エアコン掃除にアルコール・エタノールは使える?NITEとメーカーの公式見解

エアコンフィルターとアルコール除菌スプレー 掃除・お手入れ・メンテナンス

こんにちは、エアコンラボのアキです。

家に消毒用アルコールやエタノールのスプレーが常備されていると、エアコンのカビや臭いが気になったとき「これで拭けばいいのでは」と思いますよね。除菌できて、しかもすぐ乾くので、水拭きより電気製品に向いていそうな気さえします。

ただ、この件については公的機関とエアコンメーカーがはっきりと文章で答えを出していました。しかもその答えは、ネット上でよく見かける「フィルターだけならOK」「薄めて使えば大丈夫」といった説明とは、かなり違うものでした。この記事では、私が実際に原文にあたって確認できた記載だけを、出典付きで並べていきます。

  • NITE(製品評価技術基盤機構)が消毒用アルコールについて何と書いているか
  • エアコンメーカー(コロナ・ダイキン)の公式サイトにある記載
  • 消毒用エタノールを作っている製造元自身が示している用途と注意書き
  • すでに使ってしまった場合に、メーカーが案内している対処

エアコンフィルターとアルコール除菌スプレー

結論:エアコンの掃除に消毒用アルコール・エタノールは使えません

先に結論をお伝えします。エアコンの掃除に消毒用アルコールやエタノールを使うのは、やめてくださいという案内が公的機関からもメーカーからも出ています。「条件を満たせば使える」という書き方をしている公式資料は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。

NITEは「消毒用アルコール」を名指しで止めています

まず決定的なのが、NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)が令和2年6月25日に公表した「エアコンの内部洗浄による事故に注意」という注意喚起です。ここには、エアコンの内部洗浄の注意事項として次のように書かれています。

発火・破損のおそれがあるため、消毒用アルコールなどの可燃性の溶液や次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部の掃除をするのはやめてください。
(NITE「エアコンの内部洗浄による事故に注意」令和2年6月25日より引用)

ここで注目したいのは、NITEが「洗浄剤に気をつけましょう」といった一般論で終わらせず、消毒用アルコールという商品名の言い方で名指ししている点です。つまりアルコールは「気をつけて使うもの」ではなく、「やめてください」と書かれている側にあります。

同じ資料によると、NITEに通知されたエアコンの事故は2015年度から2019年度までの5年間で263件あり、うち火災が244件、死亡事故が6件(7人)でした。そのうち誤った内部洗浄方法による火災事故は、2019年度までの5年間で20件起きています。

エアコンメーカーも同じことを書いています

メーカー側はどうでしょうか。株式会社コロナは、シーズンオフのエアコンのお手入れを案内するページで、次のように書いています。

エアコン室内機内部のお掃除に消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を使うのは、火災や破損の原因にもなりますので、使用しないでください。
(コロナ「シーズンオフのエアコンのお手入れ方法」より引用)

ダイキン工業も、2023年10月1日付の空気清浄機のお手入れ記事で「ベンジンやシンナーは使用しないでください。また手指の消毒にも使われるアルコール類の使用も要注意です。これらを拭き掃除に使用しますと、変形やひび割れなどの故障の原因となるほか、可燃性のため、火災の原因にもなります」と書いています(ダイキン「やってはいけない掃除方法」)。こちらは空気清浄機についての記載ですが、同じ社の家電に対する考え方がはっきり出ています。

公的機関とメーカーの記載を並べると、次のようになります。

発信元 公式サイトに書かれていること
NITE 消毒用アルコールなどの可燃性の溶液や次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部の掃除をするのはやめてください
コロナ エアコン室内機内部のお掃除に消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を使うのは、火災や破損の原因にもなりますので、使用しないでください
ダイキン(エアコン) 次のものは使用しない(変形や変色、傷や故障の原因)…ベンジン、ガソリン、シンナーなどの揮発性のもの
ダイキン(空気清浄機) アルコール類の使用も要注意です…可燃性のため、火災の原因にもなります
東京消防庁 消毒用アルコールは、蒸発しやすく、可燃性蒸気が発生するため、火源があると引火するおそれがあります
国民生活センター 高濃度のアルコールは一般的にいずれも可燃性なので、使用する際は火気を避け、換気をしましょう

危険の中身は「可燃性」と「電気部品」の2種類です

なぜここまで一致して止められているのか。理由は大きく2つに分かれていて、それぞれ別の資料で裏付けが取れました。

消毒用アルコールは消防法上の「危険物」です

ドラッグストアに並ぶエタノール製品のイメージ

1つ目は燃えるという性質です。これは感覚的な話ではなく、法律上の分類として決まっています。東京消防庁のページによると、消毒用アルコールは次のような扱いになっています。

  • アルコールの濃度が60%以上(重量%)の製品が、消防法上の危険物に該当する
  • 該当するものは消防法で「第四類・アルコール類」に分類される
  • 容器には危険等級や数量とあわせて「火気厳禁」の表示が義務づけられている
  • 蒸発しやすく可燃性蒸気が発生するため、火源があると引火するおそれがある
  • 発生した可燃性蒸気は空気より重く、低所に滞留しやすい

(出典:東京消防庁「消毒用アルコールは正しく取扱いましょう!」)

どれくらい厳格に扱われているかというと、東京消防庁の別ページでは指定数量が400Lとされ、80L以上400L未満を貯蔵する場合は少量危険物貯蔵取扱所として届出が必要と案内されています。令和2年11月5日からは一定条件で基準の一部が緩和されましたが、それでも届出と検査が必要な位置づけです(東京消防庁「消毒用アルコールの貯蔵に係る運用について」)。

国民生活センターも令和2年5月15日の報道発表で「高濃度のアルコールは一般的にいずれも可燃性なので、使用する際は火気を避け、換気をしましょう」と呼びかけています(国民生活センター「除菌や消毒をうたった商品について正しく知っていますか?」)。

エアコンは「通電する機械」だから条件が悪い

2つ目が電気部品です。ここがエアコン特有の事情になります。

NITEの資料には、エアコンを洗浄した際に内部配線の端子部分に洗浄液が付着し、端子部でトラッキング現象が発生して異常発熱が生じ、出火した事故が紹介されています。トラッキング現象は、付着したほこりや水分により電気の通り道が生成されて異常発熱する現象だと同資料で説明されています。コロナも「洗浄剤が電気部品やモーターにかかると、故障や発煙・発火の原因になることがあります」と書いています(コロナ「エアコン:お手入れ」よくあるご質問)。

つまりエアコンは、燃える液体を近づけてはいけない条件と、液体がかかってはいけない条件が同時に成り立っている機械です。手が届く範囲だけのつもりでも、吹き出し口の奥はすぐ電装部につながっています。ここが、テーブルや冷蔵庫の外側を拭くのとは決定的に違うところだと思います。

「エタノールなら別物では?」製造元の記載を読むと答えが出ます

ここで多くの方が引っかかるのが、「アルコールはダメでも、エタノールや無水エタノールなら話が違うのでは」という点です。私も最初はそこが気になったので、消毒用エタノールを作っている製造元側の記載を確認しました。

製造元が挙げている用途に、エアコンは入っていません

エアコンの樹脂パーツの表面イメージ

消毒用エタノールの大手メーカーである健栄製薬は、掃除用途の「エタノール」(500mL)という製品の用途・使用法として、次の4種類の場面を挙げています。

  • 冷蔵庫の外側・照明器具のカサ・鏡等
  • 換気扇・レンジ・オーブン・レンジまわりの壁等
  • 便器・便座等
  • 密閉容器についた食品の臭いとり

エアコンは含まれていません。そして同じページの使用上の注意には「用途以外には使用しないで下さい」とも書かれています(健栄製薬「エタノール」製品情報)。

さらに、いわゆる「消毒用エタノール」のほうは第3類医薬品で、効能効果は創傷面の殺菌・消毒と定められています。用法用量も、脱脂綿やガーゼに浸して患部に軽く塗る、という人の体に対するものです(健栄製薬「消毒用エタノール」製品情報)。エアコンの掃除は、そもそも承認された効能効果の外にあります。

製造元は「電化製品は説明書きを読んでから」と書いています

個人的にいちばん腑に落ちたのがこの一文でした。健栄製薬の使用上の注意には、こう書かれています。

電化製品(樹脂製品等も含む)に使用される場合には、その商品の説明書きをよく読んでから使用して下さい。

これは「電化製品に使えます」という意味ではなく、判断をその機器の説明書きに委ねる書き方です。そこで実際に機器側の説明書きを読むと、前の章のとおりコロナは「使用しないでください」、ダイキンは揮発性のものを使わないと書いています。

◆アキのワンポイントアドバイス

この2つは矛盾しているように見えて、実はきれいにつながっています。アルコールの製造元は「機器側の指示に従ってください」と言い、機器側は「使わないでください」と言っている。突き合わせると、答えは1つに定まります。

「どこにも使えると書いていないのに、使えることになっている」という状態が起きやすいテーマなので、迷ったら機器の取扱説明書とメーカーのサポートページを見るのがいちばん確実です。

樹脂やプラスチックへの影響も製造元が注意しています

火災とは別に、素材への影響についても製造元自身が注意書きを出しています。健栄製薬のよくあるご質問には、ニスの塗ってあるもの、プラスチックの中のスチロール樹脂製品、皮革製品に使用すると表面が変色することがあるため、これらの製品への使用は避けてくださいと書かれています。また、エタノールなどのアルコールはプラスチックを溶かすことがあるため、別の容器に入れ替えることはすすめられないとも案内されています(健栄製薬「エタノールのよくあるご質問」)。

エアコンの前面パネルやルーバー、フィルター枠はいずれも樹脂です。どの樹脂が使われているかは機種ごとに違い、外から見て判断することはできません。ここは「試してみる」ができない部分だと考えておいたほうが安全です。

すでに使ってしまった場合にどうすればいいか

ここまで読んで「もう使ってしまった」と青くなった方もいるかもしれません。実はメーカーがこのケースの対処を公開しています。ダイキンのエアコンお掃除Q&Aに、スプレー類を使ってしまった場合の案内があります。

ダイキンが案内している対処

  • 速やかに電源プラグを抜いた状態にし、絶対にすぐに運転状態にしない
  • お部屋を十分に換気をする(お部屋全体の空気を入れかえる)
  • 換気後、しばらく冷房運転をする
  • 過去に清掃を行ったことがあり、その後エアコン使用時に異臭がする・空調の効きがよくない等の症状がある場合は、メーカーサービスにメンテナンスを依頼する

(ダイキン「自分でできるエアコンクリーニングの範囲は?」2023年7月1日より)

ダイキンはこの対処について、可燃性ガスの揮発による火災のリスクや、スプレーの薬剤による影響を「ある程度軽減することができます」と書いています。完全になかったことにできる、とは書かれていません。ですので、少しでも異常を感じたら自分で様子を見ずに、購入した販売店かメーカーの窓口に連絡してください。

なお、アルコールと塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を一緒に使ってしまった場合は、事情が変わります。塩素系の製品は他の薬剤と混ざると有害なガスが発生する条件になるため、絶対に混ぜないでください。塩素系漂白剤そのものの扱いについてはエアコンの臭いにハイターを使ってはいけない理由で詳しくまとめています。

ではエアコンのカビ・臭いはどうすればいいのか

「使うな」だけで終わると困ってしまうので、メーカーが実際に案内している範囲を整理しておきます。

メーカーが案内しているお手入れの範囲

ダイキンは、自分でできるのはフィルター類と外から見える前面パネルやフラップのみとしたうえで、お掃除前の注意点として次の6種類を使用しないよう挙げています。

  • 40℃以上のお湯
  • ベンジン、ガソリン、シンナーなどの揮発性のもの
  • みがき粉
  • 綿棒
  • タワシなどの硬いもの
  • 消臭剤などのスプレー

汚れがひどい場合に案内されているのは、台所用中性洗剤を含ませた布で拭き取る方法です。特別な薬剤ではなく、いつもの中性洗剤とぬるま湯が基本になります。フィルター掃除そのものの効果についてはエアコンフィルター掃除をすると空調の効きが全然違うのかでも触れています。

乾かすことと、内部は相談すること

コロナは、エアフィルターのお手入れを2週間に1回ほど行うこと、冷房シーズン終了時には内部乾燥運転で室内機内部をよく乾燥させることを案内しています。内部乾燥運転がない冷房専用の一部機種については、冷房運転後に1時間程度を目安に送風運転を行うと同様の効果があるとしています。

ここは正直に押さえておきたい点
コロナは同じページで「内部乾燥運転は、既に発生したカビや細菌を除菌するはたらきや殺菌効果はありません」とはっきり書いています。乾燥運転はあくまで繁殖しにくい状態を保つためのもので、すでに生えたカビを消す機能ではありません。内部乾燥運転の使い方はエアコン内部クリーン時に暑い対策ガイドでも解説しています。

そして、室内機の内部そのものについては、NITE・コロナ・ダイキンのいずれも共通して、購入先の販売店やメーカーのサービス窓口、専門の事業者に相談するよう案内しています。送風ファンなど内部の部品を自分で触るリスクについてはエアコン中のローラー掃除で失敗しない完全ガイドもあわせて読んでみてください。

よくある質問とまとめ

エアコン掃除とアルコールに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 電源プラグを抜けば、アルコールで拭いても大丈夫ですか?

A. 電源を抜けば使ってよい、と書いている公式資料は見つかりませんでした。NITEもコロナも、条件をつけずに「やめてください」「使用しないでください」と書いています。アルコールは通電していなくても可燃性蒸気が出る液体で、東京消防庁はその蒸気が空気より重く低所に滞留しやすいと説明しています。電源を抜くことは掃除全般の基本ですが、アルコールを使ってよい理由にはなりません。

Q2. 取り外したフィルターだけなら使ってもいいですか?

A. フィルターだけなら可、と案内しているメーカー資料は確認できませんでした。むしろ富士通ゼネラルのルームエアコン(家庭用)取扱説明書は、お手入れの「お願い」として「アルコール、ベンジン、シンナー、みがき粉などでふかないでください。製品を傷めることがあります」と、部位を限らずに書いています。ダイキンがフィルター類のお手入れとして案内しているのは、掃除機でほこりを吸うことと、台所用中性洗剤を含ませた布や水洗いです。またフィルターの枠は樹脂で、健栄製薬もスチロール樹脂製品などへの使用は避けるよう注意しています。

Q3. 無水エタノールなら水分が残らないので安全ではないですか?

A. 水分が残りにくいことと、燃えにくいことは別の話です。消防法で危険物とされる基準は濃度が60%以上(重量%)であり、水分が少ない製品ほどこの区分から外れるわけではありません。NITEが止めているのも「可燃性の溶液」という理由なので、無水かどうかで結論は変わりません。

Q4. アルコール除菌スプレーと消毒用エタノールは扱いが違いますか?

A. 公的機関の資料は、いずれも「消毒用アルコール」「高濃度のアルコール」といったまとめ方で注意を呼びかけています。国民生活センターは「高濃度のアルコールは一般的にいずれも可燃性」と書いており、製品名の違いで扱いが変わる書き方はされていません。

Q5. エアコンの臭いが取れません。どこに相談すればいいですか?

A. NITEは「購入先である販売店、メーカーのサービス窓口などに相談してください」と案内しています。コロナとダイキンも同様に、室内機内部の洗浄は販売店・メーカー窓口・専門の事業者への相談をすすめています。まずはお使いの機種のメーカー窓口に連絡するのが確実です。

まとめ

エアコン掃除にアルコール・エタノールが使えるかという問いに対して、私が原文で確認できた答えははっきりしていました。NITEは消毒用アルコールを名指しで「やめてください」と書き、コロナは「使用しないでください」と書いています。そして製造元自身も、用途にエアコンを挙げていません。

危険の理由も2種類ありました。消防法で第四類・アルコール類に分類される可燃性の液体であること、そしてエアコンが液体のかかってはいけない電気部品を内側に持っていることです。この2つが重なるので、条件付きで許容する書き方が公式資料に出てこないのだと思います。

もし使ってしまっていたら、電源プラグを抜いて、すぐに運転せず、部屋をしっかり換気してください。そのうえで異臭や効きの悪さがあれば、迷わずメーカーの窓口へ。手元にある道具でなんとかするより、そのほうがずっと早く片づきますよ。

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