エアコンの温風が臭い|暖房・霜取り運転・設定温度の関係をメーカー公式で確認

冬に暖房をつけたエアコンから温風が出ている室内のイメージ 掃除・お手入れ・メンテナンス

こんにちは、エアコンラボのアキです。

暖房を入れた瞬間、温風と一緒に「うっ」となるにおいが出てくる。夏の冷房では気にならなかったのに、温風に切り替わったとたんに臭う。雪の日はとくにひどい気がする。そんな相談を毎年いただきます。

この記事は暖房(温風)という条件でしか起きないことだけを集めました。霜取り(除霜)運転、暖房中は内部を乾かす運転が動かない機種があること、そして設定温度との関係の3つです。数値と条件はメーカーの公式ページと公的機関の公表資料で確認したものだけを使い、確認できなかったことは「確認できなかった」と書いています。

  • 暖房の温風が臭うのは冷房と同じ原因なのか、メーカーがどう説明しているか
  • 霜取り運転にかかる時間と条件(メーカー4社の公式値)
  • 暖房のあとは内部を乾かす運転・洗う運転が動かない機種があること
  • 設定温度18度・20度と、においや霜取りの関係
  • 「焦げくさい」と感じたときだけは、対処法より先にやることがあること

冬に暖房をつけたエアコンから温風が出ている室内のイメージ

  1. 「焦げくさい」と感じたら、対処法より先に運転を止めてください
    1. ダイキンと日立が書いている対応は「止めて連絡」
    2. NITEが公表しているエアコンの事故件数
    3. それ以外のにおいと、どこで線を引くか
  2. 暖房の温風が臭うのは、冷房のときと同じ原因なのか
    1. メーカーは「暖房のにおい」を独立した項目にしていない
    2. 三菱電機が書いている「においが多く放出されるタイミング」
    3. だから暖房シーズンの入りが一番きつくなりやすい
  3. 暖房シーズンは、内部を乾かす運転・洗う運転が止まっている
    1. 内部クリーンが冷房・除湿の後にしか動かない機種がある
    2. 日立「暖房運転時は結露しないため洗浄するための水が発生しません」
    3. 外気温が低いと、洗浄運転そのものが動かないことがある
    4. 暖房シーズンに手動でできること
  4. 霜取り(除霜)運転と、雪の日ににおいが気になる理由
    1. 霜取り運転はメーカーがこう説明している
    2. メーカー別・霜取り運転にかかる時間
    3. 室外機の雪をどけるだけで霜取りの回数は変わる
    4. 雪の日は換気もしにくいという条件が重なる
  5. 「18度」と暖房のにおい|設定温度で何が変わるのか
    1. 「18度」は3つの別々の話が混ざっている
    2. 国が示している暖房の目安は20℃
    3. 設定温度を下げると、霜取りは減る
    4. 「30度暖房で消臭」はメーカーの案内には見当たらなかった
    5. メーカーが案内しているのは、冷房側の運転のほう
  6. 暖房のにおいへの対処と、業者に相談する目安
    1. 今日からできること
    2. やらないほうがいいこと
    3. 業者に相談する目安
    4. エアコンの温風のにおいに関するよくある質問(FAQ)
    5. まとめ:暖房のにおいは「シーズンの入り」と「動いていない機能」で考える

「焦げくさい」と感じたら、対処法より先に運転を止めてください

順番を飛ばしますが、ここだけは先にお伝えします。焦げくさい・こげ臭いと感じるにおいだけは、掃除や換気の話に進む前にやることがあるからです。

ダイキンと日立が書いている対応は「止めて連絡」

ダイキンのルームエアコンのよくあるご質問には「こげ臭いにおいがする」という専用の項目があり、回答は次の一文だけです。「運転を停止して電源プラグを抜くか、ブレーカーを切ってお買い上げの販売店または当社に点検・修理をご依頼ください」。原因の説明も、自分で試せることも書かれていません。

日立も同じです。においを6種類に分けて説明しているページのなかで、焦げくさいにおいについてだけは「エアコン内部に不具合が発生している可能性があります。火災のおそれがあるため、すぐにご使用を中止し、お買い上げの販売店または修理相談窓口に点検のご相談をしてください」と書いています。同じページの中で、カビやホコリのにおいには手入れの方法を案内しているのに、焦げくさいにおいのほうには手入れの案内が一切ありません。

日本冷凍空調工業会も「エアコンに異常が見られる場合は運転をリモコン停止し、電源プラグを抜いて、販売店又は修理相談窓口に相談下さい」としています。

NITEが公表しているエアコンの事故件数

製品評価技術基盤機構(NITE)は、通知された製品事故情報のうちエアコンの事故が2015年度から2019年度の5年間で合計263件、うち火災が244件、死亡事故が6件(7名)だったと公表しています。同じ資料では、誤った内部洗浄方法による火災事故が同じ5年間で20件発生したことも示されています。

「においが気になるから様子を見る」で先送りしていい種類のトラブルではない、ということです。

それ以外のにおいと、どこで線を引くか

においの種類を並べて「酸っぱいならカビ、生乾きなら雑菌」のように原因を判定する表はネット上によく見かけますが、私が調べた範囲ではメーカーの公式資料に根拠は見当たりませんでした。日立がにおいを6種類に分けているのも、原因を断定するためではなく「対処方法が異なるので該当するものを見てください」という案内です。この点はエアコンの臭いがイカ・魚・納豆・尿…においの種類で原因は分かる?で詳しく整理しています。

そのうえで焦げくさいにおいだけを例外扱いするのは、メーカー2社と業界団体が「止めて連絡」という同じ結論を、他のにおいとは明確に分けて書いているからです。判断に迷う程度のにおいなら、無理に自分で分類せず購入店かメーカーの窓口に電話してしまうのが早いです。

注意
焦げくさい、煙のようなにおいがする、においと同時に運転ランプが点滅している、といった状態のときは、この記事の掃除や換気の話に進まないでください。運転を止め、電源プラグを抜くかブレーカーを切ったうえで、販売店またはメーカーの修理窓口にご相談ください。

暖房の温風が臭うのは、冷房のときと同じ原因なのか

ここからが本題です。「暖房だけ臭う」という体感は多くの方が持っているのですが、メーカーはこれをどう説明しているのでしょうか。

メーカーは「暖房のにおい」を独立した項目にしていない

結論から言うと、私が確認した範囲では、メーカー公式FAQに「暖房時のにおい」と「冷房時のにおい」を分けて原因を説明したページはありませんでした。ダイキン・三菱電機・日立のにおいのページは、いずれも運転モードを区別せず原因をひとまとめに説明しています。

ダイキンは「エアコンを運転すると、お部屋の空気と一緒にホコリ、生活臭などの様々なニオイの成分が吸い込まれエアコン内部に付着します。また冷房時の結露水の影響でカビが発生します」としています。においのもとを作っているのは主に冷房シーズンで、暖房シーズンはそれを「出す」側だという整理です。

エアコン内部の熱交換器のフィン部分のクローズアップ

三菱電機が書いている「においが多く放出されるタイミング」

暖房の温風が臭う理由に一番近い説明をしているのは、三菱電機のFAQでした。「エアコン内部に付着したニオイの成分は、主に熱交換器が乾燥した状態から結露した状態に変化するときや、逆に結露した状態から乾燥した状態に変化するときに、空気中に多く放出されます」という一文です。

ポイントは「変化するとき」です。においが強く出るのは、熱交換器が濡れているときでも乾いているときでもなく、濡れた状態と乾いた状態が入れ替わる瞬間だと書かれています。

これを暖房に当てはめると話がつながります。冷房シーズンのあいだ、熱交換器は結露で濡れた状態が続いていました。そこへ暖房を入れると温められて乾いた状態に切り替わります。三菱電機の言う「結露した状態から乾燥した状態に変化するとき」そのものです。

だから暖房シーズンの入りが一番きつくなりやすい

三菱電機は霧ヶ峰のコンテンツで、逆方向の現象についても書いています。「冷房を使わない期間(暖房運転時)にエアコン内部にたまったこれらのニオイ成分が、冷房運転をし始めた時に結露水で部屋中に放出されてしまう」という説明です。同じページでは、同社の調査として63.5%の方が使い始めのエアコンに嫌なにおいを感じ、44.9%が対策していない・方法が分からないという数字も紹介されています。

つまりにおいがたまるのは「そのモードを使っていない期間」で、出るのは「使い始めた瞬間」です。冷房の使い始めに臭うのと暖房の使い始めに臭うのは、同じ現象を季節違いで見ているだけということになります。「暖房だけ臭う」より「久しぶりに入れたほうが臭う」のほうが実態に近いはずです。

ここまでの整理
・においの成分そのものは、冷房シーズンの結露とホコリ・生活臭が作っている(ダイキン)
・それが多く放出されるのは、熱交換器が乾く⇔濡れるの状態が入れ替わるとき(三菱電機)
・暖房の入り始めは「濡れ→乾き」の変化が一気に起きるので、においを感じやすい
・したがって、暖房固有の対策というより「シーズンの入りの対策」として考えるほうが現実的です

暖房シーズンは、内部を乾かす運転・洗う運転が止まっている

ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。暖房シーズンは、多くの機種で内部をきれいに保つための自動運転が働いていません。これはメーカー自身が公式に書いていることです。

内部クリーンが冷房・除湿の後にしか動かない機種がある

ダイキンの内部クリーンのFAQには、はっきりと「暖房や送風運転では内部クリーンには入りません」と書かれています。内部クリーン自体は運転停止後に送風や暖房で内部を乾かし、約80〜140分後に自動で止まる機能ですが、そのきっかけになるのは冷房と除湿だけです。富士通ゼネラルも「冷房(または除湿)運転停止後に室内機内部(熱交換器・送風ファン・送風路)を乾燥させ、カビや雑菌の繁殖を抑制する機能です」とし、「冷房・除湿を10分以上運転すると、運転停止後に約90〜100分間動作します」と書いています。暖房停止後に動くという記載はありません。

各社の公式記載を、暖房のあとにどうなるかという観点だけで並べると次のようになります。機能の効果そのものの比較はエアコンの臭いに効く?水内部クリーン・凍結洗浄などメーカー機能を比較にまとめてあります。

メーカー(機能名) 公式に書かれている動作のきっかけ 暖房のあとはどうなるか
ダイキン(内部クリーン) 冷房・除湿の運転停止後。約80〜140分 「暖房や送風運転では内部クリーンには入りません」と明記
富士通ゼネラル(内部クリーン) 冷房・除湿を10分以上運転して停止後。約90〜100分 暖房停止後に動作するという記載なし
三菱電機(内部クリーン) 「冷房」「除湿」運転後に送風運転や弱暖房運転 暖房後に動作するという記載なし
日立(凍結洗浄) 冷房・除湿・暖房の運転停止後。約20〜240分 動作はするが「暖房運転後の凍結洗浄では乾燥をしません」
パナソニック(ナノイーX内部クリーン) 30分以上運転して停止した時 「冷房時の内部クリーン、暖房時の内部クリーン」と両方を記載
シャープ(内部清浄) 運転停止後、送風または暖房(乾燥)運転 冷房限定の記載はなし。季節の変わり目の手動運転を推奨

お使いの機種がどれに当たるかは、リモコンのボタン名と取扱説明書で確認してください。「うちは内部クリーン付きだから大丈夫」と思っていても、暖房シーズンのあいだその機能が一度も動いていない可能性があります。

日立「暖房運転時は結露しないため洗浄するための水が発生しません」

乾燥だけでなく、洗浄のほうも暖房では条件がそろいません。日立は凍結洗浄の解説ページで、従来型の洗浄(冷房・除湿時の結露水で洗い流す方式)について「「従来の洗浄」は、冷房、除湿運転時に熱交換器の結露で発生する水を使った洗浄です。なので、暖房運転時は結露しないため洗浄するための水が発生しません」と説明しています。パナソニックも、結露水で汚れを流す「コーティング自動洗浄」について「冷房/除湿運転時に発生した水で汚れをするっと落とす」と書いており、水を使う工程は冷房・除湿が前提です。

暖房中の熱交換器は温かく乾いています。水が発生しないのだから、結露水で洗い流すタイプの機能は暖房シーズンには原理的に働きようがありません。機能の優劣ではなく、物理的な前提の話です。

外気温が低いと、洗浄運転そのものが動かないことがある

さらに、寒い時期は自動洗浄の動作条件からも外れやすくなります。日立の凍結洗浄は動作条件として室温・室内の湿度が約10〜32℃・約30〜70%、外気温が約1〜43℃と公表されており、「梅雨や雨が降り続いた湿度の高い時期や、冬季に外気温が氷点下を下回る場合は動作しません」と明記されています。ダイキンの水内部クリーンも「屋外温度が1℃未満のときは水内部クリーン運転を行いません」とされています。雪が降るような日は、まさにこの条件に当たります。

「雪の日にエアコンが臭う」という体感には、こうした背景があります。低い外気温だから直接においが出るのではなく、低い外気温では内部をきれいに保つ運転が止まっているため、においのもとが減らないまま暖房を使い続けることになる、という構図です。

暖房シーズンに手動でできること

自動で動かないなら、手動で近いことをするしかありません。シャープは「通常エアコンをお使いいただく時期は『自動内部清浄運転』を常に設定していただくと共に、季節の変わり目には『手動内部清浄運転』を合わせて実施いただくことをおすすめします」と案内しており、季節の変わり目に手で動かすことをメーカー自身が想定しています。日本冷凍空調工業会も、シーズンオフのお手入れとして「晴れた日には半日ほど送風運転をし、内部を乾燥させてください」としています。

霜取り(除霜)運転と、雪の日ににおいが気になる理由

暖房シーズン特有の動作として、もうひとつ外せないのが霜取り運転です。「暖房中に急に風が止まってから、戻った瞬間に臭った」という相談は、ほぼこれに関係しています。

霜取り運転はメーカーがこう説明している

ダイキンの説明が分かりやすいので引用します。「暖房運転では、冷房時と反対の運転となり、室外機から冷たい風が出ています。このため、屋外の温度が低いときには室外機に霜がつきます。霜がつくと暖房する力が弱くなるので、それを防止するために、霜取り運転(霜を溶かす運転)を行います」とあります。三菱電機も「暖房運転時、外気温度が低く、湿度が高い時は、室外ユニットに霜が付きます」と、外気温の低さと湿度の高さの両方を条件に挙げています。雪が降っている日は、まさにこの条件です。

霜取り中は室内機側でも動きが変わります。三菱電機のFAQは「冷風防止のため上下風向が水平になり、風が止まります」、日立は「上下風向板が開き、水平になりますが風は出ません」としています。霜取りのあいだ室内機の中の空気はほとんど動かず、終わると暖房が再開して止まっていた風が再び流れ出します。三菱電機の言う「乾いた状態と濡れた状態が入れ替わるとき」と、風が止まって再び流れ出すタイミングが重なるのが霜取り直後です。

メーカー別・霜取り運転にかかる時間

霜取りにかかる時間は、ネット上でかなりばらついた数字が出回っています。メーカーの公式記載だけを集めると次のとおりでした。いずれも各社のFAQに書かれている値です。

メーカー 霜取り運転にかかる時間(公式値) あわせて書かれていること
ダイキン 約3〜10分 霜取り中は室内機から暖かい風が出ない
日立 5〜22分間 暖房運転直後の予熱運転は2〜3分間。25分以上点滅が止まらない場合は点検相談
三菱電機 約10分間 暖房開始時に温風の準備で約3分間待つことがある
富士通ゼネラル 4〜15分程度 霜取り運転をしない設定にすることはできない

幅を取ると、おおむね3分から22分の範囲に収まります。日立は「25分以上経過しても運転ランプの点滅が止まらない、または予熱・霜とりランプの点灯が消えない場合は、エアコンが正常に動作していない可能性があります」として、点検を相談する目安まで示しています。時計で測って25分を超えるようなら、様子見の段階ではありません。

なお富士通ゼネラルは「霜取り運転をしないように設定することはできません」と明記しています。においが出るから止めたいと思っても、利用者側で切れる機能ではありません。電気代についてはエアコン霜取り運転の電気代の記事で扱っています。

◆アキのワンポイントアドバイス

霜取り運転は、外の気温だけで決めているわけではありません。ダイキンや三菱電機の説明にあるとおり、判断材料は外気温と湿度、そして熱交換器そのものの温度です。だから「今日は寒いのに霜取りに入らない」「そこまで寒くないのに何度も入る」ということが起こります。止まっているあいだも故障ではないので、まずは時計を見て何分かかったかだけ記録してみてください。あとで相談するときの材料になります。

室外機の雪をどけるだけで霜取りの回数は変わる

雪の日にできることで、効果がはっきりしているのは室外機まわりの除雪です。ダイキンは大雪・積雪・寒波のときの症状として「積もった雪が、エアコン室外機の吹き出し口や吸い込み口をふさいでいると、室内機から暖かい風が出ません」「吹き出したり、吸い込んだりする空気の通り道を確保するため、室外機周辺の雪を取り除いてください」と案内しています。

同じページでは、雪や氷が室外機内部に入り込んでファンが回らなくなり、エラーコード「E7」が表示されることがあるとも書かれています。この場合の対処は「運転を停止した状態で日中気温が上がり、室外機内部の雪や氷が自然解凍されるのをお待ちください」で、お湯をかけて溶かす方法は案内されていません。あわせて「室外機の前を塞がないでください」も挙げられています。室外機が吐き出した冷たい空気を自分で吸い直すと霜が付きやすくなるためです。設置環境についてはエアコン室外機のブロック(据付台)の選び方も参考にしてください。

雪の日は換気もしにくいという条件が重なる

もうひとつ、雪の日ならではの事情があります。窓を開けにくいことです。パナソニックが公開している記事では、運転開始直後のにおい対策として「運転開始と同時に10分ほど窓を開け、換気を行うのがオススメです」という方法が紹介されていますが、雪の日にこれを10分続けるのは正直つらいです。

雪の日に「いつもより臭う気がする」と感じるとき、確認できる条件は次の3つが同時に起きていることです。

  • 外気温が低く湿度が高いため、霜取り運転の頻度と時間が増える(ダイキン・三菱電機)
  • 外気温が氷点下や1℃未満では、内部を洗う自動運転が動作条件から外れる(日立・ダイキン)
  • 寒さで窓を開けての換気がしにくく、放出されたにおいが室内に残りやすい

気圧や体調のせいだと説明されることもありますが、それを裏づける公的な資料は見つけられませんでした。窓を開けない換気の考え方についてはエアコンの臭いは換気だけでは消えない?で扱っています。

「18度」と暖房のにおい|設定温度で何が変わるのか

エアコンのリモコンで温度設定を確認しているイメージ

「エアコン 臭い 18度」で検索される方が一定数いらっしゃいます。ただ、この18度という数字は文脈がいくつも混ざっているので、まずそこを分けます。

「18度」は3つの別々の話が混ざっている

調べていくと、18度という数字は次の3つの場面で出てきます。

  1. 暖房の設定温度としての18度。寒いけれど電気代が気になるので低めにしている、というケース
  2. 冷房の低温運転でにおいを流す方法としての18度。窓を開けて低い温度で冷房を回し、結露水でにおい成分を洗い流す方法
  3. 国が示す目安と混同されている18度。ただし資源エネルギー庁が示している暖房時の目安は20℃で、18度ではありません

以下は1の文脈で進めます。2については後半で触れますが、詳しい検証はエアコンの臭い対策、ネットで語られる5つの方法をメーカー公式で検証にまとめてあります。

国が示している暖房の目安は20℃

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、家庭の省エネ行動として「冬の暖房時の室温は20℃を目安に」と示しています。算出根拠も公開されていて、外気温度6℃のときに2.2kWのエアコンの暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(1日9時間使用)、年間で電気53.08kWhの省エネ、約1,650円の節約とされています。

同じページでは、フィルターを月に1回か2回清掃した場合の効果も示され、目詰まりしたエアコンとの比較で年間31.95kWh、約990円とされています。詳細はエアコンフィルター掃除の効果はどれくらい?で扱っています。

なお20℃は室温の目安であって、リモコンの設定温度そのものではない点に注意してください。同じ設定温度でも、部屋の断熱や吹き出し方向で実際の室温は変わります。

設定温度を下げると、霜取りは減る

暖房の設定温度とにおいの関係をメーカーが直接書いているわけではありません。ただし設定温度と霜取り運転の関係については、ダイキンがはっきり書いています。「霜取り運転の回数がいつもより多い場合や、霜取り運転の時間が長い場合は、暖房の設定温度を、1〜2℃下げた運転をお試しください。エアコンの能力を抑えることで霜の付く量を抑えて、霜取り運転の頻度や時間を軽減できる可能性があります」。同じ内容は大雪・寒波のページにもあります。

ここから言えることを整理します。

  • 設定温度を下げるとエアコンの能力が抑えられ、室外機に付く霜が減る(ダイキン)
  • 霜が減れば霜取り運転の頻度と時間が減る(同上)
  • 霜取りのたびに風が止まって再び流れ出す回数も減る
  • におい成分が放出されやすいのは状態が入れ替わるとき(三菱電機)なので、その回数自体は減る

「18度など低めの設定にしたらにおいが弱まった気がする」という体感は、においの発生量が減ったのではなく、においが押し出される回数が減った可能性があります。ただしこれは複数のメーカー記述をつないだ推論で、「設定温度を下げるとにおいが減る」とメーカーが書いているわけではありません。

「30度暖房で消臭」はメーカーの案内には見当たらなかった

逆に、暖房を30度前後にして1時間ほど運転すればにおいが取れる、という方法もよく紹介されています。各社の公式ページを探しましたが、メーカーがこの方法を案内している記載は見つけられませんでした。高温でカビを抑えられるという説明の一次的な根拠も確認できていません。電気代の面でも、設定温度を上げる方向は資源エネルギー庁の目安と逆行します。

メーカーが案内しているのは、冷房側の運転のほう

においを落とす運転としてメーカーが実際に案内しているのは、暖房ではなく冷房です。三菱電機は「窓を開けて、冷たい風が出るような十分に低い設定温度で1時間程度冷房運転すると、熱交換器やドレンパンに付着して残ったニオイ成分が結露水に溶け込み洗い流されて、ニオイが軽減されることがあります」としています。

ただし同じページには、屋外が高湿度(80%以上)のときに1時間以上運転すると室内機に露が付いて滴下し、家財や床をぬらすおそれがあるため、下にビニールシートなどで防水対策をするようにという注意が付いています。真冬にこれをやるのは室温的につらいので、この方法は冷房シーズンの入り口(春から初夏)にやるものと考えたほうが現実的です。三菱電機自身も、この方法を「シーズン前(使い始め)にすること」のページで案内しています。

暖房のにおいへの対処と、業者に相談する目安

取り外したエアコンのフィルターに溜まったホコリ

最後に、暖房シーズンの今できることを、出典のあるものだけ順番に並べます。

今日からできること

  1. 焦げくさくないかを最初に確認する。焦げくさければ運転を止めて連絡(ダイキン・日立)
  2. フィルターを掃除する。ダイキンは「エアフィルターを2週間に1回を目安に清掃する」、日本冷凍空調工業会も「シーズン中は、2週間に1回程度はお掃除を」としています
  3. 室外機まわりの雪と障害物をどける。霜取りの頻度と時間を減らす方向に働きます(ダイキン)
  4. 霜取りに入ったら時間を測る。各社の公式値は3〜22分程度。25分を超えるなら点検相談の目安(日立)
  5. 暖房を止めたあと、送風運転を手動で回す。自動の内部クリーンが暖房後に動かない機種があるためです
  6. 暖房シーズンが終わったら、晴れた日に半日ほど送風運転をする。日本冷凍空調工業会の案内です
  7. 次の冷房シーズンの入り口で、窓を開けて低い設定温度の冷房運転を1時間。防水対策のうえで(三菱電機)

日本冷凍空調工業会のシーズン前点検の案内には「電源プラグやコンセントがゆるんだり、変色していませんか?」という項目もあり、変色があれば販売店に相談するよう書かれています。

やらないほうがいいこと

  • 市販の洗浄スプレーを内部に吹き付ける。ダイキンは「市販の洗浄スプレーは、ご使用しないでください」「最悪の場合は発煙発火につながるおそれがあります」としています
  • 吹き出し口に消臭剤・抗菌剤を吹きかける。三菱電機の担当者コメントとして「おやめください」と明記されています
  • 自分で分解して内部洗浄する。NITEは誤った内部洗浄による火災事故が5年間で20件発生したとしています
  • 室外機の雪にお湯をかけて溶かす。ダイキンの案内は「自然解凍されるのをお待ちください」です
  • 霜取り運転を止めようとする。富士通ゼネラルは「設定することはできません」と明記しています

日本冷凍空調工業会は除菌・消臭剤や殺虫剤に含まれる成分が熱交換器の銅管に腐食を引き起こすことがあるとし、「エアコンに直接吹き付けないでください」と注意喚起しています。においを消したくてかけたものが、冷えない・暖まらないの原因になることがあります。

業者に相談する目安

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトのコラムは、「内部にカビが繁殖することで、異臭の原因やアレルギー症状の原因となるという報告もあります」としつつ、「十分な知識がない方が内部の洗浄を行うと故障の原因となることもありますし、悪質な事業者によるトラブルも報告されています」と両方の注意を書いています。

三菱電機は、吹き出し口付近のカビを拭き取っても改善しない場合は「通風路の手が届かない場所やファンにカビが生えている可能性があります」として、販売店やメーカーの修理窓口への相談を案内しています。自分でどこまで触ってよいかの線引きはエアコンのローラー(送風ファン)掃除は自分でどこまで?、体調面が気になる場合はエアコンの臭いで目が痛いときに確認すること、冷房シーズンの条件はエアコンの臭いが雨の日や夕方だけ強い理由をご覧ください。

エアコンの温風のにおいに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 暖房のときだけ臭うのですが、冷房のときと原因は違うのですか?

A. 確認した範囲では、メーカーの公式FAQに暖房と冷房を分けて原因を説明したページはありませんでした。三菱電機は、においの成分が多く放出されるのは「熱交換器が乾燥した状態から結露した状態に変化するとき」と「その逆のとき」だと説明しています。原因そのものが違うというより、放出されるタイミングが違うという整理になります。

Q2. 霜取り運転はどれくらいで終わりますか?終わらないときは故障ですか?

A. 公式値はダイキンが約3〜10分、三菱電機が約10分間、富士通ゼネラルが4〜15分程度、日立が5〜22分間です。日立は「25分以上経過しても運転ランプの点滅が止まらない場合は、エアコンが正常に動作していない可能性があります」として点検の相談を案内しています。時計で測って25分を超えるようなら、販売店やメーカー窓口に相談してください。

Q3. 雪の日だけにおいが強い気がするのは気のせいですか?

A. 気のせいと決めつける必要はありません。雪の日は外気温が低く湿度が高いため霜取り運転が増えます。また日立の凍結洗浄は外気温が氷点下では動作せず、ダイキンの水内部クリーンも屋外温度1℃未満では動きません。加えて換気もしにくくなります。気圧や体調で感じ方が変わるという説明も見かけますが、裏づける公的資料は確認できませんでした。

Q4. 暖房を18度など低めにすると、においは弱くなりますか?

A. 「設定温度を下げるとにおいが減る」と書いているメーカーは見つかりませんでした。確認できるのは、ダイキンが「霜取り運転の回数がいつもより多い場合や時間が長い場合は、暖房の設定温度を1〜2℃下げた運転をお試しください」と案内していることまでです。霜取りが減れば風が止まって再び流れ出す回数も減るので、結果的ににおいを感じる場面は減るかもしれません。なお、資源エネルギー庁が示す暖房時の室温の目安は20℃で、18度ではありません。

Q5. 内部クリーン機能が付いていれば、暖房シーズンも安心ですか?

A. 機種によります。ダイキンは「暖房や送風運転では内部クリーンには入りません」と明記しており、富士通ゼネラルと三菱電機も冷房・除湿の停止後を動作条件としています。日立の凍結洗浄は暖房後も動きますが「暖房運転後の凍結洗浄では乾燥をしません」とされています。パナソニックとシャープは暖房後の動作にも触れています。取扱説明書で確認し、動かない機種なら暖房を止めたあとに送風運転を手動で回すのが現実的です。

Q6. 暖房を30度にして1時間運転すればにおいが取れますか?

A. この方法をメーカーが案内している記載は見つけられませんでした。メーカーが実際に案内しているのは冷房側の運転で、三菱電機は「窓を開けて、冷たい風が出るような十分に低い設定温度で1時間程度冷房運転する」方法を示しています(高湿度時は防水対策が必要)。真冬に行うのは室温的に厳しいので、冷房シーズンの入り口で試すほうが現実的です。

まとめ:暖房のにおいは「シーズンの入り」と「動いていない機能」で考える

暖房の温風が臭う原因として、メーカーが冷房と分けて説明しているものはありませんでした。三菱電機の説明にあるとおり、においの成分が多く放出されるのは熱交換器が乾いた状態と濡れた状態が入れ替わるときで、暖房の入り始めはまさにその変化が起きるタイミングです。

そのうえで、暖房シーズンには固有の事情が重なります。内部を乾かす・洗う自動運転が冷房・除湿の後にしか動かない機種があること。日立が書いているとおり暖房中は結露しないので、結露水で洗い流す機能が原理的に働かないこと。低い外気温では洗浄運転そのものが動作条件から外れること。雪の日はここに霜取り運転の増加と換気のしにくさが加わります。

できることは、フィルターの掃除、室外機まわりの除雪、暖房停止後の手動の送風運転、そして霜取りにかかった時間を測っておくこと。逆に、洗浄スプレーの吹き付けや自分での分解洗浄は、火災事故の実例がある以上おすすめできません。

そして、焦げくさいにおいだけは別枠です。ダイキンも日立も、このにおいには手入れの方法を案内せず「止めて連絡してください」としか書いていません。判断に迷ったら、掃除を試す前に電話をしてください。

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