こんにちは、エアコンラボのアキです。
エアコンの買い替えを考えて売り場や通販サイトをのぞいたら、思っていたより価格が高くて驚いた、という方は多いと思います。「なぜこんなに高いのか」「もう少し待てば下がるのか」が気になりますよね。
ただ、エアコンの販売価格は店舗・時期・機種によって幅が大きく、「相場はいくら」と言い切れる公的なデータは見つかりませんでした。そこでこの記事では、私が実際に確認できた官公庁・業界団体の資料だけを使って、価格の背景と、買う前に確認しておきたいことを整理します。出典はすべてリンクを貼っているので、気になったところはご自身でも確かめてみてください。
- 出荷統計から見える、いまのエアコン需要
- 2027年度の新しい省エネ基準で本当に変わること
- 本体価格だけで比べると見落とす「光熱費」
- 買い替えのときに確認したい費用と支援制度

出荷統計から見える、いまのエアコン需要
出荷は台数・金額とも前年を大きく上回っている
まず、業界団体が公表している出荷実績を見てみます。一般社団法人日本冷凍空調工業会「家庭用エアコン(ルームエアコン)国内出荷実績」によると、2026年6月の国内出荷台数は1,651,245台で前年比117.5%、出荷金額は162,448百万円で前年比119.1%でした。2026年度の累計(4〜6月)では3,980,673台・前年比122.6%、金額は約3,902億円・前年比123.7%となっています(いずれも2026年8月時点の公表値)。
注目したいのは、金額の伸び(123.7%)が台数の伸び(122.6%)をわずかに上回っている点です。売れた台数以上に金額が伸びているということは、1台あたりの平均単価が前年より上がっていることを意味します。「高くなった」という体感には、少なくとも方向としての裏付けがあるわけですね。
そもそもエアコンの価格は何で決まるのか
値上がりの理由として半導体や原材料の高騰がよく挙げられますが、根拠がはっきりしない説明も多く見かけます。資源エネルギー庁「27年4月からエアコンの新たな省エネ基準がスタート!」では、エアコンの販売価格を決める要因として次の5つが挙げられています。
- 需要と供給のバランス
- 各製品の性能(省エネ性能、自動お掃除機能などの付加機能)
- 銅やアルミなどの素材価格
- 製造・輸送コスト
- メーカーや販売店の戦略
素材価格や輸送コストは要因の一部ではありますが、それだけで決まるわけではありません。需要の強さや、その製品にどんな機能が付いているかも同じくらい効いてくる、という整理です。

2027年度の新しい省エネ基準で本当に変わること
制度の対象は「メーカー」で、家庭ではない
2027年4月から、省エネ・非化石転換法に基づくトップランナー制度により、エアコンの新しい省エネ基準(2027年度基準)が始まります。SNSなどで「エアコン2027年問題」と呼ばれているものです。ただし内容については誤解も広がっているため、資源エネルギー庁の説明をそのまま確認しておきましょう。
| よく聞く話 | 資源エネルギー庁の説明 |
|---|---|
| 2027年4月から今のエアコンは使えなくなる | トップランナー制度は製品を製造・出荷するメーカーに対して適用される制度。家庭で現在使用しているエアコンを買い替える必要はなく、引き続き使える |
| 新基準を満たさない低価格帯モデルは販売できなくなる | 基準値を満たさない製品の製造・出荷を禁止するものではない。メーカーが年度ごとに出荷する製品全体について、出荷台数を踏まえた平均値で評価される |
| 2027年度以降は修理ができなくなる | 新基準により修理ができなくなることはない。製造完了後の部品保有期間(約10年)を各メーカーが設定しており、その期間は修理が可能なのが一般的 |
つまり「安いモデルが買えなくなるから今すぐ駆け込め」という話ではありません。値上がり幅についても、資源エネルギー庁は「メーカーにもよりますが、省エネ性能の向上に伴い、エアコンの販売価格が上がる可能性があります」と述べるにとどめています。具体的な値上げ幅を示した公的な資料は見当たらなかったため、当ブログでは「◯万円上がる」といった金額は書きません。
本体価格だけで比べると見落とす「光熱費」
6畳用でも年間約2,760円の差が出る
資源エネルギー庁の試算では、6畳用エアコン(2.2kW機)の省エネ性能が現行の2010年度基準(APF 5.8)から2027年度基準(APF 6.6)に向上することで、年間の光熱費が約2,760円安くなるとされています。14畳向け(4.0kW機)ではさらに大きく、年間約12,600円です。
この試算は、2023年から2025年の電力料金の平均である31.75円/kWhを前提としたものです。さらに、内閣府「消費動向調査」によるエアコンの平均使用年数が約14年であることから、使用期間全体では次のような差になると示されています。
| 機種 | 年間の光熱費削減効果 | 使用期間(約14年)の累計 |
|---|---|---|
| 6畳用(2.2kW機) | 約2,760円 | 約4万円 |
| 14畳向け(4.0kW機) | 約12,600円 | 約18万円 |
本体価格の差が数万円あったとしても、14年使うなら光熱費で逆転する可能性がある、ということですね。資源エネルギー庁も「販売価格だけで判断せず、省エネ性能の向上による光熱費削減効果などを総合的に考慮し、判断することが重要です」としています。
あわせて注意したいのが比べ方です。同じ資料では、価格を比較するときは同じ出力帯(冷暖房能力)・同じ機能同士で比べることが重要で、6畳用の付加機能の少ないスタンダード機と、14畳用の付加機能の多い高級機を販売価格だけで単純に比べるのは適当ではない、と説明されています。売り場で「同じエアコンなのにこんなに値段が違う」と感じたときは、まず畳数と機能をそろえて見比べてみてください。

エアコンが高いと感じたときに確認したいこと
本体以外にかかる費用も見積もりに入れる
買い替えでは、古いエアコンの処分費用も必要になります。一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター「再商品化等料金一覧」によると、家庭用エアコンのリサイクル料金はメーカーごとに定められており、990円(税込)としているメーカーが多く、2,000円(税込)のメーカーもあります。このリサイクル料金とは別に、引き取りを依頼する事業者に支払う収集運搬料金がかかります。
本体価格だけを見比べていると、この分が後から乗ってきて「思ったより高い」となりがちです。見積もりは取り外し・処分まで含めた総額で比べるのがおすすめです。
自治体の支援制度が使えることがある
省エネ家電への買い替えを支援する制度を設けている自治体もあります。たとえば東京都環境局「家電・給湯器買い替え」が案内する東京ゼロエミポイントでは、1ポイント=1円として販売価格から直接値引きされる方式が採られています。高効率な新規家電の購入では最大26,000ポイント、製造年から15年以上経過したエアコン・冷蔵庫の買い替えでは最大80,000ポイント、高齢者・障害者のエアコン購入では一律80,000ポイントが付与されます。
金額も条件も自治体ごとに違うので、お住まいの自治体の公式サイトで最新の内容を確認してみてください。予算に上限がある制度も多く、早めに調べておくほうが有利です。
よくある質問
Q1. 2027年4月より前に急いで買ったほうがいいですか?
A. 資源エネルギー庁は「2027年4月からの省エネ基準の引き上げに備え、今すぐエアコンを買い換える必要はありません」としています。使用中のエアコンが正常に動いているなら、慌てて買い替える理由は制度面にはありません。
Q2. 古いエアコンはいつまで修理できますか?
A. 資源エネルギー庁によると、メーカーごとに製造完了後の部品保有期間(約10年間)が設定されており、その期間は修理が可能であることが一般的とされています。詳しくは、お使いのエアコンの製造年月を確認したうえでメーカーに問い合わせてみてください。
Q3. 値段が下がる時期はありますか?
A. 「何月が安い」と裏付けられる公的な統計は見つけられませんでした。ただし出荷統計を見ると需要が前年を大きく上回っている状況で、価格は需要と供給のバランスにも左右されます。時期を当てにするより、必要な畳数と機能を先に決めて総額で比較するほうが確実だと思います。
まとめ
エアコンが高いと感じる背景には、前年を大きく上回る需要や、素材価格・製造輸送コスト、そして省エネ性能を含む製品そのものの進化があります。2027年度の新しい省エネ基準はメーカーに向けた制度で、家庭のエアコンが使えなくなったり、修理できなくなったりするものではありません。
そのうえで、価格を比べるときは同じ畳数・同じ機能でそろえること、処分費用まで含めた総額で見ること、そして14年ほど使う前提で光熱費まで含めて考えること。この3つを押さえておけば、「高い」に振り回されずに判断できるはずです。数字の出どころが気になったら、ぜひ本文中のリンクから一次資料を直接確かめてみてくださいね。

