エアコンは何畳から選ぶ?カタログの6〜9畳表記の正しい読み方

壁に取り付けられた家庭用エアコンの室内機 購入・選び方

こんにちは、エアコンラボのアキです。

買い替えようとカタログや通販ページを開いたら、「おもに6畳」「6〜9畳」「2.2kW」「AN-224○○」と、数字が何種類も並んでいて手が止まった。そんな経験、ありませんか。

実はこの数字たち、それぞれ違う出どころを持っています。片方は規格に基づいた値で、もう片方は規格がありません。そこを分けずに眺めていると、いつまでも「エアコンは何畳からのモデルを買えばいいのか」が決まらないんですよね。

この記事で使うのは、経済産業省(資源エネルギー庁)の審議会資料とメーカー各社の公式ページで確認できたことだけです。そのうえで、エアコンは何畳から選ぶのかを決めるための畳数表記の読み方を、最初から順番にほどいていきます。読み終わるころには、カタログのどこを見て、どの数字を自分の部屋に当てはめればいいかがはっきりするはずですよ。

  • カタログに並ぶ畳数には規格のあるものと無いものの2種類がある
  • 6〜9畳という幅の左端と右端がそれぞれどんな部屋を指すのか
  • 冷房能力のkWと畳数の対応を公的資料の表で確認する方法
  • 型番の数字・kW・畳数がどこまでつながっていると言えるのか

壁に取り付けられた家庭用エアコンの室内機

  1. エアコンは何畳から選ぶ?畳数表記は2種類ある
    1. おもに◯畳と畳数のめやすは別物
    2. 畳数のめやすはJEM-1447という規格に基づく
    3. おもに◯畳には規格がなく各社の判断
    4. どちらの数字を先に見るべきか
  2. カタログの6〜9畳の左と右は何を指すのか
    1. 左端は一戸建木造平屋南向き和室
    2. 右端は鉄筋集合住宅中間層南向き洋間
    3. 畳ではなく平方メートルで見ると迷わない
    4. 冷房と暖房で畳数が違う理由
  3. 冷房能力kWと畳数の対応を公的資料で確認する
    1. 公的資料に載っているkWと畳数の対応表
    2. 2.2kWから7.1kWが家庭用の中心
    3. 能力の括弧内の数字は運転できる幅
    4. 公表された負荷の数値から畳数を計算してみる
  4. 型番の数字とkW・畳数のつながりを読み解く
    1. 日立が公開する型式の数字と畳数の一覧
    2. 型名の数字とkWが同じページに並ぶ実例
    3. 数字イコールkWと明記した公式ページは見つからず
    4. 手元のエアコンが何畳用かを確認する方法
  5. エアコンを何畳から選ぶかの前提と限界
    1. 前提となる冷房負荷は1965年の規格に基づく
    2. 想定されているのは昭和55年基準に満たない住宅
    3. 旧基準と新基準では想定する条件が違う
    4. 2021年2月時点で見直しが検討されていた
    5. 幅の中で自分の部屋を位置づける
    6. エアコンの畳数表記に関するよくある質問(FAQ)
    7. まとめ・エアコンは何畳から選ぶかの結論

エアコンは何畳から選ぶ?畳数表記は2種類ある

最初にここを押さえると、あとの話が全部つながります。カタログで見かける畳数は、見た目こそ似ていますが、性格がまったく違う2種類が混ざっているんです。

おもに◯畳と畳数のめやすは別物

店頭のポップや通販の商品名で目にするのが「おもに6畳」「主に10畳」といった表記です。一方、仕様表の適用畳数の欄には「6〜9畳」「8〜12畳」のように幅で書かれた数字が載っています。

この2つ、同じ製品の話をしているのに数字が違います。混乱のもとはここですよね。資源エネルギー庁は2021年2月15日の審議会に資料3「エアコンディショナーの畳数目安、測定方法について」を出しています。そこには、「畳数の表示は以下の2種類が存在し、各社カタログや店頭表示で使用される」とはっきり書かれています。

つまり2種類あるのは仕様ではなく、表示の慣習としてそうなっているということ。まずは「幅で書かれた方」と「1つの数字で書かれた方」を、頭の中で別々の引き出しに入れてください。

畳数のめやすはJEM-1447という規格に基づく

幅で書かれている方、これが「畳数のめやす」です。先ほどの資料には、こう書かれています。「(一社)日本電機工業会が定めた規格『JEM-1447』に基づき、冷房・暖房それぞれの定格能力ごとに畳数の最小値・最大値の幅を規定している」。

ここ、けっこう大事なところです。エアコンの畳数といえばJIS(日本産業規格)で決まっている、と説明している記事をよく見かけます。ただ、この公的資料が根拠として名指ししているのは日本電機工業会のJEM-1447という規格の方なんですよね。

なお富士通ゼネラルのエアコンの上手な選び方のページでは、算出基準として「JIS C 9612による平均的な木造住宅(南向)」と表示されています。両者がどういう関係にあるのかまでは、今回私が確認した資料からは読み取れませんでした。どちらかが誤りだと決めつけられる材料はありません。

おもに◯畳には規格がなく各社の判断

そしてこちらが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。「おもに畳数」について、同じ資料はこう書いています。「具体的な規格はなくメーカー判断で記載している値であるものの、概ね各社とも近い値を記載している」。

資料の別のページにも「『おもに畳数』については、規格はなく各企業の判断で表示している」と重ねて書かれていました。あなたが店頭でいちばん最初に目にする「おもに6畳」という数字は、規格に裏づけられた値ではないわけです。

幅で書かれた「6〜9畳」= JEM-1447という規格に基づく値
1つの数字の「おもに6畳」= 規格はなく各社の判断による値

とはいえ、各社の値がバラバラかというとそうでもありません。資料も「概ね各社とも近い値」としています。実際、後で見ていく日立と富士通ゼネラルの一覧は、10行すべてで畳数が一致していました。規格が無いのに揃っている、という状態ですね。

どちらの数字を先に見るべきか

では買うときにどちらを見るか。私は幅の方を先に見ることをおすすめします。理由は単純で、幅の両端には「どんな部屋を想定したか」という条件がひも付いているからです。条件が分かる数字の方が、自分の部屋と照らし合わせやすいんですよ。

「おもに6畳」は、その幅のどこか1点を各社が代表値として選んだものと考えると分かりやすいかもしれません。代表値だけを見ていると、自分の部屋が幅のどちら寄りなのかという情報が丸ごと落ちてしまいます。

ちなみに通販ページでは商品名に「6畳用」としか書かれていないことも多いですよね。その場合は商品名ではなく、下の方にある仕様表の「冷房能力」「適用畳数」の欄まで下りて確認してみてください。

カタログの6〜9畳の左と右は何を指すのか

幅を先に見る、と決めたら次はその読み方です。左端と右端が何を表しているのかは、規格の条文レベルで説明が公開されています。

左端は一戸建木造平屋南向き和室

畳敷きの和室

先ほどの資源エネルギー庁の資料には、JEM-1447の条文がそのまま引用されています。「一戸建木造平屋南向き和室の単位床面積当たりの冷暖房負荷の数値を最小冷暖房面積値とし」という部分ですね。

言い換えると、幅の左端(小さい方の数字)は、木造の平屋建てで南向きの和室という条件です。木造は熱が出入りしやすく、南向きは日射も入ります。同じ能力のエアコンでも、カバーできる面積は小さくなるわけです。

だからこそ、木造アパートや木造戸建てにお住まいなら、まず左端の数字を自分の部屋に当てはめてください。「6〜9畳」と書かれたモデルは、木造和室なら6畳までが目安、ということになります。

右端は鉄筋集合住宅中間層南向き洋間

洋間の壁に設置されたエアコンの室内機

同じ条文の続きが「表1に示す鉄筋集合住宅中間層南向き洋間の単位床面積当たりの冷暖房負荷数値を最大冷暖房面積値とし」です。こちらが幅の右端にあたります。

ポイントは「中間層」という条件。マンションの中間階は上下を住戸に挟まれているため、最上階や1階に比べて熱の出入りが少なくなります。つまり右端はかなり条件のよい部屋を想定した数字なんですよね。

この読み方はメーカー側の説明とも一致しています。パナソニックのエアコンの選び方ガイドを見てみましょう。そこでは畳数の目安が「6〜9畳(10〜15㎡)」の場合を例に挙げています。そして「適用畳数は『木造平屋南向き(和室)では6畳(10㎡)、鉄筋マンション南向き中間層(洋室)では9畳(15㎡)』ということを表しています」と説明しています。

ダイキンの購入相談窓口のお役立ち情報でも、「木造平屋南向き(和室)なら8畳」「鉄筋アパート南向き(洋室)なら10畳」という形で同じ説明がされていました。

畳ではなく平方メートルで見ると迷わない

ここでひとつ、実務的な話を。畳数という単位は、地域や間取りによって1畳あたりの面積が変わります。だから面積で確認する方が確実です。

パナソニックの表記が親切なのは、6畳に10㎡、9畳に15㎡と面積を併記している点。同じように富士通ゼネラルの仕様ページも「8〜12畳(13〜19m²)」のように平方メートルを併記しています。

手元のメジャーで部屋の縦横を測って掛け算すれば、自分の部屋が10㎡なのか15㎡なのかはすぐ出ます。畳数の数え方で悩むより、この方がずっと早いですよ。なお日立のサポートページには、取扱説明書に載っている平米数から「平米数÷1.65=畳数」で換算する方法が示されています。1畳を1.65㎡として扱う、ということですね。

冷房と暖房で畳数が違う理由

仕様表をよく見ると、冷房と暖房で畳数が別々に書かれていることに気づくと思います。これは能力そのものが冷房と暖房で違うためです。

富士通ゼネラルのnocria V AS-V28Hの仕様ページでは、冷房能力(定格)2.8kWに対する冷房の適用畳数が8〜12畳(13〜19m²)です。暖房は、能力(定格)3.6kWに対して適用畳数が8〜10畳(13〜16m²)です。

暖房の方が能力の数字は大きいのに、畳数は狭くなっている。不思議に見えますが、冬に必要な熱量の方が大きいから、と考えると納得しやすいかなと思います。冷房重視なのか暖房重視なのかで、見るべき行が変わるということです。寒い地域にお住まいなら暖房側の畳数を優先してください。

冷房能力kWと畳数の対応を公的資料で確認する

ここからは、能力(kW)という数字と畳数がどう結びついているのかを見ていきます。ワット数から何畳かを知りたい、容量の一覧が欲しい、という方はこの章が本題です。

公的資料に載っているkWと畳数の対応表

資源エネルギー庁の資料3(2021年2月15日)には、定格冷房能力ごとの「おもに畳数」と「畳数のめやす」を並べた表が掲載されています。以下がその内容です。

定格冷房能力 おもに畳数 畳数のめやす(幅)
2.2kW 6畳 6〜9畳
2.5kW 8畳 7〜10畳
2.8kW 10畳 8〜12畳
3.6kW 12畳 10〜15畳
4.0kW 14畳 11〜17畳
5.6kW 18畳 15〜23畳
6.3kW 20畳 17〜26畳
7.1kW 23畳 20〜30畳

「冷房4.0kwは何畳?」と調べていた方なら、木造なら11畳・鉄筋なら17畳が目安、という読み方になります。5.6kWなら15〜23畳。幅がかなり広いことに驚くかもしれませんね。7.1kWでは20畳と30畳、10畳ぶんもの差があります。

2.2kWから7.1kWが家庭用の中心

上の表は2.2kWから7.1kWまでですが、実際の製品ラインアップはもう少し上まであります。富士通ゼネラルの選び方ページには、〜2.2kWの6畳から9.0kWの29畳まで、次のような刻みで一覧が示されていました。

冷房能力 〜2.2kW 2.5kW 2.8kW 〜3.6kW 〜4.5kW 5.0kW 5.6kW 6.3kW 7.1kW 8.0kW 9.0kW
畳数 6畳 8畳 10畳 12畳 14畳 16畳 18畳 20畳 23畳 26畳 29畳

こちらの数字は、資源エネルギー庁の資料の「おもに畳数」の列とすべて一致します。4.5kW・5.0kW・8.0kW・9.0kWの行は公的資料の表には載っていない行ですが、値の並び方は同じ流れですね。

種類としては、ワンルームや個室が2.2〜2.8kW、リビングが4.0〜6.3kW、広いLDKが7.1kW以上、というのがおおまかな住み分けになります。LDKのエアコン選びで畳数計算に注意したい理由は別の記事で詳しく扱っているので、リビング用を検討中の方はそちらもどうぞ。

能力の括弧内の数字は運転できる幅

仕様表には「4.0kW(0.7〜5.4)」のように、括弧付きで書かれていることがあります。これを見て「結局どれが能力なの?」と迷った方もいるはずです。

富士通ゼネラルの選び方ページによると、この括弧内は能力を可変できる幅を示しています。括弧の外の数字が定格、つまり基準となる条件での能力です。畳数と対応しているのは、この定格の値の方ですね。

ですので、カタログを比べるときは括弧の外の数字だけを拾えば十分です。括弧内の下限が小さいモデルは弱い運転まで絞れる、という読み方はできますが、畳数の判断には使いません。

公表された負荷の数値から畳数を計算してみる

ここからは私が自分で計算した内容なので、その前提をはっきりさせておきます。資源エネルギー庁の資料には、グラフ中にラベルが添えられています。「『畳数のめやす』の最小値はこの負荷を用いて算出される 220」「最大値はこの負荷を用いて算出される 145」という数値です。単位はグラフの軸からW/m²です。

この220W/m²と145W/m²に、日立が示している1畳=1.65㎡という換算を組み合わせて計算してみました。2.2kWを220W/m²で割ると10.0㎡、1.65で割ると6.1畳。145W/m²で割ると15.2㎡で9.2畳。表の「6〜9畳」と一致します。

7.1kWでも同じで、220W/m²なら19.6畳、145W/m²なら29.7畳となり、表の20〜30畳と合いました。上の表の8行×両端の16個すべてが四捨五入で一致します。幅の左右は、負荷の数値の違いがそのまま面積の違いになっているだけなんですね。

この計算は私が確かめのために行ったものです。資料に「この式で計算しなさい」と書かれているわけではありません。数値の出どころと手順を示す目的で載せています。

型番の数字とkW・畳数のつながりを読み解く

通販ページで最初に目に入るのは型番だったりしますよね。AN-224○○、MSZ-○○22、AS-V28H。この数字が何を指しているのかを、確認できた範囲で押さえておきましょう。

日立が公開する型式の数字と畳数の一覧

日立の家電サポートには「何畳用のエアコンか確認したいです。」というQ&Aがあり、「型式のシリーズ名の右側に記載されている数字の最初の2桁を確認し、下記の表から該当する畳数を確認します」と案内されています。

公開されている対応は次のとおりです。

型式の数字 22 25 28 36 40 56 63 71 80 90
畳数 6畳 8畳 10畳 12畳 14畳 18畳 20畳 23畳 26畳 29畳

お気づきでしょうか。この畳数の並びは、先ほどの「おもに畳数」の列と10行すべてで一致します。型式の数字を10で割ればkWの数字になる、という関係が見えてきますね。

型名の数字とkWが同じページに並ぶ実例

実際の製品でも確認できます。富士通ゼネラルのAS-V28Hの仕様ページを見てください。型名「AS-V28H-W」、冷房能力(定格)「2.8kW」、冷房の適用畳数「8〜12畳」がすべて同じページに載っています。

型名の数字は28、冷房能力は2.8kW、畳数は8〜12畳。そして8〜12畳は、資源エネルギー庁の表の2.8kWの行とぴったり同じです。3つの数字が1本の線でつながっていることが、公式の仕様ページ1枚で確かめられるわけです。

ですので、通販で「AN-224○○」のような型番を見かけたら、最初の2桁の22を10で割って2.2kWと見ます。そこから表を引けば6〜9畳、という順で見当がつきます。調べ方としてはこれがいちばん速いかなと思います。

数字イコールkWと明記した公式ページは見つからず

ただし、ここは慎重に書かせてください。「型番の数字は冷房能力のkWを表します」と文章で明記した公式の説明を、今回は見つけられませんでした。

今回私が確認したのは、ダイキン・パナソニック・日立・三菱電機・富士通ゼネラルの5社の公式サイトで到達できたページです。あわせて資源エネルギー庁の資料3(全22ページ)にも目を通しました。この範囲では、数字とkWを対応させる明文の記載にたどり着けませんでした。日立が公開しているのは「数字→畳数」の表で、kWの値は書かれていません。

各社の型名解説ページやカタログPDF、日本電機工業会のJEM-1447の原典までは、今回あたっていません。確認していない資料に記載がある可能性は十分に残ります。あくまで「調べた範囲では明文が確認できなかったが、実際の製品では数字とkWが対応している」という状態です。この線引きは大事にしたいところ。

◆アキのワンポイントアドバイス

ネット上には「型番の数字=kW」と言い切っている説明がたくさんあります。実例としては合っているのですが、公式に明文化された規則として紹介されると話が変わってきます。買い物の目安として使うぶんには問題ない、くらいの距離感で付き合うのがちょうどいいと思います。

手元のエアコンが何畳用かを確認する方法

買い替えの前に、今ついているエアコンが何畳用だったのかを知りたいこともありますよね。日立のQ&Aでは、確認の経路が3通り示されています。

  • 室内機に貼られた型式のシールから調べる
  • 取扱説明書の仕様ページから調べる
  • カタログの仕様欄から調べる

取扱説明書がある場合は「仕様」のページを開いてみてください。暖房・冷房それぞれの平米数が書かれているので、平米数÷1.65で畳数に換算できます。たとえば15㎡と書かれていれば9.1畳ですね。

型式は室内機の右下や前面パネルを開けたところに貼られたシールで確認できることが多いです。なお能力を上げても室内機の本体サイズが大きくなるとは限りません。エアコンの横幅を公式仕様で確認した記事で実寸を扱っているので、設置スペースが気になる方はあわせて見てみてください。

エアコンを何畳から選ぶかの前提と限界

最後に、この畳数のめやすがどんな住宅を想定して作られた数字なのかを見ておきます。ここを知っておくと、表の数字との付き合い方が変わってきますよ。

前提となる冷房負荷は1965年の規格に基づく

資源エネルギー庁の資料には、こう書かれています。「『畳数のめやす』で引用している『JEM-1447』で想定する空調負荷は、1965年の空気調和・衛生工学会規格『HASS 109-1965(冷房負荷簡易計算方法。以下、「旧基準」という。)』に基づいている」。

ここは注意して読んでください。この文が言っているのは、JEM-1447が引用している空調負荷の出典が1965年の規格だということです。畳数のめやすそのものが1965年に作られた、とは書かれていません。JEM-1447という規格自体がいつ制定され、何回改正されたのかは、今回の調査では確認できませんでした。

ちなみにこの話題では、1年ずれた年数を挙げている解説を何度も見かけました。ただ、私が到達できた一次情報に書かれていたのは1965年のHASS 109-1965です。年数を引用するときは、出どころの資料までさかのぼって確認することをおすすめします。

想定されているのは昭和55年基準に満たない住宅

同じ資料には、旧基準について「S55年基準に満たない無断熱を想定している」という記述があります。昭和55年基準というのは住宅の外皮性能の基準で、6地域(東京)ではQ値5.2W/㎡K以下とされています。

その基準にすら満たない、断熱のない住宅が前提。今の住宅とはだいぶ隔たりがありますよね。参考までに資料に載っていた基準の推移を並べておきます。

  • 昭和55年基準: Q値5.2W/㎡K以下
  • 平成4年基準: Q値4.2W/㎡K以下
  • 平成11年基準: Q値2.7W/㎡K以下
  • 平成25年基準: UA値0.87W/㎡K以下

なお冷房負荷の計算方法自体は、2009年にSHASE-S 112-2009という新しい基準へ更新されています。しかし資料には「『畳数のめやす』については、引き続き、旧基準の冷房負荷の数値を引用している」と明記されていました。計算のもとになる数字だけが古いまま残っているという構図です。

旧基準と新基準では想定する条件が違う

旧基準と新基準では、何がどう違うのか。資料に載っていた比較を見ると、想定の細かさがまるで別物だと分かります。

項目 HASS 109-1965(旧基準) SHASE-S 112-2009(新基準)
室外条件 冷房33℃、暖房0℃ 冷房32.5℃、暖房3.9℃(東京)
室内条件 冷房26℃、暖房22℃ 冷房26℃、暖房20℃
空調条件 連続空調 個別間欠空調(予冷・予熱運転1時間を想定)
想定条件の数(冷房) 戸建2 / 集合4 戸建32 / 集合48

旧基準は戸建2条件・集合4条件、合わせて6通りしか想定していません。新基準は戸建32条件・集合48条件で、合計80通り。畳数の幅が木造和室と鉄筋洋間の2つしかないのは、もとの計算がその粒度だからとも言えます。

2021年2月時点で見直しが検討されていた

この古さについては、資料の中で経済産業省側も触れています。「『畳数のめやす』で想定する空調負荷は、住宅の断熱性能向上やストック推移等によって、実態との乖離が生じている可能性がある」という記述です。

さらに「現在、(一社)日本電機工業会の『ルームエアコン性能規格WG』において、『JEM-1447』で想定する空調負荷の見直し、住宅の断熱性能向上やストック推移及び気象条件の変化などを踏まえた各社カタログの表示について、検討されている」とも書かれていました。

ただしこの資料は2021年2月時点のものです。その後JEM-1447が改正されたのか、カタログの表示が変わったのかまでは、今回は確認できませんでした。今も当時のままだ、とは言い切れません。カタログを見るときは、表示の根拠が更新されている可能性も頭の隅に置いておくとよいと思います。

幅の中で自分の部屋を位置づける

では読者としてどう使えばいいのか。私の考えはシンプルで、幅の中で自分の部屋がどのあたりに来るかを考えるという使い方です。

目安として、部屋の条件を次のように振り分けてみてください。

  • 左端寄り: 木造の戸建てやアパート、最上階、日当たりが強い、開口部が大きい
  • 右端寄り: 鉄筋コンクリートのマンション、中間階、両隣も住戸

この当てはめだけでも、候補はかなり絞れます。和室のエアコン選びと畳数の目安の見方では、木造和室のケースをもう少し具体的に扱っています。

逆に「めやすは古いから当てにならない、大きめを買っておけば安心」と単純に決めてしまうのはおすすめしません。資料が述べているのは「乖離が生じている可能性がある」までで、どちらへどれだけずらすべきかという数値は示されていないからです。基準として使える公表値は、今のところこの幅なんですよね。

エアコンの畳数表記に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 木造か鉄筋か分からないときはどちらの数字を見ればよいですか?

A. 判断がつかない場合は、小さい方(左端)の数字を目安にする方が無難です。左端は木造平屋の南向き和室という、熱の出入りが大きい条件で計算された値だからです。賃貸なら重要事項説明書や物件情報に建物の構造が書かれていることが多いので、そちらも確認してみてください。

Q2. 除湿(ドライ)は何畳まで対応しているのですか?

A. 今回私が確認した資源エネルギー庁の資料3と富士通ゼネラルの仕様ページで畳数が示されていたのは、冷房と暖房の2つだけでした。除湿だけの適用畳数は見当たりませんでした。他の資料に記載がある可能性は残りますが、少なくともカタログの適用畳数は冷房・暖房を基準に読むものと考えてよさそうです。

Q3. 6畳の部屋に2.8kWのエアコンを付けても問題ありませんか?

A. 2.8kWの畳数のめやすは8〜12畳なので、6畳の部屋は幅の下限より狭いことになります。能力が余ること自体を禁じる公表基準は今回確認できませんでしたが、本体価格は上のクラスほど高くなります。まずは部屋の条件が左端寄りか右端寄りかを見てから、必要な範囲で選ぶのがよいと思います。

Q4. カタログの畳数が同じでも電気代は同じですか?

A. 畳数のめやすは能力から算出された値なので、消費電力や省エネ性能とは別の指標です。同じ2.8kWでもシリーズによって期間消費電力量は変わります。電気代を比べたいときは、畳数ではなく省エネラベルやAPFの数値を並べて確認してください。

Q5. メーカーごとに畳数の基準は違うのですか?

A. 幅で示される「畳数のめやす」はJEM-1447という共通の規格に基づくと公的資料に記載されています。一方「おもに畳数」には規格がなく各社の判断です。ただし今回確認した日立と富士通ゼネラルの一覧は10行すべてで畳数が一致していました。実務上は各社で大きく食い違うものではなさそうです。

まとめ・エアコンは何畳から選ぶかの結論

長くなったので、要点をおさらいします。エアコンを何畳から選ぶか迷ったら、まずカタログの畳数を2種類に分けてください。幅で書かれた「畳数のめやす」はJEM-1447という規格に基づく値で、1つの数字の「おもに◯畳」には規格がなく各社の判断で表示されています。

幅の左端は一戸建木造平屋南向き和室、右端は鉄筋集合住宅中間層南向き洋間。あなたの部屋がどちら寄りかを当てはめれば、候補はかなり絞れます。面積の併記があれば、畳数より平方メートルで照らし合わせる方が確実です。

型番の数字は、日立が公開している「数字→畳数」の表と、富士通ゼネラルの仕様ページの実例から、能力のkWと対応していることが読み取れます。ただし「数字=kW」と明記した公式の説明は、今回調べた5社と公的資料の範囲では見つけられませんでした。

そしてこの畳数のめやすが前提にしているのは、1965年のHASS 109-1965に基づく冷房負荷で、昭和55年基準にも満たない無断熱の住宅です。2021年2月の資料の時点では、実態との乖離を踏まえた見直しが検討されていました。数字の出どころを知ったうえで幅を使う。これがいちばん納得のいく選び方だと私は思います。

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