エアコンの臭いとコウモリ|法律で禁じられていることから先に確認する

エアコン室外機のすき間にいるコウモリのイメージ 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

室外機や配管まわりから、いつものカビ臭さとは違うツンとしたにおいがする。夜になると小さな物音がする気がする。ネットで調べたら「コウモリかもしれない」と書いてあって、駆除グッズを買おうか迷っている。そんな状況でこのページにたどり着いた方が多いのではないかと思います。

ただ、この話には先に確認しておかないといけないことがあります。日本にいるコウモリは鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の対象で、環境省は「原則としてその捕獲、殺傷又は採取が禁止されています」と明記しています。つまり、良かれと思ってやったことが違法行為になり得ます。

私はエアコンの記事を書いていますが、動物や害獣の専門家ではありません。ですので、この記事では私の推測は一切書かず、環境省・自治体・保健所・研究機関・メーカーの原典に書いてあることだけを、出典付きで整理します。駆除の手順は書きません。書けるのは「法令上どうなっているか」「自治体が案内している範囲」「どこに相談すればよいか」の3つです。

エアコン室外機のすき間にいるコウモリのイメージ

  • 鳥獣保護管理法でコウモリの捕獲・殺傷がどう規制されているか(環境省・東京都)
  • 自治体が「追い払い」と「捕獲」をどう区別して案内しているか
  • アブラコウモリの大きさ・活動時間・出産期(国立環境研究所ほか)
  • においの種類では原因を特定できない理由と、自治体が案内している痕跡の確認方法
  • エアコンの壁貫通穴・パテ・ドレンホースについてメーカーが書いていること
  • 相談先と、駆除サービスの契約トラブル(国民生活センター)

まず法律の話から:コウモリは捕まえても殺しても違法になり得ます

対策グッズの話よりも先に、ここを押さえておいてください。順番を間違えると、においを何とかしようとした行動そのものが問題になってしまいます。

鳥獣保護管理法は「捕獲・殺傷」を原則として禁止しています

環境省の「捕獲許可制度の概要」には、次のように書かれています。

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律では、鳥獣又は鳥類の卵については、狩猟により捕獲する場合を除いて、原則としてその捕獲、殺傷又は採取(以下「捕獲等」という)が禁止されています。
(出典: 環境省「捕獲許可制度の概要」)

ここでいう「鳥獣」とは何かは、同じく環境省の「鳥獣保護管理法の概要」に定義があります。同ページでは「鳥獣」を「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定義しており、平成14年の法改正でネズミ・モグラ類と海棲哺乳類も含まれることになった、と説明されています。コウモリは哺乳類ですから、当然この定義に入ります。

面白いのは例外の書き方です。同ページには、法第80条の規定により「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣」等として、いえねずみ類3種などが法の対象外とされている、と書かれています。家に出るネズミは対象外、コウモリは対象。同じ「家に住み着く小さな哺乳類」でも扱いがまったく違うわけです。

東京都環境局の説明はもっと端的で、「鳥獣保護管理法により、全ての野生鳥獣(鳥獣保護管理法の対象にならないネズミ類及び海棲ほ乳類を除く)は捕獲(損傷や卵の採取を含む)することができません」としたうえで、例外は「狩猟制度に基づき、狩猟鳥獣を捕獲する場合」と「学術研究の目的などで、法による許可を受けた場合」の2つだと書いています(東京都環境局「野生鳥獣の捕獲について」)。

では狩猟鳥獣にコウモリは入るのか。環境省の同じページによると狩猟鳥獣は46種類です。東京都環境局が掲載している一覧を数えると、鳥類26種類・獣類20種類で、獣類はタヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン、イタチ(オスに限る)、シベリアイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ、ニホンジカ。コウモリは1種類も入っていません(東京都環境局「狩猟鳥獣の種類等について」/令和4年4月時点)。

家に入り込む生きもの 鳥獣保護管理法での扱い 根拠
コウモリ(哺乳類) 対象。捕獲・殺傷は原則禁止。狩猟鳥獣46種類にも含まれない 環境省/東京都環境局
いえねずみ類3種 法第80条により対象外 環境省「鳥獣保護管理法の概要」
虫(昆虫など) 鳥類・哺乳類ではないため、そもそも法の対象外 環境省(「鳥獣」の定義)

罰則について自治体が案内している内容

つくばみらい市は「野生のコウモリは、鳥獣の保護および管理ならびに狩猟の適正化に関する法律により捕獲・殺傷が禁止されており、違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます」と案内しています(つくばみらい市「コウモリを見かけたら」)。朝倉市も同じ「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という記載をしています。

八千代市は「ハトやコウモリ等は『鳥獣保護管理法』により保護されており、許可なく駆除や巣の除去が出来ません」と書き、自分で許可を受けたい場合の問い合わせ先として千葉県の地域振興事務所の電話番号を案内しています(八千代市「ハトやコウモリが家に巣を作り困っています。」)。

「殺虫剤をかける」「熱湯をかける」「叩き落とす」「捕まえて遠くに逃がす」——このあたりは、においに困っている人が思いつきやすい行動ですが、上の条文の書きぶりからすると、いずれも捕獲・殺傷にあたる可能性があります。この記事ではそうした方法を紹介しません。

「追い払い」と「捕獲」は自治体の案内でも扱いが分かれています

では何もできないのかというと、自治体の案内を読むかぎり、線引きは次のようになっています。

  • 追い払い・侵入予防:つくばみらい市は「追い払いや侵入予防策は、御自身または業者などで対応していただくようお願いします」と案内し、費用は自己負担としています
  • 捕獲:北九州市は「専門業者に依頼して捕獲する方法もあります。捕獲には福岡県の許可が必要になりますので、ご自身で捕獲をお考えの方は」と、県の担当係に相談するよう案内しています(北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」/2025年7月11日更新)
  • 捕獲の位置づけ:東京都環境局は「捕獲は、原則として被害防除対策によっても被害等が防止できないと認められるときに行うものとします」としています。つまり順番として、防除が先です
  • 自治体自身は駆除しない:つくばみらい市・朝倉市・大津市・横浜市はいずれも、市(県)では駆除や捕獲を行っていないと明記しています

まとめると、許可が要るのは「捕獲」、許可なしで案内されているのが「追い払いと侵入予防」という整理です。ただし追い払いにも後述する時期と順序の問題があるので、思い立ってすぐやる、という進め方はおすすめできません。

相手を知る:アブラコウモリについて公的資料が書いていること

ここは完全に受け売りです。私が測ったものは1件もありません。すべて国立環境研究所・国土交通省・自治体・保健所の資料からの引用です。

大きさと種類

つくばみらい市と朝倉市はどちらも「日本には、約35種のコウモリが生息しており、よく見られるのは『アブラコウモリ』という種類です」と案内しています。人家の周辺のみで活動することからイエコウモリとも呼ばれる、というのは京都市の保健所資料の説明です(京都市「衛生動物だより No.027 イエコウモリ」)。

サイズは資料によって測り方が違うので、そのまま並べます。

項目 数値 出典
体長 50mm程度 国立環境研究所 侵入生物DB
頭胴長 4.1cm〜6.0cm 国土交通省 九州地方整備局 筑後川河川事務所
前腕長 3.0cm〜3.7cm 同上
尾長 2.9cm〜4.5cm 同上
体重 5g〜10g 同上
新生児の体重 0.86g程度 国立環境研究所 侵入生物DB

出典は国立環境研究所 侵入生物データベース「アブラコウモリ」と、国土交通省 九州地方整備局 筑後川河川事務所「河川・水辺の生物図鑑 アブラコウモリ」です。学名はPipistrellus abramus、分類はコウモリ目(翼手目)ヒナコウモリ科。体重が10gというのは、乾電池1本より軽いくらいの世界です。

「におい」の正体について保健所が書いていること

京都市の保健所資料は、この点をはっきり書いています。

イエコウモリの害は,糞(ふん)や尿のにおいや染みです。巣は,壁の間や天井裏など家屋の透き間です。その巣で糞や尿をします。
(出典: 京都市「衛生動物だより No.027 イエコウモリ」)

同じ資料には、量の話も書かれています。小さな体でも大食漢で「1日に体重の30%にもなる重さの昆虫類を食べる」とされ、さらに「巣によっては,数十匹が同じ巣に生息していることがあります」。個々の糞はわずかでも、巣の場所には糞や尿が積み重なり、においや染みの原因になる、という説明です。朝倉市は食べる量を「蚊くらいの大きさの昆虫で約500匹」と別の言い方で紹介しています。

ねぐらの場所については、筑後川河川事務所の図鑑が「昼間は家屋を隠れ家とし、壁の中、壁と壁板の間、瓦の下、天井裏、戸袋の中などを利用している。最近はビルの通風口なども利用する」と書いています。国立環境研究所も生息環境を「建造物や洞窟などをねぐらとし」としています。いずれの資料も「エアコンの室外機」という書き方はしていませんので、そこは私も断定しません。ただ、家屋のすき間を使う生きものである以上、配管まわりのすき間もその「家屋の透き間」の一部だ、という読み方はできます。

活動する時間帯と、出産・冬眠の時期

時期の話は、後で出てくる「やってはいけない順番」に直結します。

  • 採餌に出る時刻:日没後10分〜30分後(国立環境研究所)。5月〜8月は日の出前にも採餌するが、10月は日没後のみ
  • 活動を始める気温の目安:福岡では15℃以下、香川では12℃以下で採餌活動を開始したという記録(国立環境研究所)
  • 出現時期:3月〜10月。ただし冬季も暖かい日は飛翔する(筑後川河川事務所)
  • 繁殖:10月に交尾し、冬眠中は貯精。冬眠終了後の4月末に排卵されて受精。妊娠期間は70日程度(国立環境研究所)
  • 出産:6月〜7月が出産シーズン(福岡県「福岡生きものステーション アブラコウモリ」)。筑後川河川事務所の図鑑は「7月上旬に出産」、産仔数1〜4

そして、ここが自治体の案内で最も重要な一文です。北九州市は追い出しの方法を説明したうえで、こう付け加えています。

なお、冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です。
(出典: 北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」)

時期 公的資料に書かれている状況 自治体の案内
4月末ごろ 冬眠終了後に排卵・受精(国立環境研究所) 北九州市は「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的」と案内
6月〜7月 出産シーズン(福岡県)。7月上旬に出産(国土交通省)
3月〜10月 出現時期。冬季も暖かい日は飛翔(国土交通省)
10月ごろ 交尾。以降は冬眠へ(国立環境研究所)

つまり、においに気づきやすい夏場は、公的資料に照らすとちょうど出産・子育てと重なる時期です。この時期に自己判断で動くと、飛べない子どもを残したまま親だけを追い出す形になりかねません。時期の判断こそ、自分でやらずに窓口へ相談すべきところだと思います。

「このにおいならコウモリ」は言えません。確認するのは痕跡です

ここは当サイトとして特に気をつけている点です。においの種類から原因を言い当てる表は作りません。根拠がないからです。

においの種類から原因を特定できないと考える理由

エアコンの吹き出し口から出るにおいは、室内機の中で起きていることだけが原因とは限りません。日立の家庭用ルームエアコン据付説明書には、壁の貫通穴の処理について次の【警告】が書かれています。

エアコン据付用パテで完全にシールする
壁内や室外の高湿空気が室内に浸入し、露たれの原因になります。また壁内や室外の臭いが室内に浸入する原因となります。
(出典: 日立「ルームエアコン据付説明書(RAS-M22C形ほか)」PDF)

三菱電機のルームエアコンFAQも「本来排水を目的としているドレンホースを伝って僅かではありますが、外気が取り込まれることがございます」「高気密の住宅では換気扇による排気の影響で、ドレンホースや配管の僅かな隙間から外気が取り込まれることがございます」と説明しています(三菱電機 よくあるご質問「運転すると、外気が取り入れられるのですか?」)。

要するに、屋外側のにおいは配管まわりの経路で室内に入り得るとメーカー自身が書いているわけです。逆に言えば、室内で嗅いだにおいが室内機の中で発生したものか、屋外から来たものか、においの質だけで切り分けるのは無理があります。当サイトの他の記事でも、においの種類と原因を1対1で結びつける書き方はしていません。エアコン内部側の一般的なにおい対策については、エアコンフィルター掃除の効果内部クリーン機能の記事をご覧ください。

自治体・保健所が案内している確認方法

では何を見るのか。公的資料が実際に挙げているのは、においの質ではなく物理的な痕跡です。

  • :朝倉市は「糞や羽音等でお困りの場合は」という書き出しで対応を案内しています。各務原市も「コウモリの糞尿などの被害」という表現です
  • 羽音:同じく朝倉市の案内にある表現です
  • 場所の特定:各務原市は対策の第一歩として「コウモリが住んでいる箇所を特定し、侵入場所に合わせたグッズで隙間を塞ぐ」と案内しています(各務原市「コウモリ忌避装置(防鳥防獣装置)の貸出について」/令和6年6月12日更新)
  • ネズミの糞と間違えやすい:京都市の保健所資料は「保健所には,市民の方がガレージや壁面の巣穴付近に落とされたイエコウモリの糞をネズミの糞と間違われて相談に来られることが多いようです」と書いています。同資料によれば、保健所では糞を消毒用アルコールに浸してつぶし、内容物がすべて昆虫の表皮や脚かどうかで判別しているとのことです

ただし、この判別を自分でやろうとしないでください。つくばみらい市は「野生のコウモリには、寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れがあるため、素手で触らないようにしましょう」と案内しています。朝倉市はさらに踏み込んで「野生のコウモリには、たくさんの病原菌が付着してる可能性があります。素手で触ることは不衛生であり、感染症やアレルギーなどを引き起こすリスクがあります」としています。糞かどうか迷う段階で、窓口に相談するのが正解です。

エアコン側の話:貫通穴・パテ・ドレンホースについて分かっていること

エアコンの配管カバーと壁のすき間のイメージ

ここからは私の担当領域です。ただし「コウモリがこの穴から入る」と断定する資料は見つかりませんでした。見つかったのは、すき間を塞ぐこと自体がメーカーの標準の要求事項であるという事実です。

壁の貫通穴とパテ

日立のルームエアコン据付説明書には、壁穴あけの手順として次の記載があります。

  • φ65mmの穴を、外側に2mm〜5mm下がりぎみにあける
  • 保護パイプを壁の厚さに合わせて切断し、壁穴に通す
  • 雨水や外気の浸入等がないようエアコン据付用パテで完全にシールして配管ブッシュを付ける
  • 【警告】保護パイプは必ず使用する。接続ケーブルが壁の中のメタルラスに接触したり、壁が中空の場合、ねずみにかじられたりして感電や火災の原因となる

穴の直径は機種や施工条件で変わりますが、この説明書ではφ65mmが指定されています。注目したいのは【警告】の書きぶりで、メーカーは据付の段階から「壁の中にねずみがいる前提」で注意書きを書いているということです。生きものが入り込む経路として、壁の貫通穴は昔から意識されている場所なんですね。

そしてもう1社、以前は文字化けして読めなかった富士通ゼネラルの据付説明書を読み直したところ、においそのものを理由に挙げた記述が見つかりました。

隙間をパテまたはコーキング材で完全にふさぐ
完全にふさがないと、壁内や室外の高湿空気の室内への侵入による露たれや、雨水の浸入による壁内部の腐食の原因になります。また、壁内や室外のにおいが室内に侵入する原因になります。
(出典: 富士通ゼネラル「ルームエアコン据付説明書」PDF)

コウモリという語は出てきません。それでも「壁の中のにおいが、ふさぎきれていない貫通穴から部屋に入る」という経路を、メーカー自身が据付の注意として書いているのは重要です。天井裏や壁の中にすみついた生きもののにおいを疑うとき、まず見るべきは室内側と屋外側のパテだ、という順番の根拠になります。

パテそのものの選び方・劣化した場合の話は、当サイトのエアコンのパテ(粘土)の記事パテ隠しの記事に詳しくまとめてあります。屋外側の配管を覆う化粧カバーについては化粧カバーは必要ないのかを検証した記事をどうぞ。

ドレンホースについてメーカーが案内していること

ダイキンのエアコン標準工事の解説ページには「虫の侵入を防ぎたい」という項目があり、「小さな虫が外から部屋に侵入してくる場合は、『防虫ドレンキャップ』をドレンホースの先に取り付けることで、害虫の侵入を防ぎます」と案内されています(ダイキン「エアコンの標準工事とは」)。

ここは正直に書きます。メーカーが防虫キャップについて案内しているのは虫の侵入対策であって、コウモリのような哺乳類を想定した記述は見当たりませんでした。体重5g〜10gの生きものが細いドレンホースの中を通るという話も、公的資料では確認できていません。ですので、ドレンホース対策=コウモリ対策、という書き方はしません。

虫の侵入とドレンホースの関係は当サイトのエアコンのチャタテムシの記事が本体で、防虫キャップの選び方はエアコン防虫キャップの記事にまとめてあります。ドレンホース自体の交換手順はドレンホース交換の記事にあります。

室外機まわりについて据付説明書が求めていること

日立の同じ据付説明書には、室外機の設置場所についてこう書かれています。

室外機は、小動物のすみかになるような場所には設置しない
小動物が侵入して、内部の電気部品に触れると、故障や発煙・発火の原因になることがあります。また、お客様に周辺をきれいに保つことを、お願いしてください。
(出典: 日立「ルームエアコン据付説明書(RAS-M22C形ほか)」PDF)

これは私が知るかぎり、家庭用エアコンの公式文書で「小動物」と室外機の関係にはっきり触れている数少ない記述です。においの問題以前に、故障・発煙・発火の原因になり得るとメーカーが書いている。室外機の周りを物置にしない、雑草を伸ばしっぱなしにしない、といった当たり前のことに、ちゃんと理由があるわけです。

塞ぐ順番を間違えると「閉じ込め」になります

エアコンのドレンホース用防虫キャップのイメージ

すき間を塞ぐ作業そのものは自治体も案内していますが、必ず順番が指定されています。つくばみらい市は「侵入口や住み着いている場所にコウモリがいない時に(または追い払ってから)、その場所にネット(網)やパテ、シーリング材等ですき間をふさぐようにして侵入を防ぐ」と案内しています。北九州市も「棲み付かれる前または、(追い出した)後に侵入口をふさいでください」「軒下にいる場合は、コウモリがいない時に(または追い払ってから)」と、2箇所で同じ念押しをしています。

中にいる状態で塞げば、当然そこから出られなくなります。においを消したくて塞いだのに、結果としてもっと深刻なにおいの原因を作ってしまう。しかも、それが捕獲・殺傷にあたると判断される可能性もあります。「塞ぐ」は最後の工程です。

香川県は「市販の金網や板などを活用し、家屋の隙間を埋める」という侵入防止策を案内しています(香川県「ヘビやコウモリを見つけたときの対応」)。まだ住み着かれていない段階での予防であれば、この作業は順番の心配なく進められます。パテの打ち直しや化粧カバーの継ぎ目の点検は、そういう意味で「今のうちにやっておく」価値があります。

どこに相談すればよいか

ここまで読んで「じゃあ自分は何をすればいいのか」と思われたはずです。答えははっきりしていて、自治体の窓口に連絡することです。

自治体はどこまでやってくれるのか

実際の案内内容は自治体によってかなり違います。原典に当たったものを並べます。

自治体 案内している内容
朝倉市 市では捕獲・駆除等は行っていない。「対応が困難な場合は、環境課にご相談ください。有料になりますが、コウモリに対応可能な業者をご紹介します」
北九州市 捕獲には福岡県の許可が必要。自分で捕獲を考える場合は県の鳥獣対策係に相談するよう案内
横浜市 「本市では対応しておりません」。公益社団法人神奈川県ペストコントロール協会(有料・個人負担)に問い合わせるよう案内
八千代市 許可なく駆除や巣の除去はできない。自分で許可を受けたい場合は千葉県の地域振興事務所に問い合わせ
大津市 市では駆除や捕獲はしていない。自己対応。協会経由で対応できる業者があるか相談するよう案内
各務原市 コウモリ忌避装置(防鳥防獣装置)を無料で貸し出し。原則1台を14日間、1世帯1回限り

各務原市のように装置を貸し出している自治体もあれば、横浜市のように民間の協会を案内するだけの自治体もあります。お住まいの市区町村のサイトで「コウモリ」を検索してみるのが、いちばん確実で早いと思います。担当部署は環境課・生活環境課・環境政策課・鳥獣被害対策課など、自治体によってまちまちです。

横浜市の案内(横浜市「お問合せの多い質問」)、大津市の案内(大津市「ヘビ、コウモリは市で駆除してくれるの?」)、朝倉市の案内(朝倉市「コウモリについてのお知らせ」)は、いずれも原典を直接読めます。

業者に頼むときに知っておきたいこと

国民生活センターは2024年4月24日、「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」という注意喚起を公表しています。それによると、害虫・害獣駆除サービスの相談は増加傾向が続き、2023年度は2022年度同期と比べて約1.5倍に増加。掲載されている相談事例5件のうち1件は、まさに「ネットで探したコウモリ駆除業者と契約したがうそをつかれたので解約したい」というものです(国民生活センター 2024年4月24日公表)。

同センターが挙げている問題点とアドバイスを引用します。

  • インターネット上に記載されている料金と実際の料金がかけ離れている
  • 消費者の不安をあおり、契約を急かす勧誘が行われている
  • 事前に複数見積もりを取って比較・検討することができない
  • アドバイス:極端に安い価格を表示するサイトや広告には注意
  • アドバイス:複数見積もりを取って比較・検討する時間を与えない事業者とは契約しない
  • アドバイス:おかしいと思ったら、すぐに消費生活センター等に相談(消費者ホットライン「188」番)

当サイトでは特定の駆除業者を紹介しません。料金相場も書きません。根拠のある数字を持っていないからです。かわりに、上のような公的な注意喚起があることをお伝えしておきます。まず自治体に相談すれば、その自治体が信頼できると考えている紹介先(協会など)にたどり着けます。

エアコン 臭い コウモリに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 市販の忌避剤を使うのは違法になりませんか?

A. 複数の自治体が、追い払いの方法として市販の忌避剤や光・音を使う方法を紹介しています(つくばみらい市・朝倉市・北九州市・各務原市)。一方で、許可が必要なのは「捕獲」だと北九州市が明記しています。ただし当サイトでは具体的な使用手順は案内しません。時期(冬眠期・出産期)と順序(塞ぐのは最後)の判断が絡むため、お住まいの自治体の案内を読んだうえで、迷う点は窓口に確認してください。

Q2. エアコンの臭いがコウモリのせいかどうか、どうすれば分かりますか?

A. においの質からは判断できません。自治体が挙げているのは「糞」「羽音」といった痕跡です(朝倉市)。ただし糞はネズミのものと間違えやすく、京都市の保健所資料も「ネズミの糞と間違われて相談に来られることが多い」と書いています。糞らしきものを見つけても素手では触らず(つくばみらい市)、写真を撮って自治体の窓口に相談するのが安全です。

Q3. 見つけたのが夏場でした。すぐに追い出してもいいですか?

A. 北九州市は「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です」と案内しています。福岡県は出産シーズンを6月〜7月、国土交通省の図鑑は7月上旬の出産としており、夏場はまさにその時期にあたります。自己判断で動かず、まず窓口に相談してください。

Q4. すき間を先に塞いでしまってもいいですか?

A. まだ住み着かれていないなら予防として有効で、香川県も「市販の金網や板などを活用し、家屋の隙間を埋める」と案内しています。すでに住み着かれている場合は逆で、つくばみらい市も北九州市も「コウモリがいない時に(または追い払ってから)ふさぐ」と明記しています。閉じ込めになるうえ、捕獲・殺傷にあたると判断される可能性もあります。

Q5. 賃貸の場合はどうすればいいですか?

A. 建物のすき間や配管の処理は建物側の設備にあたるため、まず管理会社や大家さんに連絡してください。朝倉市も「ご自身の所有地・管理地以外の場合は、施設や土地の所有者・管理者にご相談ください」と案内しています。自己判断で工事や封鎖をすると、原状回復の話がややこしくなります。

Q6. 家に出るネズミも同じ扱いですか?

A. 違います。環境省は、法第80条の規定によりいえねずみ類3種が鳥獣保護管理法の対象外とされていると説明しています。東京都環境局も「鳥獣保護管理法の対象にならないネズミ類」と書いています。哺乳類でも扱いが分かれるので、「動物だから全部同じ」と考えないでください。

まとめ:においを消す前に、法律と時期を確認してください

最後に整理します。この記事でお伝えしたかったのは、対処法よりも先に確認すべきことがある、という一点です。

  • コウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲・殺傷は原則禁止(環境省)。狩猟鳥獣46種類にも含まれない(東京都環境局)
  • 自治体は違反時の罰則として「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を案内している(つくばみらい市・朝倉市)
  • 許可が必要なのは「捕獲」。「追い払いと侵入予防」は自分または業者で、という整理が自治体の案内から読み取れる
  • 夏の出産時期と冬眠時期は「それ以外の時期に対策を」と北九州市が案内。出産シーズンは6月〜7月(福岡県)
  • においの種類から原因は特定できない。屋外のにおいは配管まわりから室内に入り得るとメーカー自身が書いている(日立・三菱電機)
  • 塞ぐのは最後。「コウモリがいない時に(または追い払ってから)」が自治体の共通した書き方
  • まずは自治体の窓口へ。駆除サービスの相談は2023年度に約1.5倍に増えている(国民生活センター)

私にできるのは、エアコンの側の話——壁の貫通穴のパテが劣化していないか、化粧カバーの継ぎ目が開いていないか、室外機の周りを物置にしていないか——を点検しましょう、とお伝えするところまでです。日立の据付説明書が「室外機は、小動物のすみかになるような場所には設置しない」と書いているとおり、周辺をきれいに保つこと自体はメーカーの要求事項でもあります。

そのうえで、生きものが相手だと分かった時点からは専門の窓口の領分です。自分で何とかしようとして違法行為になってしまうのが、いちばん避けたい結末ですから。まずはお住まいの自治体のサイトで「コウモリ」を検索してみてください。

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