エアコンの暖房が苦手な人へ|乾燥・風・足元を設定で分ける

リビングの壁の高い位置に取り付けられたエアコンの室内機 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

冬になると、エアコンの暖房が苦手だと感じる方もいるはずです。ただ、嫌だと感じている中身は人によってまるで違うんですよね。乾いた感じが嫌な人、風が当たるのが嫌な人、頭ばかり暑くて足元が冷えるのが嫌な人。

この記事では、メーカーと厚生労働省が公開している文章だけを手がかりに、今の設定でどこまで変わるのかを見ていきます。買い足す前提の話はしません。

  • 「苦手」を乾燥・風の当たり・足元の寒さに分ける考え方
  • 暖房で湿度が下がる理屈のメーカーによる説明
  • よく見る湿度の数字が、どんな建物に向けた基準なのか
  • 風よけと足元暖房で、メーカーの案内が逆を向くこと

リビングの壁の高い位置に取り付けられたエアコンの室内機

エアコンの暖房が苦手という感覚を3つに分ける

最初にやることは、原因の特定ではありません。自分が何を嫌だと感じているのかを、言葉にして切り分けることです。

乾燥・風の当たり・上下の温度差で打ち手が変わります

エアコンの暖房が苦手という言葉には、少なくとも3つの違う不快さが混ざっています。空気が乾く感じ。風が肌や顔に当たる感じ。頭は暑いのに足元だけ冷たいという上下の差。

やっかいなのは、この3つで打ち手が正反対になる点です。風が当たるのが嫌な人は風を遠ざけたい。足元が寒い人は、逆に足元へ風を届けたい。同じ「苦手」でも、押すボタンが違ってきます。

嫌だと感じているもの 身体で感じる出方 この記事で扱う打ち手
空気の乾き 肌や喉のかさつく感じ 湿度の見方と加湿の限界
風の当たり 顔や手に風が触れ続ける 風よけ機能と風向の変更
上下の温度差 頭は暑く足元は冷たい 吹き出し角度と風速

まずは自分がどの行に近いかを決めてみてください。2つ当てはまることもありますが、その場合は「いちばん嫌なもの」から手をつけると変化を感じ取りやすいですよ。

体調の話には、この記事では踏み込みません

暖房を使うと喉が乾く、頭がぼんやりする。そう感じる人がいるのは耳にします。ただ、この記事ではその原因が暖房にあるとは書きません。裏づけになる資料を持っていないからです。

今回確認したダイキン・日立・三菱電機の3ページと、厚生労働省の建築物衛生に関する2ページの範囲では、暖房と体調の変化を結びつけた説明は見当たりませんでした。調べた範囲でということで、どこにも無いという意味ではありません。気になる症状が続くようなら、医療機関に相談していただくのがいちばんです。

乾燥が苦手なら、湿度の数字は適用範囲まで見る

ここからは乾燥が嫌だという人向けです。湿度が下がる理屈と、よく見かける目安の出どころを見ていきます。

水分は増えないのに温度だけ上がる、とダイキンが書いています

まず理屈から。ダイキンの「空気の困りごとラボ」の乾燥のページには、こう書かれています。「加湿機能のないエアコン暖房は、空気を直接暖めることで部屋全体の温度を上げるので、水蒸気は発生しません」。

続けて「つまり空気中の水分は増えずに、温度だけが上昇するため、湿度(相対湿度)が低下して乾燥を引き起こしてしまう」とあります。同じページには「空気が含むことのできる水分の量(飽和水蒸気量)は、空気の温度によって異なり、温度が高いほど多くの水分を含むことができます」という説明も。

エアコンが部屋の水分を吸い取っているわけではないんですね。入れ物が大きくなっただけで中身は同じ、という状態です。

40%以上70%以下は、延べ面積3,000m²以上の建物の基準です

乾燥の記事には湿度の目安がよく出てきます。ただ、出どころまで書かれていることは少ないです。今回私が読んだ4本では、40〜60%あるいは50%という数字が「といわれています」の形で出ていて、根拠のページは示されていませんでした。

公的な数字としては、厚生労働省の「建築物環境衛生管理基準について」に「相対湿度 40%以上70%以下」があります。同じ表には「温度 18℃以上28℃以下」「気流 0.5 m/秒以下」も並んでいます。ただし、これは空気調和設備を設けている場合の基準です。

では誰が守る数字なのか。厚生労働省の建築物衛生のページによると、対象は特定建築物です。挙がっている用途は「興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校(研修所を含む。)、旅館」。規模は延べ面積3,000m²以上、学校は8,000m²以上です。

この一覧に住宅は挙がっていません。40%以上70%以下は、大きなビルや店舗の維持管理に向けられた数字です。さらに厚生労働省は「外気導入機能のない家庭用ルームエアコンは、空気調和設備にも機械換気設備にも該当しません。」とも書いています。自宅の壁のエアコンは、この法律でいう空気調和設備ではないんですね。

加湿機能付きエアコンにも、メーカーが書いた限界があります

「加湿機能が付いたエアコンなら乾燥しないのでは」と考える人もいるはずです。ダイキンのRシリーズ「うるさらX」の加湿ページには「屋外の空気中の水分を取り込んで加湿します。加湿量は外気条件、設置条件などにより変化します。」とあります。

同じページの注意書きが、なかなか率直です。「外気温度-10℃未満、外気相対湿度が20%以下の場合は加湿運転できません」。そして「お部屋の湿度を一定に保つ目的で使用しないでください」とはっきり書かれています。加湿量は能力によって差があり、9.0kWの機種で1,030mL/h、2.8kWの機種で620mL/hと表にあります。

◆アキのワンポイントアドバイス

屋外の空気から水分を集める仕組みなので、外が乾いた日ほど分が悪くなります。湿度を数字で管理する装置ではない、とメーカー自身が線を引いているわけですね。なお今回確認したのはこのダイキンの1ページだけで、他社の加湿機能は調べていません。

風が当たるのが苦手なら、風よけは誰が決めるかで違う

風向きを変えられる室内機の水平ルーバー

次は風が体に当たるのが嫌だという人向けです。メーカーには専用の機能があるのですが、今回読んだ4本の記事では、この機能に触れたものは1本もありませんでした。

日立は人が選び、三菱電機はエアコンが切り替えます

まず日立。日立の家電品サポートにある「エリア風よけ」のFAQには「「エリア風よけ」を設定すると、選択したエリアを避けて風を送ります。」とあります。手順も具体的で、「[エリア選択]ボタンを繰り返し押して、風を当てたくないエリアを選んでください」と。決めるのは使う人です。

一方の三菱電機。霧ヶ峰の赤外線センサーのページには「暑いと感じている人、寒いと感じている人それぞれの温冷感にあわせて、エアコンが自動で「風あて」と「風よけ」を切り替えます。」とあります。判断するのは機械です。

メーカー 機能の呼び名 風の当て先を決めるのは
日立 エリア風よけ 使う人がリモコンでエリアを選ぶ
三菱電機 風あて/風よけ エアコンが自動で切り替える

呼び名が違うだけかと思いきや、考え方そのものが違います。お手持ちの機種の取扱説明書で、どちらの型なのかを確かめてみてください。

効かない条件を、メーカー自身が書いています

ここが個人的にいちばん誠実だなと感じた部分です。日立のFAQには「部屋のレイアウトなどにより、風がよけないことがあります」とあります。加えて「ご希望に沿わない時は、ご自身で風向、風速を調整してください」「その場合、『エリア風よけ』は取り消されます」とも。

三菱電機のページにも注意書きがあります。「*当社独自の指標で暑い・寒いという感じ方の違いを見分けます。体質を見分けるわけではありません。」。自動だから任せきりで大丈夫、という書き方はしていません。

そもそもこの機能が載っていない機種もあります。日立のFAQにも「※「エリア風よけ」は製品によって搭載していない場合があります。」とあります。その場合は風向を手で変えるか、エアコンの風よけカバーを自作する前に確認したいことで扱っている市販品を検討する形に。なお今回確認したのは日立と三菱電機の2ページだけで、他社の機能は調べていません。

足元が寒いときのエアコン暖房は、苦手の中身で設定が変わる

冬の日差しが当たるフローリングの床

最後は、頭ばかり暑くて足元が冷たいという人向けです。面白いのは、風よけとは逆を向いた案内がメーカーから出ている点です。

三菱電機は60度以上下向き、風速強めと案内しています

三菱電機 霧ヶ峰の「暖房が効率よく届く角度とは?」には理由から書かれています。「冷たい空気は下にたまり、あたたかい空気は上がっていく性質があるため」。そのうえで「暖房の吹き出し角度を60°以上「下向き」の設定にすると、上にたまりやすい温風も床に届くようになります」と。

風の勢いにも触れていて、「暖房運転では風速「強め」がおすすめです」とも。さらに「特に人は足元があたたかいと寒さを感じにくくなるため、足元を中心にあたためると効果的です」と続きます。

お気づきでしょうか。日立の風よけは「体に風を当てない」方向、三菱電機の足元暖房は「人が居るところへ下向きに強めで送る」方向。どちらが正しいのではなく、嫌だと感じる中身が違えば設定も逆になるのですね。風量の考え方はエアコンの風量自動が弱くならない理由もどうぞ。

エアコンの暖房が苦手な人からよくある質問(FAQ)

Q1. 部屋の湿度は何%を目指せばいいですか?

A. 家庭向けの目標値を私から示すことはしません。厚生労働省の40%以上70%以下は、延べ面積3,000m²以上の店舗や事務所に向けた管理基準で、住宅は一覧に入っていないからです。数字を追うより、乾いた感じが気になる時間帯をメモしてみてください。

Q2. 風よけ機能を使えば風の不快さは消えますか?

A. 消えるとは言いきれません。日立自身が「部屋のレイアウトなどにより、風がよけないことがあります」と書いています。効かないと感じたら風向を手で変える手もありますが、日立の機種では「エリア風よけ」が取り消される点にご注意を。

Q3. 加湿機能付きのエアコンに買い替えれば乾燥は解決しますか?

A. 解決すると考えるのは早いかもしれません。ダイキンのうるさらXのページには「外気温度-10℃未満、外気相対湿度が20%以下の場合は加湿運転できません」とあります。さらに同じページには「お部屋の湿度を一定に保つ目的で使用しないでください」とも書かれています。買い替え前に、この注意書きを読んでおくと安心です。

Q4. 風向を下向きにすると、今度は風が当たって嫌になりませんか?

A. その可能性はあります。だからこそ、嫌だと感じている中身を先に決めるわけです。三菱電機の下向き・強めという案内は、足元の寒さを何とかしたい場合の話。両方気になるときは、まず座る位置を吹き出し口の正面から外してみてください。

エアコンの暖房が苦手なときは、中身を分けてから設定を選ぶ

  • 暖房が苦手という感覚は、乾燥・風の当たり・上下の温度差に分けられる
  • 相対湿度が下がるのは、水分が増えないまま温度だけ上がるためだとダイキンが説明
  • 40%以上70%以下は延べ面積3,000m²以上の特定建築物の管理基準で、住宅は一覧に無い
  • 風よけは日立が人の操作、三菱電機が自動判定と、決める主体が違う
  • 足元の寒さには60度以上の下向きと風速強めが案内され、風よけとは逆を向く

買い替えや別の暖房器具の前に、手元のリモコンで試せることが残っているかもしれません。あなたが嫌なのは、乾燥でしょうか、風でしょうか、足元の冷たさでしょうか。

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