こんにちは、エアコンラボのアキです。
「テレビをつけっぱなしにしていると電気代がすごいことになりそう」と思って慌てて消したのに、エアコンは平気でつけっぱなし……そんな経験はありませんか。エアコンとテレビ、どちらが電気代に効いているのかは、感覚ではなかなか判断できません。
そこでこの記事では、私が自分で計算した数字ではなく、資源エネルギー庁・業界団体・メーカーが公表している値だけを使って比べていきます。あわせて、エアコンとテレビの「年間◯kWh」という数字はそもそも測り方がまったく違うという、比較の前に知っておくべき前提もお伝えします。
- 家庭で使う電気のうち、エアコンとテレビが占める割合(夏と冬の公表値)
- エアコンの期間消費電力量とテレビの年間消費電力量の測定条件の違い
- メーカーが公表している実際の数値で比べるとどうなるか
- テレビの消費電力が画面サイズ・パネル種類でどう変わるか
- テレビの発熱や待機電力について、一次情報で確認できたこと・できなかったこと

家庭で使う電気のうち、エアコンとテレビはどれくらいか
まず全体像からです。資源エネルギー庁は毎年、家庭向けの「省エネメニュー」というリーフレットを公開していて、そこに家庭における電気の使用割合が載っています。夏と冬で別々に出ているので、順番に見ていきましょう。
夏の19時頃はエアコンが38.3%、テレビ・DVDは8.2%
資源エネルギー庁の夏季の省エネメニュー(家庭・本州・四国・九州)には、「家庭における電気の使用割合(夏の点灯帯:19時頃)」として次の数字が示されています。
| 用途 | 割合(夏の点灯帯:19時頃) |
|---|---|
| エアコン | 38.3% |
| 照明 | 14.9% |
| 冷蔵庫 | 12.0% |
| テレビ・DVD | 8.2% |
| 炊事 | 7.8% |
| 待機電力 | 4.0% |
| 給湯 | 3.1% |
| 洗濯機・乾燥機 | 1.8% |
| パソコン・ルーター | 0.7% |
| 温水便座 | 0.3% |
| その他 | 8.8% |
エアコンが38.3%、テレビ・DVDが8.2%ですから、夏の夕方に限っていえばエアコンはテレビの4倍以上を占めていることになります。
冬の1日間は暖房が32.7%、そのうちエアコンは17.0%
一方、冬は同じシリーズの冬季の省エネメニュー(家庭)に「家庭における電気の使用割合(冬季の1日間)」が載っています。暖房が32.7%で最大、冷蔵庫14.9%、給湯12.6%、その他9.4%、照明9.2%、炊事7.8%、待機電力5.5%、テレビ・DVDが4.2%、洗濯・乾燥機2.2%、パソコン・ルーター0.9%、温水便座0.6%という構成です。
注目したいのは、この資料が暖房32.7%の内訳まで示している点です。
- エアコン:17.0%
- 電気ストーブ:8.0%
- こたつ:3.8%
- 電気カーペット:2.1%
- その他:1.8%
つまり冬でも、エアコン単体で17.0%とテレビ・DVDの4.2%の約4倍です。夏ほど極端ではないものの、順位は変わりません。
この2つのグラフは「測り方」が違うので単純に並べない
ここで大事な注意点があります。夏の数字は「夏の点灯帯:19時頃」という特定の時間帯を切り取った割合で、冬の数字は「冬季の1日間」という1日を通した割合です。同じ資源エネルギー庁の資料でも集計の前提が違うので、「夏は38.3%、冬は17.0%だからエアコンは夏のほうが2倍以上電気を食う」といった読み方はできません。
ポイント
夏(点灯帯19時頃)はエアコン38.3%・テレビ・DVD8.2%、冬(1日間)はエアコン17.0%・テレビ・DVD4.2%。どちらの集計でも、エアコンはテレビの約4倍です。ただし夏と冬のグラフは集計方法が異なるため、夏と冬の数字どうしを直接引き算・割り算するのは適切ではありません。
エアコンとテレビの「年間◯kWh」は測り方がまったく違う
カタログを見ると、エアコンには「期間消費電力量」、テレビには「年間消費電力量」という数字が書かれています。どちらも単位はkWh(キロワットアワー)で年間の値ですが、測定の前提はまるで別物です。ここを知らずに数字だけ並べると、比較を間違えます。
エアコンはJIS C 9612:2013で「1日18時間・東京・木造住宅」
エアコンの期間消費電力量の算出条件は、日本冷凍空調工業会と資源エネルギー庁の省エネ性能カタログ2025年版の双方に、JIS C 9612:2013に基づくものとして次のように明記されています。
- 外気温度:東京をモデルとしている
- 冷房期間:5月23日〜10月4日/暖房期間:11月8日〜4月16日
- 室内設定温度:冷房時27℃/暖房時20℃
- 使用時間:6:00〜24:00の18時間
- 住宅:平均的な木造住宅(南向き)
- 部屋の広さ:冷房能力に見合った広さの部屋
つまりエアコンの数字は「東京の木造住宅で、冷房期間と暖房期間に毎日18時間つけっぱなしにした場合」という、かなり使い込む前提の値です。カタログには地域補正の係数も載っていて、通年の目安電気料金は東京を1.0としたとき札幌3.1、盛岡2.4、大阪1.1、那覇0.6と、住む地域で大きく変わることが示されています。
テレビは省エネ法で「1日5.1時間視聴+18.9時間待機」
一方テレビは、電子情報技術産業協会(JEITA)がガイドラインの改定を告知したページで、2021年5月14日の省エネ法改正により測定条件が変わったことを説明しています。主な変更点は次のとおりです。
- 対象機器に有機ELテレビを追加(ブラウン管テレビ・プラズマテレビは対象外に)
- 消費電力の測定時に、輝度条件を新たに設定
- 1日の平均視聴時間を5.1時間に変更(旧基準は4.5時間。追加された0.6時間は録画視聴およびネット視聴時間分)
- 目標年度:2026年度(旧基準は2012年度)
- 区分:4区分(旧基準は64区分)。液晶2K未満/液晶2K以上4K未満/液晶4K以上/有機EL
JEITAが公開しているテレビ省エネ性表示についてのガイドライン本体には、カタログでの説明文の例として「省エネ法に基づいて、1日あたり5.1時間の平均視聴時間/18.9時間の待機時間(電子番組表取得時間を含む)で算出した、一年間に消費する電力量です」という表現が示されています。HDDを内蔵するテレビでは、1日の平均録画時間(視聴時0.4時間+待機時0.4時間)も算入されます。
| 項目 | エアコン(期間消費電力量) | テレビ(年間消費電力量) |
|---|---|---|
| 根拠 | JIS C 9612:2013 | 省エネ法(トップランナー制度) |
| 1日の想定使用時間 | 6:00〜24:00の18時間 | 視聴5.1時間+待機18.9時間 |
| 対象期間 | 冷房5/23〜10/4・暖房11/8〜4/16 | 1年間(通年) |
| 環境の前提 | 東京の外気温・木造住宅(南向き) | 輝度条件を規定(2021年改正で新設) |
| 設定の前提 | 冷房27℃/暖房20℃ | 1日1台あたりの平均視聴時間 |
| 目標年度 | 2027年度 | 2026年度 |
使用時間だけ見ても18時間と5.1時間ですから、約3.5倍の開きがある土俵で測られた数字を並べていることになります。エアコンのほうが大きく出るのは、性能の差だけが理由ではないのです。
電力量料金の単価は27円/kWhと31円/kWhの2つが公式に出回っている
もうひとつ厄介なのが単価です。同じ資源エネルギー庁の資料でも、2種類の単価が使われています。
- 27円/kWh(税込):省エネ性能カタログ2025年版・統一省エネラベルの目安電気料金。電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」の直近3年分の平均値(小数点第1位を四捨五入)
- 31円/kWh:省エネポータルサイトの算出根拠ページで使われている金額換算係数。令和4年7月 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価(税込)
実際、まったく同じ省エネ効果でも金額表示は変わります。「外気温度31℃のとき、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合(使用時間9時間/日)」の効果は年間30.24kWhですが、これを省エネポータル(31円/kWh)は約940円、省エネ性能カタログ2025年版(27円/kWh)は約820円と書いています。数字が違って見えても、どちらも間違いではありません。
◆アキのワンポイントアドバイス
ネットで「エアコンの電気代は1時間◯円」という記事を見かけたら、まず単価が何円/kWhで、いつ時点のものかを探してみてください。そこが書かれていない試算は、条件を変えればいくらでも数字を動かせてしまいます。この記事では、単価は必ず出典と時点をセットで書くようにしています。
メーカーの公表値で比べるとどれくらい差があるのか
測定条件の違いを踏まえたうえで、実際の製品の公表値を見てみましょう。ここでは条件をそろえるため、同じメーカー(シャープ)の同時期のモデルで、エアコンとテレビの仕様ページに書かれている数字を並べます。
エアコンは6畳用でも630kWh、10畳用で802kWh
シャープのエアコン Rシリーズの仕様ページには、機種ごとの期間消費電力量が掲載されています。いずれも通年エネルギー消費効率(APF)6.6、省エネ基準達成率100%、目標年度2027年の機種です。
| 機種 | 畳数 | 期間消費電力量 | 冷房の能力/消費電力 | 暖房の能力/消費電力 |
|---|---|---|---|---|
| AY-U22RS | 6畳 | 630kWh | 2.2kW/450W(110〜880W) | 2.2kW/410W(80〜1310W) |
| AY-U25RS | 8畳 | 717kWh | 2.5kW/500W(110〜970W) | 2.8kW/600W(80〜1490W) |
| AY-U28RL | 10畳 | 802kWh | 2.8kW/580W(110〜980W) | 3.6kW/780W(90〜1480W) |
| AY-U36RL | 12畳 | 1,032kWh | 3.6kW/825W(120〜1400W) | 4.2kW/1000W(110〜2000W) |
| AY-U40RL2 | 14畳 | 1,146kWh | 4.0kW/965W(120〜1700W) | 5.0kW/1100W(110〜3390W) |
| AY-U56RL2 | 18畳 | 1,681kWh | (冷暖房能力は仕様ページ参照) | |
括弧内の数字は消費電力の可変範囲です。10畳用のAY-U28RLなら冷房時は110W〜980Wの間で動きます。エアコンは室温と設定温度の差に応じて能力を変えるため、同じ機種でも約9倍の幅で消費電力が動くのがテレビとの大きな違いです。
テレビは65V型でも135〜146kWh
同じシャープのテレビ、AQUOS X9Aライン(量子ドット/mini LEDの液晶)とAQUOS S9Aライン(有機EL)の仕様ページには、目標年度2026年度基準の省エネ法に基づく年間消費電力量が載っています。65V型で見ると、液晶のX9Aが135kWh/年、有機ELのS9Aが146kWh/年です。
10畳用エアコンの802kWhと、65V型液晶テレビの135kWhを並べると、およそ5.9倍の差があります。ただし繰り返しになりますが、エアコンは冷暖房期間に1日18時間、テレビは1日5.1時間視聴+18.9時間待機という別々の前提で測った値どうしの比較です。「同じ条件で使ったら6倍」という意味ではありません。
省エネ性能カタログに載っている「目安電気料金」で見る
金額に直すときは、私が勝手に掛け算するのではなく、カタログが公表している式と単価を使います。省エネ性能カタログ2025年版は、エアコンもテレビも「年間の目安電気料金(円)=消費電力量(kWh)×27(円/kWh)」と定義し、有効数字3桁で表示するとしています。
カタログには、金額まで印刷された例が載っています。
- エアコン 冷房能力2.2kW(6畳の目安)、APF7.4・省エネ基準達成率112%:期間消費電力量562kWh、目安電気料金15,200円
- エアコン 冷房能力2.8kW(10畳の目安)、同じAPF7.4・達成率112%:期間消費電力量716kWh、目安電気料金19,300円
- テレビ(統一省エネラベルの表示例、達成率75%):年間消費電力量48kWh/年、1年間(1日に5.1時間)使用した場合の目安電気料金1,300円
- 電気冷蔵庫(表示例、達成率112%):年間消費電力量249kWh/年、目安電気料金6,720円
この式を先ほどのシャープの機種に当てはめると、10畳用エアコンAY-U28RLの802kWhは約21,700円、65V型液晶テレビ4T-65X9Aの135kWhは約3,650円(いずれも27円/kWh・有効数字3桁)になります。同じ単価・同じ式で計算しても、エアコンとテレビでは年間の目安が1万8千円ほど違うという関係です。
テレビの消費電力は画面サイズとパネルでどう変わるか

「大画面に買い替えたら電気代が上がるのでは」という不安はよく聞きます。ここも公表値で確認しましょう。
同じシリーズならサイズが大きいほど増える
省エネ性能カタログ2025年版は「一般的に、テレビサイズが大きくなる、あるいは複数の機能を備えるほど、年間消費電力量は大きくなります」と説明しています。シャープの仕様ページの数字も、確かにそうなっています。
| ライン(パネル) | 機種 | サイズ | 年間消費電力量 | 定格消費電力(待機時) | 省エネ基準達成率 |
|---|---|---|---|---|---|
| X9A(量子ドット/mini LED・液晶) | 4T-75X9A | 75V型 | 150kWh/年 | 約350W(0.5W) | 116% |
| 4T-65X9A | 65V型 | 135kWh/年 | 約286W(0.5W) | 108% | |
| 4T-55X9A | 55V型 | 116kWh/年 | 約218W(0.5W) | 106% | |
| S9A(有機EL) | 4T-77S9A | 77V型 | 181kWh/年 | 約707W(0.5W) | 182% |
| 4T-65S9A | 65V型 | 146kWh/年 | 約477W(0.5W) | 156% | |
| 4T-55S9A | 55V型 | 122kWh/年 | 約404W(0.5W) | 130% | |
| 4T-48S9A | 48V型 | 108kWh/年 | 約229W(0.5W) | 108% |
液晶のX9Aは55V型の116kWhから75V型の150kWhへ、有機ELのS9Aは48V型の108kWhから77V型の181kWhへと、サイズが上がるほど増えています。それでも最大の181kWhですら、先ほどの6畳用エアコン630kWhの3分の1以下です。
経済産業省の省エネルギー小委員会に提出された資料「テレビジョン受信機の現状について」でも、画面サイズが年間消費電力量に与える影響が回帰分析で示されており、32V型以上では1インチあたり6.6kWh(現行基準)から3.7kWh(2017年製品)へ改善したと報告されています。19V型以上32V型未満では2.0kWhから1.4kWhです。同じ資料は「年間消費電力量はいずれのサイズ区分においても2008年度以降減少傾向であるが、2014年度以降は一転して増加傾向で推移している。近年の画面サイズの大型化がエネルギー消費量の増大要因の一つであると考えられる」とも述べています。
定格消費電力の差ほど、年間消費電力量は変わらない
この表でいちばん誤解を招きやすいのが「定格消費電力」の列です。65V型どうしを比べると、液晶のX9Aが約286W、有機ELのS9Aが約477Wで、約1.7倍の差があります。ところが年間消費電力量は135kWhと146kWhで、差は約1.08倍しかありません。
理由は測定の根拠が違うからです。シャープの仕様ページの注記によれば、定格消費電力は電気用品安全法に基づいて算出した値で、年間消費電力量は省エネ法に基づき平均視聴時間5.1時間を基準に算出した値です。定格消費電力は「その機器が使いうる電力の目安」であって、いつもその電力で動いているわけではありません。
液晶と有機ELは省エネ基準の区分が違うので達成率では比べられない
もうひとつ注意したいのが省エネ基準達成率です。65V型では有機ELのS9Aが156%、液晶のX9Aが108%となっていますが、これは有機ELのほうが省エネという意味ではありません。JEITAの説明どおり、テレビの区分は「液晶2K未満」「液晶2K以上4K未満」「液晶4K以上」「有機EL」の4区分に分かれており、省エネ性能カタログ2025年版も「パネル種類と画素数により分けられた区分ごとに、それぞれ目標基準値算定式が設定されています」と書いています。区分が違えば基準値そのものが違うので、達成率の数字だけを横に並べても意味がないのです。
ポイント
テレビを比べるときに使える数字は年間消費電力量(kWh/年)です。定格消費電力(W)は電気用品安全法に基づく別の値、省エネ基準達成率(%)はパネル区分ごとの基準に対する割合なので、いずれも異なる区分の製品どうしを比べる物差しにはなりません。
テレビの発熱と待機電力について、確認できたこと
「テレビの熱でエアコンの効きが落ちるのでは」「待機電力はどれくらいなのか」という疑問についても調べました。ここは、確認できたことと確認できなかったことを分けてお伝えします。
テレビの発熱がエアコンの電気代を上げるという一次情報は見つからなかった
結論から言うと、テレビの発熱がエアコンの消費電力をどれだけ増やすかを数値で示した公的機関・メーカーの資料は、今回の調査では見つけられませんでした。ですので、この記事では「テレビをつけているとエアコン代が◯円上がる」という書き方はしません。
一方で、室内の熱源が冷房の効きに影響しうること自体は、メーカーが書いています。日立の「よく冷えない/冷たい風が出てきません。」というFAQには、「部屋が冷えないと感じる原因には、外気温の急上昇や猛暑の継続、または室内に大勢の人がいたり熱器具を使用したりするなどの冷房能力を超える熱源があることで、冷えるまでの時間が長くなることがあります」と書かれています。ただしここで挙げられているのは「大勢の人」と「熱器具」であって、テレビを名指ししたメーカーの記述は確認できませんでした。
同じFAQは、エアコンが吸い込んだ空気が設定温度に達すると「サーモオフ」という仕組みで自動的に運転を停止すること、家具などで空気の流れが妨げられるとエアコン周辺だけが冷えて部屋全体が冷えていなくても運転が弱まることも説明しています。効きが気になるときは、テレビの熱を疑う前にこちらを確認したほうが確実です。
待機電力は家庭全体の4.0〜5.5%
待機電力については、先ほどの省エネメニューに割合が載っていました。夏の点灯帯(19時頃)で4.0%、冬季の1日間で5.5%です。テレビ・DVDの8.2%(夏)・4.2%(冬)と比べても、決して無視できない大きさだとわかります。
製品単位では、シャープのAQUOS X9A・S9Aはいずれのサイズでも待機時消費電力0.5Wと表示されています。資源エネルギー庁の省エネポータルサイト「エンターテイメント」も、テレビについて「消すときは主電源をOFFに。リモコン待ち状態でも電力を消費しています。旅行など、長期不在の時はプラグを抜くようにしましょう」と案内しています。省エネ性能カタログ2025年版も同様に、長期間使用しないときは主電源をOFFにするか電源プラグを抜くことで、リモコン信号を受けるための待機時電力を節約できるとしています(ただし番組表の自動ダウンロードや予約録画ができなくなる機種があるとの注意書き付きです)。
節電の効果は、公表値でもエアコン側が大きい
では、どちらの使い方を見直すほうが効くのか。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトには、テレビ・エアコンそれぞれの省エネ効果が同じ31円/kWhの換算で並べて公表されています。
| 機器 | 省エネ行動と条件 | 年間の省エネ量 | 金額(31円/kWh) |
|---|---|---|---|
| テレビ | 1日1時間、50V型液晶を見る時間を減らす | 28.87kWh | 約895円 |
| テレビ | 50V型液晶の画面の輝度を1割下げる | 18.73kWh | 約581円 |
| エアコン | 外気温31℃、2.2kWの冷房設定温度を27℃から1℃上げる(9時間/日) | 30.24kWh | 約940円 |
| エアコン | 外気温6℃、2.2kWの暖房設定温度を21℃から20℃にする(9時間/日) | 53.08kWh | 約1,650円 |
| エアコン | 暖房を1日1時間短縮する(設定温度20℃) | 40.73kWh | 約1,260円 |
| エアコン | フィルターを月に1回か2回清掃する(2.2kW) | 31.95kWh | 約990円 |
テレビの視聴を毎日1時間減らして28.87kWh、エアコンの暖房設定を1℃下げるだけで53.08kWh。「毎日1時間テレビを我慢する」より「暖房の設定温度を1℃下げる」ほうが省エネ量は大きいという関係になっています。なお省エネ性能カタログ2025年版は同じ効果を27円/kWhで換算しており、30.24kWhは約820円、53.08kWhは約1,430円、31.95kWhは約860円と表示されています。単価が変われば金額も変わることを、あらためて確認しておいてください。
これらの数値は、省エネポータルサイトの算出根拠ページによると「省エネ性能カタログ2015年夏版」(資源エネルギー庁)および「家庭の省エネ大事典2012年版」(省エネルギーセンター)をもとに作成されたもので、掲載データは省エネルギーセンターの実測値です。フィルター清掃の効果についてはエアコンのフィルター掃除でどれくらい変わるのかをまとめた記事でも触れていますので、あわせてご覧ください。また、部屋の広さに合った能力を選ぶ話はエアコンの畳数の目安についての記事にまとめています。
エアコンとテレビの電気代のまとめ
エアコン テレビ 電気代に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 結局、エアコンとテレビはどちらが電気代への影響が大きいですか?
A. 公表されている割合ではエアコンです。資源エネルギー庁の省エネメニューでは、夏の点灯帯(19時頃)でエアコン38.3%に対しテレビ・DVDが8.2%、冬季の1日間では暖房のうちエアコンが17.0%に対しテレビ・DVDが4.2%と、どちらの集計でもエアコンが約4倍を占めています。ただし夏と冬のグラフは集計方法が異なるため、夏と冬の数字どうしを直接比べることはできません。
Q2. 有機ELテレビは液晶テレビより電気代が高いのですか?
A. 一概には言えません。シャープの2026年モデルの65V型で比べると、液晶(X9A)が年間消費電力量135kWh/年、有機EL(S9A)が146kWh/年で、その差は11kWh/年です。定格消費電力では約286Wと約477Wで1.7倍近い差がありますが、定格消費電力は電気用品安全法に基づく別の値なので、年間の消費電力量の差とは一致しません。また省エネ基準達成率は液晶と有機ELで区分そのものが違うため、達成率の数字を横に並べて比べることはできません。
Q3. カタログのkWhをそのままエアコンとテレビで比べてもいいですか?
A. 前提が違うことを承知のうえなら目安にはなります。エアコンの期間消費電力量はJIS C 9612:2013に基づき、東京の外気温・平均的な木造住宅(南向き)で冷房27℃/暖房20℃、1日18時間(6:00〜24:00)、冷房期間5月23日〜10月4日・暖房期間11月8日〜4月16日という条件で算出されます。テレビの年間消費電力量は省エネ法に基づき、1日5.1時間の視聴と18.9時間の待機で算出されます。使用時間だけで約3.5倍の開きがあるので、「◯倍の電気代がかかる」と言い切ることはできません。
Q4. テレビの熱でエアコンの電気代は上がりますか?
A. テレビの発熱がエアコンの消費電力をどれだけ増やすかを示した公的機関・メーカーの一次情報は、今回の調査では見つけられませんでした。ただし日立のFAQには、室内に大勢の人がいたり熱器具を使用したりするなど冷房能力を超える熱源があると、冷えるまでの時間が長くなることがあると書かれています。冷えが悪いときは、フィルターの汚れ、室外機の周囲の障害物、家具による空気の流れの妨げといった、メーカーが実際に挙げている原因から確認するのが確実です。
Q5. 電気代の単価は何円で計算すればいいですか?
A. 目的によります。統一省エネラベルや省エネ性能カタログ2025年版の目安電気料金は27円/kWh(税込)で、電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」の直近3年分の平均値が使われています。一方、省エネポータルサイトの省エネ効果は31円/kWh(令和4年7月 全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価・税込)です。どちらも公式の値ですが、同じ30.24kWhでも約820円と約940円に変わります。単価を明記していない試算は、そのまま鵜呑みにしないほうが安全です。
Q6. テレビの待機電力は気にしたほうがいいですか?
A. 家庭全体で見ると待機電力は夏の点灯帯で4.0%、冬季の1日間で5.5%を占めています。テレビ単体ではシャープのAQUOS X9A・S9Aがいずれのサイズでも待機時消費電力0.5Wと表示されています。省エネポータルサイトも省エネ性能カタログ2025年版も、長期不在時は主電源をOFFにするか電源プラグを抜くことをすすめています。ただし番組表の自動ダウンロードができなくなったり、録画機能内蔵テレビでは予約録画ができなくなったりする機種があるので、日常的に抜くかどうかは使い方しだいです。
まとめ:数字より先に「測定条件」を確認する
エアコンとテレビの電気代を比べると、家庭全体に占める割合でも、メーカーの公表値でも、エアコンのほうが大きいというのが公的データから読み取れる答えです。夏の点灯帯ではエアコン38.3%に対してテレビ・DVDは8.2%、冬季の1日間ではエアコン17.0%に対して4.2%。10畳用エアコンの期間消費電力量802kWhに対し、65V型液晶テレビの年間消費電力量は135kWhでした。
ただし、この差の一部は測定条件の違いから生まれています。エアコンは1日18時間、テレビは1日5.1時間視聴という前提で測られた数字ですし、金額に直すときの単価も27円/kWhと31円/kWhの2種類が公式に使われています。「◯倍」「1時間◯円」という数字を見たら、まずその条件と単価を確認する——これが、電気代の記事に振り回されないためのいちばん確実な方法だと私は思っています。
そのうえで節電に手をつけるなら、テレビの視聴時間を毎日1時間削って年間28.87kWhよりも、暖房の設定温度を1℃下げて53.08kWh、フィルターを月1〜2回清掃して31.95kWhというエアコン側のほうが、公表値としては効果が大きく出ています。テレビを我慢する前に、エアコンとの付き合い方を見直してみてください。

