停電でエアコンが使えないときの代わり|暑さ・寒さの対策と注意点

停電でエアコンが止まった部屋とすだれ・うちわ 故障・トラブル対応

こんにちは、エアコンラボのアキです。

台風や大雪で電気が止まると、真っ先に困るのがエアコンですよね。真夏の夜に子どもが寝苦しそうにしていたり、真冬に部屋がどんどん冷えていったり。「ポータブル電源があれば動かせるのかな」「何か代わりになるものはないのかな」と、スマホの残りの電池を気にしながら調べている方もいるかもしれません。

この記事では、停電でエアコンが使えないときの代わりの手段を、国やNITE(製品評価技術基盤機構)、エアコンメーカーが実際に出している情報の範囲で紹介します。ネットでよく見かける「目安の数字」のうち、原典で裏が取れなかったものはそのまま書かず、確かめ方として説明していきますね。

  • 停電時の暑さ対策として国の資料が挙げている具体的な行動
  • ポータブル電源・蓄電池でエアコンを動かせるかを自分で確かめる手順
  • 発電機や石油ストーブで起きている一酸化炭素中毒の事故と注意点
  • 停電中にコンセントを抜くべき家電と、抜かなくてよいとされる家電

ブラインドで日差しを遮った部屋とテーブルの上のタオル

停電でエアコンが使えないとき、代わりに何を考えるか

最初に、この記事で扱う「代わり」の範囲をはっきりさせておきます。そのうえで、国の資料がいちばん先に挙げている選択肢を見ていきましょう。

ポータブル型エアコンとは別の話です

「エアコンの代わり」で検索すると、窓に排気ダクトを出して使う移動式の冷房機(ポータブル型エアコン)の話題も出てきます。ただ、ポータブル型エアコンもコンセントにつないで動く家電なので、停電中はそのままでは使えません。電気代や仕組みについてはポータブル型エアコンの電気代を解説した記事で詳しく書いています。

この記事で扱うのは、電気が来ていない状態で、いつものエアコンが止まったときにどうするかです。具体的には、電気を使わない暑さ対策、ポータブル電源や家庭用蓄電池でエアコンを動かせるかの確かめ方、そして発電機や燃焼式の暖房器具を使うときの危険の3つ。なお、停電から電気が戻ったときにエアコンがどう動くか(勝手に動き出すかどうか)は、また別の記事で扱う予定です。

まず「冷房のある場所へ移る」が公的な答え

意外かもしれませんが、国の熱中症予防のリーフレットは、停電時の対策として「家で何とかする方法」だけを並べているわけではありません。参照したのは、内閣府・消防庁・厚生労働省・環境省など12の府省庁が名前を連ねたリーフレットです。その政府の熱中症予防リーフレット(環境省サイト掲載)には、「停電時など、どうしてもエアコンが使えないときには」として、次の4つが書かれています。

リーフレットの記載 具体的にやること
日光を遮り、風通しをよくしましょう カーテン・すだれで日差しを遮り、窓を開けて風の通り道をつくる
濡れたタオル等を肌に当て、うちわであおぎましょう 電気を使わずに体の熱を逃がす
できる限り、冷房設備が稼働しているところへ避難しましょう 停電していない地域の施設や親戚の家へ移る
停電時の断水に備え、飲み水を備蓄しましょう 水分補給の手段を確保する

私が注目したのは3つ目です。国は「家で耐える」ことを前提にしておらず、冷房が動いている場所へ移ることを選択肢として明記しています。

同じリーフレットには「熱中症は室内でも夜でも発生し、命に関わる問題です」とも書かれていました。小さな子どもや高齢の家族がいるなら、自宅での対策と並行して「移れる場所はあるか」を早めに考えておくのが安心かなと思います。

停電中の暑さ対策は公的資料の範囲で

ここでは、電気を使わずにできる暑さ対策を、国の資料に書かれている内容に沿って紹介します。ネットでよく見る説の中には、公的資料で確認できなかったものもあったので、その点も正直にお伝えしますね。

日差しを遮って風の通り道をつくる

戸を開けて風の通り道をつくった和室

2019年(令和元年)9月、台風15号による停電が起きました。その際、厚生労働省は令和元年9月9日付で「停電時における熱中症予防について」という事務連絡を出しています(東京都の障害者福祉サイトに掲載された厚生労働省の事務連絡)。そこには「台風15号による停電により、扇風機やエアコンが使用できない状況が発生しています」とあります。

室内の対策としては、遮光カーテン・すだれ・打ち水の利用と、「向き合う窓を開けるなど、風通しをよくする」ことが挙がっていました。

ポイントは「向き合う窓」です。窓を1か所だけ開けても空気はあまり入れ替わりません。反対側の窓やドアも開けて、風の入口と出口をつくるイメージですね。ただし夜間や留守中に窓を開けっぱなしにするのは防犯面で不安もあるはず。家族が起きている時間帯に限るなど、無理のない範囲で取り入れてください。

濡れタオル・保冷剤で体を直接冷やす

部屋全体を冷やせないなら、体そのものを冷やすのが現実的です。政府のリーフレットは「濡れたタオル等を肌に当て、うちわであおぎましょう」と書いており、厚生労働省の事務連絡も「保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす」ことを挙げています。濡れたタオルの水分が蒸発するときに熱を奪うので、あおいで風を当てると効果が続きやすいわけです。

停電中は冷凍庫も止まっているので、保冷剤や氷は時間とともに溶けていきます。冷凍庫の扉の開け閉めを減らして、使う分だけ取り出すのがよいでしょう。服装についても、事務連絡は「通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する」としています。汗で濡れた服をそのまま着ているより、着替えたほうが楽になることもありますよ。

ネットでは「気温が35℃を超えると扇風機の風は逆効果」という説明をよく見かけます。ただ、今回確認した政府リーフレットと厚生労働省の事務連絡には、この温度の線引きは書かれていませんでした。この記事では数値を挙げず、公的資料にある「濡れタオル+あおぐ」の範囲で紹介しています。

水分と塩分、飲み水の備え

ペットボトルの水とバケツを置いた棚

停電と断水は同時に起きることがあり、蛇口から水が出なくなる可能性も頭に入れておきたいところ。政府のリーフレットは「停電時の断水に備え、飲み水を備蓄しましょう」としていて、電力需給がひっ迫しそうなときは「浴槽やバケツに水を貯めておきましょう」とも書いています。

厚生労働省の事務連絡では、「のどの渇きを感じなくても、こまめに水分を補給する」こと、そして大量に汗をかく状況では経口補水液など塩分も含めて補給することが挙げられていました。経口補水液は「水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの」と説明されています。外出については「天気のよい日は、日中の外出をできるだけ控える」「日陰の利用、こまめな休憩」とあり、家の片づけなどで外に出る時間帯にも気を配りたいですね。

ポータブル電源・蓄電池でエアコンは動く?確かめ方

停電対策としてポータブル電源や家庭用蓄電池を検討している方は多いと思います。ここでは「動く・動かない」を機種名で断定するのではなく、自分の家のエアコンと電源を照らし合わせる手順として説明します。

エアコン側で見る数字は銘板と取扱説明書

まず確認したいのは、自宅のエアコンの電気の仕様です。室内機の側面や下面などに貼られた銘板(定格銘板)や、取扱説明書・カタログの仕様表に、電源の電圧(100Vか200Vか)と、冷房・暖房それぞれの消費電力が書かれています。見る場所がわからなければ、型番でメーカーのサイトから取扱説明書を探すのが確実です。

特に大事なのが電圧です。エアコンには100V仕様と200V仕様があり、200V仕様のエアコンは、100Vしか出せない電源では動かせません。自宅のエアコンがどちらかわからない方は、100Vと200Vのエアコンの違いを解説した記事も参考にしてください。なお、消費電力は運転の状態によって変わるので、仕様表には「定格」のほかに幅を持たせた数字が載っている機種もあります。

電源側で見る3つの公表値

次に、ポータブル電源や蓄電池のメーカーが公表している仕様を確認します。見るべきなのは次の3つです。

電源側の公表値 何を意味するか エアコン側の何と比べるか
出力電圧(100V/200V) コンセントから出せる電気の電圧 銘板の電源電圧と一致しているか
定格出力(W) 連続して出し続けられる電力 冷房・暖房時の消費電力を上回っているか
瞬間最大出力(W) 短い時間だけ出せる電力の上限 運転を始めた瞬間の電力(後述)

この3つのどれか1つでも合わなければ、エアコンは動かないか、電源側の保護機能が働いて止まる可能性があります。もう1つ見落としやすいのが容量(Wh)で、これは「どれだけの時間使えるか」に関わる数字です。容量の大きな電源でも、出力電圧や出力が足りなければエアコンは動きません。逆に、出力が足りていても容量が小さければ、動かせる時間は短くなります。

起動時の電力はメーカー公表値が見つからなかった

ポータブル電源のメーカーのブログには、「エアコンの起動時には通常の2〜3倍の電力が必要」「定格出力1500W以上・瞬間最大出力2000W以上が目安」といった説明がよく載っています。ただ、これらの記事には数字の根拠が書かれておらず、今回私が調べた範囲では、エアコンメーカー側が起動時の電力を公表している資料は見つかりませんでした。

各社の取扱説明書を1冊ずつ確認したわけではないので「存在しない」とまでは言えませんが、少なくとも根拠をたどれる数字ではありませんでした。

そのため、この記事では「何W以上あれば大丈夫」という目安は書きません。確実なのは、使いたいエアコンの型番を伝えて、ポータブル電源・蓄電池のメーカーに動作の可否を問い合わせることです。エアコンメーカーの側も、日立の停電に関するサポートページを確認しましたが、ポータブル電源での運転についての記載は見当たりませんでした。購入前に問い合わせて、回答を記録しておくと安心ですね。

◆アキのワンポイントアドバイス

「動くかどうか」をネットの目安で判断して買うと、いざ停電した日に初めて動かないとわかる、ということになりかねません。停電していない平常時に、一度つないで試しておくのがいちばん確実な確認方法ですよ。

家庭用蓄電池は停電時の給電先を確認

家庭用蓄電池(据え置き型)は、ポータブル電源とは仕組みが違い、家の配線につないで使います。そのため「停電時にどのコンセントへ電気を送れるか」「200Vの機器に給電できるか」は、製品と工事の内容によって変わります。ここは配線工事の領域で、私の専門からも外れるので、この記事では詳細を書きません。

すでに蓄電池がある家なら、停電時に使えるコンセントがどこなのか、エアコンの回路が含まれているのかを、販売店や施工会社に確認しておくのがよいでしょう。これから導入を考えている方も、見積もりの段階で「停電時にエアコンを使えるか」を具体的に質問しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

発電機と燃焼式暖房の一酸化炭素中毒に注意

停電時に「代わり」として使われがちなものの中には、命に関わる事故につながっているものがあります。ここは上位の記事であまり触れられていなかった部分なので、特にしっかり読んでほしいところです。

発電機は屋内・車内・テント内で使わない

NITEは2023年8月29日、経済産業省・消費者庁と同時に、停電時の発電機による一酸化炭素(CO)中毒について注意を呼びかけています(NITEのプレスリリース)。そこには「屋内では絶対に使用しないでください」とあり、さらに「屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等以上の危険性があります」と書かれていました。

屋外で使う場合も、排ガスが逆流しないよう出入口や窓などの開口部から離れた、風通しのよい場所で使うよう案内されています。

同時に公表されたNITEの発表資料(PDF)には、参考として次の事故事例が挙がっています。これは件数の統計ではなく、例として示されたものです。

発生日 場所 状況 被害
2018年9月8日 北海道 北海道胆振東部地震の後、停電時に換気の不十分な屋内で使用 50歳代男性 死亡
2020年9月7日 鹿児島県 台風10号の後、換気が十分に行えない屋内で使用 1名死亡、2名重症
2021年8月2日 福井県 発電機を載せた車両内で休憩中 1名死亡

3つ目の事例は、熱中症のような状態になった人が、運転中の発電機を積んだ車の中で休んでいたというものです。暑さから逃れようとした行動が、別の危険につながってしまったわけですね。内閣府防災の広報誌「ぼうさい」(経済産業省 製品事故対策室の記事)でも、物置・倉庫・車内・テント内などの換気の悪い場所では「絶対に使用しないで下さい」とされています。

冬の停電と石油ストーブの換気

冬の停電では、石油ストーブやガスを使う暖房器具を代わりに使うことも考えられます。燃焼式の暖房器具については、NITEのチラシ(NITE「一酸化炭素中毒の事故」)に「ガス湯沸器や石油ストーブ、石油ファンヒーターを使用するときは、定期的に換気をしてください」とあります。換気が足りないと酸素が不足して不完全燃焼になり、一酸化炭素の濃度が上がるおそれがある、という説明です。

同じチラシには、閉め切った寝室で石油ストーブを長時間使い、不完全燃焼で一酸化炭素の濃度が上がった事例も載っています。このチラシは停電時に限った注意喚起ではありませんが、停電中は窓を閉めて寒さをしのごうとしがちなので、なおさら意識しておきたいところ。また、電源を使う機種は停電中は使えません。手持ちの暖房器具がコンセントや電池を必要とするかどうかは、取扱説明書で確認しておいてください。

冬の停電中の寒さ対策そのものについては、今回確認した資料の中に、夏の熱中症対策のような停電時専用の公的な案内は見つけられませんでした。燃焼式の暖房器具を使う場合は、上のNITEの案内どおり定期的な換気を忘れずに行ってください。

コンセントを抜くのはどの家電?

「停電したら、まず家電のプラグを全部抜く」という説明もよく見かけます。ただ、NITEの発表資料をよく読むと、プラグを抜くよう呼びかけている対象は「特にヒーターを内蔵した電気こんろや電気ストーブなどの電熱器具」です。電気が戻ったときに、意図せず動き出して火災になるのを防ぐためで、資料には電気こんろ(2016年7月3日・兵庫県)と電気ストーブ(2020年5月26日・東京都)の事例が載っています。

また、分電盤のブレーカーを切る案内は「自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合」という条件付きでした。

エアコンについては、日立が日立の家電品サポートの停電時の注意ページで「一時的な停電時にコンセントを抜く必要はありません」と案内しています。そのうえで、停電が事前にわかる場合は、安全のため運転を停止しておくことを勧めていました。

災害のあとにエアコンが正常に運転しない場合は、運転を止めて電源プラグを抜くか、エアコンのブレーカーを切るよう書かれています。なお、これは日立の案内で、他のメーカーの案内は今回確認していません。お使いのエアコンのメーカーの取扱説明書もあわせて確認してくださいね。

停電でエアコンの代わりを考えるときのまとめ

最後に、よくある質問に答えたうえで、この記事の内容を振り返ります。

停電とエアコンの代わりに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 停電中、ポータブル電源でエアコンは動かせますか?

A. エアコンの電圧(100V/200V)と消費電力、ポータブル電源の出力電圧・定格出力・瞬間最大出力が合うかどうか次第です。運転を始める瞬間の電力についてはエアコンメーカーの公表値を見つけられなかったので、型番を伝えて電源のメーカーに確認し、平常時に一度試しておくのが確実ですよ。

Q2. 家庭用蓄電池があれば停電時もエアコンを使えますか?

A. 製品と配線工事の内容によって、停電時に給電できるコンセントや200V機器への対応が変わります。エアコンの回路に給電できるかどうかを、販売店や施工会社に確認してください。

Q3. 災害で停電したら、エアコンのプラグはすぐ抜くべきですか?

A. 日立は「一時的な停電時にコンセントを抜く必要はありません」と案内しています。NITEがプラグを抜くよう呼びかけているのは、電気こんろや電気ストーブなどヒーターを内蔵した電熱器具です。ただし災害後にエアコンが正常に動かないときは、日立も運転を止めてプラグを抜くかブレーカーを切るよう案内しています。

Q4. 発電機を玄関やガレージで使っても大丈夫ですか?

A. 屋内での使用は禁止とされており、物置・倉庫・車内・テント内など換気の悪い場所も同様です。屋外でも、排ガスが家の中に入らないよう窓や出入口から離れた風通しのよい場所で使うよう、NITEが案内しています。

停電でエアコンが使えないときの代わりのまとめ

停電でエアコンが使えないときの代わりについて、公的機関とメーカーの情報をもとに見てきました。ポイントを振り返っておきます。

  • 国のリーフレットは、冷房が動いている場所への避難を対策の1つとして明記している
  • 自宅では遮光・風通し・濡れタオル・保冷剤・こまめな水分と塩分の補給が基本
  • ポータブル電源・蓄電池は電圧・定格出力・瞬間最大出力をエアコンの銘板と照らし合わせる
  • 起動時の電力の目安はエアコンメーカーの公表値が見つからず、電源メーカーへの確認が確実
  • 発電機は屋内・車内・テント内で使わない、燃焼式の暖房器具は定期的に換気する
  • プラグを抜く対象としてNITEが挙げるのは電熱器具で、エアコンは日立では不要との案内

停電は、起きてから慌てて調べても手元の電池がもたないことがあります。いまのうちに、自宅のエアコンの銘板を一度見ておく、移れる場所を家族で話しておく、飲み水を少し多めに置いておく。あなたの家では、どれから始められそうですか?できるところから1つずつ備えていきましょう。

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