こんにちは、エアコンラボのアキです。
「エアコン暖房の電気代と、石油ストーブ・石油ファンヒーターの灯油代、結局どっちが安いんだろう」。冬が近づくと、この疑問を持つ方がぐっと増えます。ところがネットで調べると「エアコンが安い」という記事も「灯油の方が得」という記事も出てきて、どちらを信じればいいのか分からなくなります。
結論から言うと、どちらが安いかは条件次第で入れ替わります。そして厄介なことに、その条件を書いていない比較記事がとても多いのです。電気は「kWh」、灯油は「L(リットル)」という別々の単位で数えられているため、比べるには必ず換算が必要になります。換算の前提を書かない比較は、極端に言えば何も言っていないのと同じです。
そこでこの記事では、金額の結論を押しつけるのではなく、比較のやり方そのものをお伝えします。読み終えたあと、あなたが自分の地域・自分の機種・その日の灯油価格で計算し直せる状態になることがゴールです。
- 電気(kWh)と灯油(L)を同じ土俵に乗せるための換算式と、その根拠になる公的な数値
- 「熱1kWhをいくらで作れるか」で比べると、どこで損益が逆転するのか
- 外気温が下がるとエアコン側の前提が崩れる理由と、メーカーが公表している測定条件の読み方
- 燃焼式の暖房機を使うなら絶対に外せない、一酸化炭素中毒と換気の話

電気代と灯油代は、単位が違うのでそのままでは比べられません
まず最初に、いちばん大事なところを押さえます。「1時間あたり何円」という数字を並べただけの比較は、ほとんどの場合フェアになっていません。理由は単純で、比べている2つが同じ量の熱を出しているとは限らないからです。
電気は「kWh」、灯油は「L」で数えている
エアコンの電気代は「使った電力量(kWh)×電力量料金の単価(円/kWh)」で決まります。一方、石油ストーブや石油ファンヒーターの灯油代は「使った灯油の量(L)×灯油の価格(円/L)」で決まります。
ここで比べているのは、どちらも「投入したエネルギーの量」であって、「部屋に届いた熱の量」ではありません。同じ1kWhの電気と同じ1Lの灯油が、同じだけ部屋を暖めてくれる保証はどこにもないわけです。だから、いったん両方を「熱」の単位に翻訳する必要があります。
灯油1Lは36.5メガジュール、電気に直すと約10.1kWh分
この翻訳に使う数字は、実は法令に書かれています。省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)の施行規則には、燃料の量を熱量に換算するための表があります。
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)の別表第一(第四条関係)には「灯油 一キロリットル 三十六・五ギガジュール」と定められています。1キロリットル=1,000Lですから、灯油1Lあたり36.5メガジュール(MJ)ということになります。
同じ施行規則の第四条第三項には、電気について「電気の量千キロワット時を熱量三・六〇ギガジュールとして換算する」とあります。つまり1kWh=3.6MJです。この2つを割り算すると、灯油1Lが持っている熱量は36.5÷3.6=約10.1kWhとなります。
| 項目 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 灯油1Lの発熱量 | 36.5MJ(=0.0365ギガジュール) | 省エネ法施行規則 別表第一(第四条関係) |
| 電気1kWhの熱量 | 3.6MJ | 同 第四条第三項 |
| 灯油1Lを電気に換算 | 約10.1kWh相当 | 36.5÷3.6の計算 |
| 灯油18L(ポリタンク1つ) | 約182kWh相当 | 10.1×18の計算 |
この「灯油1L=約10.1kWh」が、この記事でいちばん大事な数字です。ここから先の計算は、すべてこの1行の上に乗っています。
換算に必要な前提は3つあります
熱の値段を出すために必要な前提は、次の3つだけです。逆に言うと、この3つが書かれていない比較記事は、読んでも自分の条件に当てはめられません。
- 単価…電力量料金は何円/kWhか、灯油は何円/Lか(いつ時点の値か)
- 発熱量…灯油1Lが何MJの熱を持っているか
- 効率…投入したエネルギーのうち、どれだけが部屋の熱になるか
このうち発熱量は法令で決まっているので動きません。動くのは単価と効率です。特に灯油価格は変動が大きく、ここが変われば結論そのものがひっくり返ります。
比較の土俵は「熱1kWhをいくらで作れるか」です
電気代と灯油代を同じ土俵に乗せる方法として、私がいちばん分かりやすいと思うのが「部屋に1kWh分の熱を届けるのに、いくらかかるか」という見方です。単位を円/kWh(熱)にそろえてしまえば、方式が違っても素直に比べられます。
電気の単価は31円/kWhが目安になっています
家電のカタログや取扱説明書に載っている電気代の試算は、たいてい共通の目安単価を使っています。全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)のQ&Aには、次のように書かれています。
「電力料金は、ご契約の小売電気事業者により異なります。そのため、家電公取協では、『電力取引報』(『経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会』公表)における全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値などに基づき、目安単価を算出しています。なお、現在の目安単価は、令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です」
これはあくまで業界共通の「目安」であって、あなたの契約単価ではありません。実際の単価は検針票や電力会社のマイページで確認できます。なお、省エネ性能を示す公的な資料では別系統の単価が使われることもあり、この使い分けについてはエアコンとテレビの電気代を比べた記事で詳しく整理しています。
灯油の価格は毎週動きます
灯油の価格には、電気のような「目安単価」がありません。原油相場や為替、配達か店頭かによって動くうえ、季節でも変わります。
公的な価格の把握先としては、資源エネルギー庁の石油製品価格調査(調査の結果)があります。このページによると、給油所小売価格調査(ガソリン・軽油・灯油)は「原則、毎週月曜日調査、水曜日公表」で、1990年8月27日以降の週次データが公開されています。給油所以外で買う民生用灯油についても、毎月15日調査・毎月最終営業日公表という別の調査があります。
この記事では計算例として、暖房機器メーカーのコロナが試算の前提として公表している値を借ります。同社の石油ファンヒーターWZシリーズの製品ページの注記には、「灯油価格123円/L(税込)(2025年1月6日 全国平均店頭価格 資源エネルギー庁発表)」「電力料金目安単価31円/kWh(税込)[2022年7月改定]にて試算」と明記されています。
この123円/Lは2025年1月6日時点の全国平均店頭価格であり、今この記事を読んでいる時点の価格ではありません。灯油価格は年によっても季節によっても動きます。実際に判断するときは、必ず資源エネルギー庁の調査で最新の値を確認し、下の式に入れ直してください。
灯油側の計算式
灯油で熱1kWhを作るコストは、次の式になります。
灯油の熱1kWhあたりの費用(円) = 灯油価格(円/L) ÷ 10.1(kWh/L) ÷ 効率
ここで問題になるのが効率です。石油ストーブや石油ファンヒーターの燃焼効率について、メーカーや業界団体が数値として公表しているものを、私は今回見つけられませんでした。そこでこの記事では効率を1.0(燃やした熱がすべて部屋に残る理想的な状態)として計算します。
これは灯油側にとって最も有利な置き方です。実際には、煙突式やFF式のように排気を屋外に出す方式では、排気と一緒に熱の一部が外へ逃げます。つまり以下の計算は灯油の下限コスト(これ以上は安くならない値)だと理解してください。効率を0.9や0.8と置けば、灯油側の費用はその分だけ高くなります。
123円/Lで計算すると、123÷10.1=約12.1円/kWh(熱)となります。
エアコン側の計算式とCOP
エアコン側は少し事情が違います。エアコンは電気を熱に変えているのではなく、ヒートポンプという仕組みで外の空気から熱を汲み上げて室内に運んでいます。運ぶための動力に電気を使うので、投入した電力量より多い熱を室内に出せます。この「投入した電力の何倍の熱が出たか」を表すのがCOP(成績係数)です。
日本冷凍空調工業会「冬の暖房はヒートポンプ式のエアコンで!」には、「1.0kWの消費電力で約5.5kWの暖房能力が得られ効率的な暖房が行えます」「(2016年度 冷房能力2.8kWクラス省エネ機種の平均値:暖房COP=5.5)」と記載されています。同じページでは、火を使わないので空気を汚さないこと、燃料補給の手間がないことも利点として挙げられています。
したがってエアコン側の式はこうなります。
エアコンの熱1kWhあたりの費用(円) = 電力量料金の単価(円/kWh) ÷ COP
COP別に並べると、逆転する地点が見えます
31円/kWhと、灯油123円/L(効率1.0)を前提に、両者を並べたのが次の表です。
| 暖房の方式・条件 | 計算式 | 熱1kWhあたりの費用 |
|---|---|---|
| エアコン COP5.5(省エネ機種の定格条件の例) | 31÷5.5 | 約5.6円 |
| エアコン COP4.5 | 31÷4.5 | 約6.9円 |
| エアコン COP3.5 | 31÷3.5 | 約8.9円 |
| 灯油 123円/L・効率1.0 | 123÷10.1 | 約12.1円 |
| エアコン COP2.5 | 31÷2.5 | 約12.4円 |
| エアコン COP2.0 | 31÷2.0 | 約15.5円 |
| エアコン COP1.5 | 31÷1.5 | 約20.7円 |
| 電気ヒーター方式(COP1.0相当) | 31÷1.0 | 31円 |
表を上から見ていくと、灯油の行が入ってくるのはCOP2.5とCOP3.5の間です。式で解くと、逆転するCOPは31÷12.1=約2.6と計算できます。
つまりこの前提では、エアコンのCOPが約2.6を下回ったところで、灯油の方が熱を安く作れることになります。しかもこれは灯油側を効率1.0という最も有利な条件で計算した結果です。効率をもっと現実的に下げれば、逆転する地点はさらに低いCOPへ移動します。
逆に、電気を直接熱に変えるタイプ(電気ストーブ、セラミックファンヒーターなど)はCOPが1.0相当なので、31円/kWhがそのまま熱の値段になります。灯油の約12.1円と比べると2倍以上です。「電気の暖房は高い」と言われるのは、エアコンではなくこちらの方式の話だと考えると整理しやすくなります。
灯油価格が変わると分岐点も動きます
灯油価格が変われば、当然この分岐点も動きます。効率1.0のまま、灯油価格だけを振ってみたのが次の表です。ここに並んでいる価格は実勢価格の予測ではなく、式に入れる前提を変えたらどうなるかという計算例です。
| 灯油価格の前提 | 熱1kWhあたりの費用 | 逆転するエアコンのCOP |
|---|---|---|
| 90円/L | 約8.9円 | 約3.5 |
| 110円/L | 約10.9円 | 約2.9 |
| 123円/L(2025年1月6日の全国平均店頭価格) | 約12.1円 | 約2.6 |
| 140円/L | 約13.8円 | 約2.2 |
| 160円/L | 約15.8円 | 約2.0 |
灯油が90円/Lまで下がればCOP3.5でも灯油が競り合ってきますし、160円/Lまで上がればCOP2.0を保てる限りエアコンが有利です。灯油価格が7割動くだけで、結論がここまで変わります。だからこそ「どっちが安い」という問いに、時点抜きで答えることはできないのです。
外気温が下がると、エアコン側の前提が崩れます
ここまでの計算でCOPを固定値として扱ってきましたが、実際のCOPは一定ではありません。ここが、寒い地域で灯油が根強く残っている理由につながります。
ヒートポンプは外の空気から熱を汲み上げています
エアコンの暖房は、室外機が外の空気から熱を集め、それを冷媒に乗せて室内へ運ぶ仕組みです。熱の出どころが外の空気である以上、その空気が冷たいほど、汲み上げる仕事は大変になります。汲み上げに使う電力が増えれば、同じ熱を出すのに必要な電気が増える、つまりCOPは下がっていきます。
これは制御ソフトの工夫で消せる性質のものではなく、熱を「作る」のではなく「移す」方式である以上、避けられない特性です。逆に言えば、外が暖かい日ほどエアコンは有利になります。
メーカーは「何℃で測ったか」とセットで性能を出しています
ここで大事なのが、カタログの数値を見るときにその値がどの外気温で測られたのかを必ず確認することです。同じ「暖房能力」という言葉でも、測定した外気温が違えば意味がまったく変わります。
たとえば三菱電機は、寒冷地向けに暖房能力を強化した「ズバ暖霧ヶ峰」という別系統のシリーズを用意しています。同社のページの注記を見ると、性能の説明にはそれぞれ「外気温2℃・外気湿度84%・設定温度23℃」「外気温-15℃・室温20℃・設定温度20℃」「外気温-20℃・室温20℃・設定温度20℃」「外気温-10℃・外気湿度50%・運転開始時室温5℃」といった条件が細かく添えられています。いずれも当社環境試験室(14畳)での測定値であることも明記されています。
メーカーがここまで条件を書き分けているのは、裏を返せば外気温が変われば結果が変わるからです。カタログを見るときは、数値そのものより先に、その横の小さい注記を読む習慣をつけてください。
霜取り運転で暖房が止まる時間があります
もうひとつ、寒い時期のエアコンには「霜取り運転」という時間があります。外気温が低いと室外機の熱交換器に霜が付き、これを溶かす運転が必要になるためです。
先ほどのズバ暖霧ヶ峰のページには、「室外機の熱交換器を上下に分け、半分は霜取りをしながら、残り半分で暖房運転を続けるので、霜取り中でも暖房運転が止まりません」という説明があります。わざわざこの仕組みを売りにしているということは、一般的な構成では霜取り中は暖房が止まるのが前提だということです。霜取り運転そのものについては霜取り運転と電気代の記事でも扱っています。
燃焼式は外気温が下がっても燃え方が変わりません
一方、灯油を燃やす暖房機は、外の空気から熱を汲み上げているわけではありません。灯油そのものが持っている36.5MJ/Lという熱を、燃焼によって取り出しているだけです。したがって外気温が下がっても、灯油1Lから取り出せる熱の量は変わりません。
もちろん外が寒ければ部屋から逃げる熱も増えるので、必要な灯油の量自体は増えます。しかし「1Lあたりいくらの熱が出るか」という単価は動きません。この予測しやすさが、寒冷地で灯油が選ばれ続けている実務的な理由のひとつだと私は考えています。
- エアコン…外気温が下がるとCOPが下がり、熱1kWhの値段が上がる。霜取りの時間もある
- 燃焼式…外気温が下がっても灯油1Lあたりの熱量は36.5MJのまま。必要量は増えるが単価は動かない
- 電気ヒーター方式…外気温に関係なくCOPは1.0相当のまま。もともと熱の単価が高い
「同じ暖かさ」をそろえないと、比較になりません
ここまでは熱1kWhあたりの値段を見てきました。実際の月額を出すには、もうひとつ「その部屋に何kWの熱が必要か」を決める必要があります。ここをそろえないまま「1時間◯円」を並べても、比較にはなりません。
部屋の広さと地域から必要な能力を決めます
日本ガス石油機器工業会(JGKA)の「石油暖房機器」のページには、自主基準による暖房のめやすが公表されています。部屋の広さだけでなく、地域と建物の構造で必要な能力が変わることが分かります。
| 部屋の広さ | 温暖地・木造 | 温暖地・コンクリート | 寒冷地・木造 | 寒冷地・コンクリート |
|---|---|---|---|---|
| 6畳 | 2.4kW | 1.7kW | 2.4kW | 1.5kW |
| 8畳 | 3.2kW | 2.3kW | 3.1kW | 2.0kW |
| 10畳 | 4.0kW | 2.9kW | 3.9kW | 2.5kW |
| 12畳 | 4.8kW | 3.5kW | 4.7kW | 3.0kW |
| 14畳 | 5.6kW | 4.0kW | 5.5kW | 3.4kW |
| 16畳 | 6.4kW | 4.6kW | 6.3kW | 3.9kW |
「温暖地」「寒冷地」の定義まで書かれています
この表がありがたいのは、条件がきちんと定義されている点です。同ページによると、「温暖地」とは室内外温度差が15℃の地域(東京、大阪など)、「寒冷地」とは室内外温度差が30℃以上の地域(札幌など)を指します。
また温暖地の欄は、いずれも1重窓で断熱材なしの建物が前提で、断熱材が施されている場合は表の能力を1.2で割った能力で足りるとされています。寒冷地の欄は、木造が2重窓・断熱材(グラスウール)75mm、コンクリートが2重窓・断熱材(ポリスチレンフォーム)30mmという前提で、これ以上の高断熱住宅では木造で1.2、コンクリートは1.5で割った能力で足りるとされています。
寒冷地・コンクリートの欄が温暖地より小さい値になっているのは、断熱の前提が違うからです。数字だけを抜き出すと逆の結論になりかねないので、注釈まで読む必要がある良い例だと思います。
必要な能力が決まれば、あとは掛け算です
必要な能力が決まれば、1時間あたりの費用は次のように出せます。
- エアコン…必要な熱(kW)÷COP×電力量料金の単価(円/kWh)
- 灯油の暖房機…必要な熱(kW)÷10.1(kWh/L)÷効率×灯油価格(円/L)
たとえば温暖地・木造10畳で4.0kWの熱が必要な場合、COP3.5のエアコンなら4.0÷3.5×31=約35.4円/時、灯油123円/L・効率1.0なら4.0÷10.1×123=約48.7円/時という計算になります。ただし実際には設定温度に達すればエアコンは出力を落としますし、灯油の暖房機も燃焼レベルを下げます。常に最大能力で運転し続ける前提の掛け算は、実態より大きな金額になりますので、あくまで上限の目安として扱ってください。
なお、エアコンの能力の選び方や畳数の目安についてはエアコン2台の電気代を扱った記事で、APFや年式による省エネ性能の違いについては古いエアコンの電気代の記事で詳しく解説しています。
燃焼式を使うなら、換気は必ずセットです

コストの話をひととおりしてきましたが、灯油の暖房機を選ぶなら、金額より先に押さえておくべきことがあります。一酸化炭素(CO)中毒です。ここは私の実務範囲ではないので、公的な団体が公表している内容をそのままお伝えします。
一酸化炭素は色も臭いもありません
日本ガス石油機器工業会「一酸化炭素(CO)中毒に注意!」には、次のように書かれています。
「ガス機器や石油機器が正常な燃焼を行うためには充分な空気(酸素)が必要ですが、正しく使わないことで酸素が不足して不完全燃焼を起こすと、一酸化炭素(CO)という有毒なガスが発生します」「一酸化炭素(CO)は色も臭いも無く、毒性が強い気体のため、ほんの少しでも吸い込んでしまうと気づかないうちに中毒になる危険があります」
同ページでは、最初の症状が風邪に似ていて気づきにくいこと、次第に頭痛や吐き気がして手足がしびれて動けなくなること、重症になると意識不明になって死にいたることもあることが説明されています。
また、空気中のCO濃度と中毒症状の対応表(作業環境測定便覧より)が掲載されています。
| CO濃度 | 呼吸時間と症状 |
|---|---|
| 0.02% | 2〜3時間で前頭の軽度の頭痛 |
| 0.04% | 1〜2時間で前頭、悪心、2.5〜3.5時間で後頭痛 |
| 0.08% | 45分で頭痛、めまい、悪心、嘔吐、けいれん、2時間で失神 |
| 0.16% | 20分で頭痛、めまい、嘔吐、けいれん、2時間で死亡 |
| 0.32% | 5〜10分で頭痛、めまい、30分で死亡 |
| 0.64% | 1〜2分で頭痛、めまい、10〜15分で死亡 |
| 1.28% | 1〜3分で死亡 |
濃度の欄が「%」であることに注意してください。0.16%というごく低い濃度で、20分の間に症状が出るとされています。
換気の目安は1時間に1〜2回です
同じページには、換気について「暖房機器をご使用の際は、窓の大きさにもよりますが、一般的には1時間に1〜2度は部屋の窓を開けて換気をしてください」と書かれています。
さらに同会の「石油ファンヒーターの安全な使い方」には、より具体的に「石油ファンヒーターの使用中は、1時間に1〜2回(1〜2分)程度換気を行ってください」「換気は2ヶ所以上の(風の出入のある)開口部を設けると効率良くできます」「石油ファンヒーターは、室内の空気を使って燃焼するため、換気が不十分だと室内の酸素が減少し、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)中毒にいたるおそれがあります」と記載されています。
同ページでは、このほかに寝るときや外出するときは必ず消火すること、周囲や上に洗濯物などの可燃物をかけないこと、エアーフィルターや空気取り入れ口を週1回掃除すること、高地では酸素濃度が低下して不完全燃焼を起こしやすいことなども挙げられています。
コストの計算では、この換気の分は一切考慮されていません。1時間に1〜2回、窓を開けて換気をすれば、その間に部屋の暖かい空気は外へ出ていきます。燃焼式の「安さ」は、換気による熱の損失を差し引く前の数字であるという点は、頭に入れておいてください。
PSCマークと機器の安全基準
先ほどのJGKAの石油暖房機器のページによると、石油暖房機器は2009年(平成21年)に消費生活用製品安全法の特定製品として指定され、国により安全基準が定められました。PSCマークは国が定めた技術基準省令に適合していることを示すマークです。
同ページでは、この技術基準のポイントとして次の3点が挙げられています。
- カートリッジタンクの口金の安全性強化
- 給油時自動消火
- 不完全燃焼防止機能強化(石油ファンヒーターのみ)
対象は、灯油の消費量が12kW以下のもの(開放燃焼式であって自然通気形のものは7kW以下のもの)とされています。古い機器を物置から出してきて使う前には、この表示の有無を確認しておくと安心です。
エアコンと併用するときに考えたいこと
「エアコンだけだと朝なかなか暖まらないから、石油ファンヒーターを併用したい」という使い方もよく聞きます。コストの観点で言えば、併用は単純に2つの熱源の費用を足したものになります。同じ部屋を同じ温度に保つのであれば、片方が担う分だけもう片方の負担は減りますが、合計で必要な熱の量は変わらないため、大きく安くなることは期待しにくいです。
むしろ判断材料になるのは、熱1kWhあたりの値段がどちらの方式で安いか、という先ほどの表です。エアコンのCOPが十分に高い時間帯はエアコンに寄せ、外が冷え込んでCOPが落ちる時間帯だけ燃焼式に頼る、という考え方は理屈に合っています。ただし燃焼式を使っている間は、時間の長短にかかわらず換気が必要です。「短時間だから換気しなくていい」という考え方はしないでください。
エアコンの電気代と灯油代の比較まとめ
ここまで、電気と灯油という単位の違うものを、どうやって同じ土俵に乗せるかを見てきました。最後によくある質問にお答えしたうえで、要点を整理します。
エアコン 電気代 灯油代に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 結局、エアコンと灯油ストーブはどちらが安いのですか?
A. 条件によって入れ替わるため、一律には決められません。この記事の前提(電力量料金31円/kWh、灯油123円/L、灯油側の効率1.0)では、エアコンのCOPが約2.6を上回っていればエアコンが安く、下回れば灯油が安いという計算になります。灯油価格が変われば分岐点も動くので、最新の灯油価格を資源エネルギー庁の石油製品価格調査で確認して計算し直してください。
Q2. なぜ寒い地域では今も灯油の暖房機が使われているのですか?
A. ヒートポンプは外の空気から熱を汲み上げる方式のため、外気温が下がるほど条件が厳しくなり、霜取り運転の時間も生まれます。一方、灯油は1Lあたり36.5MJという熱量が外気温に左右されません。メーカーが寒冷地向けに暖房能力を強化した別系統のモデルを用意していること自体が、通常のモデルと寒冷地とで前提が違うことを示しています。
Q3. カタログの「1時間◯円」はそのまま信じていいですか?
A. 前提とセットで読めば有用です。信頼できる資料には、必ず単価の根拠と時点、測定条件が書かれています。逆に、電力量料金の単価も灯油価格の時点も書かれていない「1時間◯円」は、どんな条件で出した数字なのか検証できません。金額そのものより、注記に何が書かれているかを先に確認してください。
Q4. 電気ストーブやセラミックファンヒーターはどの位置づけですか?
A. 電気を直接熱に変える方式なので、COPは1.0相当です。31円/kWhがそのまま熱1kWhの値段になり、この記事の前提での灯油(約12.1円)の2倍以上になります。ただし換気が不要で立ち上がりが速いという性質があるため、長時間の主暖房ではなく短時間・狭い範囲で使うかどうかで評価が変わります。
Q5. 換気をすると、せっかく暖めた空気が逃げてしまいませんか?
A. 逃げます。ただし日本ガス石油機器工業会は、石油ファンヒーターについて1時間に1〜2回、1〜2分程度の換気を行うよう案内しています。換気が不十分だと室内の酸素が減少し、不完全燃焼による一酸化炭素中毒にいたるおそれがあるためです。コストと引き換えにできる話ではありませんので、燃焼式を使う以上は必ず行ってください。
この記事の要点
今回は、エアコンの電気代と灯油代を比べる方法について解説しました。金額そのものよりも、比べ方を持ち帰っていただけたら十分です。
- 電気(kWh)と灯油(L)は単位が違うので、必ず熱の単位にそろえてから比べる
- 灯油1L=36.5MJ=約10.1kWh(省エネ法施行規則 別表第一)、電気1kWh=3.6MJ(同 第四条第三項)
- 熱1kWhの費用は、灯油なら「価格÷10.1÷効率」、エアコンなら「単価÷COP」で出せる
- 電力量料金31円/kWh(家電公取協の目安単価、令和4年7月22日改定)、灯油123円/L(2025年1月6日の全国平均店頭価格)という前提では、逆転するCOPは約2.6
- 灯油価格が90円/Lなら分岐COPは約3.5、160円/Lなら約2.0まで動く
- ヒートポンプは外気温が下がるほど条件が厳しくなるが、灯油の発熱量は外気温に左右されない
- 燃焼式を使うなら、1時間に1〜2回の換気は必須(一酸化炭素中毒の防止)
この記事に出てきた金額は、すべて「いつ時点の、どの資料の値か」を書いたうえで並べています。もしあなたが別の比較記事を読んで判断に迷ったら、その記事に単価の時点と発熱量と効率が書かれているかを確認してみてください。それが書かれていない比較は、残念ながらあなたの家に当てはめようがありません。
ちなみに、エアコン側の効率を落とす身近な原因としてフィルターの汚れがあります。フィルター掃除で効きがどれだけ変わるかを検証した記事もありますので、灯油との比較を考える前に、まずは自宅のエアコンの状態を整えるところから始めてみてください。

