こんにちは、エアコンラボのアキです。
エアコンの臭いで検索すると、質問サイトや掲示板の書き込みが山ほど出てきます。「送風を1時間回せば取れる」「洗浄スプレーで一発」「16℃で運転すれば消える」「重曹で洗える」。読めば読むほど、どれを信じればいいのか分からなくなりますよね。
そこでこの記事では、ネット上でよく語られている5つの対処法を取り上げて、それぞれがメーカーの公式情報や公的機関の公表資料で裏づけられるのかを、1つずつ確かめました。書き込みそのものを紹介する記事ではありません。書き込みで語られている「やり方」が本当に成立するのかを検証する記事です。
- ネットでよく見る5つの対処法と、一次情報で確認できた結果の対照表
- 送風運転の「◯分で取れる」がなぜメーカーによってバラバラなのか
- 「冷房16℃×1時間」の元になっていると思われる公式の案内と、抜け落ちている条件
- 洗浄スプレー・アルコール・自力でのファン洗浄について各社が書いていること
- 掃除したのに臭いが戻る場合に、次に確認する場所

ネットの対処法5つを、メーカー公式で照らし合わせた結果
最初に結論をまとめます。検証に使ったのは、メーカー各社のFAQ・お手入れ案内、業界団体である日本冷凍空調工業会、そして製品事故を集めている製品評価技術基盤機構(NITE)の公表資料だけです。質問サイトや掲示板の書き込みは、根拠としては一切使っていません。「そう語られている」という出発点としてだけ扱っています。
「ネットの主張」と「一次情報」の対照表
| ネットでよく語られる主張 | 一次情報で確認できたこと | 結果 |
|---|---|---|
| 送風運転を◯分すれば臭いが取れる | 各社が公表しているのは「内部を乾かす」ための時間。同時に5社が「すでに発生したカビやニオイは除去できない」と明記 | 半分だけ正しい |
| 市販の洗浄スプレーで解決する | ダイキン・三菱電機・日立がそろって使わないよう案内。日本冷凍空調工業会も業者への依頼を求めている | 否定できた |
| 16℃で1時間運転すれば臭いが消える | 三菱電機に近い案内はあるが「窓を開けて」「軽減されることがあります」。16℃という数字は見つからず | 条件付きで一部正しい |
| 酢・重曹・アルコールで洗える | 品名での記述は確認できないが、シャープの取扱説明書が「酸性・アルカリ性洗剤」を使わないものに挙げている(酢は酸性、重曹水は弱アルカリ性)。アルコールはNITEが明確に禁止 | 否定できた |
| 業者に頼まなくても自分でファンまで洗える | 日立が「分解を伴うため、お客様ご自身で掃除ができません」と明記 | 否定できた |
「確認できなかった」も、そのまま書いています
検証してみて意外だったのは、ネットで語られている手順の多くが、肯定も否定もされていないという点でした。メーカーは自社が想定した使い方については細かく書いていますが、想定外の薬剤や道具については、そもそも言及していないことが多いのです。
この記事では、そういうものは「効果がない」とも「危険だ」とも書かず、確認できなかったとだけ書きます。断定できないことを断定するのが、いちばん読者の役に立たないと考えているからです。
検証1・「送風運転を◯分すれば臭いが取れる」は本当か
まず、いちばんよく見かける主張から確かめます。結論を先に言うと、時間の数字はメーカーごとに大きく違い、しかもその時間は「臭いを取る」ためのものではありませんでした。
メーカーが公表している乾燥運転の時間はバラバラ
各社の公式FAQに書かれている時間を並べると、次のようになります。同じ「エアコン内部を乾かす」目的でも、ここまで幅があります。
| メーカー | 機能・運転 | 公表されている時間 | 公式に書かれている条件 |
|---|---|---|---|
| 日立 | 内部クリーン | 約60分間 | 冷房・除湿・涼快の運転停止後に自動で作動 |
| 日立 | 内部送風乾燥運転 | 約2時間 | 冷房・除湿・涼快の運転停止後に自動で作動 |
| 日立 | 手動の送風運転 | 冷房運転後は約1時間、オフシーズン前は半日ほど(約6時間程度) | 送風ボタンがない機種は設定温度を32℃にして冷房運転 |
| ダイキン | 内部クリーン | 約80〜140分 | タイマーやスマートフォンで停止したときは作動しない |
| 富士通ゼネラル | 内部クリーン | 約90〜100分 | 冷房・除湿を10分以上運転したとき。切タイマー・おやすみタイマー設定時は働かない |
| 三菱電機 | 送風(空清)運転 | 5〜6時間 | 内部クリーンが搭載されていない機種の場合 |
日立はエアコンの内部を乾燥したいです。というFAQで、送風運転で内部が乾燥する目安を「冷房運転後:約1時間」「オフシーズン前:半日ほど(約6時間程度)」と示しています。一方で三菱電機はエアコンの風がにおうで、内部クリーンが搭載されていない機種について「送風(空清)運転を5〜6時間ほど行うことで内部を乾かすことができます」と案内しています。
つまり「送風◯分」という数字は、機種と目的によって1時間から6時間まで開きがあります。ネットで見かける「30分でいい」「1時間で十分」という数字が、どのメーカーのどの条件を指しているのかは、書き込みからは分かりません。ご自宅の機種の取扱説明書を見るのが、いちばん確実です。
「取れる」のではなく「これ以上増やさない」
ここが今回いちばん大事なポイントです。乾燥運転について、各社は次のようにはっきり書いています。
- 富士通ゼネラル:「すでに発生してしまった カビやニオイは、内部クリーンでは除去できません」
- ダイキン:「すでに発生してしまった カビやニオイは、内部クリーンでは除去できません」
- シャープ:「すでに発生したカビは内部清浄運転では取れません」
- 日立:「発生したカビを凍結洗浄で除去することはできません」
- パナソニック:「生えてしまったカビを除去する機能ではありません」(内部クリーンの動作を「送風自動」に変更した場合はカビの成長を抑制する効果)
富士通ゼネラルの内部クリーンとはどのような機能ですか?には、内部クリーンが「室内機内部(熱交換器・送風ファン・送風路)を乾燥させ、カビや雑菌の繁殖を抑制する機能」だと書かれています。抑制であって、除去ではありません。
パナソニックのエアコンの清潔・お掃除 かんたんガイドでは、ナノイーXを使う内部クリーンについて、試験機関での検証結果としてカビ菌が99%除去されたことを示したうえで、注記に「生えてしまったカビを除去する機能ではありません」と添えています。試験条件は室温25℃・湿度70%の試験室(約6畳)で、1日3時間の冷房運転後に内部クリーンを動作させ、試験前と4日後を比較したものです。除菌と、目に見えるカビの除去は別のことだと、メーカー自身が線を引いているわけです。
ですから「送風したのに臭いが消えない」のは、あなたのやり方が悪いわけでも、機械が壊れているわけでもありません。送風運転はもともと、そこまでを担当する機能ではないのです。
意外な落とし穴・乾燥運転が働かない設定がある
もう一つ、ネットの書き込みではほとんど触れられない話があります。設定によっては、乾燥運転がそもそも動いていないことがあるのです。
- 富士通ゼネラル:「就寝時は、『切タイマー』または『おやすみタイマー』を設定すると、内部クリーン運転は働きません」
- ダイキン:「タイマー、スマートフォンで停止したときは、自動内部クリーンは行ないません」「留守エコ『入』設定で停止したときは、自動内部クリーンは行ないません」
- ダイキン:「暖房や送風運転では内部クリーンには入りません」(冷房・除湿の停止後に作動する)
- 富士通ゼネラル:冷房・除湿を10分以上運転しないと、停止後の内部クリーンが動作しない
寝るときに切タイマーを使う習慣がある方は、この条件にそのまま当てはまります。「毎晩ちゃんと内部クリーンしているのに臭う」と感じている場合、実は一度も動いていなかった可能性があるということです。ここは、ご自宅のリモコン設定を一度見直す価値があると思います。
送風モードのボタンがない機種でも、代用の方法が公式に案内されています。日立は「設定温度を最高温度(32℃)にして冷房運転をすると、送風と同じ運転をおこないます」、三菱電機は「設定温度を31℃で冷房運転を行うことで送風運転となります」としています。ただし両社とも、室温がその設定温度を超えていると通常の冷房運転になってしまう点に注意を促しています。
検証2・「冷房16℃を1時間で臭いが消える」は本当か
いわゆる「16℃×1時間」も、非常によく見かける方法です。これについては、近い内容の案内がメーカー公式に実在しました。ただし、ネットで流通している形からは重要な条件が2つ抜け落ちています。
公式にあるのは「窓を開けて、十分に低い設定温度で1時間程度」
三菱電機のFAQには、次のように書かれています。「窓を開けて、冷たい風が出るような十分に低い設定温度で1時間程度冷房運転すると、熱交換器やドレンパンに付着して残ったニオイ成分が結露水に溶け込み洗い流されて、ニオイが軽減されることがあります」。
仕組みとしては筋が通っています。低い温度で冷房すると熱交換器に大量の結露水ができ、その水に臭いの成分が溶けて、ドレンホースから外へ流れ出るという理屈です。ここは検証の結果、一次情報で裏づけられた数少ない方法でした。
抜け落ちている条件と、誇張されている効果
そのうえで、ネット版との違いを3つ挙げます。
- 「16℃」という数字は、確認した範囲のメーカー公式には出てきませんでした。書かれているのは「冷たい風が出るような十分に低い設定温度」です。何℃にすべきかは機種によりますし、最低設定温度が16℃でない機種もあります。
- 「窓を開けて」が前提条件です。密閉した部屋で運転する方法としては案内されていません。日立も送風で乾燥させる場合について「天気が良い、カラッと晴れた日に、窓を開けて換気をしながらおこなうと、より効果があります」としています。
- 効果は「軽減されることがあります」であって、「消える」ではありません。断定していない書き方を、メーカーはあえて選んでいます。
三菱電機は、この方法に注意も添えています。「屋外が高湿度(80%以上)のときに窓を開けて長時間(1時間以上)運転すると、室内機に露が付き、滴下して家財や床などをぬらし、汚損の原因になることがあります」。対策として、室内機の下にビニールシートなどを設置して防水するよう案内されています。梅雨どきや雨の日に試すなら、この一手間は省かないほうがよさそうです。臭いが天気で変わる理由についてはエアコンの臭いが雨の日や夕方だけ強い理由でも触れています。
検証3・「スプレーや重曹で自分で洗える」は本当か

ここは検証というより、答えが出そろっていた項目でした。市販の洗浄スプレーについては、主要メーカーと業界団体が、ほぼ同じ表現で使わないよう案内しています。
各社が実際に書いている文言
| 出典 | 書かれている内容 |
|---|---|
| ダイキン | 「市販の洗浄スプレーは、使用しないでください」「誤った方法で洗浄すると、部品の破損による水漏れや 電気部品の故障などを引き起こし、最悪の場合は発煙発火につながるおそれがあります」 |
| 三菱電機 | 「市販の洗浄スプレーのご使用はお控えください」「内部部品の破損による水漏れや電気部品の故障などを引き起こすことがあります」 |
| 日立 | 「市販の洗浄スプレーは、エアコンの故障の原因となるため、使用しないでください」「市販の洗浄剤や殺虫剤をかけることによって親水性コーティングが剥がれてしまい、排水経路の詰まりや水漏れの原因になる可能性があります」 |
| 日本冷凍空調工業会 | 「エアコンの内部洗浄は、高い専門知識を有する業者に依頼をしてください」「最悪の場合は、発煙・発火につながる恐れがあります」 |
| NITE(製品評価技術基盤機構) | 「消毒用アルコールなどの可燃性の溶液や次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部の掃除をするのはやめてください」 |
日立の指摘は特に具体的です。市販の洗浄スプレーでエアコンのお手入れはできますか?では、洗浄剤が内部に残ることで「樹脂部品の破損・内部部品の劣化・電気部品の絶縁不良」が起き、発煙・発火につながる恐れがあること、さらに親水性コーティングが剥がれて排水経路の詰まりや水漏れの原因になることまで書かれています。つまりスプレーの問題は「効くか効かないか」ではなく、そのあとに別のトラブルを呼び込む点にあるわけです。
酢と重曹は、品名では出てきませんが「液性」で止められていました
「酢で拭けばカビが落ちる」「重曹水で洗える」という話は、ネットではよく見かけます。「酢」「重曹」という品名を挙げた記述は、今回読んだメーカーのFAQ・業界団体・公的機関の資料には見当たりませんでした。ただし取扱説明書のPDFまで読み直したところ、品名ではなく液性で線が引かれていることが分かりました。
シャープのルームエアコン(家庭用)取扱説明書は、お手入れの注意として「次のものは使わない(変色・変形・傷の原因)」の一覧に、シンナー・ベンジン、みがき粉、消臭剤と並べて「漂白剤・酸性・アルカリ性洗剤」を挙げています(シャープ ルームエアコン(家庭用)取扱説明書 J-Sシリーズ)。富士通ゼネラルも「台所用合成洗剤(中性)以外は使わないでください」としています。酢は酸性、重曹水は弱アルカリ性ですから、どちらもこの指定から外れます。効き目の話ではなく、使ってよい洗剤の範囲の話として答えが出ていました。
ただし、判断材料になる周辺の記述はあります。日本冷凍空調工業会は業者向けの注意として「洗浄剤は、樹脂材(プラスチック)をおかさない適正なものを使用すること」を挙げています。洗浄剤には「エアコンの素材を傷めないこと」という条件がある、という考え方です。台所用として売られているものが、その条件を満たすかどうかは、少なくとも公表資料からは確認できませんでした。
一方、アルコールについてははっきりしています。NITEはエアコンの内部洗浄による事故に注意で、消毒用アルコールなどの可燃性の溶液や、次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部を掃除しないよう明記しています。ここは「確認できなかった」ではなく、明確に否定されています。
実際に何が起きているのか(公表されている事故の数)
NITEが公表している数字も見ておきます。2015年度から2019年度までの5年間で、NITEに通知されたエアコンの事故は合計263件、うち火災が244件、死亡事故が6件(7名)。そのうち誤った内部洗浄方法による火災事故は、2019年度までの5年間に20件発生しています。
事故の内容も具体的に書かれています。「エアコンを洗浄した際、エアコンの内部配線端子部分に洗浄液が付着したため、端子部でトラッキング現象が発生し、異常発熱が生じて出火する事故が発生した」。トラッキング現象とは、付着したほこりや水分によって電気の通り道ができ、異常発熱する現象のことです。NITEは再現映像も公開しており、エアコン内部に洗浄液がかかりトラッキング現象で発火では、開始から34秒で電気部品からスパークが出て、1分18秒で出火する様子が記録されています。
ファンは「分解を伴うため、自分では掃除できない」
「業者に頼まなくても、送風ファンまで自分で洗える」という主張についても確認しました。日立の室内機のファンの汚れを取りたいです。には、はっきりこう書かれています。「室内機のファンのお手入れは分解を伴うため、お客様ご自身で掃除ができません」。
できるかどうかの話ではなく、メーカーが利用者の作業範囲としていないという書き方です。同社は「エアコンをお手入れしたいです。」でも、風向板の奥にある吹き出し口や熱交換器など内部については自身で行わないよう案内しています。ダイキンも熱交換器について、自分で清掃するとアルミの板が折れ曲がったり電気部品の故障につながったりする可能性があるとして、専門業者への依頼を勧めています。ファン周りの詳しい話はエアコン中のローラー掃除で失敗しない完全ガイドにまとめています。
もし過去に自分で内部を洗ってしまったことがある方は、日立が挙げている4つの症状を確認してみてください。「焦げ臭いにおいがする」「設定や操作ができない」「異常な振動や音がする」「水漏れや水飛びする」。これらが見られる場合は、直ちに使用を中止し、電源プラグを抜いたうえで修理相談窓口に点検を依頼するよう案内されています。特に焦げくさいにおいについては、日立は別のFAQでも「火災のおそれがあるため、すぐにご使用を中止し」と書いています。
検証4・掃除したのに臭いが戻るのはなぜか

「掃除したのに数日で戻る」という悩みも、ネットで非常に多く語られています。ここまでの検証結果を並べると、その理由はかなりはっきりします。
掃除できる範囲と、臭いの出どころがずれている
日立が公式に案内している「自分でお手入れできる箇所」と「業者に依頼する箇所」を整理すると、次のようになります。
| 場所 | 公式に案内されている扱い |
|---|---|
| 本体の外装・フロントパネル | 柔らかい布でからぶき(フロントパネルは水洗いしない) |
| 上下風向板(フラップ・ルーバー) | 裏側を手で支えながら柔らかい布で拭く |
| エアフィルター | 掃除機やスポンジでほこりを取り、汚れがひどければ中性洗剤で洗って室内で陰干し |
| ホコリキャッチャー・ダストボックス | 掃除機でほこりを取ってから水洗いし、室内で陰干し |
| 室外機まわり | 吸い込み口をふさぐほこりやゴミを定期的に確認 |
| 吹き出し口の奥・熱交換器・送風ファン | 自身では行わず、業者や販売店に相談 |
並べてみると分かりますが、自分で手入れできるのは、空気の入口と出口だけです。三菱電機は臭いの成分について「室内の空気と一緒に壁やじゅうたん、家具、衣類などにしみこんだニオイの成分をエアコン内部に吸込みます。室内のニオイの成分がエアコンに吸い込まれ熱交換器などに付着し、これが運転時にニオイとして出てきます」と説明しています。付着先は熱交換器であり、そこは利用者の作業範囲の外です。
パナソニックも、比較的大きなほこりはフィルターで捕まえられるものの、微細なものはフィルターの網目を通り抜けて熱交換器に付着し、付着したほこりや油分がカビの栄養源になることがあると説明しています。フィルターを完璧に洗っても、通り抜けたぶんは奥に残り続けるという構造です。
フィルターを乾かさずに戻すと、逆に増やしてしまう
もう一つ、掃除の直後に悪化するパターンについても公式の説明があります。ダイキンはエアコン掃除の困りごとと対処法で、「フィルターを水洗いした後の乾燥が不十分なまま取り付けると、雑菌が繁殖し、カビや不快なニオイの原因になるので注意しましょう」と書いています。日立も、中性洗剤で洗ったあとは室内で陰干しして十分に乾かすこと、直射日光に当てると劣化して破れることを案内しています。
掃除の頻度についても目安があります。ダイキンは「シーズン中のフィルター掃除は2週間に1回のペースで行いましょう」とし、1年間掃除をしないと約25%もの電気代が余計にかかるという検証結果を示しています(フィルター掃除をした場合1,145kWh、しない場合1,432kWhで算出、1年後のホコリ量は2gで試算)。日立も、フィルターサインがない機種は2週間に1回程度を目安とし、ほこりを取り除くことで約5〜10%の省エネ効果が期待できると案内しています。臭い対策としてだけでなく、電気代の面でも効いてくる部分です。
臭いが強く出るタイミングには理由がある
「朝つけた瞬間だけ強い」という感じ方にも、公式の説明があります。三菱電機は「エアコン内部に付着したニオイの成分は、主に熱交換器が乾燥した状態から結露した状態に変化するときや、逆に結露した状態から乾燥した状態に変化するときに、空気中に多く放出されます」としています。
つまり運転を始めた直後と、止めた直後が、いちばん出やすいタイミングだということです。ずっと運転していると気にならないのに、つけ始めだけ臭う、という体験はこれで説明がつきます。汚れが増えたわけではなく、放出のタイミングに当たっているだけ、という場合もあるわけです。
そもそもエアコン内部が原因ではないケース

内部をどれだけ手入れしても変わらない場合、原因が排水側にあることもあります。日立はエアコン(室内機)のにおいが気になります。で、排水のにおいが発生しやすい条件を3つ挙げています。
- ドレンホースの排出先に排水溝がある
- 排水を受けているバケツの水が古くなっている
- 排水のしくみが集合排水になっている
三菱電機も「ドレンホースの室外側先端が排水溝などに入っていると、ドレンホース内部を排水溝のニオイが伝わり室内に侵入することがあります」と同じ趣旨を書いています。ホースの位置を変えられるなら変える、においの原因になるものが置いてあるなら取り除く、というのが公式の案内です。マンションなどで集合排水かどうか分からない場合は、管理会社に確認するよう案内されています。
ちなみに日立は、購入直後のにおいについても分けて説明しています。エアコンには「アルミ・銅・プラスチックなどの科学的に安定した材料が使われており、これらが異臭を発生させることはありません」としたうえで、新品特有のプラスチックや塗料のにおいはしばらく使ううちに軽減するものの、1週間ほど使用しても改善しない場合は点検を相談するよう案内しています。
エアコンの臭い対策に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 結局、送風運転は何分やればいいですか?
A. お使いの機種の取扱説明書に従うのが正解です。参考として、日立は送風運転で内部が乾燥する目安を冷房運転後で約1時間、オフシーズン前で半日ほど(約6時間程度)としています。三菱電機は内部クリーン非搭載機について送風(空清)運転を5〜6時間としています。ただしどちらも目的は「乾かすこと」であり、すでに発生したカビやにおいを取る運転ではない点にご注意ください。
Q2. 内部クリーンを毎回使っているのに臭います。故障ですか?
A. 故障とは限りません。富士通ゼネラル・ダイキン・シャープ・日立・パナソニックはいずれも、すでに発生したカビやにおいは内部クリーン系の運転では除去できないと公表しています。また、切タイマーやおやすみタイマーで停止した場合、スマートフォンで停止した場合など、内部クリーンが作動しない条件もあります。まずはリモコンの設定を確認してみてください。
Q3. 洗浄スプレーを一度使ってしまいました。どうすればいいですか?
A. 日立は、自分で洗浄を実施したあとに「焦げ臭いにおいがする」「設定や操作ができない」「異常な振動や音がする」「水漏れや水飛びする」のいずれかが見られる場合、直ちに使用を中止し、電源プラグを抜いたうえで修理相談窓口に点検を相談するよう案内しています。特に焦げくさいにおいは火災のおそれがあるとして、すぐに使用を中止するよう求められています。
Q4. 重曹や酢なら、市販のスプレーより安全ではないですか?
A. すすめられません。「酢」「重曹」という品名を挙げた記述は今回も見当たりませんでしたが、シャープのルームエアコン取扱説明書は使わないものとして「漂白剤・酸性・アルカリ性洗剤」を挙げており、富士通ゼネラルは「台所用合成洗剤(中性)以外は使わないでください」としています。酢は酸性、重曹水は弱アルカリ性です。あわせて、日本冷凍空調工業会が業者向けに「洗浄剤は、樹脂材(プラスチック)をおかさない適正なものを使用すること」を挙げている点が参考になります。なお消毒用アルコールと次亜塩素酸ナトリウムについては、NITEが使わないよう明確に案内しています。
Q5. 賃貸なのですが、業者に頼む前に確認することはありますか?
A. 集合住宅の場合、日立は排水のしくみが集合排水かどうかを管理会社に確認するよう案内しています。排水口がにおう場合も、管理会社や専門業者に相談するよう書かれています。エアコン本体が備え付け設備である場合の費用の扱いも含めて、先に管理会社へ相談しておくと手戻りが少なくなります。
まとめ・ネットの対処法との付き合い方
今回、ネットでよく語られる5つの方法を一次情報と突き合わせてみました。分かったのは、まったくのデタラメはほとんどなく、ほとんどが「元になった公式情報から、条件だけが抜け落ちた形」で広まっているということでした。
- 送風運転:内部を乾かす運転として公式に案内されている。ただし時間は約1時間〜6時間と幅があり、すでに発生したカビやにおいは除去できないと5社が明記している
- 低温での冷房1時間:三菱電機に近い案内が実在する。ただし「窓を開けて」が前提で、効果は「軽減されることがあります」。16℃という数字は公式に見当たらない
- 市販の洗浄スプレー:ダイキン・三菱電機・日立・日本冷凍空調工業会が使わないよう案内。否定できた
- 酢・重曹:品名での記述は確認できなかったが、シャープの取扱説明書が「酸性・アルカリ性洗剤」を使わないものに挙げていた。アルコールと次亜塩素酸ナトリウムはNITEが明確に否定
- 自力でのファン洗浄:日立が「分解を伴うため、お客様ご自身で掃除ができません」と明記。否定できた
やることの優先順位も、この検証からそのまま決まります。まず、リモコンの設定を確認して乾燥運転が本当に動いているかを見る。次に、2週間に1回を目安にフィルターを掃除し、乾かしてから戻す。ここまでで変わらなければ、原因は自分で手が届かない場所にあります。
その段階まで来たら、三菱電機が書いているとおり「上記箇所を点検実施しても解決しない場合は内部洗浄をおすすめします」という判断になります。日本冷凍空調工業会も、内部洗浄は高い専門知識を有する業者に依頼し、買い上げの販売店やメーカーのサービス窓口に相談すると安心だとしています。内部クリーン運転中の暑さが気になる方はエアコン内部クリーン時に暑い対策ガイドもあわせてどうぞ。
ネットの書き込みは、困っている人が実際に困っている証拠です。そこから出発するのは悪いことではありません。ただ、次の一歩を決めるときだけは、その機種を作った会社が何と書いているかを見てみてください。あなたの部屋の空気が、また気持ちよく吸えるものに戻りますように。

