エアコンの水漏れは部屋の湿度が原因?メーカーが示す80%と窓開け

湿度が高い部屋でエアコンの吹き出し口に結露が発生している様子 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。梅雨に入ってジメジメする日が続くと、エアコンの吹き出し口からポタポタと水が落ちてきて驚いた、という相談をよくいただきます。窓を開けて風を通していたら症状が出た、という方も少なくありません。

エアコンの水漏れの原因は、正直なところ「〜と言われています」で終わってしまう話が多いです。ところが部屋の湿度と窓の開けっぱなしだけは、複数のメーカーが取扱説明書やFAQに数値で書いています。この記事では、その原文を一つずつ確かめながら、湿度が何をしているのかを整理していきます。

  • 三菱電機・シャープ・日立が共通して書いている「湿度80%以上」の条件
  • 取扱説明書の「運転できる範囲」は温度で決まっていて、湿度は別枠であること
  • 窓や戸の開けっぱなしが名指しされている理由と、屋外の湿度の実際の値
  • 冷房をつけると湿度計の数字が上がる仕組み

湿度が高い部屋でエアコンの吹き出し口に結露が発生している様子

「湿度80%以上」はメーカーが数値で書いている数少ない条件です

まず、原文を並べます。いずれも家庭用ルームエアコンの資料で、業務用や店舗・オフィス用のものではありません。

メーカー・資料 書かれている条件 起きるとされていること
三菱電機
FAQ「室内機から水が漏れる(垂れる)のですが」
高湿(80%以上)で長時間冷房運転をしない 室内機に水滴(露)が付き滴下することがあります
三菱電機
霧ヶ峰 取扱説明書(注意・運転禁止)
窓や戸の開けっぱなしなど、高湿(80%以上)で長時間運転はしない 室内機に露が付き、滴下して家財などをぬらし、汚損の原因になることがあります
シャープ
取扱説明書(警告)
湿度が高いとき(80%以上)に、窓や戸を開けたまま冷房や除湿を長時間運転しない 吹出口などに露が付き、水滴が落ちることがあります
日立
取扱説明書(注意)
「冷房」「カラッと除湿」「涼快」運転中に、窓や戸を開放した状態(湿度が80%以上)などで長時間運転しない 室内機から水滴が落ちて汚損・故障の原因になることがあります

出典はそれぞれ、三菱電機の室内機から水が漏れる(垂れる)のですが霧ヶ峰 取扱説明書(MSZ-X/JXV シリーズ)、シャープのAY-N22ATC ほか 取扱説明書、日立のRAS-VL63H2 E 取扱説明書です。会社もページも違うのに、示されている数字はどれも80%で一致していました。

80%という数字は、気象庁が「湿った空気」と呼ぶ境目と同じです

気象庁の予報用語(気温、湿度)では、「湿潤な(湿った)空気」を「湿度が高い空気で、目安として湿度がおよそ80%以上の状態をいう」と定義しています。反対の「乾燥した(乾いた)空気」は「およそ50%未満」です。

メーカーが線を引いた80%は、天気予報の世界で空気を「湿っている」と呼び始める値とちょうど同じでした。特別に厳しい基準というより、一般的に湿った空気とされる状態がそのまま注意の対象になっている、と考えると腑に落ちると思います。

ただし「80%を超えたら漏れる」とは書かれていません

ここは正確に読みたいところです。4つの資料の結果はすべて「〜することがあります」「〜の原因になることがあります」という書き方で、必ず起きるとは書かれていません。そしてもう一つ、どの文にも「長時間」という語が入っています。

各社の注意書きが成立する条件(原文の読み方)

  • 湿度が80%以上あること
  • 運転が冷房、または除湿であること(暖房は挙げられていません)
  • それを長時間続けること

この3つが重なったときの話であって、湿度計が80%を指した瞬間に水が垂れる、という意味ではありません。なお、設定温度や風量については「何℃以下なら漏れる」といった数値がどのメーカーの資料にも見当たりませんでした。設定の側から検証した内容はエアコンの水漏れと設定温度の関係は?適切な目安を徹底解説にまとめています。

取扱説明書の「運転できる範囲」は温度で決まっていて、湿度は別枠です

では、湿度が80%を超えるとエアコンは自分で止まってくれるのでしょうか。取扱説明書には「運転条件」「運転可能な屋外温度」といった表が載っているので、そこを確認しました。

取扱説明書に載っている運転条件の表を確認する

メーカー 冷房 除湿 暖房
三菱電機(霧ヶ峰 取扱説明書「運転可能な屋外温度」) 屋外 約21℃〜約50℃ 屋外 約1℃〜約50℃ 屋外 約-15℃〜約24℃
シャープ(取扱説明書「運転条件」) 外気温 約21℃以上・約45℃以下/室温 約21℃以上 外気温 約16℃以上/室温 約18℃以上 外気温 約24℃以下/室温 約28℃以下
日立(取扱説明書「知っておいていただきたいこと」) 外気温 22℃〜43℃ カラッと除湿は外気温 1℃〜35℃、涼快は 25℃〜35℃ 外気温 -10℃〜21℃

表を見てわかるとおり、範囲を決めているのは温度だけです。室内の湿度に上下限を設けて「この範囲で使ってください」と書いているメーカーは、今回調べた中にはありませんでした。なお、ここに挙げた値は各社の特定機種の取扱説明書のものなので、お使いの機種の数値はご自身の取扱説明書で確認してください。

温度の範囲を外れると、エアコンは止まる方向に動きます

  • シャープ: 「左記の条件以外で運転すると、保護装置が働き、運転できないことがあります」
  • 三菱電機: 「表の屋外温度の環境以外で運転すると保護装置が働き、運転ができない場合があります」。さらに「冷房・除湿運転時、表より低い屋外温度で運転すると室内機が凍結するおそれがあります」
  • 日立(冷房): 「外気温が『22〜43℃』の範囲で、お使いください。21℃以下や43℃以上では、製品保護のため、運転しないことがあります」

温度が範囲外のときは「運転しない」「保護装置が働く」。ところが湿度80%以上のときに書かれているのは「露が付き、滴下する」という結果だけです。ここが決定的な違いだと思います。湿度が高くてもエアコンは止まりません。運転は続き、そのまま結露が増えて水滴が落ちる。だから使う側が気づいて条件を外すしかない、という構図になっています。

メーカーが想定している室内の湿度は何%くらいか

運転範囲としての湿度は見つかりませんでしたが、想定値なら公表されています。シャープと日立の取扱説明書はどちらも、設計上の標準使用期間の前提としてJIS C 9921-3の標準使用条件を掲載していて、その中に室内・室外の温度と湿度が書かれていました。

  • 冷房時の想定: 室内 27℃(乾球温度)・湿度47%(湿球温度19℃)/室外 35℃・湿度40%(湿球温度24℃)
  • 暖房時の想定: 室内 20℃・湿度59%(湿球温度15℃)/室外 7℃・湿度87%(湿球温度6℃)
  • 日立の「凍結洗浄」が動作する条件: 外気温が約1℃〜43℃で室温が約10℃〜32℃、かつ室内の湿度が約30%〜70%のとき

冷房時に設計が想定している室内は湿度47%。機能が働く室内湿度の上限として書かれている値は70%。それに対して注意書きの線は80%です。つまり80%というのは、メーカーが普通の使い方として見込んでいる状態より、はっきり湿っている状態だということになります。

窓や戸の開けっぱなしが名指しされている理由

ここまでの引用で気づいた方もいると思いますが、注意書きには「窓や戸」が繰り返し出てきます。三菱電機のFAQでは、水漏れの確認項目が①前面パネル、②フィルターの汚れ、③ドレンホース先端のつぶれや持ち上がり、そして④「窓や戸が開けっぱなしになっていませんか?」の4点で、その直後に高湿80%以上の注意が続きます。三菱電機の取扱説明書では、この項目に「運転禁止」のマークが付いていました。

窓そのものが水漏れを起こすわけではありません。窓を開けると室内の空気が屋外の空気に近づき、結果として室内の湿度が80%の側に寄っていく。だから窓が名指しされている、という順序です。

屋外の湿度は、平年値で見てもメーカーの80%に近い

では実際、屋外の湿度はどのくらいなのでしょうか。気象庁の東京の平年値(年・月ごとの値)から、平均相対湿度と平均蒸気圧を拾ってみます。統計期間は1991年〜2020年の30年です。

平均相対湿度 平均蒸気圧
1月 51% 4.5hPa
6月 75% 19.6hPa
7月 76% 25.1hPa
8月 74% 26.2hPa
9月 75% 21.5hPa
年間 65% 13.6hPa

6月から9月は、月平均で74%〜76%。月を通した平均でこの値ということは、それより高い日や時間帯も当然あるわけで、80%という線は決して遠くありません。

もう一つ注目したいのが蒸気圧です。相対湿度が「その気温で含める量に対する割合」なのに対して、蒸気圧は空気に含まれている水蒸気の量そのものに対応します。1月の4.5hPaに対して8月は26.2hPaで、5倍以上。冷房の季節に窓を開けるというのは、冬とは比べものにならない量の水蒸気を部屋に招き入れる行為だということが、数字で見えると思います。

同じ「窓を開けての冷房」を、メーカーは対処法としても案内しています

ややこしいのですが、窓を開けての冷房が常に禁止というわけではありません。三菱電機は臭いに関するFAQエアコンの風がにおうで、対処方法の筆頭に「窓を開けて、冷たい風が出るような十分に低い設定温度で1時間程度冷房運転すると、熱交換器やドレンパンに付着して残ったニオイ成分が結露水に溶け込み洗い流されて、ニオイが軽減されることがあります」と書いています。

そして同じページに、こう続きます。「屋外が高湿度(80%以上)のときに窓を開けて長時間(1時間以上)運転すると、室内機に露が付き、滴下して家財や床などをぬらし、汚損の原因になることがありますので、室内機の下にビニールシートなどを設置して防水対策をしてください」。

同じ会社が同じ行為について、条件次第で勧めもすれば注意もしています。分けているのは屋外の湿度と運転時間です。この2つを見ずに「窓を開けたまま冷房するのは絶対にだめ」と言い切るのは、原文より強い言い方になってしまいます。臭い対策としての換気のやり方はエアコンの臭いは換気で消える?メーカーが案内する方法と限界、窓を開けたときの電気代の話はエアコンをつけたまま窓を開けっ放しにすると電気代はどうなる?が本体なので、そちらをご覧ください。

「換気扇の負圧を窓開けで逃がすと水漏れが止まる」は確認できませんでした

換気扇を回すと部屋が負圧になり、ドレンホースから逆流して水漏れするので窓を開けるとよい、という説明を見かけます。原典を当たってみたところ、三菱電機のFAQエアコンからポコポコと音がするのですがには「換気扇をご使用の際、室内機から室外へ結露水を排水するためのドレンホースから室外の空気を吸い込むことがあります。このとき、室外の空気がドレンホース内の水を通過して出てくることで発生する音です。故障ではありません」とありました。

症状として書かれているのはであって水漏れではなく、案内されている対処も「お部屋の給気口を開けることで改善されることがあります」で、窓ではありません。負圧で水漏れが起きる、窓を開ければ止まる、と読める記載は見つかりませんでした。この現象そのものはエアコンのポコポコ音の原因と対策で詳しく扱っています。

湿度計の数字は、冷房をつけると上がります

湿度を主題にするなら、これも外せません。「窓は閉めているのに湿度計が高い」という状況には、ちゃんと理由があります。

冷たいコップの表面に結露する様子は露点温度によるエアコンの結露と同じ原理

湿度計が示しているのは「相対湿度」です

気象庁の予報用語によれば、湿度とは普通は相対湿度のことで、「水蒸気量とそのときの気温における飽和水蒸気量との比を百分率で表したもの」と定義されています。また露点温度は「水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%となる温度。空気中の水蒸気が凝結して露を結ぶ温度」とされています。

ダイキンもドレンホースから水がでない(少ない)(ルームエアコン)で同じ説明をしています。「空気に含むことができる水分の量は温度によって変わります。温度が高いと、含むことができる水分の量が多く、反対に温度が低いと少なくなります」「同じ水分の量であっても、温度によって しつどは変わります」。つまり湿度計の数字は、水蒸気の量だけでなく、そのときの室温にも左右されるということです。

冷房で室温が下がると、室内の湿度は上がります

この点をはっきり書いているのが日立のエアコン(室内機)から水が飛んできます。です。「冷房で室温が下がると、空気中に含むことができる水蒸気の量(飽和水蒸気量)が減ってしまいます。このため、水蒸気の量が同じで室温が下がると、湿度が上がってしまい、結露が発生することがあります」。

読者の方が「湿度が高いから水漏れした」と感じている場面には、実は「冷房したから湿度計の数字が上がった」という順序が混ざっていることがあります。窓を開けて湿気が入ってきたのか、部屋を冷やした結果として相対湿度が上がったのか。同じ80%でも中身が違うわけです。

日立はこのページで、結露を防ぐ方法の一つとして「除湿運転にする」を挙げ、「除湿をして湿気をなくすことで、結露の発生を緩和できる可能性があります」と書いています。ただし前述のとおり、湿度80%以上での長時間運転の注意は「冷房」と「除湿」を並べて書かれています。除湿にすれば無条件に安全になる、とはどこにも書かれていません。

部屋の負荷が大きいときも「露が落ちる」と書かれています

日立の取扱説明書には、湿度とは別にこんな注意もありました。「能力以上の負荷(冷房・暖房能力以上の広いお部屋や大勢の人が居るなど)で使用しない」——理由は「設定した温度に到達しないことや、露が落ちて家財をぬらす原因になることがあります」。除湿については「室内に除湿能力以上の熱源および湿気の流入・発生があると、目標にする湿度に到達しないことがあります」とも書かれています。

窓を開けたままの冷房は、この「湿気の流入」を自分で作り続けている状態にあたります。ダイキンも「結露する水の量は、ご利用状況や室内、屋外の温度・しつど、お部屋の気密性や断熱性などの環境により変わります」としており、部屋の側の条件が結露量を左右することは各社が共通して認めています。

湿度が原因かどうかを見分けるには

最後に、いま起きている水漏れが湿度によるものかどうかの手がかりを整理します。資料から言えるのは、次の3つだけです。

  1. 湿度が高い日、または窓を開けていた日に限って水が出るなら、各社が注意している条件に当てはまっています。窓を閉め、運転時間を区切ってみて症状が変わるかを見ます
  2. 天気にも窓の開け閉めにも関係なく毎日出るなら、湿度以外の原因が別にあります。原因の一覧と点検依頼の線引きはエアコンの水漏れが夜だけ起きる理由、毎年繰り返す場合はエアコンの水漏れが毎年起きる本当の原因と正しい対処法を解説
  3. 水が出ている間は運転を止める。これは各社が共通して案内している対応です。受け方の注意点はエアコンの水漏れをバケツで受けるときの注意点にまとめました

逆に、水の色やにおい、量から原因を判定するようなチェックリストは、メーカーの資料には見当たりませんでした。見分けられるように見えて根拠がないので、この記事では書きません。

エアコンの水漏れと部屋の湿度に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 部屋の湿度が何%を超えると水漏れしますか?

A. 「◯%を超えたら漏れる」という基準を書いた資料は見つかりませんでした。三菱電機・シャープ・日立が共通して挙げているのは「湿度80%以上」「冷房または除湿」「長時間」という組み合わせで、結果もすべて「露が付き滴下することがあります」という書き方です。なお80%は、気象庁が「湿潤な(湿った)空気」の目安としている値と同じ数字です。

Q2. 湿度が80%を超えるとエアコンは止まりますか?

A. 止まりません。取扱説明書で運転できる範囲として表になっているのは温度だけで、たとえば三菱電機の機種では冷房が屋外 約21℃〜約50℃です。この範囲を外れると「保護装置が働き、運転ができない場合があります」と書かれています。一方、湿度80%以上は運転を止める条件としてではなく、露が付いて滴下する条件として別に書かれています。

Q3. 窓を開けて冷房を使うと必ず水漏れしますか?

A. 必ずではありません。各社の注意書きは「窓や戸を開けたまま」「湿度80%以上」「長時間」がそろった場合の話です。実際、三菱電機は臭い対策として窓を開けて1時間程度の冷房運転を案内しており、そのうえで屋外が80%以上のときに1時間以上運転する場合は室内機の下に防水対策をするよう書いています。

Q4. 除湿(ドライ)にすれば湿度が下がって水漏れも止まりますか?

A. 日立は結露を防ぐ方法の一つとして「除湿運転にする」を挙げています。ただし同じ日立の取扱説明書は、湿度80%以上での長時間運転を「冷房」「カラッと除湿」「涼快」の3つを並べて注意しており、シャープも冷房と除湿を並記しています。除湿なら条件から外れる、という記載はありません。

Q5. 湿度を下げれば水漏れは確実に止まりますか?

A. 湿度が引き金になっているケースなら、条件から外れることになります。ただし三菱電機のFAQが前面パネルの取り付けやフィルターの汚れ、ドレンホース先端の状態を同時に確認項目として挙げているとおり、原因は一つとは限りません。天気にも窓の開け閉めにも関係なく毎日水が出るようなら、湿度以外を疑ってください。

まとめ: 湿度は「80%・冷房か除湿・長時間」の3点セットで見る

部屋の湿度と水漏れの関係は、エアコンの困りごとの中では珍しく、メーカーが数値で条件を示している領域でした。三菱電機・シャープ・日立の3社が「湿度80%以上」「冷房または除湿」「長時間」という同じ組み合わせを挙げ、いずれも窓や戸の開けっぱなしを一緒に書いています。

一方で、温度のように「範囲を外れたら運転しない」という保護は湿度にはかかりません。エアコンは湿った空気の中でも黙って運転を続け、その結果として吹き出し口に露が付きます。だからこそ、窓を開けている時間と屋外の湿り具合を意識するだけで、条件から外れることができます。窓を閉めても天気に関係なく水が出続けるようであれば、それは湿度以外の原因ですので、点検を検討してください。

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