エアコンの粘土補修は大丈夫?配管穴のすき間の正しいふさぎ方

エアコン配管の穴をパテで補修している様子 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。エアコンの配管が通っている壁の穴に、すき間が残っているのが気になる。でも専用のパテをわざわざ買いに行くのも面倒だし、家にある粘土で塞いでしまってもいいのだろうか。今回は、そんな疑問について調べたことをまとめます。

先にお伝えしておくと、「粘土で代用してよい」と書いた公式資料も、逆に「粘土は絶対に使ってはいけない」と名指しで否定した公式資料も、私が探した範囲では見つかりませんでした。そのかわり、配管の貫通部をどう処理すべきかについては、部材メーカーとエアコンメーカーがはっきりした指示を出しています。この記事では、その一次情報を数字ごと確認していきます。

  • 配管の貫通部について部材メーカーが指示していること
  • エアコン用シールパテの仕様(使用温度・内容量・注意事項)
  • すき間を塞ぐ目的が「防水」と「外気の流入対策」である理由
  • 壁の穴の径に合った部材の選び方

エアコン配管の穴をパテで補修している様子

エアコンの配管穴のすき間を粘土で塞いでよいか

公式資料が指示しているのは「パテ埋め・コーキングによる防水処理」

配管副資材メーカーである因幡電工は、壁の貫通部に取り付けるウォールキャップの製品ページで、注意事項として「接合部やかん合部、貫通部などには必ずコーキング処理やパテ埋めなどを施し、防水処理を行ってください」と明記しています(因幡電工「【WC】ウォールキャップ」製品情報)。

ここで求められているのは、すき間を見た目の上で埋めることではなく「防水処理」です。粘土という材料名が名指しで否定されているわけではありませんが、指定されているのはコーキング処理かパテ埋めの2つで、ほかの材料に置き換えてよいという記述は見当たりませんでした。

エアコン用シールパテが想定している使用条件

では専用のパテは何が違うのでしょうか。因幡電工の「【AP】エアコン用シールパテ」製品情報によれば、この製品は「不乾性、難燃性、粘着性に優れた全天候タイプ」と説明されており、使用温度は-20℃〜50℃、作業温度は5℃〜40℃と公表されています。日本の屋外で1年を通してさらされる温度を、あらかじめ見込んだ数字です。

一方で、工作用粘土や油粘土のパッケージに-20℃〜50℃という使用温度や難燃性が表示されている製品を、私は見つけられませんでした。同じように手で成形できるという一点だけが共通していて、想定している使用環境がそもそも違う材料だ、と考えるのが正確だと思います。

「パテは数か月かけて固まる」は仕様と食い違う

ネット上では「エアコンパテは数か月かけてゆっくり硬化する」という説明をよく見かけます。ただ、因幡電工のシールパテAPは仕様上「不乾性」と明記されている製品です。乾いて固まることを前提にした材料ではありません。

ですので、塗ったあとに固まらなくても失敗ではありません。むしろ気をつけたいのは寒い時期で、作業温度の下限である5℃を下回るとパテが硬くなるため、メーカーは温めてから使うよう案内しています。冬に作業するなら、この点だけ覚えておいてください。

エアコン用シールパテの仕様を数字で確認する

使用温度・内容量・色のラインアップ

因幡電工が公表しているシールパテAPの仕様を、そのまま表にまとめました。

項目 公表されている内容
特長 不乾性・難燃性・粘着性に優れた全天候タイプ
使用温度 -20℃〜50℃
作業温度 5℃〜40℃(5℃を下回ると硬くなるため温めて使用)
内容量 100ml(200g)と500ml(1kg)の2種類
色調 グレー・アイボリー・ホワイトの3色

家庭で1台分のすき間を埋め直すだけなら、小さいほうの200gタイプで足ります。色が3色そろっているので、壁の色に近いものを選べば仕上がりも目立ちにくくなります。

パテの油分が壁紙に染み出すことがある

工作用粘土のイメージ

意外に思われるかもしれませんが、専用パテにも注意事項があります。因幡電工は同じページで「壁紙の材質によっては、パテに含まれる油分が壁紙に染み出すおそれがあります」と案内しており、そのうえで、パテが壁に直接触れないようウォールキャップやエアコンキャップを併用すること、施工の際は作業手袋を着けることを求めています。

これは部材メーカーだけの言い分ではありません。日立のルームエアコン据付説明書にも、同じ趣旨の注意が書かれています。

※シール材としてパテを使用する場合は、油じみになるおそれがありますので、パテが壁に直接触れないようにお願いします。

つまり、室内側でパテがむき出しになっている状態は、専用品を使っていても壁紙を汚す可能性があるということです。粘土の油分だけが問題なのではなく、油分を含む材料を壁紙に直接触れさせない設計にすることが、そもそもの前提になっています。

壁の穴の径に合った部材を選ぶ

三菱電機は住宅設備用ルームエアコン「霧ヶ峰」の施工性に関する説明ページで、配管穴φ65にすっぽり収まる設計であること、液管φ6.35・ガス管φ12.7の配管を使用できることを挙げています。家庭用エアコンの壁穴は、この65mm前後が一つの目安になります。

この穴径に合わせる部材が、先ほどのウォールキャップです。因幡電工が公表している主な寸法は次のとおりです。

型番 内径 外径 標準価格
WC-60N-I 57mm 61.5mm 240円
WC-65N-I 62mm 66.5mm 280円
WC-75N-I 71mm 75.5mm 380円

材質はPP(ポリプロピレン)、色調はホワイトとアイボリーです。φ65の穴であればWC-65N-Iが該当し、標準価格は280円。パテと合わせても、材料費は数百円の世界だということが分かります。

すき間を塞ぐ目的は防水と外気の流入対策

雨水の侵入を防ぐ

因幡電工の注意事項が「防水処理を行ってください」と書いているとおり、屋外側の貫通部に求められる第一の役割は防水です。壁の中に水が入ることを防ぐために、貫通部を塞ぐという順序で理解しておくと、材料選びを間違えにくくなります。

なお、すき間から入った雨水が何年でどの程度の被害につながるか、といった具体的な数字は、メーカーや公的機関の公開資料には見当たりませんでした。この記事でも書かないことにします。

高気密住宅では配管のすき間から外気が入る

もう一つの役割が、外気の流入対策です。三菱電機のFAQ「運転すると、外気が取り入れられるのですか?」では、換気機能を持つ機種を除きエアコンの運転で外気が取り込まれることはないとしたうえで、「本来排水を目的としているドレンホースを伝って僅かではありますが、外気が取り込まれることがございます」と説明されています。

さらに高気密住宅については「ドレンホースや配管の僅かな隙間から外気が取り込まれることがございます」とも書かれています。配管まわりのすき間が室内の空気に影響しうることを、メーカー自身が認めている記述です。

虫の侵入経路は壁の穴だけではない

配管を覆う化粧カバーのイメージ

虫の侵入については、専用部材が別に用意されています。因幡電工の「【DC】防虫ドレンキャップ」製品情報は、ドレンホースの蛇腹部にワンタッチで取り付ける部品で、対応ホース径はφ14とφ16の兼用、材質はPP、標準価格は470円です。

説明には「ドレンホースからの虫の侵入を防ぎます(格子より小さい虫の侵入は除く)」と、防げる範囲まで明記されています。壁の穴をパテで塞いでも、ドレンホース側は別の部材で対応する必要がある、ということです。またこの製品には「ドレンホースのつまりを防止するため、定期的に清掃してください」という注意も添えられています。

ちなみに、どの虫が何ミリのすき間から入れるかという数字は、メーカーの公開資料には見当たりませんでした。「何ミリだから危ない」と自己判断する材料は、少なくとも一次情報からは得られません。

実際にどう対処すればよいか

手元に粘土しかないとき

専用パテが手に入るまでの間、粘土で一時的にすき間を覆うこと自体を止める根拠は、公式資料からは見つかりませんでした。ただし、-20℃〜50℃という使用温度も、難燃性も、屋外での耐候性も確認できていない材料を使っている状態だ、という認識は持っておいてください。

作業の前に、次の3点だけ確認しておくと迷いにくくなります。

  • 壁の穴の直径(φ65前後かどうか)を測り、合うウォールキャップの型番を確認する
  • パテは200gタイプで足りるか、色は壁に合う3色のどれかを選ぶ
  • 作業日の気温が5℃を下回らないか(下回るならパテを温めてから使う)

自分でやってよい作業と、業者に任せる作業

すき間にパテを盛り直すだけなら、配管を外す作業は発生しません。一方で、配管をずらす、穴を開け直す、エアコンごと移設するといった作業は、まったく別のリスクを伴います。

NITE(製品評価技術基盤機構)は「エアコン『8.無謀なDIYで室外機が破裂』」という注意喚起で、知識を持たずにポンプダウン作業を行うと、空気がコンプレッサーに大量に混入して異常な高温高圧となり室外機が破裂するおそれがあるとして、「エアコンの設置、取り外しなど工事は、購入先の販売店や専門の事業者にご相談ください」と呼びかけています。取り外しや移設まで自分でやろうとするのは、線を越えていると考えたほうがよさそうです。

エアコンの配管穴と粘土に関するよくある質問(FAQ)

Q1. エアコン用のパテはいつまで経っても固まりませんが、不良品ですか?

A. 不良品ではありません。因幡電工のシールパテAPは仕様上「不乾性」と明記されており、固まらないことが前提の材料です。

Q2. 冬にパテを使ったら硬くて盛れませんでした。どうすればよいですか?

A. 作業温度は5℃〜40℃とされています。5℃を下回ると硬くなるため、メーカーは温めてから使用するよう案内しています。

Q3. パテを壁紙に直接くっつけても問題ありませんか?

A. 因幡電工は、壁紙の材質によってはパテの油分が染み出すおそれがあるとして、ウォールキャップやエアコンキャップを使いパテが壁に直接触れないようにすることを求めています。

Q4. パテを塞げば虫の侵入は完全に防げますか?

A. ドレンホース側は別経路です。因幡電工は対応ホース径φ14・φ16兼用の防虫ドレンキャップを用意しており、その説明でも「格子より小さい虫の侵入は除く」と限界が示されています。

まとめ

エアコンの配管穴を粘土で塞いでよいかという問いに対して、公式資料が名指しで答えている文書は見つかりませんでした。ただ、貫通部については「必ずコーキング処理やパテ埋めなどを施し、防水処理を行ってください」という指示があり、専用のシールパテには使用温度-20℃〜50℃、作業温度5℃〜40℃、不乾性・難燃性といった仕様が公表されています。

判断の材料はこの差にあります。壁の穴の径を測り、φ65ならWC-65N-I、パテは200gタイプ。合計しても数百円で、確認できる仕様に沿った状態に戻せます。粘土でしのぐ場合も、そこが最終形ではないことだけ頭に置いておいていただければと思います。

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