こんにちは、エアコンラボのアキです。「うちのエアコン、実際いくら電気を使っているんだろう」。この疑問にたどり着いた方の多くは、まずリモコンのボタンを片っ端から押してみて、それでも数字が出てこなくて困っているのではないかと思います。あるいは、検針票の金額を眺めながら「このうちエアコンはいくらなんだろう」と考えて、答えが出せずにいるかもしれません。
この記事では、エアコン1台の電気代を確認する手段を洗い出したうえで、それぞれ「どこまで正確に分かるのか」「何が分からないのか」をメーカーや業界団体、電力会社が実際に公表している文章に当たって整理していきます。私は今回、主要7メーカーの公式サイトと測定器メーカーの製品仕様ページを1件ずつ開いて、書かれている内容をそのまま突き合わせました。
先に結論をお伝えします。リモコンに出る金額は、どのメーカーも「めやす」だと明記しています。そして市販のワットチェッカーは、メーカーがエアコンに使わないよう明記しているため選択肢になりません。

- エアコン単体の電気代を確認できる手段と、それぞれの精度・限界が分かる
- メーカー7社がリモコン・アプリで何を表示すると公表しているかが分かる
- 表示機能が無い機種でカタログ値から概算する手順と、その前提条件が分かる
- 市販の測定器がエアコンに使えない理由と、200V機種の事情が分かる
- 検針票・スマートメーター・HEMSで分かる範囲と分からない範囲が分かる
エアコンの電気代を確認する手段は5つ、分かる範囲がまるで違う
最初に全体像を押さえておきましょう。エアコンの電気代を知る手段は、大きく「エアコン単体の数字が出るもの」と「家全体の数字しか出ないもの」に分かれます。ここを取り違えると、いつまでも答えにたどり着けません。
「エアコン単体」が分かるものと「家全体」しか分からないもの
エアコン単体の数字が出るのは、リモコンの表示機能、メーカー純正のスマートフォンアプリ、カタログの数値からの手計算の3つです。いずれもエアコン自身が記録しているデータか、そのエアコンの仕様値がもとになっています。
一方、電力会社のWeb明細やスマートメーターのグラフ、HEMS(住宅用エネルギー管理システム)は、家に入ってくる電気の入り口で測っています。東京電力パワーグリッドが公表しているスマートメータープロジェクトの説明によれば、同社は2020年度までに約2,840万台のスマートメーターを設置し、30分ごとの電力使用量(積算値)を30分ごとに送信・処理する仕組みを運用しています。測っているのは家全体の合計値であって、エアコンや冷蔵庫を区別してはいません。
つまり「電力会社のアプリを見ればエアコンの電気代が分かるはず」という発想は、仕組みのうえで成立しません。使い方が悪いわけではないので、早めに見切りをつけて別の手段に移るのが近道です。
5つの手段を「分かる範囲・単位・但し書き」で並べた比較表
言葉で説明するより表のほうが早いと思うので、各手段が何をどこまで示してくれるのかをまとめました。「メーカー等の但し書き」の欄は、各社が公式サイトに書いている表現をそのまま拾っています。
| 確認手段 | 分かる範囲 | 表示される単位 | 費用 | 公表元が付けている但し書き |
|---|---|---|---|---|
| リモコン・本体の表示 | エアコン単体 | 円(機種による) | 0円(対応機種のみ) | 「めやす」「公的な取引などには用いることはできません」 |
| メーカー純正アプリ | エアコン単体 | kWh・円 | 0円(対応機種+通信環境) | 「概算に基づいており、実際の値と一致しないことがあります」 |
| カタログ値から手計算 | エアコン単体 | kW・kWh・円 | 0円 | JIS C 9612で決められた固定条件での値 |
| 電力会社のWeb明細 | 家全体 | kWh・円 | 0円 | 30分ごとの積算値。機器別の内訳は無し |
| HEMS(Bルート) | 家全体 | kWh・A | HEMS機器の購入費 | 30分ごとの使用量と現在の電流値を把握できる |
市販のワットチェッカーをこの表に入れていないのには理由があります。後半で詳しくお伝えしますが、測定器メーカー自身がエアコンへの使用を禁じているためです。
リモコン・アプリの電気代表示はメーカーごとに中身が違う
ここからは、主要メーカーが公式サイトで何をどう説明しているかを一社ずつ見ていきます。「うちのリモコンには出ない」と感じている方は、そもそも非搭載の可能性が高いので、自分のメーカーの項目だけでも確認してみてください。

パナソニック(エオリア)は「めやす」と明記、対応は上位2シリーズ
パナソニックのエオリアの機能紹介ページには、電気代表示という項目が独立して用意されています。リモコンで「運転開始からの電気代」「今月の電気代」「前月の電気代」を順に表示でき、電気代単価は時間帯ごとに1円単位で自由に設定できると書かれています。今月と前月を比較できる点も明記されています。
注目してほしいのは、その下に添えられた但し書きです。「電気代表示はめやすです。それまでの運転記録と電気代単価を元に算出。」とはっきり書かれています。さらに「運転停止中は前回の電気代を表示します」ともあり、停止中に見えている数字が今この瞬間の値ではないことも分かります。
もう一つ重要なのが対応機種の欄です。2026年モデルのページで電気代表示に対応しているのは、Xシリーズ・LVシリーズと記載されています。上位側の2シリーズだけで、全機種標準ではないことが読み取れます。
東芝は算出のしくみと初期単価を公表している
東芝ライフスタイルの「リモコンなどに表示される電気料金は、どのように算出しているのですか」というFAQは、計算のしくみをいちばん具体的に書いています。室内機のマイコンが運転時間と、室内・室外ファンモーター、コンプレッサーモーターの消費電力を検出し、検出された消費電力に電力量料金の目安単価を掛けて電気代を表示する、という説明です。
単価については「お買い上げ時の設定では、27円/kWhに設定されています」と明記されています。初期設定のまま使っていると、契約している単価との差がそのまま表示のズレになります。
日立(白くまくん)は音声で読み上げ、アプリ側はkWhも出る
日立の「エアコンの電気代について知りたいです」というサポートページには、参考情報として「リモコンに『おしえて』ボタン、『音声おしえて』ボタンがある場合は、電気代の目安を音声やリモコンの液晶画面に表示します」と書かれています。ここでも「目安」という言葉が使われています。
白くまくんXシリーズの機能紹介ページによれば、音声おしえてボタンを押すと電気代のほか、運転中の室内温度・室外温度、運転の種類や設定温度、操作のアドバイスまで音声で知らせてくれます。知らせる情報量は「おしらせしない」「少ない」「標準」「多い」の4段階に設定できるとのことです。
アプリ側の説明はさらに率直です。白くまくんアプリの電気代表示ページでは、消費電力量と電気代の概算をアプリで確認できるとしたうえで、「表示される消費電力量と電気代は概算に基づいており、実際の値と一致しないことがあります」と書かれています。加えて、アプリでペアリングした時点からの値であること、アプリは深夜に消費電力量を計算すること、この機能は対応するエアコンでのみ使えることも明記されています。ここは円だけでなくkWhも見られるので、単価に左右されない生の電力量を知りたい方にはありがたい仕様です。
三菱電機(霧ヶ峰)は「公的な取引には使えない」と踏み込んでいる
三菱電機の「リモコンで表示される電気代とスマートフォンで表示される電気代の値が異なる」というFAQは、この記事のなかでもとくに重要な一次情報です。回答は「算出方法が異なるため、異なる値となります」と始まり、リモコンの電気代はリモコンで設定された電気単価をもとにエアコン本体が算出し、スマートフォンの電気代はアプリで設定された電気単価と定期的に送信される運転状況をもとにクラウドサーバーが算出している、と説明されています。
締めくくりは「また、どちらも公的な取引などには用いることはできません。あくまでも目安としてご活用ください」です。機器側とクラウド側で別々に計算しているので値が食い違う。それをメーカー自身が認めているわけですね。
ダイキンの「お知らせ」ボタンに電気代は出てこない
ここは誤解が多いところです。ダイキンの「お知らせ」機能とは?というFAQを読むと、この機能で表示されるのは「室内の温度・湿度や屋外の温度、エアコンの状況などの情報」だと書かれています。操作方法として、リモコンをエアコン本体に向けて約2秒間そのままにして信号を受信する、という説明はありますが、電気代が表示されるという記載はありません。
一方で、ダイキンスマートアプリの紹介ページには「毎日、毎月の電気代実績や目標電気代などもスマホ画面に表示」と書かれています。リモコン側は室内外の状況確認、アプリ側は電気代の見える化という役割分担だと読むのが自然です。リモコンを押しても電気代が出ないのは、故障ではなく設計どおりということになります。
富士通ゼネラルとシャープは「目安」表記と対応表を公開
富士通ゼネラルのおしえて「ノクリア」のFAQでは、無線リモコンを使って「電気代」「運転時間」「外気温度」などの毎日の運転データをパソコンに取り込めると説明されています。電気代カレンダーでは「電気代(目安)」や「累計電気代(目安)」を確認でき、電気代グラフでは1か月の推移を見比べられるとのことです。ここでも表記はすべて「目安」で統一されています。
シャープはCOCORO AIRの機能紹介ページで、「電気代や省エネ情報を、スマホで確認」という項目を立てています。スマートフォンで年間・月間の電気代確認や、1時間単位のエアコン運転履歴を確認できるという内容です。同じページの機能対応一覧では、現行のRシリーズ・Vシリーズ・Eシリーズの3シリーズすべてで「電気代確認」が丸印になっています。なお、シャープのリモコン単体で電気代が表示されるかどうかについては、公式サイトの範囲では該当する記載を見つけられませんでした。分からなかったことは、分からなかったとお伝えしておきます。
| メーカー | リモコン側で公表されている表示 | スマホ・PC側 | 公式サイトの但し書き |
|---|---|---|---|
| パナソニック | 運転開始から/今月/前月の電気代(X・LVシリーズ) | エオリアアプリ | 「電気代表示はめやすです」 |
| 東芝 | 電気代(検出した消費電力×目安単価) | – | 初期設定は27円/kWh |
| 日立 | 電気代の目安(おしえて/音声おしえてボタン搭載機) | 消費電力量(kWh)と電気代 | 「概算に基づいており、実際の値と一致しないことがあります」 |
| 三菱電機 | 電気代(本体が算出) | 電気代(クラウドが算出) | 「どちらも公的な取引などには用いることはできません」 |
| ダイキン | 室温・湿度・屋外温度など(電気代の記載なし) | 毎日・毎月の電気代実績、目標電気代 | お知らせ機能の説明に電気代の記載なし |
| 富士通ゼネラル | 運転データを無線リモコン経由で取り出し | 電気代カレンダー・グラフ | 「電気代(目安)」「累計電気代(目安)」 |
| シャープ | 公式サイトでは確認できず | 年間/月間の電気代、1時間単位の運転履歴 | 現行3シリーズで電気代確認に対応 |
注意: 表示される金額は、どの手段でも「エアコン本体が把握した電力量 × リモコンやアプリに設定された単価」で計算されています。単価が初期設定のままだと、契約している電力会社の単価との差がそのまま金額の差になります。まずは単価設定を実際の契約に近づけるところから始めてください。
表示機能が無い機種は、カタログの数値から概算する
ここまで見てきたとおり、電気代表示は全機種に付いている機能ではありません。むしろ、対応シリーズを限定しているメーカーのほうが多いくらいです。表示が無い場合は、カタログや仕様表に載っている数値から自分で計算することになります。

1時間あたりを出す方法と、「幅」で捉えるべき理由
ダイキンの「1時間あたりの電気代の目安」というFAQには、実際の計算例が載っています。カタログで該当機種の消費電力を調べ、計算式に当てはめるという手順です。同社が挙げている例では、定格の電気代が0.5kW×31円/kWh×1時間=15.5円、最小の電気代が0.105kW×31円/kWh×1時間=3.3円、最大の電気代が0.92kW×31円/kWh×1時間=28.5円となっています。
ここで見てほしいのは金額そのものではなく、その幅です。同じ機種の同じ冷房運転でも、部屋の状況に応じて能力が変わるため、約3.3円から28.5円の間で運転すると説明されています。上限は下限のおよそ8.6倍です。「定格消費電力から掛け算すれば正確な電気代が出る」というのは、この幅を無視した考え方だということになります。
| 区分 | 消費電力 | 1時間あたりの電気代(31円/kWh) |
|---|---|---|
| 最小 | 0.105kW | 3.3円 |
| 定格 | 0.5kW | 15.5円 |
| 最大 | 0.92kW | 28.5円 |
そもそもカタログの定格消費電力は、決まった条件で測った値です。同じダイキンのFAQには、消費電力の算出条件がJIS C 9612で決められていることが書かれています。冷房時は室内温度27℃DB/19℃WB、外気温度35℃DB、連絡配管長さ5m。暖房時は室内温度20℃DB、外気温度7℃DB/6℃WB、連絡配管長さ5m。あなたの部屋がこの条件と違えば、当然ながら数字も変わります。
1年分を出すなら期間消費電力量(kWh/年)を使う
もう少し長い目で見たいときは、カタログに載っている期間消費電力量(kWh)を使います。日本冷凍空調工業会の期間消費電力量の解説ページによると、この値はJIS C 9612:2013に基づくAPFから算出された試算値で、算出基準は次のように決められています。
- 外気温度: 東京をモデルとする
- 設定温度: 冷房時27℃/暖房時20℃
- 期間: 冷房期間は5月23日〜10月4日、暖房期間は11月8日〜4月16日
- 時間: 6:00〜24:00の18時間
- 住宅: JIS C 9612による平均的な木造住宅(南向き)
- 部屋の広さ: 機種に見合った広さ
同ページには「実際には地域、気象条件、ご使用条件などにより電力量が変わります」とも明記されています。東京以外にお住まいの方や、日中は不在という方は、この前提から外れていると考えてください。日立のサポートページでは、RAS-X22Mの期間消費電力量は555kWhで、1年間あたりの電気代の目安は555kWh×31円=17,205円になると説明されています。同じ考え方で並べると次のようになります。
| 期間消費電力量 | 年間電気代の目安(31円/kWh) |
|---|---|
| 400kWh | 約12,400円 |
| 500kWh | 約15,500円 |
| 555kWh | 約17,205円 |
| 700kWh | 約21,700円 |
| 900kWh | 約27,900円 |
カタログが手元に無い場合は、ダイキンが「年間の電気代の目安は?」というFAQで示している簡易式も使えます。年間の電気代の目安=189.2×電力料金目安単価(円/kWh)×機種名に含まれる2桁の数字÷通年エネルギー消費効率、という式で、189.2は標準使用条件(JIS C 9612:2013)から算出した係数だと注記されています。同社が挙げている例では、S28RTRXSの場合に189.2×31×28÷6.8=24,150円となります。
掛け算に使う単価は「31円/kWh」が業界の目安
ここまで31円/kWhという単価を何度も使ってきましたが、これには根拠があります。日立のエアコンの電気代の目安と計算方法のページには、電気代単価を31円/kWh(税込)として計算すると断ったうえで、「この電気代単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会により示された目安単価です」という注記が入っています。東芝のリモコンの初期設定である27円/kWhは、この目安単価が改定される前の数字にあたります。
同じページには、消費電力から1時間あたりを出す実例も載っています。RAS-X22Mの消費電力は暖房時110W〜1,490W、冷房時115W〜900Wで、1時間あたりの電気代の目安は暖房が約3円〜約46円、冷房が約5円〜約28円と計算されています。ここでも幅の広さが確認できますね。
ただし同ページは「正確な単価を確認したい場合は、ご契約の電力会社のWebページで調べるか、電力会社の窓口にお問い合わせください」とも案内しています。31円/kWhは全国平均的な目安であって、あなたの契約単価ではありません。検針票やマイページで実際の単価を確認して計算し直したほうが実態に近づきます。地域や電力会社による差が気になる方は、エアコンの電気代が怖い人へ|ネットの噂をメーカーと国の公表データで検証で相場の考え方を整理しています。
市販のワットチェッカーでエアコンは測れません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。「コンセントに挟むだけで実測できる」という話をよく見かけますが、測定器メーカーとエアコンメーカーの両方が、それを想定していないと書いています。

測定器メーカーが「エアコンには使わないでください」と書いている
サンワサプライのワットモニターTAP-TST8の製品ページには、特長欄の直後に次の注意書きがあります。「熱器具・調理器具・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・乾燥機など、壁のコンセントへ直接接続することが決められている機器には使用しないでください。上記の製品を本製品に接続した場合、接続不良などの要因により、本体が熱くなったり、電源が切れたりする場合があります。」
上位機種のワットチェッカーTAP-TST5にも、ほぼ同じ文言でエアコンが名指しされています。つまり「エアコンをワットチェッカーで測る」という使い方は、製品を作っている側が想定していない使い方だということです。
仕様面でも200V機種は最初から対象外です。TAP-TST8の定格容量は15A・100V(1500Wまで)、定格電圧は90〜110Vです。TAP-TST5の定格容量は15A・125V(1500Wまで)、定格電圧は90〜125Vとなっています。いずれも200Vは範囲外で、そもそも挿すことも想定されていません。
製品としての性能が低いわけではありません。TAP-TST8は消費電力(W)、積算電力量(kWh)、積算時間(Hour)、積算電力料金(円)、CO2排出量(kg)の5種類を測れ、有効電力の測定範囲は0.3〜1650Watt、測定精度は最大2%±5Wです。TAP-TST5は8種類の項目に対応し、消費電力の計測範囲は5〜1875W、計測精度は代表0.5%・最大2%となっています。性能は十分でも、使ってはいけない相手にエアコンが挙がっている、というのがここでの結論です。
エアコン側は「専用コンセントに直接」が原則
エアコンメーカーの側からも同じ結論が出ています。日立の「コンセントまで電源プラグが届かないので、延長コードを使用したいです」というFAQの回答は、「感電や火災の原因となる恐れがありますので、延長コードは使用しないでください。必ずエアコン専用のコンセントに、付属の電源プラグを直接差し込んでください」です。
さらに踏み込んで、「エアコンの電源容量をまかなえる延長コードを使用しても、接触不良、絶縁不良などにより、火災や感電の原因になる恐れがあります」とも書かれています。容量が足りていれば大丈夫、という話ではないわけですね。
日本冷凍空調工業会のエアコンを安全にお使いいただくためのページにも、「電源コードは、途中で接続したり延長コードの使用や他の電気器具とのタコ足配線をしないでください。感電や発熱・火災の原因になります」という注意が並んでいます。個社の方針ではなく、業界共通の注意事項ということです。
200V機種とコンセント形状の話
200Vのエアコンはさらに事情が違います。日立の「エアコンのコンセントについて知りたいです」というページには、電源とプラグ形状の対応が整理されています。
| 電源 | プラグ形状 | コンセントの穴の形 |
|---|---|---|
| 単相100V用(100V15A) | 平行型 | 縦の穴がふたつ並んでいるタイプ |
| 単相100V用(100V20A) | アイエル(IL)型 | ふたつの穴のうち、いずれかがL字に曲がっているタイプ |
| 単相200V用(200V15A) | タンデム型 | 3つの穴が開いているタイプ |
| 単相200V用(200V20A) | エルバー型 | 3つの穴が開いていて、どちらか片側がL字のタイプ |
同じページには、専用コンセントが必要な理由も書かれています。運転開始時の始動電流が大きいエアコンのような製品は、他の電気製品と併用すると過電流でブレーカーが作動したり出火につながる恐れがあるため、メーカーとして内線規程に基づき「エアコンの専用回路の設置を必須」としている、という説明です。内線規程では10Aを超える据置型大型電気機械器具に専用分岐回路を設けることが定められており、エアコンの多くがこれに該当するとのことです。
そして「電源は、必ずエアコン専用のコンセントを使用してください。専用回路以外のコンセントを使用すると発熱し、火災の原因になります。延長コード・タップは火災や漏電の原因となりますので、絶対に使用しないでください」と続きます。屋内の電気工事には第二種電気工事士の資格が必要である旨も明記されています。専用コンセントに測定器を割り込ませるという発想は、この時点で選択肢から外れます。
「では200Vのエアコンを実測する市販品はあるのか」という点も調べてみましたが、家庭で工事なしに使える200V対応の測定器について、メーカーが公式に案内している例は今回見つけられませんでした。見つからなかったものを「あります」とは書けないので、ここは正直にお伝えしておきます。100Vか200Vかで電気代がどう変わるのかという話は、200Vエアコンは電気代が高いって本当?100Vとの違いで別途まとめています。
検針票・スマートメーター・HEMSで分かること、分からないこと
最後に、家全体側の手段について整理しておきます。エアコン単体は出ませんが、それでも役に立つ場面はあります。
電力会社のWeb明細で見られるのは時間別までの推移
東京電力エナジーパートナーのくらしTEPCO webの案内によれば、ログインすると最大で過去2年分の電気・ガス料金と使用量をグラフで確認できます。電気料金・使用量は週別・日別にグラフ表示され、電気使用量は時間別でも見られると書かれています。
ここで分かるのは「何時ごろに多く使ったか」という家全体の推移です。エアコンをつけた時間帯の前後の増え方から見当をつけることはできますが、同じ時間帯に炊飯器や乾燥機を回していればそれも一緒に乗ってきます。あくまで傍証です。
HEMSを入れても機器ごとの内訳は出ない
「HEMSを入れればエアコンだけ分かるのでは」と考える方もいると思います。東京電力パワーグリッドの電力メーター情報発信サービス(Bルートサービス)の案内を読むと、これはスマートメーターで計測したデータをHEMS機器へ送信するサービスで、HEMS機器で30分ごとの電気の使用量や現在使っている電流値などを把握できる、と説明されています。
やはり測っているのはスマートメーターの位置、つまり家全体です。データの送信自体に費用はかからないものの、HEMS機器は自分で用意する必要があり、本サービスはベストエフォート型で通信環境によりデータの遅延・欠損が生じる場合があるとも注記されています。機器ごとの内訳がほしい場合は分電盤の回路単位で測る仕組みが必要で、電気工事の領域に入ります。
検針票の金額とリモコン表示が合わないのは当たり前
「リモコンの表示と検針票が全然違う」という声はとても多いのですが、これは比べているものが違うだけです。理由を分解すると次のようになります。
- 検針票はエアコン以外の家電をすべて合算した金額である
- 検針票には基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金など、使った電力量以外の項目が含まれる
- リモコンの表示はエアコン単体の従量分だけを、設定された単価で換算した「めやす」である
- リモコンとアプリでさえ、三菱電機が説明しているとおり算出方法が違えば値が異なる
ですから、リモコンの数字は絶対額として読むのではなく、変化を測るものさしとして使うのが実用的です。フィルターを掃除した前後、設定温度を1℃変えた前後、といった比較なら、同じ計算方法どうしの比較になるので意味があります。フィルターまわりの影響についてはエアコンフィルター掃除の効果はどれくらい?国とメーカーの公表データで検証で、風量設定の影響についてはエアコンの風量自動が弱くならない理由|メーカー公式が説明する仕組みと確認手順で、それぞれ公表データをもとにまとめています。
◆アキのワンポイントアドバイス
自分の機種に電気代表示があるかどうかを最短で調べるなら、室内機の側面かリモコンの電池カバーの内側に書かれている型番を控えて、メーカーの公式サイトで取扱説明書を検索するのが確実です。取扱説明書の目次に「電気代」の項目があるかどうかで、ほぼ判別できます。ボタンを手当たり次第に押して探すより早いですよ。
エアコンの電気代の確認方法に関するよくある質問とまとめ
最後に、よく聞かれる質問への回答と、この記事の要点をまとめておきます。
エアコンの電気代の確認方法に関するよくある質問(FAQ)
Q1. リモコンに電気代表示がないのは故障ですか?
A. 故障ではなく、もともと搭載されていない可能性が高いです。パナソニックは2026年モデルのエオリアで電気代表示の対応機種をXシリーズ・LVシリーズと明示していますし、ダイキンの「お知らせ」機能の説明には電気代の記載がありません。まずは型番から取扱説明書を確認してみてください。
Q2. リモコンに出る数字は電気代ですか、それとも消費電力量ですか?
A. 機種によって違います。リモコン側は円で表示するメーカーが中心ですが、日立の白くまくんアプリのように消費電力量(kWh)と電気代の両方を確認できるものもあります。円表示は必ず「本体が把握した電力量×設定した単価」で計算されているので、単価が実際の契約と違えば金額もずれます。
Q3. ワットチェッカーをエアコンに使ってもいいですか?
A. おすすめできません。サンワサプライの製品ページには「熱器具・調理器具・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・乾燥機など、壁のコンセントへ直接接続することが決められている機器には使用しないでください」と明記されています。エアコンメーカー側も、延長コードやタップを介した接続を避けるよう案内しています。
Q4. スマートメーターのアプリでエアコンだけの電気代は分かりますか?
A. 分かりません。スマートメーターは家に入ってくる電気の入り口で30分ごとの使用量を計測する仕組みで、機器ごとの区別はしていません。HEMSをBルートでつないだ場合も、把握できるのは30分ごとの家全体の使用量と現在の電流値です。
Q5. 賃貸住宅でもエアコンの電気代を確認できますか?
A. できます。リモコンやメーカー純正アプリの表示機能、カタログ値からの手計算は、工事も契約変更も不要です。一方、分電盤に手を入れる計測は電気工事にあたり、屋内の電気工事には第二種電気工事士の資格が必要です。賃貸では管理会社や大家さんへの確認も必要になります。
Q6. リモコンとスマホアプリで金額が違うのはなぜですか?
A. 算出方法が違うためです。三菱電機は、リモコンの電気代はリモコンで設定した単価をもとに本体が算出し、スマートフォンの電気代はアプリで設定した単価と定期送信される運転状況をもとにクラウドサーバーが算出している、と説明しています。そのうえで、どちらも公的な取引には用いることができない目安だとしています。
エアコンの電気代の確認方法のまとめ
今回は、エアコン1台の電気代を確認する手段を、公表されている情報だけで整理してきました。要点は3つです。
1つめは、リモコンやアプリの電気代表示はメーカー自身が「めやす」「概算」と書いており、三菱電機にいたっては公的な取引には使えないと明言していることです。数字が合わなくても異常ではありません。2つめは、表示機能が全機種に付いているわけではなく、対応シリーズを限定しているメーカーが多いこと。無い場合はカタログの定格消費電力や期間消費電力量から概算するのが現実的で、その際は31円/kWhという家電公取協の目安単価が基準になります。3つめは、市販のワットチェッカーでエアコンを測る方法を、測定器メーカーとエアコンメーカーの双方が明確に否定していることです。
検針票やスマートメーターのグラフは、あくまで家全体の数字です。エアコン単体を知りたいなら、まずリモコンとアプリの対応状況を確認し、無ければカタログ値で概算する。この順番がいちばん遠回りがありません。表示された金額は絶対額ではなく、掃除や設定を変えた前後を比べるためのものさしとして使ってみてくださいね。確認した金額を見て支払いが不安になったときは、エアコンの電気代が払えないとき|約款と公的制度で確認した相談先もあわせて読んでみてください。

