こんにちは、エアコンラボのアキです。
「200V(200ボルト)のエアコンは電気代が安い」「いや、200Vにすると倍かかる」。どちらの説明もよく見かけますが、根拠として具体的な機種名と数字が出ていることは、ほとんどありません。
そこで今回は、メーカーが公表している仕様表だけを使って確かめました。同じシリーズ・同じ定格能力で、電源だけが100Vと200Vに分かれている機種を3メーカー4組ぶん探し出し、期間消費電力量やAPFを横に並べています。さらに、国(経済産業省・資源エネルギー庁)の省エネ型製品情報サイトに登録されているエアコン全機種から、100V機と200V機が対になっている102組を機械的に抜き出して照合しました。結論を先に決めず、公表値が示すとおりに書きました。
- 電源だけが違う機種の公表値が、実際にどれだけ違うのか(機種名つき)
- 「200Vのほうが期間消費電力量が少ない」組は本当にあるのか
- 電気料金の計算式に電圧が出てくるのか
- なぜ大きい能力の機種は200Vになるのか
- 100Vから200Vへ替えるとき、資格や契約はどうなるのか

まず、電気料金の計算に「電圧」は出てくるのか
機種の比較に入る前に、料金の側から確認しておきます。ここが誤解の出発点になっているように思うからです。
料金の内訳は「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」
資源エネルギー庁の「月々の電気料金の内訳」には、「月々の電気料金は、契約容量で決まる基本料金と、使用電力量に応じて計算する電力量料金に、再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えた合計です」と書かれています。電力量料金は使用電力量に基づいて算定し、そこに燃料費調整額を加減する、とも説明されています。
つまり、料金を決めるのは契約容量と使った電力量(kWh)です。同じページのどこにも「100Vの電気は1kWhあたり何円、200Vの電気は何円」という区分は出てきません。電圧別の単価表という考え方自体が、家庭向けの料金の仕組みには登場しないわけです。料金メニューや燃料費調整額そのものの詳しい話はエアコンの電気代と電力会社の記事にまとめてありますので、契約そのものを見直したい方はそちらをご覧ください。
100Vも200Vも、法令が定める「標準電圧」
そもそも200Vは特別な電気ではありません。電気事業法施行規則の第38条(電圧及び周波数の値)は、維持すべき電圧の値を次の表で定めています(e-Gov法令検索・電気事業法施行規則)。
| 標準電圧 | 維持すべき値 |
|---|---|
| 百ボルト | 百一ボルトの上下六ボルトを超えない値 |
| 二百ボルト | 二百二ボルトの上下二十ボルトを超えない値 |
100Vは101V±6V、200Vは202V±20Vという意味です。どちらも法令上の標準電圧として並記されていて、一方が「業務用」「特殊」という扱いではありません。IHクッキングヒーターや電気温水器で200Vが使われるのも、この枠組みの中の話です。
電気代の実体は電力量(kWh)です。電力量は「消費電力(W)×使用時間」で決まり、消費電力は「電流(A)×電圧(V)」で決まります。電圧が2倍なら電流が半分でも同じ消費電力になる、というだけの関係で、電圧が上がれば電力量も増える、という関係ではありません。
電源だけが違う4組を、公表値で並べてみました
ここからが本題です。比較の条件をそろえるため、同じメーカー・同じシリーズ・同じ発売年・同じ定格冷房能力で、電源だけが100Vと200Vに分かれている機種だけを対象にしました。シリーズが違えばグレードも違い、年式が違えば測定基準の版が違う可能性があるためです。
三菱電機 霧ヶ峰 Zシリーズ:公表値が1つも違わない
いちばんはっきりしていたのが三菱電機です。霧ヶ峰 Zシリーズ(2026年モデル)の製品ページには、2.8kWクラスと3.6kWクラスに、それぞれ100V機と200V機が並んでいます。
| 項目 | MSZ-ZW2826 | MSZ-ZW2826S | MSZ-ZW3626 | MSZ-ZW3626S |
|---|---|---|---|---|
| 電源 | 単相100V/20A | 単相200V/15A | 単相100V/20A | 単相200V/15A |
| 冷房能力(範囲) | 2.8kW(0.6〜4.2) | 2.8kW(0.6〜4.2) | 3.6kW(0.6〜4.3) | 3.6kW(0.6〜4.3) |
| 冷房消費電力(範囲) | 580W(105〜990) | 580W(105〜990) | 820W(105〜1,130) | 820W(105〜1,130) |
| 暖房能力(範囲) | 3.6kW(0.6〜6.9) | 3.6kW(0.6〜6.9) | 4.2kW(0.6〜6.9) | 4.2kW(0.6〜6.9) |
| 暖房消費電力(範囲) | 710W(105〜1,980) | 710W(105〜1,980) | 910W(105〜1,980) | 910W(105〜1,980) |
| 低温暖房能力(外気温2℃) | 5.4kW | 5.4kW | 5.4kW | 5.4kW |
| 期間消費電力量 | 768kWh | 768kWh | 1,032kWh | 1,032kWh |
| APF | 6.9 | 6.9 | 6.6 | 6.6 |
| 省エネ基準達成率 | 104% | 104% | 100% | 100% |
電源の行以外、1つも違いません。能力の可変範囲も、消費電力の下限・上限も、低温暖房能力も同じです。電源が100Vか200Vかという違いだけでは、公表される省エネ性能はまったく動かないということが、この2組からそのまま読み取れます。
シャープ Vシリーズ:冷房は完全一致、暖房の上限だけ違う
次はシャープです。Vシリーズ(2026年モデル)の仕様ページに、冷房定格4.0kW・主に14畳で電源だけ違う2機種があります。
| 項目 | AY-T40V | AY-T40V2 |
|---|---|---|
| 室外機 | AU-T40VY | AU-T40V2Y |
| 電源 | 単相100V-20A | 単相200V-15A |
| 冷房能力(範囲) | 4.0kW(0.9〜4.4) | 4.0kW(0.9〜4.4) |
| 冷房消費電力(範囲) | 1280W(160〜1730) | 1280W(160〜1730) |
| 暖房能力(範囲) | 5.0kW(0.9〜6.3) | 5.0kW(0.9〜7.0) |
| 暖房消費電力(範囲) | 1450W(160〜2000) | 1450W(160〜2330) |
| 低温暖房能力(外気温2℃) | 4.7kW | 5.1kW |
| 期間消費電力量 | 1,544kWh | 1,455kWh |
| APF | 4.9 | 5.2 |
| 省エネ基準達成率 | 74% | 78% |
冷房は能力も消費電力も、定格値から可変範囲まで完全に同じです。暖房も定格能力5.0kW・定格消費電力1450Wまでは同じ。違うのは暖房の最大側だけで、最大能力が6.3kWから7.0kWへ、最大消費電力が2000Wから2330Wへ、低温暖房能力が4.7kWから5.1kWへ広がっています。室外機の品番もAU-T40VYとAU-T40V2Yで別です。
期間消費電力量は1,544kWhに対して1,455kWhで、200V機のほうが89kWh少ない。同じ数値は前年のUシリーズ(AY-U40V/AY-U40V2)の仕様ページにも載っていて、2年続けて同じ差になっています。
パナソニック エオリア Xシリーズ:200V機のほうが116kWh少ない
差がもっと大きかったのがパナソニックです。エオリア Xシリーズ(2026年モデル)の仕様には、冷房定格4.0kW・冷房時おもに14畳用が100V機と200V機の2種類あります。
| 項目 | CS-X406D | CS-X406D2 |
|---|---|---|
| 室外機 | CU-X406D | CU-X406D2 |
| 電源 | 単相100V | 単相200V |
| 冷房能力(範囲) | 4.0kW(0.2〜5.4) | 4.0kW(0.3〜5.8) |
| 冷房消費電力(範囲) | 960W(65〜1,460) | 830W(90〜1,800) |
| 暖房能力(範囲) | 5.0kW(0.2〜7.1) | 5.0kW(0.4〜11.5) |
| 暖房消費電力(範囲) | 1,160W(80〜1,980) | 950W(110〜4,000) |
| 低温暖房能力(外気温2℃) | 5.6kW | 9.0kW |
| 冷媒(R32)封入量 | 0.87kg | 1.15kg |
| 消費電力量の目安 冷房時 | 333kWh | 297kWh |
| 消費電力量の目安 暖房時 | 849kWh | 769kWh |
| 期間合計 | 1,182kWh | 1,066kWh |
| APF | 6.4 | 7.1 |
| 省エネ基準達成率 | 96% | 107% |
200V機のほうが期間合計で116kWh少なく、定格冷房消費電力も960Wから830Wへ下がっています。「200Vのほうが安い」の実例と言えなくもありません。ただし同じ表には、暖房の最大能力が7.1kWから11.5kW、低温暖房能力が5.6kWから9.0kW、冷媒封入量が0.87kgから1.15kgへ増えていることも並んでいます。この1.15kgという封入量は、同じ表の1つ上のクラスであるCS-X566D2(期間合計1,655kWh)と同じ値です。
つまりCS-X406D2は「CS-X406Dを200Vで動かした機種」ではなく、ひとまわり大きい室外機を積んだ別の機種だと読むのが素直です。効率がよくなっているのは、電圧が上がったからではなく、余裕のある機械を定格4.0kWで使っているからだと考えられます。
4組をどう読むか
4組を並べると、次のように整理できます。
- 三菱電機の2組(MSZ-ZW2826/ZW2826S、MSZ-ZW3626/ZW3626S)は、電源以外の公表値がすべて同一。電圧だけを変えても数値は動かなかった
- シャープ(AY-T40V/AY-T40V2)とパナソニック(CS-X406D/CS-X406D2)の2組は、200V機のほうが期間消費電力量が89kWh・116kWh少ない
- ただしその2組は、暖房の最大能力・最大消費電力・低温暖房能力・室外機品番(・冷媒封入量)まで違う。電圧だけの違いではない
- メーカーのページから集めたこの4組には、200V機のほうが期間消費電力量が多かった組はありませんでした。ただし後述のとおり、国のデータベースまで広げると逆向きの組が実在します
- 「電圧を上げると同じ運転が効率よくなる」と書いた一次情報は、今回の調査では見つけられませんでした
国のデータベースで広げると、200V機のほうが多い組もありました
メーカーの製品ページだけを見ていると、100V/200Vで対になっている機種はそう多く見つかりません。そこで、経済産業省・資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトで、エアコン(目標年度2027)の登録機種を型番と電源電圧つきで洗い出してみました。省エネ法の届出に基づく国のデータベースなので、メーカーのウェブページに数値が載っていない機種も同じ書式で並んでいます。
そこから「型番の末尾にSが付くだけの100V機/200V機の対」を抜き出すと、大半は公表値が完全に一致していました。ところが1シリーズだけ、200V機のほうが期間消費電力量が多い組が見つかりました。三菱電機の寒冷地向け「ズバ暖霧ヶ峰」KXVシリーズです。
| 項目 | MSZ-KXV2826(100V) | MSZ-KXV2826S(200V) |
|---|---|---|
| 冷房能力/冷房消費電力 | 2.8kW/580W | 2.8kW/580W |
| 暖房標準能力/暖房消費電力 | 4.0kW/890W | 4.0kW/890W |
| 低温暖房能力(外気温2℃) | 5.5kW | 6.0kW |
| 期間消費電力量 | 854kWh | 883kWh |
| APF | 6.2 | 6.0 |
| 省エネ基準達成率 | 100% | 96% |
| 多段階評価点 | 2.4 | 2.2 |
| 年間の目安電気料金(国の公表値) | 23,100円 | 23,800円 |
| 仕様 | 寒冷地仕様 | 寒冷地仕様 |
冷房能力も冷房消費電力も、暖房の標準能力も消費電力も同じ。違うのは低温暖房能力が5.5kWから6.0kWへ上がっていることと、期間消費電力量が29kWh多いこと(年間の目安電気料金で700円の差)です。同じ関係は2024年モデル・2025年モデルのMSZ-KXV2824/2824S、MSZ-KXV2825/2825Sでも同じ数値で続いていました。
ここでも読み取れることは、シャープ・パナソニックの組と同じです。電圧が変わったから数値が動いたのではなく、200V側だけ寒いときの暖房能力を伸ばしてあるから、その分だけ年間の消費電力量も増えている。つまり200Vは「安くなる仕掛け」でも「高くなる仕掛け」でもなく、100Vでは取り出せない電力を必要とする機械を載せるための入れ物だ、ということです。
電気代の金額に直すとどうなるかも書いておきます。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトが試算に使っている電気の料金単価31円/kWh(出典は令和4年7月・全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価)を、上の期間消費電力量にそのまま掛けると、シャープの組は47,864円と45,105円で差が2,759円、パナソニックの組は36,642円と33,046円で差が3,596円、三菱電機の2.8kWクラスは両機種とも23,808円で差はゼロになります。
この金額は「公表されている期間消費電力量 × 31円/kWh」というだけの計算です。期間消費電力量はJIS C 9612:2013に基づく共通条件(東京モデル・冷房27℃/暖房20℃・1日18時間など)で測った値なので、実際の住まいでの請求額とは一致しません。測定条件そのものについてはエアコン2台の電気代の記事で詳しく扱っています。
では、なぜ大きい能力の機種は200Vなのか

三菱電機の例で電圧そのものは効率に効かないのなら、なぜ大きいクラスはこぞって200Vなのでしょうか。ここは電流の制約で説明がつきます。
1つの回路から取り出せる電力には上限がある
パナソニックの「知っておきたい電気の基礎知識」には、電流(A)×電圧(V)=電力(W)という関係と、「一般的なコンセントは15Aまでです。一般家庭用の電圧は100Vです。ですから、一つのコンセントで合計1500Wまで使うことができます」「一般的なブレーカーは20Aです。(中略)ですから、一つの回路で合計2000Wまで使うことができます」という説明が載っています。
この式をそのまま当てはめると、取り出せる電力の上限は次のようになります。
| 電源 | 電流×電圧 | 取り出せる電力の上限 |
|---|---|---|
| 単相100V 15A | 15A×100V | 1,500W |
| 単相100V 20A | 20A×100V | 2,000W |
| 単相200V 15A | 15A×200V | 3,000W |
| 単相200V 20A | 20A×200V | 4,000W |
公表値の「最大消費電力」に、その上限がそのまま見えています
おもしろいのは、この上限が仕様表の数字と見事に対応していることです。
- シャープAY-T40V(単相100V-20A)の暖房最大消費電力は2000W。100V×20Aの上限ちょうどで頭打ちになっています
- 同じ機械の200V版であるAY-T40V2(単相200V-15A)は2330Wまで伸びています
- 三菱電機MSZ-ZW3626(単相100V/20A)とMSZ-ZW3626S(単相200V/15A)は、どちらも暖房最大1,980W。同じ機械なので、200Vにしても上限は変わりません
- 1つ上のMSZ-ZW4026S(単相200V/20A)になると暖房最大3,500W、期間消費電力量1,146kWh。100V/20Aの2,000Wでは足りない領域です
- パナソニックCS-X406D2(単相200V)の暖房最大は4,000Wで、100V機のCS-X406Dは1,980Wどまりです
大きい能力の機種が200Vなのは、200Vだと電気代が安いからではなく、100Vのままでは必要な電力を1回路から取り出せないから、という順番だと考えると、公表値の並びと矛盾しません。
14畳クラスにも100V機はあります
「14畳以上は必ず200V」と書かれていることがありますが、公表値を見るかぎりそこまで単純ではありません。
- シャープAY-T40V(冷房4.0kW・主に14畳)は単相100V-20A
- パナソニックCS-X406D(冷房4.0kW・冷房時おもに14畳用)は単相100V
- 富士通ゼネラルのnocria Cシリーズ(2026年モデル)の仕様でも、AS-C406Tは単相100V(200Vになるのは1つ上のAS-C566T2から)
一方で、同じ4.0kWでも三菱電機の霧ヶ峰Zシリーズは200V機(MSZ-ZW4026S)だけ、というようにメーカーとシリーズで扱いが分かれます。畳数だけで決めつけず、買おうとしている機種の仕様表の「電源」欄を見るのが確実です。どの能力クラスを選ぶべきかという話はエアコン2台の電気代の記事で扱っています。
家庭用は「単相200V」。三相200V(動力)とは別ものです
200Vと聞いて工場の動力電源を思い浮かべる方もいますが、ルームエアコンで言う200Vは単相200Vです。
形名で見分けられます
三菱電機のFAQ「電源(100Vか200V)を確認する方法を教えてください」には、形名の読み方がこう書かれています。
- 電源項目に「S」がつくエアコンは単相200V
- 記載のないエアコンは単相100V
- 「D」もしくは「T」がつくエアコンは三相200V(動力)だが、現在の三菱のルームエアコン・住宅設備用エアコンに該当する機種はない
この記事で見てきたMSZ-ZW2826SやMSZ-ZW3626Sの末尾「S」が、まさに単相200Vを表す記号だったわけです。シャープの「AY-T40V2」やパナソニックの「CS-X406D2」の末尾の「2」も、100V機と200V機を区別するための記号として使われています。
三相200Vがまったく存在しないわけではありません。パナソニックの住宅設備用エアコンには室外三相電源タイプがあり、電源は三相200V、電源プラグの欄は「室外機直結タイプ(三相200V)」と書かれています。ただしこれは室外機に直結する住宅設備向けのモデルで、量販店で買って自分でコンセントに挿すタイプの製品とは別の系統です。
コンセントとプラグの形は4種類
三菱電機の「失敗しない!エアコン選びと設置のポイント」には、単相100V 15A・単相100V 20A・単相200V 15A・単相200V 20Aの4種類について、コンセント形状・プラグ形状・表示マークが図で並べられています。同じページには「プラグやコンセントの形状、表示マークも確認しましょう。エアコン用のコンセントがない場合や形状が異なる場合は、工事が必要になります」と書かれています。
ゼネラルの「エアコンの上手な選び方」にも同じ4種類のプラグ形状が示されていて、「100Vと200Vの誤接続を防止するため、電源プラグの形状が新しく規格化されています」と説明されています。形が違うのは、うっかり違う電圧につないでしまわないようにするためです。コンセントまわりで気をつけることはエアコンと延長コードの記事とエアコンの漏電の記事で詳しく扱っています。
契約アンペアと、100Vから200Vへ替えるときの話
最後に、200Vを選ぶときに実際に確認が必要になる点をまとめます。ここは私の実務範囲ではないので、メーカーと法令が公表している内容の範囲にとどめます。
単相3線式では、ブレーカーが実電流の2倍で検出する
メーカーが200Vについて注意喚起しているのは、電気代ではなく契約容量のほうです。ゼネラルの「エアコンの上手な選び方」には、次のように書かれています。
「単相200V機種の運転電流は、単相3線式の家屋では、配線方式(回路)の特性上、実際の電流値の2倍の値で検出されます。したがって、200V機種はブレーカーで検出される値が実運転電流の2倍の値になることと、ご契約電気容量をご確認の上機種をお選びいただきますようお願い致します。ご契約電気容量については、最寄りの電力会社へお問い合わせ下さい」
「200Vにすると流れる電流が半分になるからブレーカーが落ちにくい」という説明を見かけますが、少なくともこのメーカーは、単相3線式ではブレーカーの検出値が実運転電流の2倍になるとして、契約電気容量の確認を求めています。契約に余裕があるかどうかは、電力会社に確認するのが確実です。
基本料金は契約容量で決まる
先ほどの資源エネルギー庁の説明のとおり、基本料金は契約容量で決まります。200Vの機種にしたこと自体で単価が変わるわけではありませんが、大きい能力の機種を入れれば同時に使う電力は増えるので、契約容量の見直しが必要になる可能性はあります。ここは「電圧を上げたから安くなる/高くなる」ではなく、「どれだけの能力の機械を、どんな契約で使うか」という話だと整理しておくと分かりやすいと思います。
切替工事は電気工事士でなければできません
いちばん大事な点です。100Vのコンセントを200Vに替える作業は、自分でやってはいけません。電気工事士法の第3条第2項には、次のように定められています(e-Gov法令検索・電気工事士法)。
「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない」
同法第1条は「電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与すること」を目的として掲げていて、第14条では第3条の規定に違反した者を「三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金に処する」と定めています。免状の種類は第一種と第二種の2種類で、いずれも都道府県知事が交付します(第4条)。
どの作業が資格の要る「電気工事」に当たり、どこからが政令で定める軽微な工事なのかは条文だけでは判断がつきません。この記事では手順は一切書きません。分電盤やコンセントに手を入れる話になったら、販売店か電気工事店に相談してください。ちなみに三菱電機もゼネラルも、コンセントの形状が違う場合は工事が必要、詳しくは販売店に相談、という案内にとどめています。
200Vエアコンの電気代に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 結局、200Vにすると電気代は安くなりますか?
A. 「200Vにしたから安くなる」とは言えません。三菱電機の霧ヶ峰ZシリーズでMSZ-ZW2826(単相100V/20A)とMSZ-ZW2826S(単相200V/15A)を比べると、期間消費電力量768kWh・APF6.9・省エネ基準達成率104%まですべて同じでした。3.6kWクラスのMSZ-ZW3626とMSZ-ZW3626Sも1,032kWh・APF6.6で同一です。一方でシャープAY-T40V/AY-T40V2やパナソニックCS-X406D/CS-X406D2のように200V機のほうが期間消費電力量が少ない組もありますが、その2組は暖房の最大能力や室外機の品番まで違っており、電圧だけの差ではありません。逆に、三菱電機のズバ暖霧ヶ峰KXVシリーズ(MSZ-KXV2826/KXV2826S)のように、200V機のほうが期間消費電力量が29kWh多い組もあります。安くも高くもなりうる、というのが公表値の答えです。
Q2. 200Vの電気は1kWhあたりの単価が違うのですか?
A. 資源エネルギー庁の「月々の電気料金の内訳」では、料金は契約容量で決まる基本料金と、使用電力量に応じた電力量料金、再エネ賦課金の合計と説明されていて、電圧別の単価という区分は出てきません。電気事業法施行規則第38条でも、100Vと200Vはどちらも標準電圧として並記されています。
Q3. 「200ワット」と「200ボルト」は同じ意味ですか?
A. まったく別の単位です。200V(ボルト)は電源の電圧で、コンセントとプラグの形が単相100V 15A・単相100V 20A・単相200V 15A・単相200V 20Aの4種類に分かれています。200W(ワット)は消費電力で、その瞬間に使っている電気の量です。たとえば三菱電機MSZ-ZW2826の冷房消費電力は定格580W、可変範囲は105〜990Wと公表されていて、この範囲の中を運転状況に応じて動きます。電気代に効くのはワット側の数字と使用時間です。
Q4. 自分でコンセントを200Vに切り替えてもいいですか?
A. やめてください。電気工事士法第3条第2項は、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業は電気工事士免状の交付を受けた者でなければ従事してはならないと定めており、違反した場合は第14条で三月以下の拘禁刑または三万円以下の罰金と規定されています。三菱電機もゼネラルも、コンセントの形状が違う場合は工事が必要で詳しくは販売店に相談、という案内にとどめています。
Q5. 賃貸でも200Vにできますか?
A. 建物の配線や分電盤の仕様によります。工事が必要になる以上、まずは管理会社や大家さんの許可が要りますし、ゼネラルが案内しているとおり契約電気容量の確認も必要です。判断材料をそろえる意味でも、購入前に販売店へ「今のコンセントの形状」を伝えて相談するのが早道だと思います。
まとめ 電圧ではなく、載っている機械の大きさを見る
今回は「200Vのエアコンは電気代が安いのか」を、公表値だけで確かめました。分かったことを整理します。
- 電源だけが違う三菱電機の2組(MSZ-ZW2826/ZW2826S、MSZ-ZW3626/ZW3626S)は、期間消費電力量もAPFも省エネ基準達成率も完全に同一だった
- シャープAY-T40V/AY-T40V2は89kWh、パナソニックCS-X406D/CS-X406D2は116kWh、200V機のほうが少なかった。ただし暖房の最大能力・低温暖房能力・室外機品番まで違う別の機械だった
- 逆に、省エネ型製品情報サイト(国のデータベース)まで広げると、三菱電機のズバ暖霧ヶ峰KXVシリーズのように200V機のほうが期間消費電力量が29kWh多い組(MSZ-KXV2826 854kWh/MSZ-KXV2826S 883kWh)も実在した。ここでも違っていたのは電圧ではなく低温暖房能力(5.5kW→6.0kW)
- 電気料金の内訳に電圧という項目はなく、100Vも200Vも法令上の標準電圧
- 大きい能力が200Vなのは、100V×20A=2,000Wでは必要な電力を取り出せないため
- 切替は電気工事士の資格が必要で、契約電気容量の確認も要る
機種を選ぶときに見るべきなのは、電源の欄そのものよりも、期間消費電力量とAPFです。同じ畳数の目安でも、シャープAY-T40Vの1,544kWhとパナソニックCS-X406D2の1,066kWhのように、公表値には大きな幅があります。電圧の数字に気を取られず、仕様表の省エネ情報を並べて比べてみてください。

