こんにちは、エアコンラボのアキです。「フィルター掃除は効果がある」とはよく聞きますが、面倒な作業だけに、やってどれくらい得をするのかがはっきりしないと続きませんよね。
エアコンの困りごとのなかで、このテーマは珍しく国とメーカーが具体的な数字を公表しています。この記事では、私が原典に1件ずつあたって、実際に書かれている数値とその測定条件だけを並べました。掃除のやり方より「やるとどれだけ戻ってくるのか」に絞ります。
- 公表されている効果は、条件によって「約5%」から「約25%」まで幅がある
- 金額に直すと、ダイキンの実験で1か月800円、資源エネルギー庁の試算で年間約990円
- 数字が食い違うのは、比べている条件(運転時間・料金単価・汚れの量)が違うから
- 推奨頻度は2週間に1回。実際にできている人は12.5%しかいない

フィルターを水洗いしてお手入れする様子
フィルター掃除の効果は「約5%〜約25%」。まず公表値を条件つきで並べます
結論からお伝えすると、フィルター掃除で減らせる消費電力として公表されている数字は、おおむね約5%から約25%の範囲に収まります。この幅は掃除の上手下手ではなく、比べている条件の違いから生まれています。一覧にすると次のとおりです。
国・業界団体・メーカーが公表している数値
| 出典 | 比較・試算の条件 | 公表されている効果 |
|---|---|---|
| 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「空調」 | フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)と、フィルターを清掃した場合の比較 | 年間で電気31.95kWhの省エネ、原油換算8.05L、CO2削減量15.6kg、約990円の節約 |
| ダイキン「エアコン掃除の困りごとと対処法」 | JRA4046-2004に準拠した運転条件。1年後のホコリ量は2gで試算(同社調べ) | 掃除した場合1,145kWh、しない場合1,432kWh。1年間掃除をしないと約25%もの電気代が余計にかかる |
| ダイキン ニュースリリース(2022年8月9日) | 10年以上前のエアコンと約3年分のホコリが溜まったフィルターを使用。日中9時間(9:00〜18:00)つけっぱなしで計測 | 目詰まりで余分に発生していた48.9%分の消費電力量を削減。1か月あたり電気料金800円、CO2排出量11.7kgの削減 |
| 三菱電機 霧ヶ峰「かんたん節電アクション」 | 約半年間(1日8時間の使用を想定)お手入れしなかった場合と、新品のフィルターを使用している場合との比較 | 消費電力が約12%悪化 |
| 日本冷凍空調工業会「シーズン中は…」/日立 お客さまサポート | 冷房(暖房)シーズンを通じてフィルター掃除をせず、ゴミやホコリなどがつまった場合 | 電気が約5〜10%のムダ使い(日立は「ゴミやホコリを取り除くことで約5〜10%の省エネ効果」と表現) |
数字が食い違うのは、比べているものが違うからです
この5つを見比べて「どれが本当なの?」と思われたと思います。答えは全部本当で、条件が違うだけです。
いちばん大きい約25%を出しているダイキンの数字は、1年間まったく掃除をしなかった状態との比較です。2022年の実験にいたっては、10年以上前のエアコンに約3年分のホコリという、かなり厳しい条件を意図的に作っています。一方で日本冷凍空調工業会の約5〜10%は、1シーズンを通じて掃除をしなかった場合の目安です。放置した期間が違えば、差が違うのは当然ですね。
「25%も安くなるらしい」と期待して効果を感じられなかったとしても、それはあなたのエアコンがそこまで汚れていなかっただけかもしれません。汚れているほど戻りが大きい、という読み方が正確です。
ダイキンは2022年の実験結果について「本調査は、1つの住宅を使用し、天気や気温などの条件が近い複数の日に実施したものです。そのため、厳密な同条件での比較ではありません」と自ら注記しています。この記事でも数字を断定的には扱いません。
電気代でいくら変わるのか。「1か月800円」と「年間990円」の違い
%のままだと実感が湧きにくいので、金額が公表されている2つを見ていきます。どちらも電気料金の単価が明示されているものだけを選びました。
ダイキンの実験:1か月あたり800円、CO2は11.7kg
ダイキンは「フィルター掃除あり」と「フィルター掃除なし」で、それぞれ日中9時間(9:00〜18:00)エアコンをつけっぱなしにして消費電力量を計測し、1か月あたりの電気料金とCO2排出量を算出しています。結果は、目詰まりで余分に発生していた48.9%分の消費電力量が削減され、電気料金800円、CO2排出量11.7kgの削減でした。
ここで大事なのが単価です。この800円は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価31円/kWh(令和4年7月改定)で換算した金額です。契約している電力会社の単価が違えば、金額も比例して変わります。
資源エネルギー庁の試算:年間で約990円
もうひとつは国の数字です。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは「フィルターを月に1回か2回清掃」という省エネ行動について、2.2kWのエアコンで年間31.95kWhの省エネ、原油換算8.05L、CO2削減量15.6kg、約990円の節約としています。
こちらの算出根拠のページを見ると、電気の金額換算係数は同じく31円/kWh、CO2排出係数は0.488kgCO2/kWh、原油換算係数は0.252L/kWhと明記されています。数値の元になっているのは省エネルギーセンターの実測値です。
1か月800円と年間990円、どちらを目安にすべきか
並べると「1か月800円」が「年間990円」より圧倒的に大きく見えますが、これも条件の違いです。ダイキンは3年分のホコリが溜まったフィルターで毎日9時間つけっぱなし、資源エネルギー庁は2.2kWの一般的な使用を前提にした年間値です。在宅で日中もつけっぱなし、しかも何年も掃除していないなら上のほう、こまめに掃除していて使用時間も短いなら下のほうと見当をつければ大きく外しません。
室外機まわりを片付けると、効果はさらに伸びます
同じ実験でダイキンは、フィルター掃除に加えて室外機周辺の障害物も取り除いた場合も測っています。こちらは余分に発生していた105.1%分の消費電力量が削減され、1か月あたりの電気料金は1,720円、CO2排出量は25.2kgの削減という結果でした。
ダイキンはこの2つから「フィルターを掃除しないと約1.5倍、フィルター掃除と室外機周辺の片付けのどちらもしないと約2.1倍もの電力消費につながる可能性がある」とまとめています。室外機の前に物を置いていないかも一緒に見ておくと、手間あたりの効果が大きくなりますよ。
頻度の目安と、フィルター掃除の費用対効果
推奨は2週間に1回。できている人は12.5%だけ

掃除機でフィルター表面のホコリを吸い取る様子
頻度については各社ほぼ一致しています。ダイキンは「シーズン中のフィルター掃除は2週間に1回のペースで」、日本冷凍空調工業会は「2週間に1回は、ぜひお掃除を」、三菱電機は「2週間に1度」、日立はフィルターサインがない機種について「2週間に1回程度を目安に」。資源エネルギー庁だけは「月に1回か2回」という書き方です。
面白いのが実態のほうで、ダイキンが2022年7月に496名へ行った調査では、推奨される2週間に1回以上の頻度で掃除できている人はわずか12.5%でした。約4割(39.9%)は1か月に1回以下、「まだしていない/する予定はない」人を含めると55.0%が掃除不足という結果です。裏を返せば、半数以上の人には掃除の余地が残っているということになります。
手間と、戻ってくる金額を比べてみる
費用対効果を考えるうえで、頭に入れておきたいことをまとめます。
- 道具代がかからないので、かかるコストは手間だけ。ダイキンが案内する手順も「パネルを開けて外す→掃除機で吸う→戻す」の3ステップです
- 効果は金額ではなく割合で公表されているので、自分のエアコン代に約5〜25%を掛けると幅の見当がつきます
- 夏場のエアコン代が月8,000円だと仮定すると、単純計算で400円〜2,000円の幅(割合を当てはめた計算例で、実測値ではありません)
- 汚れが軽ければ下限側、長く放置していたなら上限側に寄ります。サボった人ほど1回の掃除で戻る額が大きい構造です
- 電気代以外に、ニオイやカビの抑制、風量が戻ることによる「冷えるまでの時間の短縮」もついてきます
掃除しても効きが戻らないときは、フィルター以外が原因です
フィルターをきれいにしても改善しない場合、原因はもっと奥にあります。熱交換器や送風ファンの汚れ、内部の乾燥不足などです。ただし内部の洗浄は自分でやるものではありません。日本冷凍空調工業会は「エアコン内部の洗浄は高い専門知識が必要です。お客様自身で実施したり、正しい洗浄剤の選定と洗浄方法で行わないと、内部部品の破損による水漏れや電気部品の故障などを引き起こすことがあります」と明確に注意を促しています。
関連する話題は別の記事にまとめています。ローラー(送風ファン)掃除の境界線、内部クリーン運転、フィルターが破れた時の対処、貼るフィルターのデメリットをご覧ください。
エアコンフィルター掃除の効果に関するよくある質問
Q1. フィルター掃除だけで本当に電気代は変わりますか?
A. 国・業界団体・メーカーのいずれも、消費電力に差が出ることを数字つきで公表しています。ただし公表値は約5%から約25%まで幅があり、条件で変わります。あなたのエアコンでいくら安くなるかを事前に言い当てられる数字はありません。
Q2. どれくらいサボると差が出はじめますか?
A. 「何日でこうなる」という公表データは見つかりませんでした。期間が明示されているものとしては、三菱電機が約半年間(1日8時間の使用を想定)で消費電力が約12%悪化、ダイキンが1年間掃除をしないと約25%もの電気代が余計にかかるとしています。この2つの間くらいのペースで悪化していくとイメージしておくとよさそうです。
Q3. お掃除機能付きなら、何もしなくていいですか?
A. 完全放置でよいとは案内されていません。日立は「自動フィルター掃除」搭載機について「エアフィルターは汚れにくい構造ですが、数シーズン使用すると汚れが取れなくなることがあります。定期的にフィルターの汚れ具合を確認し、お手入れをしてください」としています。頻度は落とせても、確認そのものは必要ということです。
Q4. 掃除したのに効果を実感できません。
A. 電気代の差は毎月の請求額に埋もれるので、実感しにくいのが普通です。比較的わかりやすいのは風量と、設定温度に到達するまでの時間のほうです。ダイキンも、フィルターにホコリが堆積すると室内機を通る空気の量が減り、室温が設定温度に到達するまでに時間がかかると説明しています。
Q5. 業者のエアコンクリーニングとどちらが効果的ですか?
A. 比べるものが違います。この記事の数値はいずれも「フィルターの目詰まり」を条件にした試験値で、内部洗浄の効果を測ったものではありません。日本冷凍空調工業会は内部洗浄について「数シーズン使用した後でも電気代のムダなく、冷暖房を行うために必要になることがあります」としつつ、専門業者への依頼を求めています。まず無料でできるフィルター掃除を試す順番がおすすめです。
まとめ
- 公表されている効果は約5%〜約25%。条件が違うので単純比較はできない
- 金額はダイキンの実験で1か月800円、資源エネルギー庁の試算で年間約990円。どちらも31円/kWhでの換算
- ダイキンの800円は10年以上前のエアコン+約3年分のホコリ+日中9時間運転という条件つき。室外機周辺の片付けも合わせれば1か月1,720円まで伸びる
- 推奨頻度は2週間に1回。実践できている人は12.5%で、半数以上に掃除の余地がある
- 汚れているほど戻りが大きいので、しばらく掃除していない人ほど今日やる価値がある
- 掃除しても効きが戻らないなら原因はフィルター以外。内部洗浄は自分でやらない
