エアコンと床暖房の併用|乾燥・立ち上がり・つけっぱなし

壁掛けエアコンとフローリングのあるリビング 節電・電気代

こんにちは、エアコンラボのアキです。

床暖房付きのマンションや新築に住むと、エアコンと床暖房の両方がそろっていて「結局どっちを使えばいいの?」と迷いますよね。床暖房だけだと朝なかなか暖まらないし、エアコンだけだと乾燥が気になる。かといって両方つけっぱなしで本当にいいのか、不安になるのは当然だと思います。

この記事では、床暖房メーカーやガス会社、公的機関が公表している資料をもとに、暖まり方の違いから時間帯別の使い分け、連動運転の動き方、つけっぱなしの注意点までを順番に見ていきます。

  • エアコンと床暖房の暖まり方と立ち上がり時間の違い
  • 朝・帰宅直後・夜で変わる併用のコツ
  • 連動やセーブモードがメーカーごとにどう動くか
  • つけっぱなし・低温やけど・乾燥で気をつけたい点

壁掛けエアコンとフローリングのあるリビング

エアコンと床暖房の併用前に知る暖まり方の違い

まずは2つの暖房がそれぞれ何を暖めているのか、どれくらいの時間で暖まるのかを確認します。ここが分かると、併用の考え方がぐっとシンプルになりますよ。

エアコンは空気を、床暖房は床面を暖める

エアコンは温風を吹き出して部屋の空気そのものを暖めます。一方の床暖房は、床の表面を暖めて、そこから足元や体に熱を伝える仕組みです。日本ガス協会の解説では、温水式の床暖房は熱源機で加熱した温水を床下のマットに循環させて暖房するしくみとされています。

東京ガスは併用時の役割分担について、「お部屋の空気はエアコンで温め、床暖房は床表面を温めるために能力を抑えて運転します」と説明しています(東京ガスの床暖房活用方法のページ)。つまり、併用は「どちらか一方が上位」という話ではありません。空気はエアコン、足元は床暖房という分担で考えると分かりやすいかなと思います。

コロナのニュースリリースでも、エアコンの速暖性と、室温が低くても暖かく感じやすい床暖房の輻射効果をそれぞれ利用する、という趣旨で連動運転が説明されています。役割が違うからこそ、組み合わせる意味があるわけですね。

立ち上がりの速さは方式でまるで違う

床暖房の弱点としてよく挙がるのが立ち上がりの遅さです。東京ガスのオウンドメディアでは、ガス温水式の床暖房について「床暖房の立ち上がり時間は、30分〜1時間です」と書かれています(東京ガス ウチコトの床暖房の記事)。

ヒートポンプ式では、ダイキンのホッとエコフロアが「約40分で快適温度に」としています。ただしこれは同社の環境試験室(33.1㎡)での値です。条件は床暖パネル20.9㎡(敷き詰め率約63%)、外気温2℃、床表面温度と室内温度がともに10℃から運転を始めた場合です(ダイキン ホッとエコフロアの製品ページ)。部屋の広さや断熱性が違えば、時間も変わります。

大阪ガスのコラムは、方式を区別せずに「室温が快適になるまでに30〜120分ほどかかることもあります」と書いています。電気ヒーター式の立ち上がり時間については、今回の調査ではメーカーの公表値を確認できませんでした。ガス温水式の数字を電気式にそのまま当てはめないことが大切です。

暖房の種類 立ち上がりの目安 出典と条件
ガス温水式床暖房 30分〜1時間 東京ガス
ヒートポンプ式床暖房 約40分 ダイキン(試験室33.1㎡・外気温2℃など)
床暖房全般(方式の区別なし) 30〜120分ほど 大阪ガス
電気ヒーター式床暖房 今回は公表値を確認できず —
エアコン暖房(日立) 開始直後2〜3分は温風が出ない 日立の予熱運転の説明

乾燥しにくいと言われる根拠と限界

「床暖房は乾燥しない」とよく言われます。この点について日本ガス協会は、「気流のない床暖房の方がエアコンよりも、皮膚から水分が蒸発しにくい」という比較結果を出しています(日本ガス協会の温水床暖房の解説)。条件は、床暖房が室温24℃・床温29℃、エアコンが室温24℃・床温23℃で、対象者はN=18です。

ここで押さえたいのは、これは皮膚からの水分の蒸発を比べたもので、部屋の湿度を測ったものではないという点です。風が肌に当たらないぶん乾燥を感じにくい、とは言えそうです。一方で、床暖房が室内の湿度をどれだけ変えるかの数値は、今回確認した東京ガス・リンナイ・ダイキン・コロナ・大建工業・日本ガス協会の資料では見つけられませんでした。

なお、空気を暖めると湿度の数字が下がる理屈はエアコン暖房が苦手な理由と対策の記事で詳しく扱っています。乾燥の感じ方が気になる方は、あわせて読んでみてください。

時間帯別に見るエアコンと床暖房の使い分け

暖まり方の違いが分かったところで、次は1日の流れに当てはめてみます。朝・帰宅直後・部屋が暖まった後で、主役が入れ替わるイメージです。

朝と帰宅直後はエアコンで先に暖める

冬の朝のダイニングと壁掛けエアコン

冷え切った部屋を早く暖めたいときは、エアコンの出番です。大阪ガスのコラムでも「冬の朝や帰宅直後など、すぐに暖かさを感じたいときは、エアコンやファンヒーターを併用するのも効果的です」と書かれています(大阪ガス Daigasコラムの床暖房の記事)。

ただ、エアコンもつけた瞬間に暖かくなるわけではありません。日立のQ&Aでは、暖房運転の開始直後は予熱運転をするため2〜3分は暖かい風が出ないと説明されています(日立 ルームエアコンQ&A)。さらに霜取り運転が入ると5〜22分は温風が止まるとあります。これは日立の説明であって、他社の機種で同じ時間とは限りません。

それでも、床暖房の立ち上がりが30分以上かかるのに比べれば、空気を暖めるスピードの差は大きいですよね。足元がまだ冷たい時間帯をエアコンで埋める、という考え方がしっくりくると思います。

床暖房のタイマーは30分〜1時間前が目安

もう1つの手は、床暖房を先に動かしておくことです。東京ガスは「起床時間や帰宅時間に暖まっている状態にするために、30分〜1時間前くらいにタイマーを設定しておきましょう」と案内しています。大阪ガスも、使いたい時間帯の30〜60分前に起動する設定をすすめています。

東京ガスの活用方法のページでは、タイマーは1日に2つの時間帯を設定でき、運転開始・停止の30分前に設定すると快適・効率的に使える、とされています。朝と夜の2回に分けて設定できる機種なら、平日の生活リズムに合わせて組んでおくと手間が減りますよ。

タイマーで床が暖まっていれば、朝のエアコンは短時間で済むかもしれません。逆にタイマーが使えない日や急に帰宅した日は、エアコンを先につけて床暖房を追いかけさせる。この2パターンを覚えておけば、迷う場面はかなり減るはずです。

部屋が暖まったらエアコンを控えめにする

部屋全体が暖まった後は、エアコンの役目が小さくなります。東京ガスのセーブモードの説明では、立ち上がり時にはエアコン暖房を併用しながら部屋を早く暖め、その後は自動で省エネ運転するとされています。

ダイキンのヒートポンプ式床暖房とエアコンのセット製品では、部屋が快適になるとエアコンが消費電力を抑えて連動運転を続けます。このとき床暖房は定格より低い35℃で運転するとしています(ダイキンの床暖房とエアコンのセット製品ページ)。床暖房だけで運転した時より消費電力量を約15%削減という数字もありますが、外気温2℃、床温・室温10℃から運転開始などの条件付きです。

電気代やガス代でどちらが安いかは、熱源(電気・ガス温水・ヒートポンプ)と料金単価、試算の条件しだいで逆転します。大阪ガスのコラムは時間単価ではエアコンのほうが安いとしていますが、これは1時間あたりの電気代を仮定した試算です。金額の見方はエアコンの電気代の記事を参考にしてください。

連動とセーブモードの動き方を確かめる

「エアコンと床暖房が連動する」と聞くと、どの家でも同じように動きそうに思えます。ところが、公表資料を読むとメーカーごとに動き方がかなり違います。自宅の機器がどれに当たるか、ここで確かめておきましょう。

通信連動しない床暖房は両方を自分で操作

ガス温水式の床暖房には「セーブモード」がある機種があります。リンナイの資料では、セーブモードは床暖房とエアコンを併用することを想定した運転モードとされています(リンナイの床暖房セーブモードの資料)。

ここで見落としやすいのが、注意書きの部分です。東京ガス・リンナイ・大阪ガスはいずれも、エアコンとの通信連動は行っていないと書いています。そのため、床暖房のセーブモード運転と一緒にエアコンの暖房運転を行う必要がある、という説明です。セーブモードにしただけではエアコンは勝手につかないということですね。

大阪ガスのヌックの製品ページでは、床暖房(セーブモード)の温度レベル4とエアコン18℃設定の組み合わせを紹介しています。床暖房だけの温度レベル6と比べて一次エネルギー消費量が10%削減としています。条件は外気温5℃、室温20℃相当です。エアコンを自分でつけることが前提の数字だと分かります。

連動する機種でもメーカーで動きが違う

連動運転に対応した製品でも、中身は同じではありません。コロナのニュースリリースでは、運転開始時はエアコンに出力を集中して室温を上げ、しばらくすると連動運転に切り替わるとされています。その後、室温が設定温度に達した後は床暖房のみの運転に切り替わります(コロナのニュースリリース)。

一方のダイキンは、部屋が快適になってもエアコンが消費電力を抑えながら連動運転を続ける、という書き方です。ホッとエコフロアでは、アプリで設定すれば床暖房の運転開始と連動してエアコンも暖房を始めるとあります。立ち上がりの消費電力量は個別運転2.9kWhに対して連動運転2.1kWh、約20%削減(同社比)とされています。

コロナは最後に床暖房だけ、ダイキンはエアコンも動き続ける。このように「連動=こう動く」とひとくくりにはできません。自宅の機器の動きは、床暖房とエアコンそれぞれの取扱説明書で確認するのが確実です。

資料 エアコンとの連動 部屋が暖まった後
東京ガス・リンナイ・大阪ガス(セーブモード) 通信連動なし エアコンは自分で操作
コロナ(エコ暖クールエアコン) 開始時はエアコンに出力を集中 床暖房のみの運転に切り替え
ダイキン(床暖房とエアコンのセット) 連動運転 エアコンが消費電力を抑えて連動を継続

セーブモードで床がぬるく感じる理由

セーブモードや連動運転にすると「床がいつもよりぬるい」と感じることがあります。これは故障ではなく、メーカーも想定している動きです。東京ガスと大阪ガスは、セーブモードでは床暖房の能力を抑えるため、通常運転に比べて床表面温度が低く感じる場合がある、と注記しています。

リンナイの資料によると、低出力モードでは往き温水温度が40℃になる制御とされています。ダイキンも、床温セーブ運転では温水温度を低めに運転するため床表面温度が低く感じる場合がある、としています。空気はエアコンが受け持っている前提なので、床を控えめにしているわけです。

リンナイは、床暖房の能力を抑えているぶん、春先や秋口など床暖房が温まり過ぎると感じる時にもおすすめ、とも書いています。真冬に足元が物足りないなら通常運転、季節の変わり目はセーブモード、という切り替えも考えられますね。

つけっぱなしと乾燥で気をつけたいこと

両方をつけっぱなしにしてよいのか、という疑問にも触れておきます。お金の話だけでなく、低温やけどや湿度といった体に関わる点もあわせて見ていきます。

入切を繰り返すよりまとめて使う

東京ガスは「ON/OFFを繰り返すと、何度も立ち上げることになるので、かえって光熱費がかかる場合があります」としています。また「外出や就寝の30分ほど前にスイッチを切っても余熱でしばらく暖かさが持続します」とも書いています。短時間の入り切りを避け、切るなら少し早めに、という使い方です。

ただし、何時間の外出なら消したほうがよいかという線は、今回確認した東京ガス・大阪ガスのページには見当たりませんでした。断熱性や部屋の広さ、熱源で変わるはずなので、一律の時間で決めるのは難しいかなと思います。

なお大建工業の電気式床暖房の取扱説明書には、連続運転が12時間続くと自動的に運転を停止する安全機能が書かれています。停止時にはブザーが約10秒間鳴ります(大建工業 床暖房システムの取扱説明書)。これはこの機種の機能で、全メーカー共通とは書かれていません。自宅の機種にどんな停止機能があるかは、取扱説明書で確かめてみてください。

長時間の接触による低温やけどに注意

つけっぱなしで気をつけたいのが低温やけどです。前述の大建工業の取扱説明書は、比較的低い温度でも長時間皮膚の同じ場所に触れていると低温やけどの恐れがあると警告しています。乳幼児や体の不自由な方には付き添いなしで使わないよう求めているほか、お年寄り、眠気を誘う薬を飲んだ方、深酒した方も特に注意とされています。

低温やけどの温度と時間については、NITE(製品評価技術基盤機構)が一般論として、次のように発症すると言われている、と示しています(NITEの低温やけど注意喚起)。体調など体の状態によって異なる、とも添えられています。

  • 44℃:3〜4時間以上の接触
  • 46℃:30分〜1時間の接触
  • 50℃:2〜3分の接触

この資料が対象にしているのは湯たんぽや電気あんか、電気毛布などで、床暖房を名指ししたものではありません。

床で寝落ちする、赤ちゃんを床に寝かせたままにする、といった使い方は避けたいところです。大建工業の取扱説明書では、座布団など保温性のよいものを長時間同じ場所に置かないこと、敷物は毛足の短いもの(8㎜以下)にすることも求めています。

湿度は40〜60%を目安に加湿と組み合わせる

壁掛けエアコンと加湿器のあるリビング

エアコンを併用する時間が長いと、やはり乾燥が気になります。パナソニックの乾燥対策のページによると、人にとって快適でカビやダニのリスクが抑えられる湿度は40〜60%と言われている、とされています(パナソニックの冬のエアコン乾燥対策のページ)。60%を超えるとダニが発生しやすくなるとも書かれているので、上げすぎにも注意です。

このページはエアコン暖房の乾燥について書かれたもので、床暖房には触れていません。床暖房と併用している場合も、湿度計で数字を見ながら加湿器などを組み合わせるのが現実的だと思います。エアコン側で加湿する選択肢は加湿機能付きエアコンの記事にまとめています。

また、足元の冷えが気になってエアコンの設定温度を上げがち、という方もいるかもしれません。暖かい空気は天井付近にたまりやすいので、空気を混ぜる方法は暖房とサーキュレーターの使い方の記事が参考になります。

エアコンと床暖房の併用でよくある疑問

最後に、併用について特によく聞かれる疑問に答えていきます。

エアコンと床暖房の併用に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 床暖房があればエアコンは不要ですか?

A. 部屋の条件しだいです。大建工業の取扱説明書には、住宅の断熱性能や敷設面積、外気温などの条件により補助暖房が必要になる場合がある、と書かれています。床暖房だけで足りる家もありますが、立ち上がりの遅さを補う意味でもエアコンがあると安心かなと思います。

Q2. 床暖房とエアコン、電気代はどっちが安いですか?

A. 熱源と料金単価、試算の条件で変わります。東京ガスはガス温水式で、木造14畳1室・外気温7℃でエアコンと併用して8時間使った試算を約184円としています。ただしこれは料金や機器を仮定した試算です。大阪ガスの試算とは前提が違うので、数字を並べて比べないほうがよいでしょう。

Q3. マンションでも併用の考え方は同じですか?

A. 基本は同じで、空気はエアコン、足元は床暖房という分担です。ただ、マンションの床暖房はガス温水式・電気式など設備がさまざまで、立ち上がり時間や連動の有無も違います。管理会社から受け取った設備の取扱説明書で方式とセーブモードの有無を確かめてみてください。

Q4. 一条工務店などの家の床暖房とエアコンはどう併用すればいいですか?

A. 住宅メーカー独自の床暖房は、仕組みや推奨される運転方法が一般的な床暖房と異なる場合があります。この記事では各住宅メーカーの仕様は調べていないので、断定は控えます。住宅メーカーの取扱説明書や窓口で、エアコンとの併用についての案内を確認するのが確実です。

Q5. 寝るときは両方つけたままでいいですか?

A. 東京ガスは、就寝の30分ほど前にスイッチを切っても余熱でしばらく暖かさが続くとしています。床の上で寝てしまうと低温やけどの心配もあるので、寝室に移る前に床暖房を切るタイマーを使うと安心ですね。

エアコンと床暖房の併用のまとめ

エアコンと床暖房の併用について、ポイントを振り返ります。

  • エアコンは空気、床暖房は床面を暖めるので役割が違う
  • 床暖房の立ち上がりはガス温水式で30分〜1時間(東京ガス)、方式と条件で変わる
  • 朝や帰宅直後はエアコンで先に暖め、床暖房はタイマーで30分〜1時間前から動かす
  • 通信連動しない床暖房のセーブモードでは、エアコンは自分でつける
  • 連動機種の動き方はメーカーで違うので取扱説明書で確認する
  • 入り切りの繰り返しは避け、低温やけどと湿度40〜60%を意識する

「両方つけるか、どっちか片方か」ではなく、時間帯で主役を入れ替えると考えると、迷いがだいぶ減るはずです。あなたの家の床暖房はどの方式でしょうか。まずは取扱説明書を開いて、セーブモードや連動の有無を確かめるところから始めてみてください。

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