまえに、先に室温が必要以上に下がってしまうことがあります。その場合には、お客様の健康を配慮して冷えすぎないように運転を停止しており、湿度がなかなか下がらないことがあります。」
室温が下がりすぎるのを避けて運転を止める。その結果として、湿度が下がりきらない。高機能な方式なら常に効く、という素朴な期待を、メーカー自身が打ち消しているわけです。
断熱性能が高い部屋、という条件も挙がっているのが興味深いところ。部屋が冷えにくいのではなく、冷えすぎるから止まるという逆の話なんですね。
湿度戻りとサーモオフ、ドライキープ
もうひとつ、体感に直結する現象があります。パナソニックが「湿度戻り」という名前で定義しているものです。
「湿度戻りとは 室温が設定温度に達すると、エアコンは室温が下がりすぎるのを防ぐために冷房運転を止め、送風状態に切り替わることがあります。このときに出てくる風には、『冷房でエアコン内部に結露した水分』が含まれており、湿気を感じることがあります。これを『湿度戻り』と呼びます。」
せっかく集めた水を、風で吹き飛ばして部屋に戻してしまう。パナソニックは続けて「『冷房除湿』または『除湿』は、室温が設定温度に達したときに送風を止める運転になり、『湿度戻り』が起きにくくなります」とも書いています。
ダイキンは同じ場面を、別の2つの言葉で説明しています。「お部屋の温度が設定温度より低くなったときに、室外機は停止し熱交換器を冷やすのを止めます。この状態をサーモオフといいます」「ドライキープとは、サーモオフ時に室内機の風も止めて、水分がお部屋に戻るのを抑制する機能です」。あわせて「ドライキープをONにすると、次に冷えはじめるのが遅れることがあります」という注意も添えられています。
言葉は違っても、指しているのは同じ現象です。エアコンが休んでいる間に風だけ出続けると、内部の水が蒸発して戻ってくる。除湿なのに湿っぽく感じる瞬間の正体は、これであることが多いはずです。運転を止めたあとに内部を乾かす運転についてはエアコンの内部クリーンで暑い風が出る理由の記事で扱っています。
窓や換気扇から湿った空気が入る
各社が「除湿が効かないとき」の確認事項として共通して挙げているのが、外気の流入です。ダイキンは「窓や換気口が開いているときは閉めてください」と書いています。「換気扇が動いているときはご使用を控えてください」「屋外の湿った空気が入ると除湿効果が弱まります」とも書いています。
パナソニックも「換気扇を運転したり窓を開けたりすると、屋外の湿った空気が室内に入り込み湿度が上がることがあります。空気が入り込まないように換気扇は止め、窓は閉めてください」としています。
気象庁の予報用語では、湿度がおよそ80%以上を「湿潤な(湿った)空気」と呼ぶと定義されています。梅雨の外気はまさにこれ。その空気が入り続ける部屋をエアコン1台で乾かすのは、さすがに分が悪いですよね。
浴室の換気扇、キッチンのレンジフード、24時間換気の給気口。ダイキンは「窓だけでなく扉やふすまを閉めて水分の入り込みを防ぎます」とも書いており、部屋の外との行き来まで含めて考えるよう案内しています。
フィルターや室外機の汚れはどう扱うか
ここは慎重に書きます。除湿が効かない原因として「フィルターの汚れ」「室外機の汚れ」を挙げる記事は多く、私も裏付けを取るつもりで各社の説明を読みに行きました。
結果を正直に書くと、今回確認したのは4社の該当FAQ(三菱電機・富士通ゼネラル・パナソニック・ダイキンの、除湿・湿度が下がらないことを扱ったページ)です。そこには、汚れを原因として挙げた記述を見つけられませんでした。各社がこの場面で挙げていたのは、窓・扉・換気扇からの外気の流入と、設定温度でした。
これは「汚れは関係ない」という意味ではありません。各社は「冷房の効きが悪い」「風量が落ちた」といった別のFAQでフィルターの手入れを案内している可能性が高く、今回の調査はそちらのページを見ていないからです。あくまで「除湿・湿度が下がらない」という切り口のページに限った話として読んでください。
フィルター掃除は効きの土台として当然やるもので、除湿が効かない日の説明としてはやや弱い。私はそう受け止めています。掃除の効果そのものは、メーカーの公表値をたどったエアコンのフィルター掃除の効果を公表値で確かめた記事にまとめてあります。
順番としては、まず外気温の範囲と設定温度、次に窓・換気扇。それでも変わらないときに、掃除や点検へ進む。この流れなら、無駄足が減るはずですよ。
冷房に戻すのは負けではない使い分け
最後に、いま何をすればいいのかという話。冷房に戻すのはメーカー自身が案内している手順です。負けでも妥協でもありません。
メーカーが案内している冷房を使う手順
ダイキンは、しつどが下がらないときの対処として次の3段階を示しています。
- 冷房モードにして設定温度を室温より2〜3℃下げる(熱交換器の温度を下げ、より結露しやすくして多くの水分を排出する)
- 風量を「しずか」または「弱」にする(部屋の温度の急激な低下を防ぎ、継続的に運転させる)
- ドライキープを入れる
それでも下がらない場合の手順も、数値付きで書かれています。
- 部屋を閉め切る(窓だけでなく扉やふすまを閉めて水分の入り込みを防ぐ)
- 冷房運転で設定温度を18〜20℃まで下げて20〜30分間運転する
- エアコンを停止し元の室温になるまで待つ
- 除湿(ドライ)または除湿冷房運転する
ダイキンはこの手順に「お部屋の温度を下げていますので体調管理にお気をつけください」という注意を添えています。18〜20℃はかなり低い設定ですから、その場に居続けるのはおすすめしません。20〜30分という時間の指定も守ったほうがいいです。
パナソニックの案内はもう少し穏やかです。「室温をあまり下げたくない場合は、一旦設定温度を2〜3℃下げ、ジメジメ感が気にならなくなったら設定温度を上げてください」となっています。2〜3℃という数字は両社で共通していますね。
風量の扱いも面白いところ。強い風で一気に冷やすと設定温度に早く届き、運転が止まって水を抜く時間が減ってしまうわけですね。風量の自動設定がどう働いているかはエアコンの風量自動が弱くならない理由をまとめた記事で扱っています。
そして両社とも、これらを試しても改善しない場合は「エアコンの不具合の可能性があります」として、販売店や修理窓口への相談を案内しています。条件が合えば正常、合わなければ点検。これが各社の実際の書きぶりです。
除湿機やほかの手段が要る場面

ここまでを踏まえると、エアコンの除湿だけでは無理がある場面も見えてきます。
いちばん分かりやすいのが、外気温が自分の機種の下限を割っている日です。三菱電機や日立のように約1℃まで使える機種なら、梅雨の涼しい日も範囲内です。一方、富士通ゼネラルの当該機のように約21℃が下限なら、外気20℃の日は範囲の外になります。
もうひとつが、窓や換気扇を閉め切れない部屋。24時間換気を止められない住まいでは、外の湿った空気が入り続けます。エアコン1台で受け止めるには限界がありますよね。
| 状況 | まず試すこと | それでも難しいとき |
|---|---|---|
| 外気温が除湿の下限より低い | 取扱説明書で自分の機種の範囲を確認 | エアコン以外の手段を検討 |
| 設定温度と室温の差が小さい | 設定温度を2〜3℃下げる | 冷房18〜20℃で20〜30分 |
| 窓・換気扇から外気が入る | 換気扇を止め、窓と扉を閉める | 閉め切れないなら別の除湿手段 |
| 止まっている間に湿っぽくなる | ドライキープなどの機能を確認 | 冷房除湿・除湿モードへ切り替え |
除湿機については、「エアコンの代わり」ではなく「エアコンが仕様として動かない条件を埋めるもの」と考えるのがしっくりきます。外気温が下限を割る日や、閉め切れない部屋、洗面所のように室内機が無い場所。そういう場面で選択肢に入ります。
逆に、外気温が範囲内で窓も閉められる部屋なら、まずは設定温度と風量の見直しで十分なことが多いはず。買い物に走る前に、この記事の手順をひととおり試してみてください。
エアコンの除湿は意味ないのかへのまとめ
最後に、よくいただく疑問と、この記事の要点を整理しておきます。
エアコンの除湿が意味ないかに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 除湿にすると湿度計が上がります。故障でしょうか?
A. 一般的な湿度計は相対湿度を表示します。三菱電機は「30℃湿度60%の空気を、一切除湿せずに温度だけ25℃まで下げると、湿度は約80%に上がります」と説明しています。室温が下がれば表示が上がるのは、しくみのうえで起きうることです。まずドレンホースから水が出ているかを確認してみてください。
ただし、この記事の手順を試しても改善しない場合について、パナソニックとダイキンはいずれも本体の不具合の可能性があると案内しています。その場合は販売店や修理窓口へ相談してください。
Q2. 除湿は外気温が何℃から使えますか?
A. 単一の答えはありません。今回取扱説明書で確認できた4社の除湿の下限は、富士通ゼネラル 約21℃、シャープ 約16℃、三菱電機 約1℃、日立(カラッと除湿) 1℃でした。パナソニック・東芝・ダイキンについては今回この数値を確認できていません。お使いの機種の取扱説明書で「外気温」「運転条件」の欄を見るのが確実です。
Q3. 冷房と除湿はどちらが湿気を取れますか?
A. どちらが上と一概には言えませんが、ダイキンは「温度を下げることを一番に考えた機能が冷房」「湿度をとることを一番に考えた機能が除湿」と整理しています。そのうえで、しつどが下がらないときの手順として冷房モードで設定温度を室温より2〜3℃下げることを案内しています。目的が湿気取りでも、冷房を使う場面はあるということですね。
Q4. 除湿を一日中つけっぱなしにすると乾燥しすぎますか?
A. 乾燥しすぎるかどうかを数値で示した資料には、今回たどり着けませんでした。ただ各社の説明を読む限り、下がりすぎる前に運転が止まるしくみがあります。三菱電機は再熱除湿について、室温が下がりすぎる場合は「冷えすぎないように運転を停止しており」と書いています。日立の取扱説明書にも「設定湿度近くまで湿度が下がると、運転を一時的に停止します。湿度が上がると運転を再開します」という記述があります。
Q5. 自分のエアコンが再熱除湿かどうかを知る方法はありますか?
A. リモコンの表示だけで見分けるのは難しいです。日立は「カラッと除湿」、富士通ゼネラルは「ソフトクール除湿」と、呼び名が各社ばらばらだからです。取扱説明書の除湿運転のページに方式が書かれていることがあるので、そこを見るのが早いですよ。
エアコンの除湿は意味ないのではなく条件がある
長くなったので、要点をまとめます。
- 家庭の湿度計が表示するのは相対湿度で、室温が下がると同じ水分量でも数字は上がる
- 三菱電機は30℃湿度60%の空気を25℃まで下げると約80%になると具体例で説明している
- 除湿できているかはドレンホースの水とジメジメ感で確かめられる
- 除湿に使える外気温の下限は4社で約21℃・約16℃・約1℃・1℃とばらばらだった
- 下限がある理由は熱交換器の凍結で、メーカー自身が注記している
- 設定温度が室温に近いと、除湿量も冷房の除湿量も落ちる
- 冷房で設定温度を2〜3℃下げるのは、メーカーが案内している正規の手順
「エアコンの除湿は意味ない」と感じていたその体感は、間違いではありませんでした。湿度計は確かに上がるし、涼しい日ほど効かない。ただ、その一つひとつにメーカーが説明している理由があった、というだけの話なんです。
今日からできることは2つ。ドレンホースを見に行くことと、自分の機種の取扱説明書で外気温の範囲を確認しておくことです。この2つが分かっていれば、次にジメジメした日に、冷房へ戻すのか、窓を閉めるのか、今日は仕方ないと割り切るのかを自分で決められます。数字に振り回されるより、そのほうがずっと気持ちがいいですよね。

