こんにちは、エアコンラボのアキです。
エアコンから垂れてきた水が透明ではなく茶色く濁っていると、「内部で何かとんでもないことが起きているのでは」と不安になりますよね。ネット上には「薄い茶色なら汚れ、濃い茶色ならサビ」といった見分け方の表がいくつも並んでいます。ただ、それをそのまま書き写す前に、私はまずメーカー各社が水の色について何を公表しているのかを確認するところから始めました。
先に結論をお伝えします。家庭用(ルームエアコン)のメーカー資料で水の色に触れているのは、屋外のドレンホースから出る「赤い水」と、日立の取扱説明書にある「黒い水/白あるいは銀色の水」の2種類でした。茶色い水について色と原因を結びつけたメーカー資料は、調べた範囲では1件も見つかっていません。この記事では、実際に確認できた原文をそのまま示しながら、色から言えること・言えないことを分けて整理します。
- 茶色い水が出たとき、メーカーが最初に指示していること
- 水の色についてメーカーが書いている記載(赤い水は4社、黒い水は日立の原文)
- 色から原因を特定できない理由を、原典の言葉で確認する
- 色ではなく、メーカーが「確認してください」と書いている項目
- 汚れを落とそうとして自分で内部を洗ってはいけない理由

茶色い水が出たとき、メーカーが最初に指示していること
色の正体を考えるより先に、各社が水漏れを見つけた人に対して最初に何をするよう書いているかを確認しておきましょう。ここは色に関係なく共通していました。
「使用を控える」「電源プラグを抜く」が出発点
ダイキンは室内機からの水漏れについて、よくあるご質問「室内機から水が漏れる(ルームエアコン)」で「床や壁などの家屋や家具を傷める恐れがありますので、ご使用を控えてください。水が止まるまでバケツや雑巾で被害を抑えてください」と書いています。
日立も「エアコン(室内機)から水が漏れています。」で「いったんご使用をお控えください」としたうえで、「故障や事故を防ぐため、スイッチを切り、コンセントから電源プラグを抜いてください」と続けています。
つまり、水が何色であっても最初の行動は同じです。両社の記載を並べると、順番はこうなります。
- 運転を停止する(日立は「いったんご使用をお控えください」)
- スイッチを切り、コンセントから電源プラグを抜く(日立)
- バケツや雑巾で水を受け、家屋や家具への被害を抑える(ダイキン)
- 屋外のドレンホースから水が排出されているかを確認する(ダイキン)
色を観察して原因を推理するのは、ここまで済ませたあとの話になります。
水漏れを見つけたら、まず運転停止と電源プラグ。次にバケツや雑巾で水を受ける。色を確かめるのはそのあとで十分です。応急処置の具体的なやり方はエアコンの水漏れをバケツで受けるときの記事にまとめています。
茶色い水そのものの「害」については、メーカーは書いていません
調べた範囲では、漏れてきた水を触ってよいか、体にどう影響するかを説明したメーカー資料は見つかりませんでした。ですので、この記事でも健康への影響について断定的なことは書きません。分かっていないことは、分かっていないままお伝えするのが誠実だと思っています。
一方で、日立は「エアコンの内部に黒い汚れがあります。」という別のFAQで、内部にカビが発生している可能性があるケースについて「カビが含まれた空気を吸い込んでしまう」「エアコンの運転効率が低下し、故障の原因になる」という2つのリスクを挙げています。これは「内部の黒い汚れ」について書かれたものであって、漏れてきた水の色について述べたものではない、という点は区別しておいてください。
水の色について、メーカーが書いている記載を集めました
ここからが本題です。国内メーカーのFAQと取扱説明書を横断して探したところ、水の色を正面から扱っている記載は2系統ありました。ひとつは4社が共通して扱っている屋外のドレンホースから出る赤い水・ピンク色の水、もうひとつは日立の取扱説明書にある黒い水・白(銀色)の水です。

4社の原文を並べてみる
| メーカー | 資料 | 原文で説明されている原因 |
|---|---|---|
| 富士通ゼネラル | FAQ「ドレンホースから赤い水や、透明なヌルヌルとしたものが出る」(AS-0093) | 「一般的に水中や土壌などにいる、菌が繁殖したもの」。エアコンの故障や工事の不具合ではない |
| 三菱電機 | FAQ No.1912「室外のドレンホースからピンク(赤)色の水が出てくるのですが」(2015年公開・2016年更新) | 「一般的に自然界にある微生物(お風呂場や台所のピンク色のぬめりに代表されるものと同じ細菌等)が繁殖したもの」 |
| シャープ | Q&A情報「ドレンホースから赤い水が出る。」(文書番号014697) | 「空気中の赤色酵母菌や赤カビが繁殖し、排水が赤く見えることがあります」 |
| 日立 | FAQ「排水ホース(ドレンホース)から赤い水が出ます。」 | 「排水経路に付着した汚れや微生物の影響」。バクテリアやカビ菌類が繁殖し、赤カビなどが増殖する |
原典はそれぞれ富士通ゼネラルのAS-0093、三菱電機のFAQ No.1912、シャープのQ&A情報、日立のFAQで読めます。シャープについてはAY-P22N/P40Nシリーズの取扱説明書の「故障かな?」欄にも同じ説明が載っていました。
共通しているのは「故障ではない」という結論だけ
4社とも、赤い水は本体の故障ではないと明記しています。対処についても、水道水で洗い流す・落ちなければ中性洗剤で洗浄する、という点でほぼ一致していました。
ただし同じ現象に対して、原因の呼び方は4社4通りです。「菌」「微生物・細菌」「赤色酵母菌や赤カビ」「バクテリアやカビ菌類」と、表現が揃っていません。ここから読み取れるのは、色を見て菌の種類まで言い当てられるようなものではない、ということだと私は受け止めました。
もう1系統、日立は「黒い水」にも原因を書いています
赤い水以外にも色の記載がないか、取扱説明書のほうも当たり直しました。すると日立のルームエアコン取扱説明書(RAS-VL63H2Eほか)の「こんなときは」に、排水ホースについての項目が並んでいて、そこに色の行が2つありました。
| こんなときは | ここを確認してください(原文) |
|---|---|
| 黒い水が出る 白あるいは銀色の水が出る |
「室内機の熱交換器に含まれる成分などが、一時的に流れ出るためです。性能は変わりません。排水量4〜5L程度で、きれいになります。」 |
| 赤い水が出る 汚れた水が出る |
「エアコン内部から排出されたものではありません。一般的に水中や土壌などにいる特定の菌が、適度な温度・湿度・養分により、排水口付近で繁殖したものです。」 |
つまり日立は、色によって説明を書き分けていることになります。黒・白・銀色は本体側(熱交換器の成分)、赤や汚れた水は本体の外(排水口付近の菌)。ここは「色から原因は分からない」と一括りにできない部分なので、そのまま書いておきます。
ただし、この表に茶色という色は出てきません。黒の説明を茶色に当てはめてよいのかどうかは書かれておらず、私が勝手に橋渡ししてよい話でもありません。茶色い水について色と原因を結びつけた記載は、今回調べた範囲では見つけられませんでした。
色から原因を特定できるのか|原典から言えること・言えないこと
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。各社の原文には、色による判定を否定する方向の記述がはっきり書かれていました。
「この色には違いがあります」と書いたメーカーがある
富士通ゼネラルのAS-0093には、赤い水の説明のあとに次の注記が付いています。
「※ 菌の種類や、温度・湿度などの環境の違いによって、この色には違いがあります。」(富士通ゼネラル AS-0093)
読み替えると、原因が同じでも、条件が違えば色は変わるということです。これは「色が違えば原因も違う」という発想とは正反対の記述にあたります。色から原因を逆算する切り分け表は、少なくともこの注記とは相容れません。
色が付いているのは、水ではなく通り道かもしれない
日立のFAQには、さらに踏み込んだ一文があります。「排水ホースから出る赤い水は、エアコン内部から排出されたものではなく、排水経路に付着した汚れや微生物の影響によるものです」。色の出どころが本体内部ではないと、はっきり書かれているわけです。
三菱電機はもう一段細かく、「ドレン水が透明でも流れる床面がピンク(赤)色になる場合」という類似例を挙げ、「これを見て赤い水が出たと勘違いする方もおられます」と書いています。水そのものは透明でも、落ちた先が色づくことがある、という指摘です。
同じ構図はシャープの取扱説明書にもありました。「室内機周辺の天井や壁が黒く汚れる」現象について、原因は「空気中のちりやホコリが、エアコンによる空気循環や静電気で天井や壁などに付着するため」と説明されています。目に見えた色が、エアコンの中から出てきたものだとは限らないのです。
整理:言えること/言えないこと
- 言えること:屋外のドレンホースから出る赤い水・ピンク色の水は、4社とも本体の故障ではないとしている
- 言えること:色が付く場所は排水経路や、水が落ちた床面である場合がある
- 言えること:原因が同じでも、菌の種類や温度・湿度で色は変わりうる(富士通ゼネラル)
- 言えること:黒・白・銀色の水については、日立が「室内機の熱交換器に含まれる成分などが、一時的に流れ出るため」と書いている
- 言えないこと:茶色い水の色の濃さから、汚れかサビかを見分ける
- 言えないこと:透明・茶色・黒の3色を並べて、それぞれ別の故障箇所に結びつける
- 言えないこと:茶色い水が出たから内部の金属が錆びている、と判断する
においについても同じことが言えます。においの種類から原因を特定できないという話はエアコンのにおいがイカ臭いときの記事で詳しく扱いました。色もにおいも、感じ取れる情報は1種類しかないのに、その裏側には複数の条件が絡んでいる、という同じ構図です。
色ではなく、メーカーが「確認してください」と書いている項目
では何を手がかりにすればよいのか。各社のFAQは、色ではなく排水されているかどうかを出発点にしています。
3社が共通して挙げている確認項目
ダイキンは「屋外のドレンホースから水が排出されているか」をまず確認させ、排出されていなければホース先端の障害物、排出されていればエアフィルターの汚れ、という順に切り分けています。日立も同じく、ドレンホースの折れ曲がり・ごみ詰まり・先端が水に浸かっていないかと、エアフィルターの汚れを挙げています。
三菱電機の「室内機から水が漏れる(垂れる)のですが」(2026年更新)は、確認する箇所を4箇所に絞っていました。
- 前面パネルがしっかり取付けられているか
- フィルターが極端に汚れていないか
- ドレンホースの先端がつぶれたり持ち上がったりしていないか
- 窓や戸が開けっぱなしになっていないか
※あわせて「高湿(80%以上)で長時間冷房運転をしないでください」と注意されています
湿度の条件はシャープの取扱説明書にも「湿度が80%以上ある場合、長時間冷房・除湿運転すると吹出口などに露が付き、水滴が落ちることがあります」とあり、同じ資料では冷房運転の条件を外気温約21℃以上・約45℃以下、室温約21℃以上、設定できる温度の範囲を18℃〜32℃としています。パナソニックの取扱説明書でも、窓や戸を開けた状態(湿度80%以上)で長時間運転しないよう、室内ユニットから水滴が落ちて家財などを汚損する原因として注意されていました。運転条件と水漏れの関係は部屋の湿度と水漏れの記事でくわしく扱っています。
ドレンホースの出口も、色を左右する要素
日立は赤い水のFAQのなかで、排水ホースが折れ曲がったりごみが詰まったりすると「ホース内に水が溜まって微生物が発生しやすくなります」と説明し、床面(地面)より100mm以上高い位置で切断して設置するよう案内しています。三菱電機も、ドレン水が溜まる据付状態だと細菌が繁殖するとして、室内機の水平調整とホースの引き回し修正を挙げていました。
いずれも、自分で切ったり付け替えたりする話ではなく、販売店や設置業者に相談する前提で書かれています。水漏れの原因の一覧と、どこから点検を依頼すべきかの線引きはエアコンの水漏れが夜だけ起きる場合の記事で整理しました。
汚れを落とそうとして、自分で内部を洗ってはいけません
茶色い水を見ると「中の汚れを洗い流せば直るのでは」と考えたくなりますが、ここはメーカーがはっきり止めています。
「内部の洗浄はしない」は取扱説明書の警告欄に入っている
パナソニックのルームエアコン取扱説明書(CS-X221C ほか)では、安全上のご注意のなかに「お客様自身で、内部の洗浄はしない。(水漏れや発煙、発火の原因)」「お客様自身で、工具を使った分解掃除はしない。(水漏れや発煙、発火の原因)」と、禁止マーク付きで書かれています。原因として真っ先に挙がっているのが「水漏れ」だという点は、この記事の読者にとって見逃せないところだと思います。
日立の「エアコンクリーニング(内部洗浄)をしたいです。」も同じ方向です。内部洗浄には高い専門技術が必要でお客様自身では行わないよう求めたうえで、誤った洗浄剤や使い方をすると「樹脂部品の破損、電気部品の絶縁不良などが発生し、室内機からの水漏れやエアコン自体が運転できない故障となったり、最悪の場合は、発煙発火に繋がる恐れがあります」と書いています。市販の洗浄スプレーについても使用しないよう明記されていました。
公的機関も同じ注意を出しています
製品評価技術基盤機構(NITE)は2020年6月25日の報道発表「エアコンの内部洗浄による事故に注意」で、誤った内部洗浄方法による火災事故が2019年度までの5年間に20件発生していると公表しています。同じ資料では、エアコンの事故が2015年度から2019年度の5年間に263件、うち火災が244件あったことも示されています。内部洗浄は正しい知識を持った業者に依頼するよう案内されており、消毒用アルコールなどの可燃性の溶液や、次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部を掃除することも避けるよう書かれています。
洗浄剤の危険性についてはエアコンの臭い取りにハイターを使ってよいかの記事、掃除できる範囲についてはエアコンのローラー掃除の記事で、それぞれ詳しく扱っています。
自分でできるのは、あくまで「外から届く範囲」
日立は自分でお手入れできる箇所として、エアーフィルター・ホコリキャッチャー・ダストボックス・風向板などを挙げ、「風向板の奥にある吹き出し口や熱交換器など、エアコン内部についてはお客様ご自身では行わず」販売店や相談窓口へ、としています。シャープの取扱説明書ではエアーフィルターの掃除の目安を2週間に1回としていました。
◆アキのワンポイントアドバイス
気になるのは、日立が「お客様がご自身で洗浄を実施されたとき」に直ちに使用を中止すべき症状として4種類を挙げており、そのなかに焦げ臭いにおいや異常な振動・音と並んで「水漏れや水飛びする」が入っていることです。洗ったあとに水漏れが増えたら、直ちに使用を中止して電源プラグを抜き、点検を相談するよう案内されています。色を消そうとして水漏れを増やしては本末転倒ですね。
まとめ|色は手がかりにならなくても、次にやることは決まっています
最後によくある質問にお答えしてから、内容をまとめますね。

エアコンの水漏れが茶色いときのよくある質問(FAQ)
Q1. 茶色い水はドレンパンのヘドロですか?それともサビですか?
A. 色から見分けられるとしたメーカー資料は見つかりませんでした。富士通ゼネラルは赤い水について「菌の種類や、温度・湿度などの環境の違いによって、この色には違いがあります」と注記しており、条件によって色が変わることを認めています。分解して確かめられるのは点検を依頼した業者だけですので、色を根拠に自己判断しないほうが安全です。
Q2. 屋外のホースの先が赤くなっているのは故障ですか?
A. 富士通ゼネラル・三菱電機・シャープ・日立の4社とも、本体の故障ではないと明記しています。対処もそろって「水道水で洗い流す。落ちない場合は中性洗剤で洗浄する」で、洗剤は使用方法に従うよう注意されています。再発しにくくするには排水口まで水を導く工事が案内されており、これは販売店や設置業者への相談事項です。
Q3. 茶色い水がかかったものは、そのままにしても大丈夫ですか?
A. 健康への影響を書いたメーカー資料は見当たらなかったため、この記事では断定しません。ただしダイキンは水漏れそのものについて「床や壁などの家屋や家具を傷める恐れ」を挙げ、使用を控えて水を受け止めるよう案内しています。ものが傷むという観点では、早めに拭き取って乾かすのが理にかなっています。
Q4. 洗浄スプレーで内部を洗えば色は改善しますか?
A. 日立は市販の洗浄スプレーについて「エアコンの故障の原因となるため、使用しないでください」と明記しています。パナソニックの取扱説明書も、お客様自身での内部の洗浄と工具を使った分解掃除を禁止しており、その原因として水漏れ・発煙・発火を挙げています。色を改善するどころか水漏れを増やしかねない行為です。
Q5. 点検を頼むとき、色のことは伝えたほうがよいですか?
A. 伝えて損はありません。ただし各社のFAQが優先して聞いているのは、屋外のドレンホースから水が出ているか、フィルターは汚れていないか、といった状況です。色だけでなく「いつから」「どこから」「屋外の排水はあるか」をあわせて伝えると、話が早く進みます。
この記事のまとめ
茶色い水の色から原因を特定する方法は、今回調べた各社の公表資料には見当たりませんでした。色に触れている記載は、4社が扱う屋外のドレンホースから出る赤い水と、日立の取扱説明書にある黒い水・白(銀色)の水の2系統で、茶色を扱ったものはありません。しかも富士通ゼネラルは「菌の種類や、温度・湿度などの環境の違いによって、この色には違いがあります」と、色が原因を指し示さないことを注記しています。日立は色の出どころが本体内部ではなく排水経路だと書き、三菱電機は水が透明でも床面が色づく例を挙げていました。
色が手がかりにならないと分かると心細く感じるかもしれませんが、やることが減るわけではありません。運転を止めて電源プラグを抜き、水を受け止め、屋外のドレンホースから排水があるかとフィルターの汚れを確認する。改善しなければ点検を依頼する。この順番は、水が何色でも変わりません。放置した場合に何が起きるかについてはエアコンの水漏れを無視するとどうなるかの記事を、毎シーズン繰り返す場合は水漏れが毎年起きる場合の記事もあわせて読んでみてください。

