エアコン掃除はどこまで自分で?部位ごとの担当をメーカー7社で確認

こんにちは、エアコンラボのアキです。

エアコンを掃除しようと思って調べ始めると、いきなり手が止まりませんか。フィルターは外していいらしい。でも吹き出し口は? 奥で回っている筒は? スプレーは使っていいの? ——「掃除」というひとことの中に、まったく性質の違う作業が混ざっているからです。

そこで今回は、部位ごとに「誰がやる作業なのか」を、メーカーの公式なお手入れ案内から順番に確かめていきます。手順書ではなく、地図です。ここが分かれば、どの道具を買えばいいのか、どこから先を人に頼めばいいのかが自分で決められるようになりますよ。

  • 部位ごとに自分でやってよい作業と、そうでない作業の境目
  • メーカー7社の記載を並べたときに見えてくる、社ごとの線の違い
  • 掃除の頻度で、数値の裏づけが取れる項目と取れない項目
  • 使ってよい洗剤と、名指しで止められているもの
  1. エアコン掃除は「自分でやる」「触らない」「人に頼む」に分かれます
    1. 内部の洗浄は業者へ、と業界団体が明記しています
    2. メーカーが「お手入れできない」と書いている場所があります
    3. 区分が決まると、買う道具も決まります
  2. 部位ごとの担当表:エアコン掃除でどこまで触ってよいか
    1. エアフィルターは、7社すべてが利用者の作業として案内しています
    2. 前面パネルと本体の外側は、柔らかい布までです
    3. ルーバーと吹き出し口は、ここで社ごとに線が割れます
    4. 熱交換器と送風ファンは、全社が範囲外としています
    5. 室外機は、室内機とは線の引かれ方が違います
  3. 吹き出し口は自分で掃除してよいのか、原典を確かめました
    1. 広く使われているのは「自分でできるのは4か所」という枠組みです
    2. ただ、メーカー側の記載はそれを否定していました
    3. 裏が取れたのは、フィルターの「約2週間」だけでした
    4. 見つからなかった数値に、目安を置かない理由
  4. エアコン掃除の頻度と効果は、どこまで数字で言えるのか
    1. フィルターは約2週間に1回で、3社の表現が一致しています
    2. 自動掃除機能つきは、シャープが6か月に1回と分けています
    3. 省エネ効果は、日立が約5〜10%と明記しています
    4. ダストボックスの扱いには、年単位の数字が出てきます
  5. 使ってよい洗剤と、名指しで止められているもの
    1. 各社が名前を挙げているのは中性洗剤です
    2. 市販の洗浄スプレーは、名指しで止めている社があります
    3. NITEが公表している事故は、5年で20件です
  6. 自分の範囲を超えたとき、エアコン掃除はどこに頼むか
    1. 相談先として案内されているのは販売店と業者です
    2. 頼むかどうかの分かれ目は、汚れの場所です
    3. 今回確認できなかったことも書いておきます
    4. エアコン掃除に関するよくある質問(FAQ)
    5. まとめ:エアコン掃除は部位ごとに線が引かれています

エアコン掃除は「自分でやる」「触らない」「人に頼む」に分かれます

まず全体の枠組みからいきましょう。エアコンの掃除は、部位によって扱いがはっきり分かれます。この3つの区分を先に頭に入れておくと、この先の話がぜんぶつながります。

内部の洗浄は業者へ、と業界団体が明記しています

エアコンメーカーが加盟する日本冷凍空調工業会のルームエアコン洗浄に関する案内には、こう書かれています。「エアコン内部の洗浄は高い専門知識が必要です。お客様自身で実施したり、正しい洗浄剤の選定と洗浄方法で行わないと、内部部品の破損による水漏れや電気部品の故障などを引き起こすことがあります」。

そのうえで「エアコンの内部洗浄は、高い専門知識を有する業者に依頼をしてください」と続きます。業界団体が名指しで依頼先を指定しているわけですね。洗浄剤についても「樹脂材(プラスチック)をおかさない適正なものを使用すること」という条件が付いています。

メーカーが「お手入れできない」と書いている場所があります

個別のメーカーも同じ線を引いています。ダイキンのルームエアコン向けFAQは「エアフィルターをはずした本体内部(アルミフィン部分など)は、お客様でお手入れすることができません」と書いています。

パナソニックのお手入れ案内も「本体内部の洗浄は高い専門知識が必要なため、お客様ご自身でお手入れすることはできません」としています。コロナのお手入れFAQは「室内ユニットの洗浄は、お買い求めの販売店や専門のクリーニング業者に相談してください」という書き方です。

3つの区分

  • 自分でやる: エアフィルター、前面パネル、本体の外側
  • 触らない: 熱交換器(アルミフィン)、送風ファン、吹き出し口の内部
  • 人に頼む: 上の「触らない」に汚れが見えている状態

区分が決まると、買う道具も決まります

この3つが決まると、必要な道具は驚くほど少なくなります。各社の案内に実際に名前が出てくるものだけを挙げると、次の3つです。

  • 掃除機 — エアフィルターのほこりを吸い取る(7社すべてが案内)
  • 柔らかい布 — 前面パネル・本体表面・電源プラグを拭く
  • 中性洗剤 — フィルターの汚れがひどいときの水洗いに使う

ホームセンターやドラッグストアで見かける、細長いノズルの付いたエアコン用スプレーの類は、この枠組みの中では出番がありません。理由は後半で数字とともに説明しますね。

逆に言うと、道具を先に買ってしまうと「せっかく買ったから使おう」という力が働きます。順番としては、地図が先です。

部位ごとの担当表:エアコン掃除でどこまで触ってよいか

ここがこの記事の本体です。室内機を上から下へ見ていきながら、それぞれの部位について各社が何と書いているかを並べます。

エアフィルターは、7社すべてが利用者の作業として案内しています

いちばん外側にあるフィルターは、確認したメーカーすべてが「お客様のお手入れ」として扱っています。ダイキンは「約2週間に1度、掃除機または水洗いでお手入れしてください」、日立のエアフィルター案内は「2週間に1回程度を目安にお手入れをしてください」。

パナソニックは「約2週間に1回、エアフィルターを取り外し、掃除機や水洗いによるお手入れをしてください」。三菱電機のシーズン前案内は「取り外したフィルターのほこりを掃除機で吸い取るか、水洗いをして日陰でよく乾かす」としています。ここは各社そろっていますね。

前面パネルと本体の外側は、柔らかい布までです

フィルターの手前にあるパネルや本体表面も、利用者の範囲に入ります。ダイキンは前面パネルについて「水または液体中性洗剤を含ませたやわらかい布で軽くふいてください」。パナソニックは「前面パネルは機種により取り外して水洗いすることができます」「エアコン本体とリモコンは、柔らかい布でからぶきしてください」と書いています。

三菱電機も「やわらかい布で軽くふきとってください」という表現です。共通しているのは「柔らかい布」という条件で、固いものでこすることは想定されていません。富士通ゼネラルは「タワシのような固いものでこすらないでください」と、はっきり否定形で書いています。

ルーバーと吹き出し口は、ここで社ごとに線が割れます

さて、ここが今回いちばん面白かったところです。風の向きを変える羽根(ルーバー)と、その奥の吹き出し口。この扱いが、社によって違いました。

パナソニックは条件つきで認めています。「ルーバーを開き、電源プラグを抜いてから手の届く範囲を柔らかい布でからぶきしてください」。あくまで手が届く範囲、そしてからぶき、という二重の限定つきです。一方で同じページに「吹出口の内部に汚れやカビが付着した場合、お客様ではお手入れすることはできません」とも書かれています。

ダイキンはもっと手前で線を引いていて、「室内機の吹き出し口などエアコン内部は、お客様でお手入れすることができません」としています。同じ部位について、社によって書きぶりが違うわけですね。

熱交換器と送風ファンは、全社が範囲外としています

フィルターを外した奥にある銀色のフィン(熱交換器)と、その下で回っている筒状の送風ファン。ここは確認したすべての社が利用者の範囲外としていました。ダイキンの「アルミフィン部分など」、パナソニックの「本体内部の洗浄」、コロナの「室内ユニットの洗浄」は、いずれもこの領域を指しています。

送風ファンだけを取り出した話は、エアコンのローラー掃除でやってよい範囲で詳しく扱っています。業界団体とメーカー4社の見解を並べているので、この部位が気になる方はそちらもどうぞ。

室外機は、室内機とは線の引かれ方が違います

室外機については、各社とも「周囲に物を置かない」「吹き出し口をふさがない」といった置き方の話が中心で、内部の洗浄を利用者に案内している記載は今回確認した範囲では見当たりませんでした。三菱電機はシーズン前の確認として「電源プラグのほこりを乾いた布で拭き取ってください」を挙げています。コロナも「電源プラグのホコリを拭き取って差し込んでください」です。

電源プラグまわりは室内機・室外機を問わず、各社そろって利用者の作業に入っている、と考えてよさそうです。

部位 誰がやる作業か 根拠にした記載
エアフィルター 自分でやる 7社が掃除機・水洗いを案内
前面パネル・本体表面 自分でやる 柔らかい布、中性洗剤まで
ルーバー(羽根) 社によって違う パナソニックは「手の届く範囲をからぶき」
吹き出し口の内部 触らない ダイキン・パナソニックが明確に否定
熱交換器(アルミフィン) 触らない ダイキン「お手入れすることができません」
送風ファン 触らない コロナ「室内ユニットの洗浄は業者へ」
電源プラグ 自分でやる 三菱電機・コロナがほこり拭き取りを案内

吹き出し口は自分で掃除してよいのか、原典を確かめました

ここまで読んで、「あれ?」と思った方がいるかもしれません。エアコン掃除について調べると、たいてい別の説明に出会うからです。この食い違いは、はっきりさせておく価値があります。

広く使われているのは「自分でできるのは4か所」という枠組みです

検索して上位に出てくる記事の多くは、「自分で掃除できるのは本体カバー・フィルター・ルーバー・吹き出し口の4か所」という枠組みを使っています。しかも部位ごとの頻度まで示されていて、フィルターは2週に1回、ルーバーは月に1回、吹き出し口も月に1回、室外機は年に1回、といった具合です。

読み手からすると、こちらの方が親切に見えます。数字があって、やることがはっきりしているからです。

ただ、メーカー側の記載はそれを否定していました

問題は、その4か所目にあたる吹き出し口を、メーカーが明確に否定していることです。もう一度並べます。ダイキンは「室内機の吹き出し口などエアコン内部は、お客様でお手入れすることができません」。パナソニックは「吹出口の内部に汚れやカビが付着した場合、お客様ではお手入れすることはできません」。

手順まで書かれて推奨されている作業を、その機器を作った会社が否定している。私はここが今回いちばん引っかかりました。なお、今回本文を確認できた上位記事はいずれも、根拠としてメーカーや公的機関を挙げていませんでした。一方は「必ずメーカーの取扱説明書に従ってください」と述べるにとどまっています。

この記事の立場

吹き出し口の内部について、私はこの記事で掃除の手順を書きません。メーカーが「できません」と書いている作業の手順を、私が書く理由がないからです。パナソニックが認めている「ルーバーを開き、手の届く範囲を柔らかい布でからぶき」を超える操作は扱いません。

裏が取れたのは、フィルターの「約2週間」だけでした

頻度についても同じことが起きています。今回ダイキン・日立・パナソニック・三菱電機・シャープ・コロナ・富士通ゼネラルの7社と、日本冷凍空調工業会の案内を確認しました。その範囲で数値の裏づけが取れたのは、エアフィルターの「約2週間に1回」だけです。

ルーバーの「月に1回」、吹き出し口の「月に1回」、室外機の「年に1回」、そして業者クリーニングの「1〜2年に1度」。これらの数値は、今回確認した範囲のメーカー・業界団体の資料には見つけられませんでした。

よく見かける数値 今回の確認結果 出どころ
フィルター 2週間に1回 裏づけあり ダイキン・日立・パナソニック・シャープ
自動掃除運転時 6カ月に1回 裏づけあり シャープ
省エネ効果 約5〜10% 裏づけあり 日立
内部洗浄の事故 5年で20件 裏づけあり NITE(令和2年6月25日)
ルーバー 月に1回 確認できず
吹き出し口 月に1回 確認できず
室外機 年に1回 確認できず
業者クリーニング 1〜2年に1度 確認できず

見つからなかった数値に、目安を置かない理由

ここで私が「まあ月1回くらいでしょう」と書けば、記事としては親切に見えるでしょう。ただ、それは私が作った数字であって、どこにも裏づけがありません。読者が「メーカーが言っているんだな」と受け取ったら、それは誤解を与えたことになります。

なので、この記事では数値が確認できなかった項目には数値を置きません。「調べた範囲で見つからなかった」という報告のほうが、作った数字より役に立つと思っています。ちなみに、この確認は7社の公式なお手入れ案内に対して行ったもので、各機種の取扱説明書をすべて当たったわけではありません。お手元の機種の説明書に記載があれば、そちらが優先です。

エアコン掃除の頻度と効果は、どこまで数字で言えるのか

では、裏づけのある数字だけを並べるとどうなるか。ここでまとめておきます。

フィルターは約2週間に1回で、3社の表現が一致しています

ダイキン「約2週間に1度」、日立「2週間に1回程度を目安に」、パナソニック「約2週間に1回」。表現は少しずつ違いますが、示している間隔は同じです。シャープも「2週間に1回」としています。4社が同じ間隔を挙げていることになりますね。

これは冷房や暖房を継続して使っている時期の目安として読むのが自然だと思います。年に数回しか運転しない部屋のエアコンに、通年で2週間ごとの手入れを求めているとは考えにくいですから。

メーカー フィルターの頻度 洗剤についての記載
ダイキン 約2週間に1度 前面パネルに液体中性洗剤
日立 2週間に1回程度 汚れがひどいときは中性洗剤
パナソニック 約2週間に1回 薄めた中性洗剤でつけ置き洗い
シャープ 2週間に1回
(自動掃除運転時は6カ月に1回)
薄めた台所用合成洗剤(中性)
三菱電機 記載を確認できず 中性洗剤を溶かしたぬるま湯
コロナ 記載を確認できず 中性洗剤+40℃以下のぬるま湯か水
富士通ゼネラル 記載を確認できず 台所用合成洗剤(中性)以外は不可

こうして並べると、洗剤は7社すべてが中性を指定しているのに対し、頻度の数値を出しているのは4社だけだと分かります。頻度は機種の作りに左右されるぶん、一律には書きにくいのかもしれませんね。

自動掃除機能つきは、シャープが6か月に1回と分けています

ここは見落とされやすいところです。シャープのお手入れに関する案内は、「フィルター自動掃除運転」を使っている場合や空気清浄機能付きの機種について、「6カ月に1回」という別の間隔を示しています。

つまり同じメーカーの中でも、機種の作りによって手入れの間隔が変わるわけです。「エアコンは2週間に1回」と一律に覚えてしまうと、自動掃除機能つきの機種では過剰になりますし、逆に自動掃除機能があれば何もしなくていいという理解も違います。この論点はお掃除機能つきエアコンで人がやることは何かで、8社の回答を並べて扱っています。

省エネ効果は、日立が約5〜10%と明記しています

掃除する意味を数字で知りたい方も多いはずです。日立のエアフィルター案内には「約5〜10%の省エネ効果が期待できるため、定期的にお手入れをしてください」と書かれています。これは日立が自社の案内として示している数値です。

効果の数字はほかにも出回っていますが、条件がそろっていないものを並べると比較になりません。フィルター掃除の効果をもう少し掘り下げた話は、エアコンフィルター掃除で効きが変わるのかにまとめています。

ダストボックスの扱いには、年単位の数字が出てきます

自動掃除機能つきの機種には、集めたほこりをためるダストボックスがあります。ダイキンはここについて「たまったホコリを捨ててください。汚れている場合は、お手入れをしてください」と案内しつつ、部材としての年数に「3年〜10年」という数字を挙げています。富士通ゼネラルも、ダストボックスとエアフィルターの汚れがひどい場合の手入れ方法を個別に案内しています。

ここも機種差が大きい部分なので、手元の説明書で「ダストボックス」の項を引くのがいちばん確実です。

使ってよい洗剤と、名指しで止められているもの

道具の話に移ります。ここは安全に直結するので、確認できた記載だけを書きます。

各社が名前を挙げているのは中性洗剤です

洗剤について具体的な名前が出てくるのは、ほぼ中性洗剤ひとつです。ダイキンは前面パネルに「液体中性洗剤」、日立は「汚れがひどいときは、中性洗剤で洗い、よくすすいでから室内で陰干しをして十分に乾かしてください」、三菱電機は「中性洗剤を溶かしたぬるま湯ですすぐ」。

シャープは「薄めた台所用合成洗剤(中性)でつけ置き洗いをし、よくすすぎ」、富士通ゼネラルのフィルターお手入れ案内は「台所用合成洗剤(中性)以外は使わないでください」と、除外の形で書いています。コロナは温度まで指定していて「中性洗剤を溶かした40℃以下のぬるま湯か水で洗ってください」です。

市販の洗浄スプレーは、名指しで止めている社があります

一方で、はっきり否定されているものもあります。ダイキンは「市販の洗浄スプレーは、ご使用しないでください」。パナソニックも「市販の洗浄スプレーは使わないでください」。コロナは質問の形で「ホームセンターなどで売っている、エアコン洗浄剤を使用することが出来ますか」に対して「使用しないでください」と答えています。

富士通ゼネラルは温度と道具、そして乾かし方にまで条件を付けています。フィルターのお手入れ案内から、否定形で書かれているものを抜き出すとこうなります。

  • 40℃以上の温水は使わない
  • 台所用合成洗剤(中性)以外は使わない
  • タワシのような固いものでこすらない
  • ドライヤーなどの熱風で乾かさない
  • ストーブや温風暖房器具で乾かさない

乾かし方まで指定されているのは、樹脂の変形を避けるためでしょうね。日立が「室内で陰干し」、三菱電機が「日陰でよく乾かす」としているのも同じ理屈だと思います。早く乾かそうとして熱を当てるのが、いちばんやりがちな失敗かもしれません。

NITEが公表している事故は、5年で20件です

なぜここまで止められているのか。製品評価技術基盤機構(NITE)が令和2年6月25日に公表した注意喚起に、具体的な数字があります。エアコンの内部洗浄に関係する事故は「2019年度までの5年間に20件発生しています」。

起き方も書かれています。「エアコンを洗浄した際、エアコンの内部配線端子部分に洗浄液が付着したため、端子部でトラッキング現象が発生し、異常発熱が生じて出火する事故が発生した」。洗浄液が電気の通り道にかかることが引き金になる、という説明ですね。NITEは「エアコンの内部洗浄は正しい知識を持った業者に依頼してください」と結んでいます。

◆アキのワンポイントアドバイス

私は制御ソフトを書く側の人間なので、基板や配線がどのあたりを通っているかは日常的に見ています。そのうえで言うと、外から見て「ここは電気部品じゃなさそう」と判断するのは、かなり難しいです。奥行きのある場所ほど配線は集まりますからね。届かない場所に液体を飛ばす、という発想そのものを避けるのが安全側だと思います。

自分の範囲を超えたとき、エアコン掃除はどこに頼むか

最後に、線の向こう側の話です。ここは各社の案内がそのまま答えになっています。

相談先として案内されているのは販売店と業者です

コロナは「お買い求めの販売店や専門のクリーニング業者に相談してください」、日本冷凍空調工業会は「高い専門知識を有する業者に依頼をしてください」、NITEは「正しい知識を持った業者に依頼してください」。表現は違いますが、いずれも自分でやらずに人に渡す、という同じ結論です。

依頼先の選び方や、公表されている作業条件・料金についてはエアコン掃除の業者に頼む前に確認したいことで扱っています。料金には幅があるので、先に条件を見ておくと判断しやすいと思います。

頼むかどうかの分かれ目は、汚れの場所です

判断の軸はシンプルで、汚れが見えている場所が「自分でやる」区分にあるかどうかです。フィルターが汚れているなら自分の作業。フィルターを外した奥のフィンや、吹き出し口の内側に黒い点が見えているなら、そこは各社が「お手入れできない」としている領域です。

各社の案内から、業者や販売店への相談が案内されている状態を集めるとこうなります。

  • フィルターを外した奥のアルミフィンに汚れが見えている
  • 吹き出し口の内部に汚れやカビが付着している(パナソニックが名指しで挙げている状態)
  • 室内ユニットそのものを洗浄したい(コロナが販売店・業者への相談を案内)
  • 洗浄剤を使って内部を洗いたい(日本冷凍空調工業会が業者依頼を案内)

逆に言えば、この4つに当てはまらないうちは、掃除機と柔らかい布と中性洗剤の範囲で足りるということでもあります。

もうひとつ、自分でどこまでやってよいのかという線引きそのものを深掘りした記事もあります。国の機関が「無謀なDIY」をどう定義しているかを扱ったエアコン掃除のDIYはどこまで許されるのかです。制度側から見た線に興味があれば、あわせてどうぞ。

今回確認できなかったことも書いておきます

正直に書いておくと、業者に頼む頻度について「◯年に1回」と言える根拠は、今回の調査では見つかりませんでした。確認したのは7社の公式なお手入れ案内と業界団体・NITEの資料で、そこに推奨間隔の記載は見当たらなかった、ということです。すべての資料を網羅したわけではないので、「存在しない」とまでは言えません。

また今回は、東芝の家庭用ルームエアコン向けの記載を確認できていません。7社という数字は、ダイキン・日立・パナソニック・三菱電機・シャープ・コロナ・富士通ゼネラルを指しています。

エアコン掃除に関するよくある質問(FAQ)

Q1. フィルターを掃除機で吸うのと水洗いは、どちらがよいですか?

A. 各社とも両方を挙げていて、どちらか一方だけを指定してはいません。ダイキンは「掃除機または水洗い」、パナソニックは「掃除機や水洗いによるお手入れ」という書き方です。日立は「汚れがひどいときは、中性洗剤で洗い」としているので、ふだんは掃除機、汚れが目立ってきたら水洗いという使い分けが自然だと思いますよ。水洗いした場合は、しっかり乾かしてから戻してくださいね。

Q2. 吹き出し口の黒い点が気になります。拭き取ってもいいですか?

A. パナソニックは「吹出口の内部に汚れやカビが付着した場合、お客様ではお手入れすることはできません」と書いていて、ダイキンも吹き出し口を含む内部を利用者の範囲外としています。手前のルーバーについてはパナソニックが「手の届く範囲を柔らかい布でからぶき」まで認めていますが、その奥は別扱いです。奥に見えている汚れは、業者に相談する対象と考えるのが公式の案内に沿っています。

Q3. 自動お掃除機能があれば、何もしなくていいのでしょうか?

A. いいえ、ゼロにはなりません。シャープは自動掃除運転を使う場合の手入れ間隔を「6カ月に1回」としていて、頻度が下がるだけで作業自体は残ります。またダイキンは、集めたほこりをためるダストボックスについて「たまったホコリを捨ててください」と案内しています。自動掃除機能はフィルターの手入れを軽くしてくれるもので、内部の洗浄を代わりにやってくれるものではありません。

Q4. 市販のエアコン洗浄スプレーを、もう使ってしまいました。

A. まず運転して様子を見る前に、異常がないかを確認してください。NITEは洗浄液が内部配線端子部分に付着してトラッキング現象から出火した事例を公表しています。焦げくさい臭い、変な音、水漏れといった変化があれば、運転を止めて販売店やメーカーの相談窓口に連絡するのが安全です。何も変化がない場合でも、次回からは各社が案内している範囲に戻すことをおすすめします。

Q5. 室外機も掃除したほうがいいですか?

A. 今回確認した範囲では、各社の案内は「周囲に物を置かない」といった置き方が中心で、利用者が室外機の内部を洗浄することを案内している記載は見当たりませんでした。三菱電機とコロナは電源プラグのほこりの拭き取りを挙げています。室外機まわりでやることは、内部を洗うことではなく、吸い込みと吹き出しをふさがないようにすることだと考えてよさそうです。

まとめ:エアコン掃除は部位ごとに線が引かれています

今回はメーカー7社と業界団体・NITEの記載から、部位ごとの担当を確かめてきました。整理すると、自分でやるのはエアフィルター・前面パネル・本体外側・電源プラグまわり。触らないのは熱交換器・送風ファン・吹き出し口の内部。その境目にあるのがルーバーで、ここは社によって書きぶりが違いました。

数値として裏づけが取れたのは、エアフィルターの約2週間に1回(4社)、自動掃除運転時の6か月に1回(シャープ)、省エネ効果の約5〜10%(日立)、そして内部洗浄による事故が5年で20件(NITE)。よく見かける「ルーバーは月1回」「業者は1〜2年に1度」といった数字は、今回確認した範囲では出どころを確かめられませんでした。

エアコン掃除で迷ったときは、道具や手順から入らずに「その汚れはどの部位にあるか」から考えてみてください。部位が決まれば、自分の作業か、人に渡す作業かはおのずと決まります。あなたのエアコンは今、どのあたりが気になっていますか。

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