こんにちは、エアコンラボのアキです。
エアコンの臭い対策をネットで調べると、洗浄スプレー、消臭剤、酢、重曹、送風運転……と、いろいろな方法が出てきます。私はこのサイトでそれらを一つずつメーカーの公式資料と突き合わせてきたのですが、結論はほとんど「メーカーがやめてくださいと書いている」か「メーカーがどこにも書いていない」のどちらかでした。
そのなかで、換気だけは事情が違います。ダイキン・三菱電機・日立・パナソニックの各社が、自社の公式ページで臭い対策として換気を挙げています。しかも「窓を開けてください」で終わらせず、どのタイミングで何分くらい、どういう運転と組み合わせるのかまで書いている会社もあります。臭い対策として、メーカーがはっきり「やっていい」と書いている数少ない方法が換気なのです。
ただし、換気で解決できる範囲と、換気ではどうにもならない範囲はきっちり分かれています。この記事では、その線引きを公式資料の文言に沿って整理していきます。
- メーカー各社が臭い対策として案内している換気の具体的なやり方
- 換気で薄められる臭いと、換気では消えない臭いの境界線
- 「エアコンには換気機能がない」と「換気機能付きエアコン」の関係
- 建築基準法で決まっている24時間換気システムの基準値
- 窓を開ける換気について公的機関が公開している方法

換気はエアコンメーカーが公式に案内している、数少ない臭い対策です
まず押さえておきたいのは、換気が「読者が編み出した裏技」ではなく「メーカーが自社サイトに書いている対処法」だという点です。しかも各社の説明を並べると、換気を勧める理由まで一致しています。
臭いの入口について、3社がほぼ同じ説明をしています
ダイキン、三菱電機、日立の3社は、エアコンの臭いの発生経路を「部屋の空気に含まれるにおいの成分を、エアコンが吸い込んで内部にためこむ」と説明しています。表現は違いますが、言っていることは同じです。
| メーカー | 公式ページに書かれている説明 |
|---|---|
| ダイキン | 「エアコンを運転すると、お部屋の空気と一緒にホコリ、生活臭などの様々なニオイの成分が吸い込まれエアコン内部に付着します」 |
| 三菱電機 | 「室内の空気と一緒に壁やじゅうたん、家具、衣類などにしみこんだニオイの成分をエアコン内部に吸込みます」。発生源として人の汗、タバコの煙、化粧品、食品、家具の5つを挙げている |
| 日立 | 「エアコンが室内の空気を吸い込む際に、部屋の中の様々なにおい(人の汗、食品、家具、ペットなど)の分子が混ざり合い、独特なにおいがすることがあります」 |
出典はダイキン「室内機からニオイがする(ルームエアコン)」、三菱電機FAQ「エアコンの風がにおう」、日立「エアコン(室内機)のにおいが気になります。」の3ページです。
だから「吸い込ませない」「薄める」という発想には筋が通っています
臭いの成分が部屋の空気に乗って入ってくるのなら、部屋の空気を入れ替えれば、入ってくる量そのものが減ります。ダイキンはこの考え方を、エアコンクリーニング後に臭いの発生を抑えるための3つの手順として、はっきり番号付きで書いています。
- エアフィルターを2週間に1回を目安に清掃する
- 冷房を止めたあと、1〜2時間 送風でエアコン内部を乾燥させる
- こまめに換気をして、部屋のニオイを吸い込ませない(食品やタバコなどの生活臭がお部屋にこもらないように換気する)
3つのうち1つが換気です。日立も生活臭の項目で「室内を充分に換気したり、エアコン周辺ににおいの原因になるものがないかご確認ください」と案内しています。芳香剤や洗浄スプレーの話とは扱いがまったく違うことがわかると思います。香りを足す方向の対処についてはエアコンの臭いに薬局のグッズは効くのかで各社の記載を整理していますので、そちらも合わせてどうぞ。
ただし、換気で解決できる範囲は決まっています
ここが一番大事なところです。ダイキンは先ほどの3手順の前に、「すでに発生したニオイやカビを取り除くことはできませんが」という但し書きを置いています。つまりあの3つは、あくまでこれから汚れるのを遅らせるための手順です。シャープも「すでに発生したカビは内部清浄運転では取れません」と明記しています。
| 臭いのもとがどこにあるか | 換気の効き方 | 根拠にしている記載 |
|---|---|---|
| 部屋の空気に浮いているにおい成分(調理・タバコ・ペットなど) | 薄める・吸い込ませない効果が期待できる | ダイキン「こまめに換気をして、部屋のニオイを吸い込ませない」 |
| 運転開始直後に吹き出してくる、内部にこもっていた成分 | 室内に広がる前に外へ逃がせる | パナソニックの記事「運転開始と同時に10分ほど窓を開け、換気を行うのがオススメ」 |
| 熱交換器やファンにすでに発生しているカビ・汚れ | 換気では取れない。内部クリーン運転でも取れないとメーカーが明記 | ダイキン「すでに発生したニオイやカビを取り除くことはできません」/シャープ「すでに発生したカビは内部清浄運転では取れません」 |
| ドレンホース経由で入ってくる排水系のにおい | 室内の換気では解決しない。設置環境側の問題 | 三菱電機「ドレンホースの室外側先端が排水溝などに入っていると…室内に侵入することがあります」 |
シャープの記載はシャープ「カビの増殖やにおいの抑制に『内部清浄』運転のおすすめ」で確認できます。各社の洗浄・消臭機能が何をして何をしないのかは、水内部クリーンは臭いに効くのかで各社の公式記載を横並びにしていますので、そちらを参照してください。
メーカーが案内している換気は、時間とタイミングまで書かれています
「換気しましょう」だけだと結局どうすればいいのか分かりません。ところが公式ページをよく読むと、具体的な手順まで書いている会社があります。ここが今回いちばんお伝えしたい部分です。
三菱電機:窓を開けて、十分に低い設定温度で1時間程度の冷房運転
三菱電機のFAQは、臭いの対処方法の筆頭にこう書いています。「窓を開けて、冷たい風が出るような十分に低い設定温度で1時間程度冷房運転すると、熱交換器やドレンパンに付着して残ったニオイ成分が結露水に溶け込み洗い流されて、ニオイが軽減されることがあります」。
つまりこれは「窓を開けるだけ」の換気ではなく、窓を開けた状態で、あえて強めに冷房を効かせるという方法です。熱交換器にしっかり結露をつくり、その水で臭い成分を洗い流し、出てきた臭いは開けた窓から外に逃がす。メーカーが臭い対策として案内している運転方法のなかでは、かなり踏み込んだ内容だと思います。
やってはいけない条件も、同じページに書かれています
ただし三菱電機は同じFAQのなかで、作業の際の注意として次の条件を挙げています。屋外が高湿度(80%以上)のときに窓を開けて長時間(1時間以上)運転すると、室内機に露が付いて滴下し、家財や床をぬらして汚損の原因になることがある、という内容です。対策として室内機の下にビニールシートなどを設置する防水対策も案内されています。
雨の日や梅雨どきに「換気しながら冷房」をやろうとすると、まさにこの条件に当たります。天気予報の湿度を見てから決めるのが無難です。雨の日に臭いが強く感じられる理由については雨の日にエアコンが臭う理由で別途整理しています。
パナソニック:運転開始と同時に10分ほど窓を開ける
パナソニックが自社サイトで公開している記事では、掃除の専門家の話として「運転開始の直後は特にニオイが気になるもの。内部にカビが発生していれば、エアコンからの風にカビの胞子が含まれている可能性が高いため、運転開始と同時に10分ほど窓を開け、換気を行うのがオススメです」と紹介されています。
同じ記事は「多くのエアコンは室内の空気を循環させて温度と湿度を調整しており、換気機能は搭載されていないものも。そのため、室内に放出されたニオイやカビの胞子を減らすなら、窓開け換気で屋外へ逃がすのが効果的」とも書いています。そのうえで「これはあくまで応急処置なので、ニオイが続く場合は次の段階に進みましょう」と釘を刺しています。10分の窓開けは万能の解決策ではなく、最初の一手という位置づけです(パナソニック「エアコンのニオイ、気になっていませんか? 原因と対処法をご紹介」)。
各社の案内をまとめると、こうなります
| メーカー | 案内されている換気の内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 三菱電機 | 窓を開けて、十分に低い設定温度で1時間程度の冷房運転(屋外湿度80%以上のときは1時間以上運転しない) | 結露水で臭い成分を洗い流し、外へ逃がす |
| パナソニック | 運転開始と同時に10分ほど窓を開ける | 吹き出してきたものを室内に広げない(応急処置) |
| ダイキン | こまめに換気して、生活臭を部屋にこもらせない | そもそも吸い込ませない(予防) |
| 日立 | 生活臭が気になるときは室内を充分に換気する | においの原因を部屋から減らす |
ちなみに三菱電機は、内部クリーン機能がない機種向けに「冷房運転後に送風(空清)運転を5〜6時間ほど行うことで内部を乾かすことができます」とも書いています。送風モードがない場合は設定温度を31℃にして冷房運転すると送風運転になる、という具体的な代替手順まで載っています(部屋の温度が31℃以上あるときは送風運転になりません)。ダイキンの案内は「冷房を止めたあと1〜2時間」なので、各社で時間の目安には幅があります。
「エアコンで換気はできない」と「換気機能付きエアコン」は両立します
ここで多くの方が混乱するのが、「エアコンは換気できない」という説明と、家電量販店で見かける「換気ができるエアコン」の関係です。これは矛盾ではなく、どちらも正しい話です。
厚生労働省は、普通のエアコンを「循環式エアコン」と呼んでいます
厚生労働省が公表している換気のリーフレットには、注釈としてこう書かれています。「エアコン本体に屋内空気の取り入れ口がある(換気用ダクトにつながっていない)エアコンは、室内の空気を循環させるだけで、外気の取り入れ機能はないことに注意してください」。同じ資料はこのタイプを循環式エアコンと呼び分けています。
役所の資料が家庭用エアコンをここまではっきり定義しているのは、なかなか珍しいと思います。壁の穴を通っているのが冷媒配管とドレンホースだけの一般的な機種は、外の空気を室内に持ち込む経路を持っていません。だから換気は窓や換気設備の仕事になります。
換気機能付きエアコンは、室外機から外気を運んできています
一方、ダイキンは2020年10月14日のニュースリリースで、換気機能付きのルームエアコン5商品について「当社の『換気ができるエアコン』は、室外機から取り込んだ外気を搬送ホースで室内機に運びます。室内機に送られた外気は、室内機が室内から吸い込んだ空気とともに熱交換器を通り、温調されて室内に届けられる」と説明しています。外気の通り道を1本増やしているわけです。
製品ページを見ると、給気換気と排気換気の2方向があり、「給排気同時運転はできません」と明記されています。人の在室を検知すると室外機の換気ファンの風量を上げ、換気量を約10%増やす「センサー換気」も搭載されています。
換気量は数字で公開されています
気になるのは「実際どれくらい換気しているのか」でしょう。ダイキンは能力クラスごとの数値を製品ページに掲載しています。
| 項目 | 公表値 | 測定条件 |
|---|---|---|
| 給気換気時の給気風量 | 24m³/h・28m³/h・30m³/h・35m³/h(能力クラス別) | 35m³/hは機種AN565ARP。JIS B 8330準拠、運転モード「強」(室内機の風量5)、標準ダクト使用、ホース長さ4m、曲げ回数5回、大気開放条件 |
| 排気換気時の排気風量 | 22m³/h・26m³/h・27m³/h | 給気時とは値が異なると注記 |
| ホース長による低下 | ホース長さが2m増えるごとに約7%低下 | 設置条件・使用状況でも低下する |
| 入れ替えにかかる時間 | 14畳の部屋で最大風量運転時、約130分で空気を入れ換える排気量 | 「湿気やにおいを完全に解消するものではありません」と注記 |
| 運転音 | 換気時の最大運転音は室内機の最大運転音より2dB程度大きい | 風量を強くすると換気の音も大きくなる |
2020年のニュースリリースでは別機種(AN56YRP)の換気量として32m³/hという値も公表されています。数字を見て「思ったより控えめだな」と感じた方は、感覚として正しいです。
メーカー自身が「これだけでは足りない」と書いています
ダイキンの製品ページには、注記としてこう書かれています。「換気機能のみで建築基準法に定められる住宅の必要換気量すべてをまかなうものではありません」。さらに「定期的な窓開け換気なども合わせてご利用ください」とも書かれています。
換気機能付きエアコンを買っても、窓開け換気が不要になるわけではない。これはメーカー自身の言葉です。詳細はダイキン Rシリーズ「うるさらX」換気とダイキン 2020年10月14日ニュースリリースで確認できます。
窓開け換気と24時間換気システムの基準は、公的機関が公開しています

では、窓を開ける換気は何分・何回やればいいのか。エアコンの臭いに限った公的な基準はありませんが、換気一般の方法として厚生労働省が数値付きで公開している資料があります。
厚生労働省が示している窓開け換気の方法
厚生労働省のリーフレット「『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」には、窓の開放による換気について次の内容が書かれています。もともとは商業施設向けに感染対策の文脈でまとめられたものですが、窓の開け方そのものは家庭でも同じように使える内容です。
- 換気回数を毎時2回以上とする(30分に1回以上、数分間程度、窓を全開する)
- ここでの換気回数とは、部屋の空気がすべて外気と入れ替わる回数のこと
- 空気の流れを作るため、複数の窓がある場合は二方向の壁の窓を開放する
- 窓が一つしかない場合は、ドアを開ける
- 必要換気量の考え方として、一人あたり毎時30m³という数値が示されている
- 空気環境の基準として二酸化炭素の含有率1000ppm以下、浮遊粉じんの量0.15mg/m³以下、温度17℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下が示されている
もう一つの資料「熱中症予防に留意した『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」では、循環式エアコンを使っている場合の考え方として「2方向の窓を常時、できるだけ開けて、連続的に室内に空気を通すこと」「この際、循環式エアコンの温度をできるだけ低く設定すること」「1方向しか窓がない場合は、ドアを開けるか、天井や壁の高い位置にある窓を追加で開けること」が挙げられています。窓を開けながらエアコンを運転するときの温度設定について、公的資料が触れている数少ない箇所です。
資料は厚生労働省「『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」と厚生労働省「熱中症予防に留意した『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」で公開されています。
24時間換気システムは2003年から義務づけられています
「うちは窓をあまり開けないけど大丈夫か」と気になる方は、まず24時間換気システムを確認してください。国土交通省は、住宅等における換気の情報提供ページで次のように書いています。「シックハウス対策の観点から、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務づけられています。例えば住宅の場合、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システムなど)の設置が必要となります」。
- 施行日は平成15年(2003年)7月1日。建築基準法第28条の2および建築基準法施行令第20条の8などが根拠
- 住宅等の居室は換気回数0.5回/h以上、その他の居室は0.3回/h以上の有効換気量が必要
- 建築基準法第28条第2項では、居室に換気のための窓その他の開口部を設け、換気に有効な部分の面積を居室の床面積の20分の1以上とすることが定められている
- 開口部・隙間で換気回数0.5回/h相当が確保される居室の目安として、換気上有効な面積の合計が床面積1㎡あたり15cm²以上という基準が示されている
- 換気設備は自然換気設備・機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備などに分類される
根拠は国土交通省「住宅等における換気等に関する情報提供について」、国土交通省「建築基準法に基づくシックハウス対策について」、国土交通省「シックハウス対策に係る技術的基準(政令・告示)について」、国土交通省「建築物における効率的な換気の促進に関する取組事例集」です。
給気口をふさぐと、換気の入口がなくなります
ダイキンはニュースリリースのなかで、「2003年の建築基準法改正以降に建てられた住宅に設置された24時間換気システムは、換気扇と自然給気口を組み合わせたものが一般的」と説明し、これを第3種換気方式と注記しています。国土交通省の資料でも、第3種換気は給気口と排気機の組み合わせと図示されています。
つまり多くの住宅では、壁についている給気口が外気の入口、換気扇が出口という設計になっています。寒いからと給気口を閉じたりふさいだりすると、入口をなくした状態で排気だけを回すことになります。エアコンの臭いを気にする以前に、部屋のにおいがこもりやすい状態です。まずは給気口が開いているか、24時間換気のスイッチが切られていないかを見てください。
窓を開けにくい部屋でできること

マンションの高層階、防犯上の理由、花粉の季節など、窓を大きく開けにくい事情はいくらでもあります。厚生労働省の資料は、窓を十分に開けられない場合について「窓を開ける幅は、居室の温度と相対湿度をこまめに測定しながら調節してください。また、窓を開けるときは、防犯などにも配慮してください」と書いており、幅を調節する前提を認めています。
同資料は空気清浄機の併用にも触れていますが、「空気清浄機は、換気を補完する目的で使用するものですので、窓を閉めて空気清浄機だけを使用しても十分な効果は得られないことに留意してください」と明記しています。空気清浄機は換気の代わりにはならない、というのが公的資料の立場です。サーキュレーターも空気を動かす道具であって、外気を入れる道具ではありません。窓か換気設備のどちらかは必ず使う、と考えてください。
換気しても臭いが消えないときに、換気のせいにしないために
ここまでの方法を試しても改善しない場合、「換気が足りない」と考えて回数を増やしても報われないことがあります。原因の置き場所を間違えているかもしれないからです。
すでに発生したカビは、換気でも内部クリーンでも取れません
この記事の前半で触れたとおり、ダイキンは「すでに発生したニオイやカビを取り除くことはできません」、シャープは「すでに発生したカビは内部清浄運転では取れません。また、内部清浄運転をしても使用状況や環境により、カビやにおいが発生することがあります。その場合、エアコン内部の洗浄(エアコンクリーニング)をおすすめします」と書いています。
換気は入ってくる量を減らす対策なので、すでに内部に住み着いているものには届きません。日本冷凍空調工業会も、エアコン内部の洗浄について「高い専門知識が必要です。お客様自身で実施したり、正しい洗浄剤の選定と洗浄方法で行わないと、内部部品の破損による水漏れや電気部品の故障などを引き起こすことがあります」として、業者への依頼を案内しています(日本冷凍空調工業会「ルームエアコンの内部洗浄について」)。市販スプレーで自分でなんとかしようとする前に、こちらを読んでおいてください。ネット上で見かける対処法の検証は知恵袋のエアコン臭い対策は本当に効くのかにまとめています。
換気と電気代について、公表されている数字
「窓を開けながらエアコンを運転すると電気代が跳ね上がるのでは」という不安はもっともです。ただ、私が調べた範囲では窓を開けた換気そのものの電気代を試算した公的資料は見つかりませんでした。そこで、判断の材料になる公表値だけを挙げておきます。
- 資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、冷房時の工夫として「ドア・窓の開閉は少なく」を挙げつつ、同じ枠内に「※適宜、換気をしましょう」と併記している
- 同サイトの試算では、外気温度31℃のとき冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合(使用時間9時間/日)、年間で電気30.24kWhの省エネ、約940円の節約
- 外気温度6℃のとき暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(同9時間/日)、年間で電気53.08kWhの省エネ、約1,650円の節約
- フィルターを月に1回か2回清掃した場合、年間で電気31.95kWhの省エネ、約990円の節約
- ダイキンは換気の解説ページで「窓開け換気は有効ですが、エアコンの熱も排出してしまいます」と書いている
- 同ページには、窓を開けて換気するときの目安として1時間に5〜10分程度、「1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が換気の効果は高くなります」という記載がある
年間で数百円から千数百円という規模感です。窓開け換気で熱が逃げるのは事実ですが、これを理由に換気を一切やめる判断は、数字の重みに見合っていないように私には見えます。出典は資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「空調」とダイキン「寒くなりにくい換気ができるエアコン」です。
確認できなかったこと
この記事を書くにあたって調べたものの、一次資料で裏付けが取れなかった論点も書いておきます。
- 「換気を◯分やればエアコンの臭いが◯%減る」といった効果の数値。今回読んだダイキン・三菱電機・日立・パナソニック・富士通ゼネラルの公式情報と、厚生労働省・国土交通省の資料には見当たりませんでした
- 換気の回数や時間を、エアコンの臭い対策として定めた公的な基準。厚生労働省の資料はあくまで換気一般の方法として公開されているものです
- 換気機能付きエアコンが臭いを減らすという公表データ。ダイキンの製品ページには「湿気やにおいを完全に解消するものではありません」という注記があるだけでした
数字が出てこない部分は、出てこないまま書いています。
エアコンの臭いと換気に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 換気は何分くらいすればいいですか?
A. エアコンの臭い専用の基準はありません。パナソニックの記事は運転開始と同時に10分ほど、三菱電機は窓を開けて低めの設定温度で1時間程度の冷房運転を案内しています。換気一般の方法としては、厚生労働省が30分に1回以上・数分間程度・窓を全開(毎時2回以上)という目安を公開しています。
Q2. 窓が1つしかない部屋でも換気できますか?
A. 厚生労働省の資料は「窓が一つしかない場合は、ドアを開けること」と書いています。別の資料では、1方向しか窓がない場合にドアを開けるか、天井や壁の高い位置にある窓を追加で開ける方法も挙げられています。加えて、24時間換気システムや換気扇が動いているかも確認してください。
Q3. 換気機能付きエアコンなら窓を開けなくていいですか?
A. ダイキンの製品ページに「換気機能のみで建築基準法に定められる住宅の必要換気量すべてをまかなうものではありません」「定期的な窓開け換気なども合わせてご利用ください」と明記されています。給気風量は能力クラス別に24〜35m³/hで、14畳の部屋で最大風量運転時に約130分で空気を入れ換える排気量とされています。
Q4. 換気しながら冷房運転しても大丈夫ですか?
A. 三菱電機のFAQが臭いの対処方法として案内している方法です。ただし同じページに、屋外が高湿度(80%以上)のときに窓を開けて1時間以上運転すると室内機に露が付き、滴下して家財や床をぬらすことがあるという注意も書かれています。湿度の高い日は避けるか、時間を短くしてください。
Q5. 換気しても臭いが消えないときはどうすればいいですか?
A. すでに内部に発生したカビやにおいは換気では取れないと、ダイキン・シャープの両社が明記しています。日本冷凍空調工業会は内部洗浄を業者に依頼するよう案内していますので、フィルター清掃と換気を続けても変わらない場合は、その方向で検討してください。
まとめ:換気は「やっていい」と書かれている方法。ただし守備範囲がある
今回は、エアコンの臭いと換気の関係を、メーカーと公的機関の記載だけを頼りに整理してきました。最後に要点を振り返っておきます。
換気は、ダイキン・三菱電機・日立・パナソニックの各社が臭い対策として公式に案内している方法です。三菱電機は窓を開けての1時間程度の冷房運転、パナソニックは運転開始と同時に10分ほどの窓開け、ダイキンは生活臭をこもらせないためのこまめな換気と、それぞれ具体的に書いています。臭いの入口が「部屋の空気」である以上、換気には理屈が通っています。
一方で、すでに発生したカビやにおいは換気では取れないと、ダイキンもシャープも書いています。換気は入ってくる量を減らす対策であって、内部の掃除ではありません。ここを混同すると、換気の回数だけが増えて疲れてしまいます。
そして24時間換気システムは、2003年7月1日以降、住宅で換気回数0.5回/h以上という基準で設置が義務づけられています。給気口をふさいでいないか、スイッチを切っていないかを一度確認してみてください。換気機能付きエアコンをお使いの方も、メーカー自身が「定期的な窓開け換気なども合わせてご利用ください」と書いています。今日できることから、ひとつずつ進めていきましょう。
