エアコンの外し方|自分で外さないほうがよい理由と正しい依頼先

エアコンの取り外し作業のイメージ 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。引っ越しや買い替えで「エアコンの外し方」を調べている方に、先にお伝えしておきたいことがあります。

この記事では、取り外しの手順は紹介しません。エアコンの取り外しには、冷媒(フロンガス)の扱いと電源まわりの処理という、法律が関わる工程が含まれるからです。手順だけを真似すると、機器を壊すだけでなく、結果として法令に触れる可能性もあります。

そこでこの記事では、法令原文と官公庁の公表資料をもとに、「どの工程が法律に関わるのか」「自分でやってよいのはどこまでか」「結局、誰に頼めばいいのか」を整理しました。

  • 取り外しのどの工程が法律に関わるのか
  • 自分でやってよい作業と、資格者に任せる作業の線引き
  • 外したエアコンの処分にかかる費用(メーカー別のリサイクル料金)
  • 買い替え・引っ越し・処分、それぞれのケースでの依頼先

エアコンの取り外し作業のイメージ

エアコンの外し方を自分で調べるべきでない理由

取り外しは「ネジを外して持ち上げる」だけの作業ではありません。法律が関わる部分が2か所あります。

冷媒(フロンガス)は回収する仕組みが決まっている

ポンプダウン作業のバルブ部分のイメージ

エアコンの配管の中には、冷媒としてフロン類が入っています。e-Gov法令検索・フロン排出抑制法の第86条は「何人も、みだりに特定製品に冷媒として充塡されているフロン類を大気中に放出してはならない」と定めており、違反した場合は第103条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。

ただし正確に言うと、ここでいう「特定製品」は業務用のエアコンや冷凍機器、カーエアコンを指すもので(同法第2条)、家庭用のルームエアコンは含まれません。環境省「フロン排出抑制法」ポータルサイトのFAQも、家庭用エアコンについては本法に基づく回収義務はなく、家電リサイクル法でフロン類の回収が義務づけられていると説明しています。

つまり家庭用エアコンの冷媒は「野放し」なのではなく、家電リサイクル法のルートに乗せてメーカー側が回収・破壊する前提で制度が組まれている、ということです。自分で配管を外して冷媒を逃がしてしまえば、この仕組みからこぼれ落ちることになります。エアコンのポンプダウンの記事でも触れていますが、冷媒を室外機に閉じ込める作業は圧力を見ながら進めるもので、感覚で済ませられるものではありません。

電源まわりの工事は資格がないとできない

e-Gov法令検索・電気工事士法の第2条第3項は、一般用電気工作物等を設置または変更する工事を「電気工事」と定義し、政令で定める軽微な工事だけを除外しています。その軽微な工事は電気工事士法施行令の第1条に6項目だけ挙げられており、いずれも電圧600ボルト以下の接続器へのコード接続やヒューズの取り外しなど、限られた内容です。

エアコンの取り外し・移設で問題になりやすいコンセントの増設や交換、分電盤から専用回路を新しく引く工事は、この6項目に当たりません。したがって同法第3条第2項により第二種電気工事士以上の資格が必要で、違反すると第14条で3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金が定められています。ダイキン工業のカスタマーセンターも「配線工事などは電気工事士の資格が必要です」と案内しています。

一方で、壁のコンセントから差込みプラグを抜くだけの行為は電気工事にはあたりません。ここを混同したまま「資格はいらないらしい」と読み違えてしまうのが、いちばん危ないパターンだと思います。

外せても、付け直せないことがある

先ほどのダイキン工業の解説では、室内機と室外機を接続する際に配管内へ入り込む湿気を抜く「真空引き」という工程が必要で、湿気が残ったままだと本来の性能を発揮できなかったり故障につながる可能性がある、と説明されています。専用の真空ポンプを使う作業です。

取り外しは再設置とセットの作業です。外す側だけを自分でやっても、付け直す側で結局プロの手が必要になります。

作業 自分でできるか 根拠
室内機・室外機まわりの荷物を片付ける できる 機器に手を触れないため
壁のコンセントからプラグを抜く できる 電気工事にあたらない
コンセントの増設・交換、専用回路の新設 できない 電気工事士法第3条第2項
冷媒の回収・配管の取り外し できない 冷媒は家電リサイクル法のルートで回収
再設置時の真空引き できない 専用の真空ポンプが必要(ダイキン工業)

外したエアコンの行き先は家電リサイクル法で決まっている

取り外したあとの本体を一般ごみに出すことはできません。処分のルートも法律で決まっています。

リサイクル料金はメーカーごとに違う

リサイクル料金は品目とメーカーごとに決まっており、家電リサイクル券センター(一般財団法人家電製品協会)の再商品化等料金一覧で公表されています。エアコンの主な金額は次のとおりです(いずれも税込)。

メーカー(製造業者等) エアコンのリサイクル料金
パナソニック、ダイキン工業、東芝ライフスタイル、コロナ 550円
三菱電機、シャープ、日立グローバルライフソリューションズ、三菱重工冷熱、ハイセンスジャパン 990円
アクア 1,034円
アイリスオーヤマ 2,000円

この金額はリサイクル料金だけで、運び出しにかかる収集運搬料金は別です。ダイキン工業も「工事費用のほかにリサイクルの費用や収集運搬費もかかってきます」と案内しており、金額は販売・工事店に確認するよう促しています。手持ちのエアコンの正確な金額は、上記の料金一覧でメーカー名から調べてください。

引き取ってもらえる相手は法律で決まっている

e-Gov法令検索・家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)では、第9条で小売業者に引取義務が課されています。対象になるのは、自分が過去に販売した製品の引き取りを求められたときと、同種の製品を新たに販売する際に引き取りを求められたときの2つです。

また第17条により、メーカー側はあらかじめ指定した「指定引取場所」で引き取る義務を負い、第18条で引き取った機器の再商品化等を行う義務があります。消費者側も第6条で、収集運搬や再商品化を行う者へ適切に引き渡し、求めに応じて料金を支払うよう定められています。家電リサイクル券センターの消費者向けページでは、郵便局に備え付けられた家電リサイクル券を使って自分で指定引取場所へ持ち込む方法も案内されています。

実際にどれだけ回収されているのか

環境省「令和5年度における家電リサイクル実績について」(2024年8月22日公表)によると、全国の指定引取場所で引き取られた家電4品目は約1,445万台、うちエアコンは約367万台でした。エアコンの再商品化率は93%(法定基準80%)で、基準を上回っています。

そしてこの年度に、エアコンから回収された冷媒フロン類は約2,493トンにのぼります。個人でDIYした1台分は小さく見えても、この仕組みが積み上げている量だと考えると、ルートから外す判断はしにくくなるはずです。

ケース別・エアコンの取り外しは誰に頼むのか

引っ越しでエアコンを取り外すイメージ

「業者」とひとくくりにせず、目的別に考えると迷いが減ります。

買い替えるとき

新しいエアコンを買う店に、取り付けと同時に古い機器の取り外し・引き取りを依頼するのがもっとも素直です。家電リサイクル法第9条第2号で、同種の製品を販売する際に引き取りを求められた小売業者には引取義務があるため、窓口が1つで済みます。

引っ越しで持っていくとき

移設は取り外しと再設置がセットになるため、真空引きまで対応できる工事業者が必要です。ダイキン工業も「専門知識をもった、信頼できる工事業者に依頼するようにしましょう」と案内しています。引っ越し業者のオプション、家電量販店の工事窓口、地域の電気工事店のいずれでも、真空引きと電気工事の可否を確認したうえで依頼してください。

処分だけしたいとき

買い替えを伴わない場合は、そのエアコンを過去に販売した小売業者に引き取りを求める方法(第9条第1号)か、自分でリサイクル券を用意して指定引取場所へ持ち込む方法があります。ただし取り外し作業そのものは別途手配が必要です。

依頼する前に確認しておきたいこと

最後に、見積もりを取る前に手元で確認しておくと話が早い項目をまとめます。

見積もり前のチェックリスト

  • メーカー名と型番(取扱説明書・保証書、または室内機側面のシールで確認できます)
  • 賃貸なら、そのエアコンが備え付け設備か自分の私物か。管理会社への確認が先です
  • 室外機の設置場所(ベランダ、地面、屋根置き、壁掛けなど)と、そこまでの動線
  • コンセントの形状と、専用回路があるかどうか
  • 取り外したあと、再設置するのか処分するのか

なお、取り外し工事の費用は各社が個別に定めるものです。国の統計を当たってみると、総務省の小売物価統計調査(動向編) 調査品目の年平均価格の品目一覧には「3177 ルームエアコン取付け料【2016年12月調査終了】」という品目がありました。銘柄は「標準取付工事、配管パイプ4mまで、セパレート型、〔定格時能力〕冷房2.2kW」です。つまり国が価格を調べていたのは取り「付け」のほうで、それも2016年12月で終わっています。同じ品目一覧(2000年以降)に、取り外し工事にあたる品目は見当たりませんでした。この記事で金額の相場を書いていないのはそのためです。複数社から見積もりを取り、工事費・出張費・リサイクル料金・収集運搬料金の内訳を分けて提示してもらうのが確実です。

エアコンの外し方に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 自分で取り外すのは違法なのですか?

A. 家庭用エアコンを取り外す行為そのものを直接禁じる規定はありません。ただしコンセントの増設・交換など電気工事にあたる部分は電気工事士法第3条で資格者に限られ、外した本体は家電リサイクル法のルートで引き渡す必要があります。「資格がいらない作業もある」ことと「誰がやっても安全」は別の話です。

Q2. リサイクル料金はいくらかかりますか?

A. メーカーによって異なり、550円・990円・1,034円・2,000円(いずれも税込)などが家電リサイクル券センターで公表されています。これとは別に収集運搬料金がかかります。

Q3. 取り外し工事の費用相場を知りたいのですが

A. 工事費は各社が個別に定めています。総務省の小売物価統計調査(動向編)の調査品目一覧には「3177 ルームエアコン取付け料」がありましたが、2016年12月で調査が終了しており、取り外しにあたる品目は見当たりませんでした。相場としてよく見かける金額は出どころをたどれないため、この記事では示していません。実際の金額は見積もりで確認してください。

まとめ

エアコンの外し方を検索してたどり着いた方に、手順ではなく判断材料をお届けしました。電気工事士法施行令第1条が認める軽微な工事は6項目だけで、コンセントまわりの工事はそこに含まれません。外した本体は家電リサイクル法の対象で、令和5年度には約367万台が指定引取場所に集まり、約2,493トンの冷媒フロン類が回収されています。

自分でやってよいのは、荷物の片付けとプラグを抜くところまでです。あとはメーカー名・型番・設置状況を控えて、買い替えなら購入店、移設なら真空引きに対応できる工事店に相談してください。それが結局いちばん確実で、費用の見通しも立てやすい進め方です。

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