こんにちは、エアコンラボのアキです。エアコンの取り付けや買い替えの見積書に「VVF2.0mm」「専用回路増設」といった行が並んでいて、これは何の費用なのだろうと思ったことはありませんか。
先にお伝えしておくと、VVFケーブルを使った屋内配線は電気工事士法によって有資格者しか作業できません。この記事は自分で配線するための手引きではなく、エアコン工事でVVFケーブルの太さが何によって決まるのか、その根拠が法令・技術基準・メーカーの据付説明書のどこに書かれているのかを確認し、見積書で何を聞けばよいかまで整理したものです。数値はすべて原典に当たり、引用文が実際に載っていることを確認しました。逆に「よく書かれているのに原典で裏が取れなかったこと」も、最後に正直にまとめています。
- エアコン工事のVVFケーブルは、用途の違う2本があること
- 電源側の太さ(1.6mm・2.0mm・2.6mm)はブレーカーの定格電流で決まること
- 「1.6mmで足りますか」に、国の基準で答えられる範囲と答えられない範囲
- 電気工事の業者側に法律が課している義務(登録・標識・材料)
- 見積書で自分に確認できること、業者に委ねるべきこと

エアコン工事に出てくるVVFケーブルは2本ある
VVFケーブルとは何か、数字は何の太さか
VVFは「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形)」の略で、住宅の壁の中や天井裏に通っている平べったいケーブルです。矢崎エナジーシステムのVVF製品ページは関連規格をJIS C 3342とし、同社の仕様書は導体を「単線 JIS C 3102に適合又はこれに準じた軟銅線」と規定しています。
押さえておきたいのは、見積書の「1.6」「2.0」「2.6」が導体(心線)1本の直径(mm)を指し、ケーブル全体の太さではない点です。同社の仕様では、2心1.6mmの仕上り外径は6.2mm×9.4mm、2心2.0mmは6.6mm×10.5mm、2心2.6mmは7.6mm×12.5mm。見た目で1.6mmと2.0mmを判別するのは現実的ではないということです。
電源側の配線と、室内機・室外機をつなぐ接続ケーブル
エアコン工事では、性格の違う配線が2本出てきます。分電盤のブレーカーからエアコン専用コンセントまでの電源側の屋内配線と、室内機と室外機をつなぐ接続ケーブル(連絡線)です。見積書に両方が並ぶと混同しがちですが、太さの決まり方がまったく違います。
日本冷凍空調工業会は工事の際の安全上の注意で、「電気工事は、国が定める『電気設備に関する技術基準を定める省令』、日本電気協会が定める『内線規程』およびメーカーの据付説明書に従って施工し、専用回路を使用してください」と示したうえで、「室内外ユニット間の配線は、途中接続やより線の使用はせず所定のケーブルを使用して確実に接続してください」と別立てで書いています。
接続ケーブルの太さはメーカーが指定している
では「所定のケーブル」とは何か。据付説明書に具体的に書かれています。富士通ゼネラルのルームエアコン据付説明書(9321764073-01)には「接続ケーブルは、VVFケーブル直径2.0mm、3芯のものを使用してください」「より線は絶対に使用しない」と明記されています。アイリスオーヤマのルームエアコン据付工事説明書も「Fケーブルは、平形ビニール外装ケーブルφ2.0(3芯)を使い、確認窓から芯線が見えるまで差し込んでください」としています。
つまり接続ケーブル側は「1.6mmでよいか」を検討する余地がなく、メーカーが2.0mm・3芯と指定しているのが、確認できた2社の書きぶりでした。ここは現場で選ぶ数字ではありません。
電源側の太さを決めるのはブレーカーの定格電流
国の基準に対応表がそのまま載っている
ここがこの記事の核心です。経済産業省の電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)の第146条は、低圧配線を「直径1.6mmの軟銅線若しくはこれと同等以上の強さ及び太さのもの」以上と定めています。そのうえで第149条の149-1表が、分岐回路を保護する過電流遮断器(ブレーカー)の定格電流ごとに、電線の太さを規定しています。軟銅線とMIケーブルの欄を転記すると次のとおりです。
| 分岐回路を保護する過電流遮断器の種類 | 軟銅線の太さ | MIケーブルの太さ |
|---|---|---|
| 定格電流が15A以下のもの | 直径1.6mm | 断面積1mm2 |
| 定格電流が15Aを超え20A以下の配線用遮断器 | ||
| 定格電流が15Aを超え20A以下のもの(配線用遮断器を除く) | 直径2mm | 断面積1.5mm2 |
| 定格電流が20Aを超え30A以下のもの | 直径2.6mm | 断面積2.5mm2 |
| 定格電流が30Aを超え40A以下のもの | 断面積8mm2 | 断面積6mm2 |
| 定格電流が40Aを超え50A以下のもの | 断面積14mm2 | 断面積10mm2 |
表の左側にあるのは電圧ではなく電流です。エアコン工事のVVFケーブルの太さは、まずこの表を起点に決まります。同条はあわせて、分岐回路の過電流遮断器の定格電流は50A以下、その遮断器は低圧幹線との分岐点から3m以下の箇所に施設することなども定めています。
「1.6mmで足りますか」に原典で答えられる範囲
いちばん多い疑問に、原典の言葉で答えます。149-1表によれば、定格電流15A以下のブレーカー、および15Aを超え20A以下の「配線用遮断器」で保護される分岐回路では、軟銅線の太さは直径1.6mmです。20Aの配線用遮断器までなら、規定値としては1.6mmで成立します。「1.6mmは絶対にダメ」という説明は、149-1表の書きぶりとは一致しません。
ただしこれは下限で、実際に何mmを敷設するかには別の判断が加わります。矢崎エナジーシステムが公表しているVVFの許容電流は次のとおりです(条件は「気中及び暗渠布設(日射の影響なし)、基底温度40℃」)。
| 導体サイズ | 2心の許容電流 | 3心の許容電流 | 4心の許容電流 |
|---|---|---|---|
| 1.6mm | 18A | 15A | 13A |
| 2.0mm | 23A | 20A | 18A |
| 2.6mm | 32A | 27A | – |
同じ1.6mmでも、2心なら18A、3心になると15Aまで下がります。太さだけでなく心数でも変わるということです。さらに電気設備の技術基準の解釈は146-4表で電流減少係数を定めており、同一管内の電線数が3以下なら0.70、4本なら0.63、5〜6本なら0.56です。配線ルートや管の中の本数によって、同じ1.6mmでも余裕はまったく違ってきます。この見極めが有資格者の仕事です。
また第149条第2項第二号は、電動機のように起動電流が大きい機械器具のみに至る分岐回路について、電線の許容電流を「電動機等の定格電流の合計を1.25倍した値以上」などと別に定めています。どの規定で設計するかも業者の判断領域です。
電圧でも畳数でも太さは決まらない
「200Vだから太いケーブルが必要」という説明をよく見かけますが、149-1表に電圧による区分はありません。前掲の富士通ゼネラルの据付説明書には、能力クラスごとの電源仕様が表で載っています。
| 能力クラス | 電源 | ヒューズおよびブレーカー定格 | コンセント定格 |
|---|---|---|---|
| 22・25タイプ | 単相100V | 20A | 125V20A |
| 28タイプ | 単相200V | 15A | 250V15A |
| 40・56タイプ | – | 20A | 250V20A |
注目したいのは、100Vの22・25タイプが20A、200Vの28タイプが15Aという並びです。電圧が上がるほどブレーカー定格が大きくなる、という関係にはなっていません。同じ電力を送るなら電圧が高いほうが電流は小さくて済むので、むしろ自然な結果です。
畳数から逆算するのも無理があります。パナソニックが公表しているエオリア2026年モデルJシリーズの仕様では、冷房能力2.8kW(冷房のめやす8〜12畳)のCS-286DJRが単相100V・プラグ形状は単相100V15A。一方、富士通ゼネラルの28タイプ(2.8kW)は上の表のとおり単相200Vです。同じ2.8kWでもメーカーによって電源が100Vだったり200Vだったりするのですから、「何畳なら何mm」という早見表は成り立ちません。同シリーズでは4.0kW(11〜17畳)のCS-406DJR2が単相200V15A、5.6kW(15〜23畳)のCS-566DJR2が単相200V20Aです。
太さを知りたいなら見るべきは畳数でも電圧でもなく、設置する機種の型番と、その据付説明書に書かれたブレーカー定格です。
コンセントの定格も同じ条文で決まる
同じ第149条の149-3表は、ブレーカーの定格電流に応じて接続できるコンセントの定格も定めています。15A以下のブレーカーには定格15A以下のコンセント、15Aを超え20A以下の配線用遮断器には定格20A以下のコンセント、という対応です。日立はエアコンのコンセントに関するFAQで、エアコン用のコンセント形状には100V15A・100V20A・200V15A・200V20Aの4種類があると説明しています。形状ごとの見分け方はエアコンのコンセントは普通に使えるのかの記事で扱っています。
同じFAQには、内線規程では10Aを超える据置型大型電気機械器具に専用分岐回路を設けることが定められており、エアコンの多くが該当するためメーカーとして専用回路を必須としている、との説明もあります。太さの話は、この前提の上に乗っています。
法令がエアコンの電気工事に求めていること
作業できるのは電気工事士だけ
電気工事士法第3条第2項は、第一種または第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならないと定めています。住宅の屋内配線はこの一般用電気工作物に当たります。
資格がなくてもできる「軽微な工事」は電気工事士法施行令第1条に6号まで列挙されていますが、屋内配線の敷設は含まれていません。第2号の「電気機器の端子に電線をねじ止めする工事」も「配線器具を除く」と書かれており、コンセントなどは対象外です。VVFケーブルを買ってきて自分で引き直す選択肢は、法律上ありません。
業者には登録と標識掲示の義務がある
ここは見積書を受け取る側にとって実用的なので、原典を確認しておきます。電気工事業の業務の適正化に関する法律は、電気工事業を営む者に次の義務を課しています。
- 登録(第3条): 1つの都道府県内のみに営業所を置く場合は都道府県知事、2つ以上にまたがる場合は経済産業大臣の登録を受けること。登録の有効期間は5年で、続けるには更新の登録が必要
- 主任電気工事士の設置(第19条): 一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに、第一種電気工事士か、第二種電気工事士免状の交付後に電気工事に関し3年以上の実務経験がある者を置くこと
- 標識の掲示(第25条): 営業所および電気工事の施工場所ごとに、見やすい場所へ標識を掲げること。施行規則第12条により、記載事項は氏名または名称、営業所の名称と電気工事の種類、登録の年月日および登録番号、主任電気工事士等の氏名(工事が1日で完了する場合、施工場所への掲示は不要)
- 帳簿の備付け(第26条): 営業所ごとに帳簿を備え、施行規則第13条により注文者の氏名・住所、電気工事の種類および施工場所、施工年月日などを記載すること
「有資格者が在籍しているか」を勘で判断する必要はありません。登録番号があるかという、法律が公開を義務づけている一点を確認すればよいのです。
使う材料にも決まりがあります。同法第23条は「電気工事業者は、電気用品安全法第10条第1項の表示が付されている電気用品でなければ、これを電気工事に使用してはならない」と定めています。電気用品安全法施行令の別表第一は、定格電圧100V以上600V以下の電線のうち「ケーブル(導体の公称断面積が22mm2以下、線心が7本以下…)」を掲げ、同令第2条によりこれらは特定電気用品とされます。住宅で使うVVFはこの範囲に収まります。
アース工事と漏電しゃ断器
電源工事とセットで出てくるのがアース(接地)工事です。富士通ゼネラルの前掲据付説明書では、100Vの機種(単相3線式200Vの機種を含む)はD種接地工事が必要、対地電圧が150Vを超える場合は漏電しゃ断器の取り付けとD種接地工事が必要としています。接地抵抗は100Ω以下、漏電しゃ断器を取り付けた場合は500Ω以下。アイリスオーヤマの据付工事説明書も同じ100Ω・500Ωを挙げています。
アース線の太さにも指定があり、富士通ゼネラルの説明書は単相100V機種のアース線を「直径1.6mm以上または断面積2.0mm2以上(現地手配)」としています。1.6mmという数字はここにも別の意味で出てくるので、混同しないでください。漏電しゃ断器が働いたときの対応はエアコンの漏電が疑われるときにまとめています。
この記事は配線工事の手順を説明するものではありません。VVFケーブルの敷設・交換、コンセントの取り付け、分電盤への接続、アース工事は、いずれも電気工事士の資格が必要です。必ず有資格の業者に依頼してください。
見積書で確認できること、業者に委ねること
自分で確認してよいのはここまで
自宅の状況を知る手がかりは、設置する(または設置されている)機種の型番、分電盤にあるエアコン用ブレーカーの表示(15A・20Aなど)、コンセントの形、室外機の銘板の電源表示です。型番が分かればメーカーサイトで据付説明書のPDFを開き、電源とブレーカー定格の表を自分で読めます。この記事で引用した表も、その読み方をしたものです。
一方、分電盤のカバーを外す、配線に触れる、テスターを当てるといった行為は避けてください。壁の中のケーブルが1.6mmか2.0mmかを自分で確かめる方法は事実上ありません。ブレーカーが頻繁に落ちる、コンセント周りが熱い、焦げたにおいがするといった場合は、使用を中止して業者に点検を依頼してください。配線が届かないときに延長コードで届かせるという発想は、メーカーも工業会も明確に否定しています。
製品評価技術基盤機構(NITE)は令和6年1月25日のプレスリリース無頓着は火事の元!で、2019年から2023年の5年間に配線器具の火災事故が126件あり、2023年の件数は2019年の約2倍になったと公表しています。事故は現実に起きています。
見積書と現地調査で確認したい項目
専門用語をすべて覚える必要はありません。次の点を押さえておけば、見積書の中身を納得して受け取れるようになります。
- 設置する機種の型番と、据付説明書に書かれた電源・ブレーカー定格・コンセント定格
- 専用回路を新設するのか、既存の回路を流用するのか
- 新設する場合、分岐ブレーカーの定格電流は何Aになるのか
- 電源側に使うケーブルの種類と太さ(VVFの何mmか、心数はいくつか)
- 接続ケーブルが据付説明書の指定(確認できた2社では2.0mm・3芯)どおりか
- アース工事と漏電しゃ断器が必要な機種かどうか
- 分電盤に空きがあるか、増設や交換が必要か
- その業者の電気工事業の登録番号
逆に、こちらから指定してはいけないこともあります。ケーブルの太さ・ブレーカーの定格・配線ルートは、こう長や同一管内の本数まで見て決まるもので、現地を見ていない人間が数字だけで判断できるものではありません。「1.6mmで安く済ませてほしい」といった伝え方はしないでください。
原典で確認できなかったこと
調べた範囲で裏が取れなかったことも書いておきます。ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分かもしれません。
- 工事費用の相場: 公的な統計が見つかりませんでした。金額は事業者が公表している料金を確認し、複数社で比較してください
- 電圧降下やこう長の基準値: 電気設備の技術基準の解釈の全239ページを検索しましたが、「電圧降下」という語は1か所も出てきません。この基準は内線規程の側にありますが、内線規程は有償の刊行物で原文をオンラインで確認できませんでした。この記事で内線規程に触れた箇所は、すべて日立や日本冷凍空調工業会の解説の引用です
- 畳数別の必要ブレーカー容量の目安表: 畳数と電流を結びつける根拠を、法令にもメーカーの公表資料にも見つけられませんでした
- 「1.6mmは古い配線なので危険」という説明: 149-1表は20Aの配線用遮断器まで直径1.6mmを規定値としており、古さと太さは別の話です
エアコン工事のVVFケーブルに関するよくある質問(FAQ)
Q1. エアコンにVVF1.6mmでも足りますか?
A. 電源側については、電気設備の技術基準の解釈の149-1表が、定格電流15A以下のブレーカーおよび15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護される分岐回路の軟銅線を直径1.6mmと規定しています。規定値としてはそこまで成立します。ただし実際の太さは、こう長・施工方法・同一管内の電線数(3以下で電流減少係数0.70)まで見て有資格者が決めます。接続ケーブルは別の話で、確認した2社はいずれも直径2.0mm・3芯を指定していました。
Q2. 200Vのエアコンだと太いVVFケーブルが必要になりますか?
A. 149-1表の区分はすべて定格電流で書かれており、電圧による区分はありません。富士通ゼネラルの据付説明書でも、単相100Vの22・25タイプのブレーカー定格が20A、単相200Vの28タイプが15Aです。100Vから200Vへの変更で工事が必要になるのは、太さより回路そのものを作り直す必要があるためです。
Q3. 壁の中のVVFケーブルが1.6mmか2.0mmか、自分で調べられますか?
A. 現実的にはできませんし、調べようとしないでください。矢崎エナジーシステムの仕様では、2心1.6mmの仕上り外径が6.2mm×9.4mm、2心2.0mmが6.6mm×10.5mmで、外径の差は0.4mmしかありません。既存配線が使えるかどうかは、現地調査で業者に判断してもらう部分です。
Q4. 業者が信頼できるかどうか、確認できる方法はありますか?
A. 電気工事業の業務の適正化に関する法律第25条により、電気工事業者は営業所と施工場所ごとに、氏名または名称と登録番号などを記載した標識を掲げる義務があります(施行規則第12条。1日で完了する工事は施工場所への掲示が不要)。登録の有効期間は5年で更新が必要です。登録番号を確認するのが、法律に裏づけのある方法です。
まとめ
エアコン工事のVVFケーブルは、電源側と接続ケーブルの2本を分けて考えるのが出発点でした。接続ケーブルは据付説明書の指定(確認できた2社では直径2.0mm・3芯)に従うもので、選択の余地はありません。電源側の太さは、畳数でも電圧でもなく分岐回路を保護するブレーカーの定格電流から決まります。149-1表では15A以下と20A以下の配線用遮断器なら直径1.6mm、20Aを超え30A以下なら直径2.6mmが規定値で、そこに許容電流と電流減少係数0.70などの補正が加わります。
この記事を読んだあとにやっていただきたいのは、壁の中を調べることではありません。機種の型番から据付説明書を開いてブレーカー定格を確認し、見積書の「ケーブルの太さと心数」「ブレーカーの定格電流」「専用回路の有無」「業者の登録番号」を照らし合わせることです。それだけで、工事の中身がかなり見えるようになりますよ。
