エアコンのリモコンに温度センサーはある?3社の取説で確認

壁の高い位置に取り付けられたエアコンの室内機の外観 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

設定は28℃にしているのに、部屋に置いた温度計は26℃を指している。しかもリモコンは日の当たる棚の上に置きっぱなし。「もしかして、エアコンのリモコンの温度センサーが日光で狂っているんじゃないか」と気になって検索した方が多いのではないでしょうか。

この疑問、答えを出すには「エアコンはどこで温度を測っているのか」から確かめるしかありません。そこで今回は、家庭用ルームエアコンのメーカー公式FAQと、取扱説明書の原文にあたって調べました。結論から言うと、これは置き場所の話ではなく、どこで測っているかの話でした。

  • エアコンが室温を測っている場所はメーカー公式が明記している
  • 設定温度と室温がずれるのは仕様として説明されている
  • 家庭用3社の取説がリモコンの置き場所について書いていた条件
  • フックや取り付け位置を決めるときの唯一の基準

壁の高い位置に取り付けられたエアコンの室内機の外観

エアコンのリモコンに温度センサーはあるのか

まずは大前提から。エアコンが「今の室温は何度か」を判断している場所はどこなのか、そしてリモコンの液晶に出ている温度は何の温度なのか。ここをメーカーの言葉で押さえておくと、あとの話が全部つながります。

室温は室内機が吸い込んだ空気で測っている

パナソニックの公式FAQに、はっきりこう書かれています。パナソニック公式FAQ「冷房運転で設定温度にならないとき」の原文は「エアコンは、室内機の天面から吸い込んだ空気で室温を測定しています」です。

天面というのは、室内機の上側にある吸込口のこと。つまり室温を測っているセンサーは、壁の高いところ、あなたの頭よりさらに上にあります。手元のリモコンでも、床に近い場所でもありません。

ダイキンも同じ趣旨のことを書いています。ダイキン公式FAQ「『おしらせ』表示の温度が、設定温度と違う」には「『おしらせ』で表示する温度は、室内ユニット付近の値を示しています。」とあります。ここ、地味ですがかなり大事です。リモコンの画面に室温らしき数字が出ていても、それはリモコンがある場所の温度ではなく、室内機のそばの温度だと公式が言っているわけですね。

リモコンに温度が表示されていても、それが「リモコンの周りの温度」とは限りません。

設定28℃で室温26℃はメーカーが認めている差

では、冒頭の「28℃設定なのに温度計は26℃」はどうでしょう。差は2℃です。これ、実はメーカー自身が先回りして説明しています。

先ほどのパナソニックのFAQには続きがあります。「そのため、お部屋(ひとがいる位置)の室温と設定温度には、3~4℃程度の差が生じる場合があります」と書かれています。つまり3〜4℃程度までのずれは、メーカーが起こりうるものとして案内している範囲ということ。2℃の差は、その範囲にすっぽり収まります。

同じFAQは、室温を正確に検知できない場合の例として「吹出口から出た冷たい風がすぐにエアコンの吸込口に戻り、室温を低めに検知する場合」も挙げています。冷房で出した冷たい風が、そのまま真上の吸込口へ回り込んでしまう状態ですね。この場合、エアコンは「もう十分冷えた」と判断しやすくなります。部屋の下のほうはまだ暖かいのに、です。

ですから、あなたの部屋で起きている2℃のずれは、まず故障を疑う話ではありません。測っている位置が違うだけ、という可能性が先に来ます。

リモコン側にセンサーを持つ機種も実在する

とはいえ「リモコンにも温度センサーがあると聞いたことがある」という方もいるはずです。これは本当です。富士通ゼネラル公式FAQ(ノクリアのBluetooth®リモコン)には、リモコンに温度センサーと湿度センサーが内蔵されていることが書かれています。

ただ、その用途の書かれ方が微妙です。原文では温度センサーが「3D温度センサーとリモコン室温表示に利用。」、湿度センサーが「リモコン湿度表示に利用。」となっています。さらに同じページには「『音声お知らせ』でお知らせされる温湿度は室内機側のセンサーで検知した数値を案内します。」ともあります。

この書きぶりだけでは、リモコン側で測った値を運転の制御そのものに使っているのか、それとも表示のために使っているだけなのか、はっきり決まりません。私はここを断定しないことにしました。センサーが付いていることと、その値で運転を決めていることは別だからです。気になる方は、お使いの機種の取扱説明書で「リモコン」と「センサー」の記載を探してみてください。

家庭用3社の取扱説明書を読んで分かったこと

ここからが今回いちばん時間をかけた部分です。「リモコンを日なたに置くと効きが変わる」という説明をよく見かけるので、その根拠が取扱説明書に書いてあるのかを確かめました。読んだのはシャープ・日立・パナソニックの家庭用ルームエアコン3機種分です。

3社が共通して書いていたのは信号が届く条件

先に結果の一覧を出しますね。3社の取説がリモコンについて注意していた内容を並べると、こうなります。

メーカー(機種) 届く距離 置き場所について書かれていたこと
シャープ(AY-G40XE5〜G80XE5) 本体正面で約7m以内 直射日光のあたる場所・ストーブなどの近くには置かない(理由は「故障の原因」)/信号をさえぎるものがないように
日立(RAS-AC22J〜AC56J2) 正面で約7mまで 送信部を室内機の受信部に向ける/柱や壁に取り付けねじで固定できる
パナソニック(CS-X221C〜CS-501CX2) エアコン正面から7m以内 本体の送受信部に向けて操作する/他機器のリモコンが押されていないか確認

気づかれたでしょうか。3社に共通しているのは、赤外線の信号が室内機に届くかどうかの条件だけです。距離、向き、さえぎるものの有無。この3つに話が集約されています。

そして数字として出てくるのは「正面で約7m以内」だけでした。3社とも同じ7mです。逆に言えば、床から何cmの高さに付けるべきといった数値は、今回読んだ3社の取説には出てきませんでした。ネット上ではそういう数字を見かけることがありますが、少なくともこの3冊が根拠ではありません。

シャープの「直射日光を避ける」の理由は故障だった

置き場所の条件を具体的に書いていたのは、3社のうちシャープだけでした。シャープのルームエアコン取扱説明書(AY-G40XE5ほか)の「リモコンの準備」ページに、こうあります。

「リモコンに衝撃を与えたり、水にぬらしたりしないでください。また、直射日光のあたる場所、ストーブなどの近くには置かないでください。(故障の原因)」

ここ、括弧の中をよく見てください。原典が挙げている理由は「故障の原因」です。室温の検知がずれるから、とは書かれていません。衝撃・水濡れと同じ並びで注意されている、つまりリモコンという機器そのものが傷むことへの注意なんですね。

「リモコンの温度センサーが日光で狂うから日なたに置くな」という説明は、今回読んだシャープの原文からは出てきません。原文が言っているのは「故障の原因になる」です。理由をすり替えないよう気をつけてください。

とはいえ、日なたに置くのをやめる価値はあります。理由が「効きが変わるから」ではなく「機器が傷むから」に変わるだけです。あなたの棚の上のリモコン、移動させておいて損はないかなと思います。

取説に載っていたセンサーは室内機側だけだった

室内機の天面にある空気の吸込口

もうひとつ調べたのが、取説の中で「センサー」がどう説明されているかです。日立のルームエアコン取扱説明書(RAS-AC22Jほか)を全文で見たところ、リモコン側の温度センサーへの言及は見当たりませんでした。記載があったのは室内機側の「日射センサー」だけで、その検知結果に応じて目標温度を自動で調整する、という説明でした。

パナソニックの取説(CS-X221C系)も同様で、書かれていたのは室内機側の「ひと・ものセンサー」と「日射センサー」です。リモコン側にセンサーがあるという記載は見つかりませんでした。

整理するとこうなります。この3機種に関しては、室温の検知はすべて室内機側で完結している前提で書かれている。リモコンの置き場所が室温の検知に影響すると書いている社は、今回確認した3社の中に1社もありませんでした。

この結果が当てはまるのは3社3機種の範囲まで

ここまで読んで、家庭用エアコンはどれも室内機側だけで測っているのだろう、と受け取られたかもしれません。でも、そこまでは言い切れません。

今回私が原文を読めたのは、あくまで3社3機種の取扱説明書です。東芝と三菱電機の家庭用機種については、今回まったく調べられていません。シャープについても、リモコンの置き場所の記述は確認できましたが、リモコン側センサーの有無を述べた箇所までは追い切れていません。同じ日立でも、今回読んだRAS-AC22Jは上位機種ではないので、上位モデルの取説には別の記載がある可能性が残ります。

ネット上には、リモコン内蔵の温度センサーを使う日立の機能名が出回っています。ただ、その機能名を含む日立公式のページには今回たどり着けず、読んだ取説にも記載がありませんでした。二次情報しか根拠がない状態なので、この記事では機能名を出しません。

「調べた範囲で見つからなかった」と「存在しない」は違います。この記事で言えるのは前者だけです。

リモコンの取り付け位置とフックはどう決めるか

壁のホルダーに掛けられたエアコンのリモコン

ここまでで、リモコンの置き場所と効き方を結びつける根拠は3社の取説には無かった、という話をしました。ではフックの位置は何を基準に決めればいいのか。答えははっきりしていて、赤外線がきちんと届くかどうかの一点です。

正面から約7m以内でさえぎるものを置かない

3社の取説が数字で示していたのは距離だけでした。日立は「受信できる距離は、正面で約7mまでです」、パナソニックは「操作は、エアコン正面から7m以内で行ってください」、シャープは「本体正面で約7m以内です」。表現は違いますが、全部7mです。

ポイントは「正面で」という条件が付いていること。真下や真横からではなく、室内機の受信部が見える位置ということですね。日立は「リモコンの先端にある送信部を室内機の受信部に向けてボタンを押します」と操作の向きまで書いています。パナソニックも「リモコンは本体の送受信部に向けて!」と念を押しています。

シャープは「信号をさえぎるものがないようにしてください」とも書いています。次のような場所は、たとえ7m以内でも条件を満たしません。

  • 背の高い家具の陰になる位置
  • カーテンの裏に隠れる位置
  • 扉のある収納の内側

フックを付ける壁を選ぶときは、そこに立って室内機が見えるかどうかを目で確かめてみてください。

ホルダーに掛けたままだと送受信しないことがある

これ、意外と知られていない注意点です。シャープの取説には付属のリモコンホルダーについて「掛けたまま操作すると、送受信しないことがあります。」とあります。パナソニックの取説にも、ほぼ同じ文言で「掛けたまま操作すると送受信しないことがあります。」と書かれています。

掛けた状態だと、リモコンの向きが壁の面に沿ってしまい、送信部が室内機のほうを向かないことがあります。壁に掛けたまま手探りでボタンを押して「反応しないな」と思ったら、これが原因かもしれません。いったん外して、室内機に向けて押し直すのが確実です。

天井が高い部屋では取り付けたまま操作できないことがある

日立の取説には、フックの位置に直結するご注意が載っていました。原文はこうです。「吹き抜けなどにより、室内機上部の天井が高い場合やリモコンの取付場所によっては、取り付けたままで『運転』や『停止』ができないことがあります。」

吹き抜けやリビング階段のある家だと、室内機が普段の目線よりかなり高い位置に付いていることがあります。その場合、壁に固定したリモコンからの信号が受信部に届く角度に入らない、ということですね。日立は取り付け方の説明でも「位置を確認してから、しっかりした柱や壁に取り付けてください」と、先に位置を確かめる順番を指定しています。

おすすめの決め方は単純です。ネジを打つ前に、その場所にリモコンを手で当てた状態で運転・停止を試す。反応したらそこに固定する。反応しなければ数十cm動かして試す。壁に穴を開けたあとにやり直すのは面倒ですからね。

蛍光灯や他機器のリモコンが信号を邪魔することがある

距離と向きが合っているのに反応が悪い場合、部屋の照明が関係していることがあります。シャープの取説は「電子瞬時点灯方式の蛍光灯(インバーター方式、ラピッドスタート方式など)がある部屋では、信号を受け付けないことがあります。この場合は、販売店にご相談ください。」としています。

日立も同じ趣旨で「室内に電子点灯形の照明器具がある場合は、受信距離が短くなったり、場合によっては受信できなくなる場合があります」と書いています。2社が別々に書いているということは、それなりに起こる話だと考えていいでしょう。この場合、7mより手前まで近づかないと反応しないこともあります。

もうひとつ、パナソニックの取説が挙げているのが混信です。「テレビなど他の機器のリモコンボタンが、リモコンラック(小物入れ)などに当たり、押されていないことを確認してください。押されていると、信号が混信して、送受信しないことがあります。」というもの。リモコンをまとめて立てる収納を使っている方は、他のリモコンのボタンが押されっぱなしになっていないか見てみてください。

日立とパナソニックは、乳幼児の手の届く所にリモコンを置かないよう注意しています。誤操作のほか、乾電池を取り出して誤って飲み込むおそれがあるためです。フックの高さを決めるときは、この点も考えておきたいところ。

エアコンのリモコンと温度センサーのずれが気になるとき

最後に、「28℃設定なのに26℃」のずれをこれ以上どう扱うかを整理しておきます。リモコンの置き場所ではないとすると、次に見るべきはどこなのか。

温度計の置き場所と風の戻りかたを確かめる

まず、比べている相手のほうを疑ってみましょう。あなたの部屋の温度計はどこに置いてありますか。

  • 棚やテレビ台の上
  • 直射日光の入る窓際
  • 床に近い低い位置

この置き場所によって、同じ部屋でも表示される温度は変わります。エアコンは高い位置で測り、温度計は低い位置で測る。冷房中の部屋は上が暖かく下が冷たいので、両者が一致しないのはむしろ自然です。

次に、室内機まわりの空気の流れです。パナソニックが挙げていた「吹出口から出た冷たい風がすぐにエアコンの吸込口に戻り、室温を低めに検知する場合」に当てはまっていないか見てみてください。室内機のすぐ前に背の高い家具がある、風向きが真下に向いたまま固定されている、といった状態だと起こりやすくなります。

それでもずれが大きすぎると感じるなら、3〜4℃程度という公式の目安を基準にしてみてください。夏の冷房で設定と実測の差が2℃なら、この目安の中です。逆に、設定より10℃近く離れているなら別の話になります。

ずれ以外の症状が出ているなら原因は別にある

温度がずれるだけでなく、そもそも風がぬるい、思ったように冷えない、といった症状があるなら、それはこの記事の範囲を超えます。原因の切り分け方は別の記事にまとめてありますので、エアコンからぬるい風しか出ないときの原因と確認手順を見てみてください。

また「設定温度に近づくと風が弱まる」という動きは、故障ではなく自動運転の仕組みによるものです。この挙動が気になる方はエアコンの風量自動はどんな動きをするのかで詳しく扱っています。風量の設定を変えると体感が変わることもありますよ。

そもそもリモコンの液晶が表示されない、反応しないという場合は、温度以前の問題です。電池や本体側の状態を順に見る手順をエアコンのリモコンの液晶が映らないときの対処にまとめてあります。今回紹介した7mや向きの条件を試しても反応しないなら、こちらを先に確認してみてください。

エアコンのリモコンと温度センサーに関するよくある質問(FAQ)

Q1. リモコンを日の当たる棚から移動させれば、効きは良くなりますか?

A. 今回確認した3社3機種の取扱説明書には、リモコンの置き場所が室温の検知に影響するという記載はありませんでした。ですので「移動させれば効きが良くなる」とは言えません。ただしシャープの取説は直射日光やストーブの近くを避けるよう書いており、その理由は故障です。機器を長持ちさせる意味では移動させる価値がありますよ。

Q2. リモコンに出ている室温は、どこの温度ですか?

A. ダイキンは公式FAQで「『おしらせ』で表示する温度は、室内ユニット付近の値を示しています。」と明記しています。少なくともダイキンのルームエアコンでは、リモコンの周りの温度ではありません。他社については機種ごとの取扱説明書をご確認ください。

Q3. 設定と室温の差はどのくらいまでが普通なのでしょうか?

A. パナソニックの公式FAQには「お部屋(ひとがいる位置)の室温と設定温度には、3~4℃程度の差が生じる場合があります」とあります。あくまでこのメーカーの案内ですが、数℃のずれが起こりうるものとして説明されている点は参考になります。

Q4. フックの高さは床から何cmが正解ですか?

A. 高さの数値は、今回読んだ3社の取扱説明書には書かれていませんでした。書かれていたのは「正面で約7m以内」「さえぎるものを置かない」「受信部に向ける」という条件だけです。数値で決めるのではなく、その位置から運転と停止ができるかを実際に試して決めるのが確実だと思います。

Q5. エアコンのリモコンに温度センサーが付いている機種はありますか?

A. 富士通ゼネラルの公式FAQには、ノクリアのBluetooth®リモコンに温度センサーと湿度センサーが内蔵されていることが書かれています。ただし公式が示している用途はリモコンの室温表示・湿度表示で、そのセンサーの値で運転を制御しているかどうかは、この記載だけでは判断できませんでした。

まとめ:エアコンのリモコンと温度センサーで押さえること

今回の内容を振り返っておきますね。

  • パナソニック公式は「室内機の天面から吸い込んだ空気で室温を測定しています」と明記している
  • 人がいる位置と設定温度には3〜4℃程度の差が生じる場合がある、と同社が案内している
  • ダイキン公式はリモコンの表示温度を「室内ユニット付近の値」としている
  • 今回確認した3社3機種の取説に、リモコンの置き場所が室温の検知に影響するという記載は無かった
  • シャープが直射日光やストーブの近くを避けるよう書く理由は「故障の原因」である
  • 3社が数値で示していた条件は「正面で約7m以内」だけだった

28℃設定で温度計が26℃という状態は、多くの場合「壊れている」ではなく「測っている場所が違う」で説明がつきます。日の当たる棚に置いたリモコンが原因で効きが変わっている、という根拠は、少なくとも今回読んだ3社の取説からは出てきませんでした。

そしてフックの位置は、赤外線が届くかどうかだけで決めて大丈夫です。室内機の正面が見えて、7m以内で、さえぎるものがない。この3つを満たす壁にネジを打つ前に、一度その場所から運転と停止を試してみてください。それが取説に書かれている唯一の基準ですから。

お使いの機種で確かめたいときは、手元の取扱説明書を「センサー」で引いてみるのが早いですよ。

タイトルとURLをコピーしました