こんにちは、エアコンラボのアキです。
冷房をつけても部屋が涼しくならず、「もしかしてガス漏れでは」と不安になっていませんか。冷媒は安全にも法律にも関わるテーマなので、思い込みで判断するのは避けたいところです。
そこでこの記事では、エアコンのガス漏れについて、メーカー公式・業界団体・官公庁の情報だけを根拠に整理しました。出典はすべて本文中にリンクしてあります。
- 冷媒が減る仕組みと、家庭用エアコンで使われている冷媒の種類
- 漏れが疑われるサインと、メーカーが案内している確認手順
- 冷媒の補充や修理を自分で行ってはいけない理由
- メーカーが公開している修理料金の目安と、保証・買い替えの判断材料

エアコンのガス漏れとは何が起きているのか
冷媒は密閉された配管の中を循環していて、使っているだけで減っていくものではありません。効きが落ちているなら、どこかから漏れ出している可能性があります。
家庭用エアコンに入っている冷媒の種類
家庭用エアコンの冷媒は、R410AとR32が主流です。ダイキン工業によると、R32はオゾン層破壊係数(ODP)がゼロで、地球温暖化係数(GWP)は675とされています。
一方のR410AはGWPが2090です。漏れた冷媒はそのまま大気へ出ていくため、温室効果の面でも軽く見られない量になります。
| 項目 | R32 | R410A |
|---|---|---|
| 地球温暖化係数(GWP) | 675 | 2090 |
| 燃焼性の区分 | 微燃性(Class 2L) | 不燃性(Class 1) |
| 燃焼速度 | 10cm/秒以下 | 燃えない区分 |
| 冷媒の構成 | 単一の冷媒 | 混ぜ合わせた冷媒 |
出典:ダイキン工業「住宅用/業務用エアコンにおいて最もバランスの取れた冷媒:R32」、日本冷凍空調工業会「冷媒HFC(R410AおよびR32)を使用した家庭用エアコン」
漏れが起きる主な原因
三菱電機は、ガス漏れの原因として、取り付け工事の不備・室外機の移動や転倒・内部部品の腐食の3つを挙げています。
パナソニックの解説では、配管パイプの劣化や接合部の破損がとりわけ多い原因とされています。引っ越しで移設したあとは、気をつけて様子を見たいところです。
エアコンのガス漏れが疑われるサインと確認手順
ここからは、メーカーが公式に案内している確認方法を順に見ていきます。いずれも道具を使わず、外から見て分かる範囲の内容です。
効きが弱く、電気代が上がる
風は出ているのに部屋の温度が変わらない、という症状が代表的です。三菱電機は、運転効率が下がるため電気代が通常より高くなる可能性があると説明しています。
冷媒がなくなってしまうと、運転そのものが止まります。同社によると、室内機のランプの点滅で故障状態を表示する機種が多いとのことです。
室外機の接合部に霜がついていないか
パナソニックは、しばらく冷房運転をしたうえで、室外機と配管パイプの接合部を確認する方法を紹介しています。
ここに霜が付着して白くなっていたら、冷媒が漏れている可能性があるとされています。詳しくはパナソニック「エアコンのトラブルを解決。水漏れ、ガス漏れの原因と対処法」をご覧ください。

ランプの点滅は使用をやめる合図
日立は、タイマーランプが点滅している場合、本体に異常が発生している可能性があるとしています。
その際は使用をやめ、購入した販売店か修理相談窓口へ点検を依頼するよう案内されています。点滅が止まっても一時的な改善にとどまることがあるためです。
点滅の回数で該当する部位が分かる機種もあります。日立「タイマーランプが点滅しています。」に回数ごとの一覧が載っています。
冷媒の補充・修理を自分で行ってはいけない理由
ここは誤解が多いところなので、法律の位置づけと安全上の理由を分けて説明します。
家庭用は「フロン排出抑制法」の対象ではない
フロン排出抑制法で漏えい対策や回収が義務づけられているのは、業務用の空調機器と冷凍・冷蔵機器です。環境省はこれを第一種特定製品と呼んでいます。
家庭用のエアコンは同法に基づく回収義務の対象ではなく、家電リサイクル法でフロン類の回収が義務づけられています(環境省「フロン排出抑制法」ポータルサイト FAQ)。
家電リサイクル法は、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)が正式な名前です。日本冷凍空調工業会によると、施行は2001年4月1日でした。
引き取られたエアコンは総重量の80%以上がリサイクルされ、冷媒フロンも回収・処理されています。業者に依頼するときも、この流れに乗せてもらう形になります。
法律の対象外でも、自己流の作業は危険
対象外というのは「素人が触ってよい」という意味ではありません。冷媒には、安全上わきまえておくべき性質があります。
日本冷凍空調工業会は、R32は空気より重く床面近くにたまる傾向があると説明しています。室内の底部に充満すると、燃焼濃度に至る可能性があるとされています。
同工業会によると、R410AとR32の作動圧力は従来のR22機種に比べて約1.6倍と高いそうです。そのため配管部材や工具も専用品になります。
詳しくは日本冷凍空調工業会「冷媒HFC(R410AおよびR32)採用機種の施工上のポイント」をご覧ください。
- 自分でできること:症状と時期のメモ、フィルターの清掃、室外機まわりの片づけ、接合部の霜の確認
- 専門家に任せること:漏れ箇所の特定、配管の修理、冷媒の回収と充塡、取り外し時のポンプダウン
パナソニックも、漏れ箇所の修理や冷媒の充塡を自分で行うのは難しいとしています。購入した販売店かメーカーの修理窓口に相談するのが近道です。
エアコンのガス漏れの修理費用と買い替えの判断
費用の相場をまとめた公的な統計はありません。そのかわり、メーカー自身が修理料金の目安を公開しています。
メーカーが公開している料金の目安
三菱電機のルームエアコン修理料金表から、冷媒に関わる項目を抜き出しました。技術料・部品代・出張料を含む税込の概算です。
| 症状(状態) | 修理概算料金(税込) | 補足 |
|---|---|---|
| 冷えが弱い、暖まりが弱い | 23,100円〜136,400円 | 冷媒回路の故障の場合。冷媒部品、圧縮機など |
| 冷えが弱い、暖まりが弱い | 17,600円〜52,800円 | 調整手直や、電気部品・基板などの故障の場合 |
| 室内機の水漏れ | 26,400円〜78,100円 | ガス漏れが原因の場合や、冷媒回路の故障の場合 |
| 見積診断 | 5,390円 | ― |
同じ「冷えが弱い」でも、冷媒回路の故障は電気部品の故障より高くなる傾向が読み取れます。他社の機種は各社の窓口で確認してみてください。
保証期間が残っていないか確認する
日立によると、ルームエアコンの保証期間は本体が1年間、冷媒回路が5年間です。冷媒回路には圧縮機・冷却器・凝縮器・本体配管が含まれます。
冷媒に関わる部分には、本体より長い保証がついているわけです。日立「ルームエアコンの保証期間を知りたいです。」を確認し、保証書を手元に用意して相談しましょう。
修理と買い替えの分かれ目
パナソニック「補修用性能部品の保有期間」では、エアコンの保有期間は10年とされています。起算点は、その製品の製造を打ち切ったときです。
年数が経つほど部品は手に入りにくくなります。見積もりを受け取ったら、買い替えた場合の費用とあわせて比べてみてください。

なお、冷媒を補うだけでは漏れた原因は残ったままです。ガス補充の費用や依頼先や、ぬるい風しか出ないときの原因もあわせて参考にしてください。
エアコンのガス漏れに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 自分でガス漏れだと確定させられますか?
A. できるのは、メーカーが案内している範囲までです。パナソニックの接合部の霜の確認や、日立のランプの点滅の確認で当たりをつけたうえで、点検を依頼するのが確実な手順になります。三菱電機の料金表では、見積診断が5,390円と示されています。
Q2. 冷媒が漏れると火災の危険はありますか?
A. ダイキン工業によると、R32は微燃性(Class 2L)で、燃焼速度が10cm/秒以下という最も弱い燃焼性の区分です。ただし日本冷凍空調工業会は、空気より重いR32が室内の底部に充満すると燃焼濃度に至る可能性があるとしています。においや異変を感じたら換気し、火気を避けて業者に連絡してください。
Q3. 保証期間内なら無料で直せますか?
A. 日立の保証期間は本体1年間・冷媒回路5年間ですが、保証期間中でも無料修理規定の対象外なら有料になると案内されています。使用上の誤りや改造などが例として挙げられています。詳しい条件は保証書をご確認ください。
Q4. 引っ越しで移設したあとに効きが悪くなりました
A. 三菱電機は、取り付け工事の不備をガス漏れの原因の一つに挙げています。移設からあまり時間が経っていないなら、工事を担当した業者にまず連絡してみてください。作業日と症状が出た時期を伝えると話が早く進みます。
Q5. 買い替えるとき、中の冷媒はどうなりますか?
A. 日本冷凍空調工業会によると、メーカーが引き取ったあとに冷媒フロンを回収・処理します。そのため取り外し時には、室外機へ冷媒を集めるポンプダウンという作業が要ります。回収をうたわない引き取り業者には注意しましょう。
まとめ・エアコンのガス漏れ
冷媒は使っているだけでは減らないため、効きの低下が続くなら漏れを疑う場面です。室外機と配管の接合部の霜、ランプの点滅が、メーカーが示す分かりやすいサインでした。
エアコンのガス漏れは、家庭用ならフロン排出抑制法の対象外ですが、R32の微燃性や約1.6倍という作動圧力を考えると、自己流の作業は避けたい領域です。冷媒回路の保証は5年間あり、三菱電機の目安では冷媒回路の修理が23,100円からとなっています。
まずは保証書を用意して、購入した販売店かメーカーの修理窓口に相談してみてください。部品の保有期間である10年を過ぎた機種なら、買い替えの見積もりも一緒に取っておくと判断しやすくなります。

