こんにちは、エアコンラボのアキです。
「暖房をつけると湿度計の数字がぐんぐん下がる。これって除湿されているの?」「なのに窓はびしょびしょに結露する。乾いているのか、湿っているのか、どっちなんだ」——冬のエアコンで一番ややこしいのが、この矛盾ですよね。
ネット上には「暖房には除湿効果がある」「暖房をつけていれば結露しない」といった説明が並んでいます。そこでこの記事では、その通説をエアコンメーカーと建材メーカーの公式資料でひとつずつ確かめました。結論から言うと、「暖房で除湿できる」「暖房なら結露しない」という説明は、今回確認できた資料の中には見つかりませんでした。
- 暖房で湿度計の数字が下がるのに、部屋の水分は減っていない理由
- 「暖房に除湿効果がある」をメーカー4社の資料で探した結果
- 暖房中でも窓が結露する仕組み(露点温度の話)
- 冬は加湿と除湿、結局どちらに寄せればいいのか

エアコンの暖房で除湿できたように見えるのは、部屋の水分が減っているからではありません
まず、多くの人がつまずくポイントから整理します。暖房をつけると湿度計の数字は確かに下がります。でもそれは、部屋の中の水分がエアコンに吸い取られたからではありません。
湿度計が示しているのは「相対湿度」
三菱電機のよくあるご質問には、次のように書かれています。
空気の温度が上がるほど飽和水蒸気量は多くなります。もし、空気中の水分量が一定であった場合、温度が上がれば湿度は下がり、逆に、温度が下がれば湿度は上がります
飽和水蒸気量というのは、その温度の空気が抱え込める水分量の上限のことです。空気は温かいほどたくさんの水分を抱え込めます。そして私たちが普段「湿度」と呼んでいる数字は、その上限に対して実際の水分がどのくらいの割合を占めているかを表したもの、つまり相対湿度です。
パナソニックも公式サイト内の解説記事で、同じことを暖房に引きつけて説明しています。
部屋を暖房すると、空気があたたまりますよね。空気ってあたたまると、その中に水分を抱え込める容量が増えるという性質があるんです。でも部屋の中の水分量自体が変わらないと、空気に含まれる水分は相対的に”薄まって”しまいますよね。これが”湿度が下がる”というカラクリで、暖房を使うほど”乾燥”を感じる理由です
「分母が増えただけ」と考えると腑に落ちます
相対湿度は「実際の水分量 ÷ その温度で抱え込める上限」という割り算です。暖房で室温が上がると、割り算の分母(上限)だけが大きくなります。分子である水分の量は変わりません。だから割合としての湿度だけが下がる、という順番です。
この「上限」は温度によって決まっていて、国土交通省の資料に具体的な数値が載っています。「例えば、右図のように、・6℃では、7.3g/㎥ ・8.7℃では、8.65g/㎥ ・20℃では、17.3g/㎥ となります。」(国土交通省「住宅の省エネルギー 設計と施工 2023」p.37)。
1立方メートルの空気が抱え込める水分は、6℃なら7.3g、20℃なら17.3gということですね。温度が14℃違うだけで受け皿は2倍以上になります。
水分量を固定して室温だけ変えると、湿度はこう動きます
同じ資料には「20℃の空気の相対湿度100%(飽和状態)の水蒸気量は、17.3g/㎥ですので、相対湿度が半分の50%の場合の水蒸気量は、17.3g/㎥×0.5=8.65g/㎥となります」という例も載っています。この8.65g/㎥という水分量を動かさずに、室温だけを変えたとき、湿度計が何%を指すかをまとめたのが次の表です。
| 室温 | 湿度計が示す相対湿度 | 空気中の水分量 |
|---|---|---|
| 10℃ | 約92% | 8.65 g/㎥ |
| 15℃ | 約67% | 8.65 g/㎥ |
| 20℃ | 50%(国交省の例) | 8.65 g/㎥ |
| 22℃ | 約45% | 8.65 g/㎥ |
| 25℃ | 約38% | 8.65 g/㎥ |
※ 相対湿度は、国立研究開発法人 建築研究所が公表している飽和水蒸気圧の式から算出しました。この式で求めた飽和水蒸気量は、国土交通省の公表値(6℃=7.3、8.7℃=8.65、20℃=17.3g/㎥)と一致します。名古屋大学 宇宙地球環境研究所の公表値(0℃=4.85、20℃=17.31g/㎥)とも一致することを確認しました。
10℃の部屋の湿度計は92%を指しますが、これを20℃まで暖めると50%まで落ちます。それでも部屋にある水分は8.65g/㎥のままで、1グラムも減っていません。国交省の資料も「含まれる水蒸気の量は変わりませんので」と書いているとおりです。
ここが「暖房に除湿効果があるのでは?」という疑問の出どころですね。減っているのは割合であって、水分そのものの量ではないのです。この整理が、後で出てくる結露の話にそのままつながります。
「暖房に除湿効果がある」は、今回確認した4社の資料には見つかりませんでした

では、メーカー自身はエアコンの暖房と除湿の関係をどう説明しているのでしょうか。ダイキン工業・三菱電機・パナソニック・日立の公式ページを実際に読んで探しました。
除湿は「空気を冷やして水にする」動作
ダイキン工業のよくあるご質問には、除湿の仕組みがはっきり書かれています。
室内機の熱交換器を冷やして、そこを通る空気の温度を下げて結露させることで除湿をしています
取り出した水分の行き先も、同社の解説コンテンツ「空気の学校」で説明されています。「その余った『水分』を集めて、エアコンにつながっているホースから部屋の外に出すんだ。」(ダイキン工業「空気の学校 冷房と除湿はどうちがう?」)とあり、集めた水はドレンホースを通って屋外へ捨てられます。
つまり除湿というのは、空気を冷たい熱交換器に当てて結露させ、水になった分を室外へ捨てるという一連の動作です。冷やすことが出発点になっています。一方の暖房は、室内機から温かい空気を出す運転です。空気を冷やして水を絞り出す動作と、空気を温める動作は方向が逆で、同じ運転で同時に成立するものではありません。
なお、リモコンによっては除湿以外に「ランドリー」「衣類乾燥」といった運転が用意されていることがあります。これらが通常の除湿運転とどう違うのかはエアコンのランドリーモードとは?メーカー別の呼び名と仕組みを解説で整理しているので、あわせて確認してみてください。
4社のページには、暖房の除湿効果は書かれていませんでした
今回確認したのは次のページです。
- ダイキン工業「空気の学校 冷房と除湿はどうちがう?」および よくあるご質問「除湿しない(ルームエアコン)」
- 三菱電機 よくあるご質問「除湿しても湿度が下がらないのですが?」
- パナソニック「冬のエアコン使用時の乾燥対策」
- 日立 白くまくんサポート「ランドリー除湿の機能について知りたいです。」
これらのページには、暖房運転に除湿効果があるという記述は見つかりませんでした。4社とも、湿度を下げる機能として案内しているのは除湿(ドライ)運転だけで、その原理はいずれも「冷やして結露させる」動作です。むしろパナソニックは、先ほど引用したとおり暖房について「部屋の中の水分量自体が変わらない」と書いていて、水分が減るとは説明していません。
日立の「暖房を組み合わせる」という書き方が、切り分けを教えてくれます
4社目の日立は、洗濯物を乾かすランドリー除湿について次のように説明しています。
外気温・室温・湿度を検知し、強力除湿で洗濯物を乾燥させます。
室温の低いときは暖房運転を組み合わせ、洗濯物を乾燥しやすくしますので、室温が上がることがあります。
ここは読み違えやすいところです。日立が書いているのは「暖房が除湿している」ではなく、「除湿運転に暖房を組み合わせる」。水分を取り除くのはあくまで除湿側の動作で、暖房側は室温を上げて相対湿度を下げ、洗濯物から水が蒸発しやすい状態をつくる役割です。ちなみにこのFAQにも「湿度調節はできません。」とあります。
ここで正直にお伝えしておきたいのですが、これは「エアコンメーカー各社が案内していない」という意味ではありません。今回の調査で確認できたのは上の4社のページだけで、シャープ・東芝・富士通ゼネラルの説明には到達できていません。あくまで「今回読んだ4社の範囲では見つからなかった」という結果としてお受け取りください。
除湿運転でも、狙った湿度になるとは限りません
ついでにもうひとつ、除湿運転そのものについて意外な事実があります。三菱電機は除湿の方式を2つに分けて説明しており、弱冷房方式については次のように書いています。
除湿運転開始時の室温から数℃低い温度を目標に弱い冷房運転を行うことで、少しずつ湿気を取り除く簡易的な除湿方式
湿度の値をコントロールすることはできません(成り行きとなります)
出典: 前掲 三菱電機 よくあるご質問
制御の考え方として読むと、「湿度を目標値にして調整しているのではなく、温度を目標に運転した結果として湿度が下がる」という意味になります。エアコンが見ているのは温度で、湿度はその副産物なんですね。もう一方の再熱除湿についても、同社は次のように注記しています。「運転開始時の室温があまり高くなかったり、部屋の断熱性能が高い場合には、湿度を下げるまえに、先に室温が必要以上に下がってしまうことがあります」
暖房中でも窓が結露するのは「露点温度」で説明できます

ここまでで「暖房中の部屋は乾く」という話をしてきました。ではなぜ、その乾いているはずの部屋で窓がびしょびしょになるのでしょうか。
結露は「表面温度が露点を下回る」と起きる
結露の条件は、サッシメーカーであるYKK APの技術基準ページに明快に書かれています。
結露が発生し始める温度を露点といい、下図の湿り空気線図で求めることができます。
温度(乾球温度)20°C、相対湿度60%の空気は、湿り空気線上の交点Aで示されます。この空気を冷却すると飽和状態(相対湿度100%)のB点に達し、露点温度は約12°Cとなります。
室温20℃・湿度60%の部屋なら、露点は約12℃。つまり部屋の中に12℃を下回る面があれば、そこに結露が出るということです。真冬の窓ガラスの表面温度は、外気に接している以上かなり低くなります。部屋の真ん中の空気が20℃で乾いていても、窓のところだけは条件が違うわけですね。
暖房を強めても、露点は変わりません
ここで最初の話が効いてきます。暖房で下がるのは相対湿度だけで、部屋の水分量そのものは変わりません。そして露点温度は、空気が含んでいる水分の量で決まります。
ということは、暖房を強くして室温を上げても、水分が同じ量そこにあるかぎり露点温度は動きません。窓の表面温度が露点を下回っていれば、暖房中でも結露します。「部屋が乾いているのに窓が濡れる」のは、矛盾しているようでいて同じ原理から導かれる結果なんですね。
先ほどの表の水分量8.65g/㎥の空気は、10℃まで冷やされると相対湿度が92%まで上がり、8.7℃で100%に達します。国土交通省の資料も、次のように説明しています。
「今、この20℃50%の空気を冷やして8.7℃にしたとすると、含まれる水蒸気の量は変わりませんので、相対湿度が100%となり(B)、これ以上水蒸気を含めない状態になります。」
部屋の湿度計が50%を指していても、窓ガラスの表面が8.7℃を下回っていればそこは100%ということですね。
「暖房なら結露しない」の裏付けは取れませんでした
ここが、この記事で一番お伝えしたかったところです。「暖房をつけていれば結露しない」「暖房は結露が起きにくい」という説明を見かけます。しかし今回確認したダイキン工業・三菱電機・パナソニック・日立の各ページ、YKK APの技術基準ページ、国土交通省の資料には、その趣旨の記述は見つかりませんでした。
結露対策として挙げられているのは、いずれも暖房ではありません。確認できた記述を並べます。
- 国土交通省「表面結露は、室内側の表面温度と室内の水蒸気量が問題で、窓ガラス面や暖房していない部屋の壁など、他より冷たい所に暖かく湿った空気が触れた時に、表面に現れる結露です。」
- 国土交通省「表面結露は、断熱性の高いガラスを使ったり、壁体内に断熱施工をし、表面温度を上げることで防ぐことができます。」(前掲「住宅の省エネルギー 設計と施工 2023」p.38)
- YKK AP「サッシ面または壁体面に表面結露を生じさせないためには、壁体面の温度低下率を低くし、飽和温度以下にならないようにします。」(前掲)
国の資料も建材メーカーの技術基準も、結露を「表面温度」と「水蒸気量」の2つで説明し、対策として挙げているのは断熱、つまり表面温度を上げることだけです。部屋の空気を暖めること、エアコンの暖房をつけることは、どちらにも対策として登場しません。手を入れるべきは窓そのものの冷たさであって、暖房の設定温度ではない、という整理になります。
なお国交省の文章に出てくる「暖房していない部屋の壁」は、結露が出やすい場所の例として挙がっているものです。裏返して「暖房している部屋なら結露しない」と読める記述があるわけではないので、そこは分けて考えてください。
また、内窓や断熱シートといった具体的な対策がどのくらい効くのかについては、今回の調査で数値の裏付けを取れていないため、この記事では踏み込みません。「窓の表面温度を上げる方向の対策がある」というところまでにとどめておきます。
冬の湿度は、加湿と除湿のどちらに寄せればいいのか
「暖房で乾く」と「暖房中に結露する」が同時に起きるので、加湿すべきか除湿すべきかで混乱しますよね。ここまでの整理を使うと、答えが出せます。
基本は加湿。ただし上げすぎない
パナソニックは冬の目安として「暖房時の室温は20℃、湿度は1年を通して40%〜60%」を挙げています。また「人にとって快適でカビやダニのリスクが抑えられるのは、40〜60%と言われています。」とも説明しています(前掲「冬のエアコン使用時の乾燥対策」)。暖房で相対湿度が下がりすぎるなら、方向としては加湿です。
一方で、同社の加湿機に関するページには次の注意もあります。
加湿しすぎるとまた結露が生まれるという悪循環が生まれてしまいます。結露を防ぐには、気温に合わせて湿度を調整する必要があるのです。
加湿は部屋の水分量そのものを増やす行為です。水分が増えれば露点温度も上がります。露点が上がるということは、それまで結露していなかった窓でも結露し始めるということですね。ここが「加湿すると結露する」の正体です。
つまり冬の湿度管理は、乾燥しすぎと結露のあいだの幅を狙う作業です。同社は「湿度の上げすぎは結露やカビなどの発生にもつながりかねないので、湿度計を確認しながら使うようにしましょう」と書いています。これは、この幅を目で見て確かめるためですね。
暖房中に除湿運転を使うと何が起きるか
「結露が嫌だから冬も除湿運転を回そう」と考える方もいると思います。ただ、ここまで見てきたとおり除湿は熱交換器を冷やす動作です。冬の室内でこれを回せば、室温は下がる方向に働きます。三菱電機が「部屋の断熱性能が高い場合には、湿度を下げるまえに、先に室温が必要以上に下がってしまうことがあります」と書いているのは、まさにその話です。
寒くなった部屋を暖め直すために暖房を強める、という堂々巡りになりやすく、冬の結露対策として除湿運転に頼るのは筋が悪いと言えます。窓の表面温度を上げる、加湿しすぎない、の2方向で考えるほうが理屈に合っています。
湿度計を持っていないなら、まずそこから
ここまでの話は、すべて「今の室温と湿度がいくつか」がわかって初めて判断できます。逆に言えば、その2つがわかれば十分です。YKK APの例で言えば20℃・60%で露点は約12℃ですから、「今日の窓は危ないかもしれない」という見当がつきます。
なお「湿度何%以下なら結露しない」という一律の基準は、今回の調査では見つかりませんでした。窓の表面温度は住まいごとに違うので、一般化した閾値は出せないのだと思います。
エアコンの暖房と除湿についてよくある質問
エアコンの暖房と除湿を同時に使えますか?
ダイキン工業の説明では、除湿は熱交換器を冷やして空気を結露させる動作です。空気を温める暖房とは動作の方向が逆になるため、ひとつの運転として同時に成立するものではありません。リモコンの運転モードでも、エアコンの暖房と除湿は別々に用意されています。
暖房中に窓が結露するのは故障ですか?
窓の結露は、窓ガラスの表面温度が露点温度を下回ることで起きる現象です(YKK AP)。エアコン側の不具合ではなく、室内の水分量と窓の冷たさの関係で決まります。室内機から水が垂れる、といった別の症状であれば、そちらは点検の対象になります。
除湿運転をすれば結露は止まりますか?
部屋の水分量が減れば露点温度も下がるので、理屈のうえでは結露しにくくなる方向です。ただし三菱電機の弱冷房方式の説明にあるとおり、除湿運転は「湿度の値をコントロールすることはできません(成り行きとなります)」。狙った湿度まで下げられる前提では考えないほうがよく、冬は室温が下がる副作用もあります。
暖房の設定温度を上げれば結露しにくくなりますか?
室温を上げても部屋の水分量は変わらないため、露点温度は変わりません。窓の表面温度が露点を下回っていれば結露します。今回確認したメーカー・建材メーカーの資料にも、暖房で結露を防げるという説明はありませんでした。
冬に加湿器を使うと結露しますか?
加湿は部屋の水分量を増やす行為なので、露点温度が上がり、結露は起きやすくなります。パナソニックも「加湿しすぎるとまた結露が生まれるという悪循環」と注意しています。湿度計で40〜60%の範囲を確認しながら使うのが、同社の案内している考え方です。
この記事のまとめ
- 暖房で湿度計の数字が下がるのは、水分が減ったからではなく、温度が上がって受け皿(飽和水蒸気量)が大きくなったから(三菱電機・パナソニック)
- 除湿は「熱交換器を冷やして結露させ、水を屋外に出す」動作で、暖房とは方向が逆(ダイキン工業)
- 今回確認したダイキン工業・三菱電機・パナソニック・日立の4社のページに、暖房運転に除湿効果があるという記述は見つからなかった。シャープ・東芝・富士通ゼネラルは未確認
- 結露は窓の表面温度が露点温度を下回ると起きる。20℃・60%なら露点は約12℃(YKK AP)
- 暖房を強めても水分量が同じなら露点は変わらないので、暖房中でも結露する。「暖房なら結露しない」の裏付けは取れなかった
- 冬は加湿の方向。ただし加湿しすぎると露点が上がって結露するため、湿度計で40〜60%を確認しながら使う(パナソニック)
冬のエアコンで起きていることは、「部屋全体は乾き、窓際だけは冷えて水が出る」という一見ちぐはぐな状態です。相対湿度と露点という2つのものさしを分けて持てば、加湿すべきか止めるべきかの判断がぶれなくなります。今日から湿度計の数字を、ぜひ窓の様子とセットで見てみてください。

